弁護士法 第30条の22(法定脱退)
クイックジャンプ
- 弁護士法人の社員は、次に掲げる理由によつて脱退する。
- 一定款に定める理由の発生
- 二総社員の同意
- 三死亡
- 四第七条各号(第二号を除く。)のいずれかに該当することとなつたとき。
- 五第十一条の規定による登録取消しの請求をしたとき。
- 六第五十七条第一項第二号から第四号までに規定する処分を受けたとき又は第十三条第一項の規定による登録取消しが確定したとき。
- 七第三十条の三十第一項において準用する会社法第八百五十九条の規定による除名
この条文の基本情報
法定脱退とは何ですか?
定義法定脱退とは、弁護士法第30条の22に定められた規定で、「弁護士法人の社員は、次に掲げる理由によつて脱退する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 弁護士法第30条の22(法定脱退)は、日本の弁護士法に含まれる条文です。
- 弁護士法第30条の22の条文原文は「弁護士法人の社員は、次に掲げる理由によつて脱退する。」で始まります。
- 弁護士法第30条の22は第四章の二 弁護士法人に置かれています。
- 弁護士法の公布日は昭和24年6月10日です。
- 弁護士法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 弁護士法第30条の22の前の条は弁護士法第30条の21です。
- 弁護士法第30条の22の次の条は弁護士法第30条の23です。
- 弁護士法第30条の22には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第30条の22 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205 - 本サイト収録
弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第30条の22(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/324AC1000000205/30_22
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点弁護士法30条の22は弁護士法人の社員が脱退する七つの原因を定める。死亡や懲戒は当然脱退だが、除名のみ会社法859条準用で裁判所の判決を要する。
Q · 法律事務所のパートナー弁護士って、多数決で追い出せるの?
除名だけは多数決では不可、裁判所の判決が要る
弁護士法30条の22は、弁護士法人の社員が脱退する七つの原因を定めます。死亡、第7条の欠格事由(破産手続開始決定など)、第57条1項の業務停止・退会命令・除名、登録取消しの確定などは、本人の意思に関わらず法律上当然に脱退となります。ただし七号の「除名」だけは特別で、第30条の30が準用する会社法859条に基づき、裁判所に除名の訴えを起こして判決を得なければ成立しません。残りの社員が過半数で追い出すことはできない仕組みです。
解説
弁護士法人の社員、つまり法律事務所のパートナー弁護士は、自分が辞めると言わなくても、ある日突然その地位を失うことがある。死亡、破産その他の欠格事由、懲戒処分、登録取消し。これらが起きた瞬間、本人の意思とは無関係に法律上当然に脱退となる。これが法定脱退だ。あなたが弁護士で、共同経営の事務所に名を連ね出資しているなら、本条はあなたの資格と持分が一夜で消える七つの条件を列挙している。逆にあなたが依頼者の立場なら、担当弁護士がこの七つのどれかに該当した瞬間、あなたの事件を扱う主体が動きうることを意味する。さらに七番目の「除名」だけは特別な扱いだ。残りの社員が多数決で追い出せるわけではない。会社法八五九条を準用し、裁判所の判決を経なければ除名は成立しない。仲間内の力関係だけでは、パートナーを切り離せない仕組みになっている。
法的な位置づけ
弁護士法30条の22は弁護士法人の社員の法定脱退を定める規定であり、定款所定の事由、総社員の同意、死亡、欠格事由該当、登録取消請求、懲戒処分・登録取消しの確定、除名という七つの脱退原因を列挙する。除名は会社法859条を準用し、裁判所の判決を要件とする点で他の自動脱退と区別される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.脱退原因が七号のどれに当たるか特定する 社員の地位変動が生じたら、まず弁護士法30条の22の七つの原因のどれに該当するかを確定する。死亡・欠格事由・懲戒確定・登録取消しは当然脱退、除名は裁判所の判決が必要と、効力発生の仕組みが正反対になる
- 2.持分払戻しと負債分担を脱退発効前に書面化する 自動脱退(懲戒確定・破産・登録取消し確定)が迫る場合、会社法611条準用の持分払戻しと負債分担の条件を脱退発効前に書面で固める。効力発生後は脱退者側の交渉力が一気に低下する
- 3.除名したい場合は客観的証拠を時系列で蓄積する 問題社員を除名したい場合は多数決では不可。背任や信頼関係の破壊といった除名事由について、対立が表面化する前から客観的証拠を時系列で蓄積する。証拠の厚みが裁判の勝敗を分ける
- 4.除名の訴えを提起し裁判所の判決を得る 第30条の30が準用する会社法859条に基づき、除名の訴えを管轄裁判所に提起する。裁判所が除名事由の重大性を審査し、判決が確定して初めて除名による脱退が成立する
よくある質問 AI による整理
Q1弁護士法人の法定脱退とは何ですか?
社員の意思と無関係に、死亡・欠格事由・懲戒処分・登録取消しの確定などが生じた瞬間、法律上当然に社員の地位を失うことです。弁護士法30条の22が七つの原因を列挙しています。
Q2弁護士が破産したら事務所を脱退になりますか?
なります。破産手続開始決定は第7条の欠格事由に該当し、弁護士法30条の22第4号により法人から即時に法定脱退します。本人の意思は関係ありません。
Q3社員の脱退で持分はどうなりますか?
脱退した社員は会社法611条準用により持分の払戻しを受けられます。多額の払戻しは事務所の資金繰りに影響するため、発効前の精算合意が重要です。
Q4除名の訴えに出訴期間はありますか?
法定の出訴期間はありませんが、事由発生から長期間放置すると除名の必要性が否定されうるため、早期の対応が望ましいとされます。
Q5総社員の同意があれば脱退できますか?
できます。弁護士法30条の22第2号が脱退原因として「総社員の同意」を挙げており、円満な合意脱退の根拠になります。
Q6懲戒処分を受けると必ず脱退になりますか?
なりません。脱退原因となるのは第57条1項2号〜4号の業務停止・退会命令・除名に限られ、最も軽い戒告は脱退原因に含まれません。
Q7除名された社員は争えますか?
争えます。除名は裁判所の判決で成立するため、除名事由が会社法859条の要件を満たすか訴訟手続の中で正面から争うことができます。
Q8登録取消しの請求をすると脱退になりますか?
なります。第11条による登録取消しの請求は弁護士法30条の22第5号の脱退原因に該当し、自主的に社員の地位を離れる経路になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1担当の弁護士が事務所を辞めたら、私の事件はどうなるんですか?
委任契約を弁護士法人と結んでいる場合、担当弁護士が脱退しても契約相手は法人のまま残り、法人が別の社員を割り当てます。一方、個人の弁護士と契約していたなら、その弁護士の脱退や登録取消しで委任関係が揺らぎます。実務のポイント:多くの依頼者は「○○先生」個人に頼んだつもりでいますが、実際の契約当事者が法人か個人かで、担当弁護士が消えたときの結論は真逆です。最初に契約書の当事者欄を確認すること
Q2問題のあるパートナーを追い出すのに、本当に裁判が必要なんですか?
除名による脱退(本条7号)は、第30条の30が準用する会社法859条に基づき、裁判所に除名の訴えを起こして判決を得なければ成立しません。社員総会の多数決だけでは追い出せません。実務のポイント:これは少数派の社員が多数派に一方的に切り捨てられるのを防ぐ仕組みです。だからこそ、除名を狙う側は感情論ではなく『信頼関係の破壊』を裏づける客観的証拠を地道に積む必要がある。証拠が薄いまま提訴すると、かえって自分の立場が悪くなる
Q3懲戒で『戒告』を受けただけでも、事務所から脱退になりますか?
なりません。本条6号が脱退原因とするのは第57条1項2号から4号、つまり業務停止・退会命令・除名という重い処分に限られます。最も軽い戒告(1号)は脱退原因に含まれません。実務のポイント:懲戒には軽重の段階があり、どの処分かで法人内の地位への影響が劇的に変わる。報道で『懲戒処分』とひとくくりに語られても、戒告か業務停止以上かで意味は全く別物だと知っておくと、状況を正確に読める
間違えやすい点 AI による整理
- 「事務所のパートナーは、他の社員の過半数が反対すれば追い出せる」と思われがちだが、除名だけは多数決では成立しない。会社法859条を準用した裁判所の判決が要る。社内政治では決着がつかない領域がここにある
- 「破産しても弁護士の仕事は続けられる」と軽く考える人がいるが、破産手続開始決定は第7条の欠格事由に直結し、弁護士法人からの法定脱退を即座に引き起こす。資格の根幹を揺るがす事態だという深刻さが見落とされている
- あなたから見れば「弁護士が事務所を移籍しただけ」でも、法律から見れば、脱退の原因が懲戒処分なのか自主的な登録取消し請求なのかで、過去に扱った事件への責任の残り方が全く違う。この落差が、後の依頼者トラブルの火種になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 脱退の根拠と効力発生 | 30条の22第7号:除名(会社法859条準用、裁判所の判決で成立) | 30条の22第4号 → 第7条:欠格事由該当(破産等で当然脱退) 30条の22第6号 → 第57条:懲戒処分の確定(当然脱退) |
| 本人の意思の要否 | 不要(裁判所が事由の重大性を判断) | 不要(事由発生と同時に当然脱退) 不要(処分確定と同時に当然脱退) |
| 対象となる事由の例 | 背任、信頼関係の破壊等の重大な義務違反 | 破産手続開始決定その他の欠格事由(2号を除く) 業務停止・退会命令・除名(57条1項2〜4号、戒告は除く) |
| 争う手段 | 除名の訴えの中で事由を争える | 欠格事由・破産手続の取消し等を争う 懲戒処分自体に対する不服申立て・取消訴訟 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は2019年改正律師法で法人律師事務所を導入。合夥(パートナーシップ)の退夥・除名は民法の合夥規定が基礎となり、除名にも正当事由が要求される点で日本と発想が近い
韓国の法務法人も商法の合名会社の社員退社規定を準用する構造で、欠格事由による当然退社と除名手続を区別する点が日本と類似
ドイツのパートナーシャフト(Partnerschaftsgesellschaft)では、社員の除名(Ausschließung)は重大事由がある場合に訴えによって行われ、裁判所の関与を要する点が日本の除名の訴えと共通する
米国では法律事務所の多くが LLP 形態をとり、社員の dissociation(離脱)は州のパートナーシップ法とパートナーシップ契約で規律される。裁判所による expulsion は judicial determination を要する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが離婚事件を任せていた弁護士から、ある日「事務所を脱退した」と通知が届いたら、進行中のあなたの事件と預けた着手金は誰が引き継ぐのか。委任契約の相手が個人なのか弁護士法人なのかで、答えは正反対になる
- あなたが出資した法律事務所で、共同経営者の一人が依頼者の預り金に手をつけて懲戒処分(業務停止・退会命令・除名)を受けた。彼は第57条1項を経由して自動的に脱退する。だが事務所が負った賠償責任と信用毀損は、残ったあなたにのしかかる
- 破産手続開始決定を受けた弁護士は、第7条の欠格事由に該当し即時脱退。持分清算の交渉まで数日しかない
- 内部対立で問題社員を排除したい。だが多数決では脱退させられないと知ったあなたは、除名の訴え(会社法859条準用)の提起準備に入る。証拠が薄ければ、裁判所は除名を認めない
取るべき行動
被害を受けた側:1. あなたが社員で除名の訴えを起こされたら、まず除名事由が会社法859条の要件(重大な義務違反、信頼関係の破壊等)を満たすか精査する。事由が曖昧なら正面から争える2. 自動脱退(懲戒確定・破産・登録取消し)が迫る場合、脱退時の持分払戻し(会社法611条準用)と負債分担を脱退発効前に書面で確定させる3. 担当中の依頼者の事件は、引き継ぎ先と着手金の精算を急ぎ整理し、依頼者への通知を果たす
訴えられた側:1. 問題社員を排除したくても多数決では不可。除名の訴え(会社法859条準用)を提起し、裁判所に除名事由の重大性を立証する必要がある2. 提起前に、背任や信頼関係破壊の客観的証拠を時系列で固める3. 自動脱退事由(懲戒処分の確定・破産)が見込まれるなら、訴訟コストをかけず脱退の自動発動を待つ選択肢もある4. 脱退後の持分払戻しが事務所の資金繰りに与える影響を事前に試算する
時効(請求できる期限):除名の訴え自体に法定の出訴期間はないが、事由発生から長期間放置すると除名の必要性が否定されうる。自動脱退(死亡・懲戒処分の確定・破産その他の欠格事由・登録取消しの確定)は各事由の発生と同時に効力が生じ、起算点はその発生時。脱退に伴う持分払戻請求権は一般債権として消滅時効(民法166条、5年または10年)にかかる
改正沿革 AI による整理
- 平成13年(2001年)改正 弁護士法人制度の創設に伴い新設された条文。弁護士が法人形態で共同事業を営む枠組みを導入し、その社員の法定脱退原因を列挙した(施行は平成14年)
- 平成17年(2005年)会社法整備 会社法の制定に伴い、準用先の根拠を旧商法から会社法へと整理。除名の訴え等の準用構造が現行の条文番号体系に置き換えられた(その後の改正状況は最新版をご確認ください)
改正の年表
- 1.平成13年(2001年) 新設:弁護士法人制度の創設に伴い新設。弁護士が法人形態で共同事業を営む枠組みを導入し、その社員の法定脱退原因を七号にわたり列挙した(施行は平成14年)
- 2.平成17年(2005年) 改正:会社法の制定に伴い、準用先の根拠を旧商法から会社法へ整理。除名の訴え(859条)・持分払戻し(611条)等の準用構造が現行の条文番号体系に置き換えられた
- 弁護士法 第7条弁護士の欠格事由、脱退原因の参照先
- 弁護士法 第11条登録取消し請求による脱退の根拠
- 弁護士法 第13条登録取消し確定による脱退の根拠
- 弁護士法 第57条懲戒処分の種類、脱退を生む処分の特定
- 弁護士法 第3030条会社法準用の根拠、除名の訴えを導入
- 会社法 第859条社員の除名の訴え、除名脱退の手続(準用)
- 会社法 第611条退社に伴う持分の払戻し(準用)
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