医療法 第61条
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- 一又は二以上の医療法人は、新設分割(一又は二以上の医療法人がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する医療法人に承継させることをいう。以下この目において同じ。)をすることができる。この場合においては、新設分割計画を作成しなければならない。
- 2.二以上の医療法人が共同して新設分割をする場合には、当該二以上の医療法人は、共同して新設分割計画を作成しなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第61条は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第61条の条文原文は「一又は二以上の医療法人は、新設分割(一又は二以上の医療法人がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する医療法人に承継させることをいう。」で始まります。
- 医療法第61条は第二目に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第61条の前の条は医療法第60条の7です。
- 医療法第61条の次の条は医療法第61条の2です。
- 医療法第61条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第61条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第61条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/61
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法61条は、医療法人が事業の権利義務の全部又は一部を、分割により新たに設立する医療法人に承継させる新設分割を認め、新設分割計画の作成を義務付ける。
Q · 医療法人を二つに分けて、新しい医療法人をつくることはできる?
できる。ただし承継先は新設の医療法人に限られる
医療法61条により、医療法人は事業に関する権利義務の全部又は一部を、分割により新たに設立する医療法人に承継させる「新設分割」を行えます。その際は新設分割計画の作成が必須で、複数の法人で共同して行う場合は計画も共同で作成します。承継先は医療法人に限られるため、株式会社への切り出しには使えません。実際に分割するには、社員の同意、都道府県知事の認可、債権者保護手続、設立登記といった手続も経る必要があります。
解説
病院と老健施設を抱える医療法人の理事長が、長男に病院、次男に老健を継がせたいと考えたとする。平成28年(2016年)9月まで、医療法人にはこれを一発で実現する法的な手段がなかった。当時の選択肢は、施設を一つずつ廃止して新しい法人で開設し直すか、事業譲渡を積み重ねるかであり、どちらも時間と手間がかかり、許認可が途切れるリスクもあった。61条はここに「新設分割」という手段を用意した。医療法人(一つでも複数でもよい)が事業に関する権利義務の全部または一部を切り出し、分割によって新しく設立する医療法人にまとめて引き継がせる仕組みである。条件は一つだけ書かれている。新設分割計画を作成すること。複数の法人で共同して行うなら、計画も共同で作る。ただし条文の見た目ほど自由ではない。承継先は新しく設立される医療法人に限られ、株式会社に切り出すことはできない。社団医療法人なら総社員の同意、さらに都道府県知事の認可が必要になる。分割は、医療法人を「売る」ための道具ではなく、「分ける」ための道具である。この違いを押さえているかどうかで、事業承継の設計図はまったく変わる。
法的な位置づけ
医療法61条の新設分割とは、一又は二以上の医療法人が、その事業に関して有する権利義務の全部又は一部を、分割により設立する医療法人に承継させる組織再編行為をいう。実施には新設分割計画の作成が必要であり、二以上の医療法人が共同して行う場合には共同で計画を作成しなければならない。
手順
- 1.分割の目的と承継範囲を決める 事業承継、不採算部門の切り出し、経営の選択と集中など分割の目的を明確にし、どの施設・契約・職員を新法人に承継させるかを整理する。承継先は新設される医療法人に限られる前提で設計する
- 2.都道府県の担当課と事前協議する 認可申請のスケジュール、医療審議会の開催時期、病院の開設許可や保険医療機関の指定の扱いについて、都道府県と地方厚生局に事前に確認する
- 3.新設分割計画を作成し、社員等の同意を得る 医療法61条に基づき新設分割計画を作成する。複数法人で行う場合は共同で作成する。社団医療法人なら総社員の同意、財団医療法人なら寄附行為の定めに従った手続を経る
- 4.知事の認可申請と債権者保護手続を行う 都道府県知事に分割の認可を申請し、並行して債権者への公告・催告を行う。職員への通知と協議も、この段階までに済ませておく
- 5.設立登記を行い、分割の効力を発生させる 認可後、新設医療法人の設立登記を行う。登記によって分割の効力が生じるため、診療報酬請求への影響を避けるよう、登記日は保険医療機関の手続と合わせて設定する
よくある質問 AI による整理
Q1医療法人の新設分割とは?
医療法人が事業に関する権利義務の全部又は一部を切り出し、分割により新しく設立する医療法人に承継させる手続です。根拠は医療法61条です。
Q2医療法人の分割はいつからできる?
平成27年(2015年)の医療法改正で分割制度が導入され、平成28年(2016年)9月1日から吸収分割・新設分割が利用可能になりました。
Q3医療法人の新設分割 期間はどれくらい?
計画作成、社員の同意、知事認可、債権者保護手続、設立登記と続くため、年単位での計画が一般的です。医療審議会の開催時期も期間を左右します。
Q4医療法人の分割に知事の認可は必要?
必要です。分割は新しい医療法人の設立を伴うため、都道府県知事の認可を受けなければ効力を生じません。申請前の事前協議が実務の出発点です。
Q5新設分割計画には何を書く?
新設される医療法人の名称や定款・寄附行為の内容、承継させる権利義務の範囲などを定めます。記載事項の細目は医療法及び施行規則の定めを確認してください。
Q6複数の医療法人で共同して分割できる?
できます。医療法61条2項により、二以上の医療法人が共同で新設分割をする場合は、新設分割計画も共同で作成しなければなりません。
Q7医療法人の分割で債権者はどうなる?
分割に異議を述べる機会を与える債権者保護手続が設けられています。公告・催告で定められた期間内に異議を述べないと、分割を承認したものとみなされます。
Q8医療法人の分割 税金はかかる?
法人税法上の適格分割に当たるかどうかで課税関係が大きく変わります。資産の移転に課税が生じる場合があるため、計画段階から税理士の関与が欠かせません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちみたいな持分ありの古い医療法人でも分割ってできるの?
分割できる医療法人からは、社会医療法人などが除外されている(医療法60条の委任を受けた厚生労働省令)。持分の定めのある、いわゆる経過措置型医療法人も分割の対象外とされるのが一般的な理解である(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:分割を使いたいがために持分なし医療法人への移行を先に進めるケースがある。移行には贈与税の論点があり、認定医療法人制度を使うかどうかで結論が変わる。分割の相談は移行の相談とセットで行うべきである
Q2分割したら、病院の許可って新しく取り直しになるんですか?
新設分割は新しい医療法人の設立なので、開設者が変わるという扱いになりうる。その場合、開設許可や保険医療機関の指定について新たな手続が必要になる場面がある(医療法61条、7条)。取扱いは都道府県・地方厚生局に事前確認が必要である。実務のポイント:保険医療機関の指定は、要件を満たせば遡及指定で空白期間を埋められる運用がある。これを知らずに分割日を月の途中に設定すると、レセプト請求で現場が混乱する。分割日は月初に置くのが実務の定石である
Q3分割するとき、職員の同意って一人ずつ取らないといけないの?
分割計画で承継対象とされた労働契約は、会社分割と同様の労働者保護の枠組みの中で新法人に引き継がれるのが基本で、職員一人ひとりの個別同意を前提とする仕組みではない(医療法61条、会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律の準用関係は要確認)。ただし通知と協議の手続を省くと、承継の効力が争われる。実務のポイント:法的に同意が不要でも、看護師が離職すれば病床を維持できなくなる。説明会は法的手続より前に行うのが、実際に分割を成功させる順番である
間違えやすい点 AI による整理
- 「分割できるなら、病院部門を切り出して株式会社に売れる」と考える経営者がいるが、新設分割の承継先は分割によって設立される医療法人に限られる。医療法人は剰余金を配当できない(医療法54条)という性質も新法人にそのまま引き継がれる。分割は非営利性の枠から抜け出す手段にはならない
- 新設分割計画を作ることは知っていても、その後の手続の重さを見積もっていない人が多い。社団医療法人なら総社員の同意、財団なら寄附行為の定めと理事会の特別多数、都道府県知事の認可、債権者保護手続、設立登記と続き、認可審査には医療審議会の開催時期も絡む。「来月分割します」は通らない。年単位の計画である
- 理事長の目には「自分の法人を二つに分けるだけ」と映る。しかし法律の目には、新しい医療法人の設立として映る。病院の開設許可や保険医療機関の指定は、開設者が変われば扱いが変わる可能性がある。この認識のずれが、診療報酬の請求が途切れる空白期間という形で表れる(取扱いは都道府県・地方厚生局に事前確認が必要)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 承継先 | 医療法61条(新設分割):分割により新しく設立する医療法人 | 医療法60条(吸収分割):既に存在する他の医療法人 会社法762条(株式会社の新設分割):新しく設立する会社 |
| 必要な書面 | 新設分割計画(共同で行うなら共同作成) | 承継する医療法人との吸収分割契約 新設分割計画 |
| 非営利性の制約 | 新法人も医療法人のため剰余金配当禁止(医療法54条)が及ぶ | 承継先も医療法人のため同じく配当禁止 営利法人のため配当可能 |
| 行政の関与 | 都道府県知事の認可が必要 | 都道府県知事の認可が必要 原則として行政の認可は不要 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では会社の分割制度は整備されているが、医療社団法人の分割を直接定める規定は確認できない。医療機関の再編は会社法制とは別の枠組みで検討する必要がある
中国は法人一般について分立後の権利義務の承継を定め、分立後の法人は原則として連帯して債権債務を負う
ドイツの組織再編法は分割(Aufspaltung、Abspaltung、Ausgliederung)を統一的に規律し、法形式を横断した再編を広く認める
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 理事長が七十代に入り、病院は内科医の長女に、訪問看護と介護事業は経営を学んだ長男に任せたい。一つの法人のままでは、どちらが理事長になっても相手の事業に口を出せる。新設分割で介護部門を新法人に切り出せば、それぞれが独立した医療法人のトップとして経営できる。争族(相続争い)の芽を、相続が始まる前に摘む手段である
- 赤字の分院を抱えたままでは、本院への買い手がつかない。そうなったら、どう切り分ければいい? 新設分割で分院だけを新法人に移し、本院側の財務をきれいにするという設計がありうる。ただし分院を受け継ぐ新法人も医療法人でなければならず、株式会社に売却する前提のスキームは組めない
- あなたは医療法人の事務長で、職員説明会で「来年4月から、あなたの雇用主は新しい法人になります」と伝える役目を負った。看護師から「給料は下がるんですか」と質問が飛ぶ。労働契約がどう引き継がれるかは分割計画に何が書かれているかで決まり、会社分割と同様の労働者保護の仕組みが問題になる。説明を誤ると、離職の連鎖が始まる
- 理事長の余命宣告から半年。分割計画の作成、総社員の同意、知事の認可申請、医療審議会、債権者への公告、設立登記。逆算すると、今月中に計画の骨子を固めなければ間に合わない
取るべき行動
被害を受けた側:分割する医療法人の取引先・債権者・職員の立場で整理する。1. 公告や個別の催告が届いたら、自分の債権(未払金、リース契約、退職金など)がどちらの法人に承継されるのかを分割計画で確認する2. 回収に不安があれば、定められた期間内に異議を述べる。期間を過ぎると、承継の内容を受け入れたものとして扱われる3. 職員であれば、労働条件が維持されるか、承継の対象になっているかを書面で確認し、必要なら労働組合や社会保険労務士に相談する
訴えられた側:分割を実行する法人側の手順である。1. 分割の目的(承継、再編、不採算部門の切り出し)を明確にし、承継先が医療法人に限られる前提で設計する2. 都道府県の担当課と事前協議を行い、病院の開設許可や保険医療機関の指定の扱いを確認する3. 新設分割計画を作成し、社団なら総社員の同意を取る4. 知事の認可、債権者保護手続、職員への通知と協議、設立登記の順で工程表を作る5. 適格分割に当たるかどうかで課税が大きく変わるため、税理士の関与は必須
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。手続上は、債権者が異議を述べられる期間(公告・催告で定める一定期間)と、都道府県医療審議会の開催時期に合わせた認可申請の締切が実質的な期限になる。分割の効力は新法人の設立登記によって発生する(期間の詳細は最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成27年(2015年)医療法改正、平成28年(2016年)9月1日施行 医療法人の分割制度(吸収分割・新設分割)が導入され、本条が新設分割の根拠規定として置かれたと理解されている。改正前の61条の内容との関係(新設か改正か)は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:医療法(昭和23年法律第205号)制定。医療法人の分割に関する規定はこの時点では存在しない
- 2.平成27年(2015年) 改正:医療法の一部を改正する法律により医療法人の分割制度(吸収分割・新設分割)が導入され、平成28年(2016年)9月1日に施行された。本条はこのうち新設分割の根拠規定として位置付けられる
- 医療法 第60条吸収分割、既存法人への承継型
- 医療法 第39条医療法人の定義、承継先の法人類型
- 医療法 第44条医療法人設立の知事認可
- 医療法 第54条剰余金配当禁止、分割後も存続
- 会社法 第762条株式会社等の新設分割計画、同型規定
- 会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律 第2条分割時の労働者通知(医療法人への準用は現行効力を要確認)
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