医療法 第81条
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- 社会医療法人の役員又は代表社会医療法人債権者若しくは決議執行者が、その職務に関し、不正の請託を受けて、財産上の利益を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金に処する。
- 2.前項の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第81条は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第81条の条文原文は「社会医療法人の役員又は代表社会医療法人債権者若しくは決議執行者が、その職務に関し、不正の請託を受けて、財産上の利益を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは…」で始まります。
- 医療法第81条は第九章に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第81条の前の条は医療法第80条です。
- 医療法第81条の次の条は医療法第82条です。
- 医療法第81条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第81条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第81条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/81
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法81条は、社会医療法人の役員等が不正の請託を受けて利益を収受・要求・約束すると5年以下の拘禁刑等に、供与した側も3年以下の拘禁刑等に処すると定める。
Q · 社会医療法人の理事に見返り付きでお金を渡したら、渡した側も罪になるの?
なる。医療法81条2項で3年以下の拘禁刑等
医療法81条1項は、社会医療法人の役員などが職務に関し不正の請託を受けて財産上の利益を収受・要求・約束した場合、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金と定めています。同条2項により、利益を供与した側、申し込んだ側、約束した側も3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。相手が公務員でなくても、請託と利益のやり取りがあれば成立し、不正な発注が実際に行われたかどうかは問われません。
解説
社会医療法人の理事に渡した「お礼」が、贈った側まで刑事罰の対象になる。医療法81条は、その線を引いた条文である。社会医療法人(救急・へき地・周産期などの公益的な医療を担うことを条件に、税制上の優遇を受ける医療法人)は、民間の法人でありながら公的な役割を担っている。ところがその理事や監事は公務員ではないため、刑法の収賄罪(刑法197条)はそのままでは適用されない。その空白を埋めるのが本条である。役員、社会医療法人債(社会医療法人が発行する債券)の債権者を代表する者、または債権者集会の決議を執行する者が、職務に関して「不正の請託」(不正な職務行為の依頼)を受け、財産上の利益を受け取るか、要求するか、約束しただけで、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金となる。渡す側も3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金である。押さえておくべき点は、実際に不正な発注が行われなくても、請託と利益のやり取りだけで犯罪が成立することだ。製薬、医療機器、建設、金融の営業担当者が「どこまでが接待か」を判断するときの本当の物差しは、社内規程ではなく、この条文である。
法的な位置づけ
医療法81条は、社会医療法人の役員、代表社会医療法人債権者および決議執行者について、職務に関し不正の請託を受けて財産上の利益を収受・要求・約束する行為を処罰し、あわせて利益の供与・申込み・約束をした者も処罰する規定である。公務員ではないため刑法の収賄罪が及ばない社会医療法人の関係者について、職務の公正を守る特別の贈収賄罪として機能する。
よくある質問 AI による整理
Q1社会医療法人とは何ですか?
救急・へき地・周産期などの公益性の高い医療を担うことを条件に、都道府県知事の認定を受けて税制上の優遇を得る医療法人です(医療法42条の2)。
Q2医療法81条の罰則はどれくらいですか?
受け取る側(役員等)は5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、渡す側は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。
Q3お金を渡す約束だけでも犯罪になりますか?
なります。本条は利益の収受・供与だけでなく、要求・申込み・約束の段階でも処罰対象としており、実際の授受がなくても成立しえます。
Q4理事本人ではなく家族の会社に払っても贈賄になりますか?
名目や支払先を変えても、実質的に役員への利益と評価されれば対象になりえます。家族の会社へのコンサル料は典型的な危険パターンです。
Q5社会医療法人債の関係者も処罰の対象ですか?
対象です。役員だけでなく、代表社会医療法人債権者や債権者集会の決議執行者も本条の主体として明記されています。
Q6医療法81条の時効はいつまでですか?
公訴時効は収賄側が5年、贈賄側が3年です(刑事訴訟法250条2項)。犯罪行為が終わった時から数えます。
Q7病院の理事への接待やお中元は違法ですか?
不正の請託が伴わない通常の儀礼であれば本条は成立しません。ただし具体的な依頼と結びつくと、贈答が見返りと評価される危険があります。
Q8取引先が社会医療法人かどうか調べる方法は?
社会医療法人は都道府県知事の認定を受けるため、各都道府県や厚生労働省が公表する社会医療法人の一覧で確認できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1普通の医療法人の理事にお金を渡しても、この条文で捕まるんですか?
本条の対象は「社会医療法人」の役員などに限られている。社会医療法人でない一般の医療法人の役員は対象外である。ただし、背任罪(刑法247条)や会社の内部規程違反など、別の問題は残る。実務のポイント:同じ病院グループでも、社会医療法人の認定を受けている法人とそうでない法人が混在していることがある。取引先がどちらなのかを知らないまま営業している担当者は少なくない
Q2「不正の請託」って、具体的にどこからがアウトなんですか?
職務に関し、不正な行為をすること、または正当な行為をしないことを頼むことを指す。入札情報の漏えい、特定業者の優遇、監査の手加減などが典型である。単なる「今後ともよろしく」は通常含まれない。実務のポイント:実務では、明示の依頼がなくても、会食の時期と発注の時期が不自然に重なっているなどの状況証拠から請託が認定されうる。やり取りの記録を「後から誰が見ても説明できる形」にしておくのが本当の防御である
Q3受け取ったお金を返せば、罪にならないですか?
収受した時点、あるいは要求や約束をした時点で犯罪は成立する。後で返しても成立は消えない。ただし、返還の事実は起訴するかどうかや量刑の判断で考慮されうる。実務のポイント:返還するなら、日付と理由を書面にして相手に渡し、控えを残す。口頭で「返した」と言うだけでは、捜査の場で何の証明にもならない
間違えやすい点 AI による整理
- 「民間の医療法人の理事に便宜を図ってもらっても、公務員ではないから贈収賄にはならない」と考える人は多い。刑法197条が適用されないのは事実である。しかし医療法が社会医療法人の役員を特別に処罰対象にしており、渡した側も2項で処罰される
- 「実際に発注が不正に曲げられなければセーフ」と考えがちだが、それは問いの立て方が間違っている。本条が処罰するのは、請託を受けて利益を収受・要求・約束する行為そのものである。見返りの不正な行為が実行されたかどうかは、成立の条件ではない
- 罰金500万円なら払えば終わりと見る経営者もいるが、ダメージは罰金にとどまらない。刑罰を受けた役員は医療法上の役員欠格や解任の問題に直面しうる。法人も、公的運営が求められる社会医療法人の認定を維持できるかが問われる。税制優遇を支える「信用」の土台が崩れる
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾には民間医療法人の役員の贈収賄を直接処罰する専用規定がなく、背信罪など一般規定で対応する。日本のように請託と利益のやり取りだけで成立する類型はない
韓国は他人の事務を処理する者が不正な請託を受けて財物・利益を得る行為を一般的に処罰する。日本のように法人の種類ごとに規定を置く方式とは異なる
中国は非国家工作人員の受贈賄を一般的に処罰し、医療機関の関係者も対象に含まれうる
ドイツは取引上の贈収賄に加え、2016年に保健医療分野の贈収賄を専用に処罰する規定を設けている
米国は公的医療保険の対象となる取引でのキックバックを連邦法で刑事罰の対象としており、医療分野に特化した規制という点で共通する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 病院の新棟建設の入札が近い。ゼネコンの営業部長が、社会医療法人の理事長の息子の留学費用を「個人的に」負担すると申し出た。そのうえで、入札の予定価格を教えてほしいと頼んだ。申し出と依頼がそろった時点で、81条2項の「申込み」に当たりうる。理事長が断っても、営業部長の側の犯罪は成立しうる
- 医療機器メーカーの担当者が、理事に「次の更新で当社製品に決めてくれたら、奥様の会社にコンサル料を月30万円出す」と持ちかけた。お金の行き先が家族の会社でも、理事本人への利益と評価される可能性がある。名目を変えても安全にはならない
- 社会医療法人債の権利を行使する場で、債権者を代表する者が法人側から「議決の方向」を頼まれ、見返りを受け取ったらどうなるか。病院の役員だけでなく、債券の世界の当事者も本条の対象である
- 内部通報窓口に、購買担当理事がリベートを受け取っているという匿名の通報が届いた。監事としてのあなたの手元にある時間は長くない。証拠となるメールや経費記録は、上書きされる前に保全しなければならない
- 中元に高級ワインを一本贈っただけで犯罪になるのか。不正の請託がなければ、本条は成立しない。ただし贈答の後に具体的な依頼が続けば、それまでの贈答全体が「見返り」の一部と評価される危険がある
取るべき行動
被害を受けた側:法人の監事・職員・競合入札業者として不正を疑ったとき:1. 業者選定の議事録、見積書、メール、経費精算の記録をすぐにコピーして保全する2. 法人の内部通報窓口か監事に書面で報告する。公益通報者保護法の保護を受けるためにも、通報日時の記録を残す3. 内部で動かないなら、所轄の都道府県(社会医療法人を認定した知事)への情報提供や、警察・検察への告発を検討する4. 競合業者として損害を受けたなら、民事で損害賠償を請求できるか弁護士に相談する
訴えられた側:1. 捜査機関から任意の事情聴取を求められたら、応じる前に刑事弁護に強い弁護士に相談する2. 利益のやり取りがあっても、「不正の請託」がなかったこと(通常の儀礼の範囲、依頼との対応関係がない)が最大の争点になる。当時の会話記録や社内承認の経緯を整理する3. 法人内の役員の立場なら、自ら職務を離れることや第三者委員会の設置を検討し、法人の認定への影響を抑える4. 贈賄側の企業は、社内調査と自主的な報告が処分の判断に影響しうる
時効(請求できる期限):公訴時効は、1項の収賄側(長期5年の拘禁刑)が5年、2項の贈賄側(長期3年の拘禁刑)が3年である(刑事訴訟法250条2項)。起算点は犯罪行為が終わった時であり、利益の収受・供与が複数回あれば最後の行為から数えられる場合がある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的な解釈:本条の「不正の請託」は、会社法967条など同じ構造をもつ贈収賄罪と同様に、職務上の不正な作為または不作為の依頼を意味すると解される。明示の依頼がなくても状況から黙示の請託が認定されうる
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)第五次医療法改正 社会医療法人制度と社会医療法人債の創設に伴い、役員や債権者代表者の贈収賄を処罰する規定が置かれたとみられる。当初の条番号と文言は人的検証が必要
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法改正に伴う関係法律の整理により「懲役」が「拘禁刑」に改められた
改正の年表
- 1.令和4年(2022年) 改正:刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号)により「懲役」が「拘禁刑」に改められ、令和7年(2025年)6月1日に施行された
- 医療法 第42条の2社会医療法人の認定要件、本条の対象法人
- 医療法 第54条の2社会医療法人債の発行、債権者側主体の前提
- 医療法 第64条の2社会医療法人の認定取消し(現行効力を要確認)
- 刑法 第197条公務員収賄罪、本条が補う領域の外側
- 会社法 第967条取締役等の贈収賄罪、同構造の規定
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