医療法 第68条
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一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第四条、第百五十八条及び第百六十四条並びに会社法第六百六十二条、第六百六十四条、第八百六十八条第一項、第八百七十一条、第八百七十四条(第一号に係る部分に限る。)、第八百七十五条及び第八百七十六条の規定は、医療法人について準用する。この場合において、同法第六百六十四条中「社員に分配する」とあるのは「残余財産の帰属すべき者又は国庫に帰属させる」と、同法第八百六十八条第一項中「本店」とあるのは「主たる事務所」と読み替えるものとする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第68条は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第68条の条文原文は「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第四条、第百五十八条及び第百六十四条並びに会社法第六百六十二条、第六百六十四条、第八百六十八条第一項、第八百七十一条、第…」で始まります。
- 医療法第68条は第九節に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第68条の前の条は医療法第67条です。
- 医療法第68条の次の条は医療法第69条です。
- 医療法第68条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第68条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第68条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/68
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法68条は会社法664条等を医療法人に準用し、残余財産を社員に分配せず帰属すべき者又は国庫に帰属させると読み替える。係争債務の弁済分の留保が前提となる。
Q · 医療法人を解散したら、残った財産は誰のものになるの?
社員には分配されず、定款の帰属先か国庫に移る
医療法68条は会社法664条を医療法人に準用し、「社員に分配する」を「残余財産の帰属すべき者又は国庫に帰属させる」と読み替えています。帰属先は定款で定めた国、地方公共団体、他の医療法人などに限られ(医療法44条5項)、定めがなければ国庫に帰属します(同56条)。また、係争中の債務がある場合は、その弁済に必要な財産を留保しなければ残余財産を移転できません。
解説
条文を開いても、他の法律の条番号が十近く並び、最後に読替えが二つ付いているだけだ。読み飛ばしたくなるが、医療法人を持つ院長とその家族にとっては、閉院の日に法人の財産がどこへ行くかを決める配線図である。核心は会社法664条の読替えにある。合同会社なら、借金を返した後に残った財産は社員に分配される。医療法人では、その「社員に分配する」が「残余財産の帰属すべき者又は国庫に帰属させる」に置き換えられている。持分のない医療法人(平成19年4月以降に設立された法人は原則これ)では、何十年もかけて積み上げた内部留保が理事長個人の懐に戻ることはない。行き先は定款で定めた国、地方公共団体、他の医療法人など(医療法44条5項)で、定めがなければ国庫になる(同56条)。しかも、医療過誤などで争っている債務が残っていれば、その弁済に必要な分を留保しない限り財産は動かせない。閉院の段取りは、解散を決めるずっと前から始めておく必要がある。
法的な位置づけ
医療法第68条は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第4条・第158条・第164条並びに会社法第662条・第664条・第868条第1項等を医療法人に準用する規定である。会社法第664条中の「社員に分配する」を「残余財産の帰属すべき者又は国庫に帰属させる」と読み替え、清算時における残余財産の非分配を担保する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.定款の残余財産帰属条項を確認する 解散を検討し始めた段階で、定款に定められた残余財産の帰属先(国、地方公共団体、他の医療法人等)と、持分の有無を確認する
- 2.債務と係争債権を洗い出す リース残債、未払い報酬、医療過誤訴訟などの債務を一覧化し、額が確定している債務と確定していない債務、係争中の債務を区別する
- 3.不確定債務は鑑定人選任を申し立てる 額が確定しない債務は、主たる事務所所在地を管轄する地方裁判所に鑑定人の選任を申し立て、その評価に従って弁済する(会社法662条・868条1項の準用)
- 4.係争債権の弁済分を留保する 係争中の債権については、弁済に必要と認められる財産を留保したうえで、それ以外の債務を弁済する(会社法664条ただし書の準用)
- 5.残余財産を帰属先へ移転する 全債務の弁済または留保を終えたのち、残余財産を定款所定の帰属先に移転する。定めがなければ国庫に帰属させる(医療法56条)
よくある質問 AI による整理
Q1医療法68条とは何ですか?
医療法人の清算や非訟手続について、一般法人法と会社法の規定を準用する条文です。残余財産を社員に分配しない読替えが核心です。
Q2医療法人の残余財産は国庫に帰属しますか?
定款に帰属先の定めがなければ国庫に帰属します(医療法56条)。定めがあれば、国・地方公共団体・他の医療法人などに帰属します。
Q3持分あり医療法人の解散時の残余財産はどうなる?
経過措置型の持分あり法人は、定款の払戻し・分配条項が効力を持つ余地があります。定款の該当条項を必ず確認してください。
Q4医療法人の清算中に訴訟があったらどうなる?
係争中の債務は、弁済に必要な財産を留保しない限り残余財産を移転できません(会社法664条ただし書の準用)。
Q5医療法人の住所はどこになりますか?
主たる事務所の所在地が住所とされます(一般法人法4条の準用)。訴訟の管轄を判断するときの基準になります。
Q6医療法人の清算で鑑定人が必要になるのはいつ?
条件付債権や存続期間が不確定な債権など、額が確定しない債務を弁済するときです。裁判所が選任した鑑定人の評価に従います(会社法662条の準用)。
Q7財団医療法人への寄附は取り消せる?
贈与の規定が準用されるため、書面による寄附は原則撤回できません(一般法人法158条の準用、民法550条)。
Q8医療法人の清算に関する非訟事件はどこの裁判所?
主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所です。会社法868条1項の「本店」が「主たる事務所」に読み替えられています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1医療法人を解散したら、残ったお金って理事長はもらえないんですか?
持分なし医療法人ならもらえない。本条が会社法664条の「社員に分配する」を「残余財産の帰属すべき者又は国庫に帰属させる」と読み替えており、帰属先は定款で定めた国や他の医療法人などに限られる(医療法44条5項、56条)。実務のポイント:個人に移せるのは、解散前に適正額で支給する役員退職金くらいで、その設計は閉院の数年前から始まっている
Q2閉院したクリニックに医療ミスの賠償を請求したい。法人がなくなったら取れない?
解散しても、清算の目的の範囲内では清算が終わるまで法人は存続する(医療法56条の2)。係争中の債権があれば、その弁済分を留保しないと残余財産は動かせない(会社法664条ただし書の準用)。実務のポイント:医療機関は賠償責任保険に入っていることが多く、法人が解散しても保険の問題は別に残る。代理人を通じて保険の有無を早めに確認するのが定石だ
間違えやすい点 AI による整理
- 院長から見れば、医療法人は「自分のクリニックに法人格をかぶせたもの」にすぎない。法律から見れば、非営利を義務付けられた別人格である。剰余金の配当は禁止され(医療法54条)、解散時の社員への分配も本条の読替えで封じられている。この見え方の落差は、閉院の日に数千万円単位の差となって現れる
- 「清算は会社法の手順どおり進めればいい」という前提そのものが誤っている。本条が準用する会社法の規定は、条件付債権の弁済(662条)、分配の制限(664条)、非訟手続の一部など、ごく一部にすぎない。清算の骨格は医療法自身の55条以下に書かれている。会社法の解説書だけを頼りに進めると、拾う条文を間違える
- 財団医療法人に財産を寄附した人の多くは、寄附が贈与と同じルールで動くことを知っている。しかし、その後の影響の大きさまでは知らない。贈与の規定が準用されるため(一般法人法158条の準用)、書面による寄附は撤回できない(民法550条)。生前の寄附なら、財産は法人成立の時点で法人に帰属する(一般法人法164条の準用)。「やっぱり返してほしい」という道は、設立の瞬間に閉ざされている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 医療法68条:清算時の弁済・分配制限と非訟手続(準用) | 医療法54条:運営中の剰余金配当の禁止 医療法56条:残余財産の帰属と国庫帰属 |
| 財産の行き先 | 社員への分配を封じ、帰属すべき者又は国庫へ | 法人内部に留保(配当不可) 定款所定の帰属先、定めがなければ国庫 |
| 条文の形式 | 他法の準用と読替え | 医療法固有の禁止規定 医療法固有の帰属規定 |
| 帰属先の範囲 | 帰属先の選定は定めず、他条文に委ねる | 該当なし 44条5項の範囲(国・地方公共団体・他の医療法人等)と連動 |
他国ではどう定めているか 4 か国
公益を目的とする法人は、解散時に賸餘財產を自然人や営利団体に帰属させられない。非営利の担保という発想は日本の本条読替えと共通する
韓国の医療法人には民法の財団法人規定が準用され、残余財産は定款所定の者に帰属し、定めがなければ国庫に帰属する
税制上の公益団体には解散時の財産を公益目的に拘束する義務(Vermögensbindung)があり、出資者への返還が制限される
非営利免税団体は、解散時の資産を免税目的に供する旨を設立文書に定める必要がある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 開業30年、医療法人の利益剰余金が2億円、後継者はいない。このまま解散したら、この2億円は院長の老後資金になるのだろうか? 持分なし法人なら答えはノーだ。お金を個人に移す正当なルートは、解散前に役員退職金を適正額で支給するといった設計に限られる。ただし過大な退職金は法人税法上、損金として認められないリスクがある
- 清算人になった理事長のあなたのもとで、元患者との医療過誤訴訟が控訴審まで続いている。判決まであと数か月。債務額が決まらないまま残余財産を帰属先に移すことはできず、弁済に必要な財産を留保しなければならない(会社法664条ただし書の準用)。リース残債のように額が確定しない債務は、裁判所が選任した鑑定人の評価に従って弁済する(同662条の準用)
- 分院で起きたトラブルの訴状は、どこに出すのか。医療法人の住所は主たる事務所の所在地とされる(一般法人法4条の準用)。ただし分院の業務に関する訴えなら、分院の所在地でも起こせる(民事訴訟法5条5号)
取るべき行動
被害を受けた側:1. 閉院の通知や官報公告で医療法人の解散を知ったら、自分の債権(医療過誤の賠償、未払い報酬、前払金の返金)を清算人に書面で申し出る。2. 係争中の債権でも、弁済に必要な財産の留保を求められる(会社法664条ただし書の準用)。3. 非訟事件の管轄は、主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所になる(同868条1項の準用)。4. 医療法の清算規定が定める債権申出の期間を確認し、期限内に申し出る
訴えられた側:1. 解散を決める前に、定款の残余財産帰属条項を確認する。帰属先は国、地方公共団体、他の医療法人などから選ぶ(医療法44条5項)。2. 額が確定しない債務は、裁判所に鑑定人の選任を申し立てて評価を受ける(会社法662条の準用)。3. 係争債権の留保額は弁護士と試算する。4. 経過措置型の持分あり法人なら、定款の払戻し条項と分配条項をあわせて確認する
時効(請求できる期限):本条に固有の時効はない。一般消滅時効(民法166条、債権は知った時から5年または権利を行使できる時から10年)が適用される。鑑定人選任の裁判などには不服申立てが制限されるため(会社法874条の準用)、申立ての前が準備の唯一の機会となる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:医療法人は非営利性を本質とし、剰余金配当禁止(54条)と本条の読替えにより、運営中から清算時まで一貫して社員への利益分配が封じられていると解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 改正:第5次医療法改正(平成18年法律第84号)により、新たに設立する医療法人は持分なしが原則となり、残余財産の帰属先が国・地方公共団体・他の医療法人等に限定された。施行は平成19年4月。
- 医療法 第39条医療法人の設立根拠
- 医療法 第44条残余財産帰属者の選定制限
- 医療法 第54条剰余金配当の禁止
- 医療法 第55条医療法人の解散事由
- 医療法 第56条残余財産の帰属と国庫帰属
- 会社法 第664条準用元、弁済前の分配制限
- 会社法 第662条準用元、不確定債権の鑑定評価弁済
- 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第164条準用元、拠出財産の帰属時期
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