医療法 第35条
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- 厚生労働大臣又は都道府県知事は、公的医療機関の開設者又は管理者に対して、次の事項を命ずることができる。
- 一当該病院又は診療所の医療業務に差し支えない限り、その建物の全部又は一部、設備、器械及び器具を当該公的医療機関に勤務しない医師又は歯科医師の診療又は研究のために利用させること。
- 二医師法第十一条第一項第二号若しくは歯科医師法第十一条第一項第二号の規定による実地修練又は医師法第十六条の二第一項若しくは歯科医師法第十六条の二第一項の規定による臨床研修を行わせるのに必要な条件を整備すること。
- 三当該公的医療機関の所在地の都道府県の医療計画に定められた救急医療等確保事業に係る医療の確保に関し必要な措置を講ずること。
- 2.前項各号に掲げる事項の外、厚生労働大臣又は都道府県知事は、公的医療機関の開設者に対して、その運営に関して必要な指示をすることができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第35条は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第35条の条文原文は「厚生労働大臣又は都道府県知事は、公的医療機関の開設者又は管理者に対して、次の事項を命ずることができる。」で始まります。
- 医療法第35条は第五章 医療提供体制の確保に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第35条の前の条は医療法第34条です。
- 医療法第35条の次の条は医療法第36条です。
- 医療法第35条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第35条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第35条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/35
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法35条は、厚生労働大臣や都道府県知事が公的医療機関に対し、設備の外部医師への開放、臨床研修の条件整備、救急医療等確保事業への措置を命じられると定める。
Q · 県立病院に「外の開業医にも設備を使わせなさい」と命令することはできるの?
できる。国や知事に命令権がある(医療法35条)
医療法35条1項1号により、厚生労働大臣または都道府県知事は、公的医療機関の開設者・管理者に対し、その病院の医療業務に差し支えない限り、建物・設備・器械器具を外部の医師や歯科医師の診療・研究に利用させるよう命ずることができます。ただし「できる」規定のため、命令を出すかどうかは行政の裁量に委ねられます。実務では正式な命令より、協議や医療計画での調整、病院ごとの共同利用規程で運用されることが一般的です。
解説
県立病院のMRIやカテーテル室は、県が建てた設備である。医療法35条は、その扉を外の医師にも開けるよう、国や知事が命じられると定めている。対象は公的医療機関(医療法31条:都道府県・市町村などや、日本赤十字社など厚生労働大臣が定める者が開設する病院・診療所)である。命令できる中身は三つある。一つ目は、医療業務に差し支えない範囲で、建物・設備・器械を外の医師や歯科医師の診療・研究に使わせること。二つ目は、臨床研修や実地修練を行える条件を整えること。三つ目は、都道府県の医療計画に定められた救急医療等確保事業(救急、災害、へき地、周産期、小児などの医療体制づくり)に必要な措置を講じること。さらに2項で、運営全般について指示することもできる。つまり、公的病院はその病院の患者だけのものではない。町の開業医も、研修先を探す医学生も、夜間救急に頼る住民も、地域の医療インフラを使う立場として関わっている。自分がその一人だと知っているかどうかで、病院に何を求められるかが変わる。
法的な位置づけ
医療法第35条は、厚生労働大臣または都道府県知事が、同法31条に定める公的医療機関の開設者または管理者に対して、医療業務に支障のない限りでの建物・設備・器械器具の外部医師等への利用提供、実地修練・臨床研修の条件整備、医療計画上の救急医療等確保事業に係る措置を命ずる権限、および開設者への運営上の指示権限を定める規定である。
よくある質問 AI による整理
Q1公的医療機関とは?
医療法31条が定める、都道府県・市町村のほか、日本赤十字社・済生会・厚生連など厚生労働大臣が定める者が開設する病院・診療所を指します。
Q2医療法35条の命令は誰が出せる?
厚生労働大臣または都道府県知事です。1項の命令は開設者または管理者に、2項の運営に関する指示は開設者に対して行うことができます。
Q3公的病院の設備開放はどこまで求められる?
医療業務に差し支えない限りです。自院の診療に支障が出る範囲まで外部医師への開放を命じることは、条文の文言上予定されていません。
Q4救急医療等確保事業とは何のこと?
都道府県の医療計画に定める救急医療、災害時医療、へき地医療、周産期医療、小児医療などの体制確保事業です。本条1項3号の命令はこれに結び付いています。
Q5医療法35条の命令に従わないとどうなる?
本条自体には罰則の定めがありません。実務では正式な命令の前に協議で調整されることが多く、命令の効果や不服申立ての可否は個別に確認が必要です。
Q6民間病院にも医療法35条は適用される?
適用されません。対象は医療法31条の公的医療機関に限られます。民間病院の共同利用は、地域医療支援病院の要件(医療法4条)などを通じて問題になります。
Q7公立病院で臨床研修医を受け入れる根拠は?
医師法16条の2の臨床研修制度が前提です。本条1項2号は、行政が公的医療機関に研修を行わせる条件整備を命じられると定めています。
Q8医療法35条の命令に不服申立てはできる?
命令が行政処分に当たれば審査請求(3か月以内)や取消訴訟(6か月以内)の余地がありますが、処分性の判断は解釈が分かれうるため弁護士への確認が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1開業医でも、市民病院のCTとかMRIを使わせてもらえるんですか?
制度上の道はある。医療法35条1項1号は、医療業務に差し支えない範囲で、行政が公的医療機関に外部の医師への設備利用を命じられるとしている。地域医療支援病院(4条)には共同利用の体制づくりが求められる。実務のポイント:正式な命令が出た例は少なく、実際には病院ごとの共同利用・開放型病床の規程が窓口になっている。まず連携室に規程そのものを請求するのが近道である
Q2日赤とか済生会の病院も『公的医療機関』に入るんですか?
入る。医療法31条は、都道府県・市町村のほか、厚生労働大臣が定める者が開設する病院・診療所を公的医療機関としている。日本赤十字社、済生会、厚生連などがこれに指定されており、本条の対象になる。実務のポイント:同じ公的医療機関でも、自治体病院と日赤などでは財源も意思決定の経路も違う。交渉相手が議会なのか本部なのかを先に見極めないと、話がどこにも届かない
Q3県から救急を増やせと言われたら、病院は絶対に従わなきゃいけないんですか?
35条1項3号は、医療計画の救急医療等確保事業について必要な措置を命じられると定めているが、命令は「できる」規定であり、1号には「医療業務に差し支えない限り」という限界もある。実務のポイント:実務の勝負は命令の前の協議で決まる。医師の確保策や補助金などの見返りを引き出せるのは、正式な命令が出る前の段階だけである(最新の運用は各都道府県の医療計画をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「公立病院の運営は院長と自治体の内部の話で、外の人は口を出せない」と思われがちである。だが法律の設計を見ると、公的医療機関は最初から、地域の他の医師や住民の医療を支えるための共有インフラとして位置付けられている。外の医師による設備利用は例外的な好意ではなく、条文に書かれた本来の使い道の一つである
- 条文に「命ずることができる」とあることは知っていても、その重みを知る人は少ない。できる規定である以上、行政がスイッチを入れるかどうかは裁量に委ねられる。実際には、正式な命令を出す前に協議や医療計画での調整で片付くことが多い。条文があるだけでは何も動かない。使うように働きかける主体がいて初めて意味を持つ
- 開業医から見れば、大病院の高額機器は「紹介したら患者を取られる場所」である。法律から見れば、同じ機器は「地域の医師が共同で使える資源」である。この見え方の違いに気付かないまま紹介状だけを書き続けると、患者も、診療を続けていく機会も失い続ける
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 医療法35条:公的医療機関の開設者・管理者 | 医療法4条:知事の承認を受けた地域医療支援病院 医療法31条:公的医療機関の範囲そのものを定義 |
| 外部医師による設備利用 | 行政が利用させるよう命令できる(医療業務に差し支えない限り) | 承認要件として外部医師が利用できる体制の整備が必要 直接の定めなし(35条の適用範囲を画する) |
| 規定の性質 | 行政の命令・指示権限(「できる」規定、裁量あり) | 承認制度(要件充足で名称使用が可能) 定義規定 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は医療区域と医療網計画で医療資源の配置を統括するが、公的病院に外部医師への設備開放を命じる日本型の規定は確認できていない
韓国は公共保健医療機関の役割を個別法で定める。日本の本条との細部の対応は要確認
米国は救急受診者への診察・安定化義務を病院に課すが、公的病院の設備開放や研修整備を行政が命じる枠組みとは性質が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 開業三年目の内科医であるあなたの患者に精査が必要になった。自院にCTはない。隣の市立病院に紹介すれば患者はそのまま向こうに移ってしまう。ところが共同利用の制度があれば、あなたが主治医のまま検査を依頼できる。その根っこの理念が本条1項1号にある
- 市立病院の事務局長のもとに、県から「救急の輪番体制に参加せよ」という通知が届いた。医師不足で夜間の当直は回らない。この要請は断れるのか、それとも法的な根拠があるのか? 答えは医療計画と本条1項3号の組み合わせで決まる
- 来年の臨床研修先を探している医学部6年生のあなた。地方の公立病院は、なぜ研修医の受け入れ枠を一定に保とうとするのか。本条は、行政が公的医療機関に研修環境の整備を命じられる仕組みを用意している
- あと二週間で、県と市立病院の協議に意見書を出す締切が来る。地域の救急が崩れかけている。住民としてあなたが突くべき論点は「病院の善意」ではない。知事が公的医療機関に向けて持つ命令権限である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 地域の公的病院の設備を使えず困っている開業医は、まず病院の地域医療連携室に、共同利用や開放型病床の制度があるか書面で確認する2. 断られた場合は、理由(医療業務に支障がある、など)を記録しておく3. 地域の医師会を通じて、都道府県の地域医療構想調整会議や医療計画の見直しの場で問題を取り上げる4. 救急体制の空白に悩む住民は、医療計画のパブリックコメントに具体的な事実を添えて意見を出す
訴えられた側:1. 行政から指示や命令の打診を受けた公的医療機関は、1項1号の「医療業務に差し支えない限り」という限界を、稼働率・人員配置のデータで説明できるように準備する2. 研修環境の整備や救急への参加は、人員や財政の支援とセットで協議する3. 正式な命令に先立つ協議の段階で、代わりの案を出しておく4. 命令を受けた場合、行政処分(役所が直接下す具体的な決定)に当たるかどうかを弁護士に確認し、不服申立ての可否を検討する
時効(請求できる期限):本条自体に期限の定めはない。命令が行政処分に当たる場合は、審査請求は処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)、取消訴訟は処分があったことを知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)。ただし、本条に基づく命令が処分に当たるかは実務上、解釈が分かれうる
- 医療法 第31条公的医療機関の定義、本条の対象範囲
- 医療法 第30条の4医療計画と救急医療等確保事業の根拠
- 医療法 第4条地域医療支援病院の共同利用要件
- 医師法 第16条の2臨床研修義務、本条1項2号の前提
- 歯科医師法 第16条の2歯科医師の臨床研修義務
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 第36条の2公的医療機関等の感染症医療提供義務(現行効力を要確認)
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