民事調停法 第20条(付調停)
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- 受訴裁判所は、適当であると認めるときは、職権で、事件を調停に付した上、管轄裁判所に処理させ又は自ら処理することができる。ただし、事件について争点及び証拠の整理が完了した後において、当事者の合意がない場合には、この限りでない。
- 2.前項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し又は第十七条の決定が確定したときは、訴えの取下げがあったものとみなす。
- 3.第一項の規定により受訴裁判所が自ら調停により事件を処理する場合には、調停主任は、第七条第一項の規定にかかわらず、受訴裁判所がその裁判官の中から指定する。
- 4.前三項の規定は、非訟事件を調停に付する場合について準用する。
この条文の基本情報
付調停とは何ですか?
定義付調停とは、民事調停法第20条に定められた規定で、「受訴裁判所は、適当であると認めるときは、職権で、事件を調停に付した上、管轄裁判所に処理させ又は自ら処理することができる。ただし、事件について争点及び証拠の整理が…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事調停法第20条(付調停)は、日本の民事調停法に含まれる条文です。
- 民事調停法第20条の条文原文は「受訴裁判所は、適当であると認めるときは、職権で、事件を調停に付した上、管轄裁判所に処理させ又は自ら処理することができる。ただし、事件について争点及び証拠の整理が…」で始まります。
- 民事調停法第20条は第一節 通則に置かれています。
- 民事調停法の公布日は昭和26年6月9日です。
- 民事調停法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事調停法第20条の前の条は民事調停法第19条の2です。
- 民事調停法第20条の次の条は民事調停法第20条の2です。
- 民事調停法第20条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)第20条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000222 - 本サイト収録
民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)第20条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC1000000222/20
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事調停法20条は、受訴裁判所が職権で訴訟事件を調停に付せると定める。ただし争点及び証拠の整理完了後は当事者の合意が必要で、調停成立等により訴えは取下げとみなされる。
Q · 裁判の途中で裁判官に「調停に回します」と言われたら、断れるの?
争点整理の完了前は原則拒めず、完了後は合意が必要
民事調停法20条1項により、受訴裁判所は適当と認めれば当事者の申立てがなくても職権で事件を調停に付すことができます。ただし争点及び証拠の整理が完了した後は、当事者の合意がない限り付調停はできません。付調停後に調停が成立するか17条の調停に代わる決定が確定すれば訴えは取り下げられたものとみなされ、不成立なら訴訟に戻ります。
解説
訴状を出せば判決までまっすぐ進む。そう信じている原告ほど、第三回期日あたりで裁判官から「この件、調停に付すことを考えています」と切り出されて面食らう。民事調停法20条によれば、訴訟を担当する裁判所(受訴裁判所)は、適当と認めれば当事者の申立てがなくても職権で(裁判所自身の判断で)事件を調停に回せる。回す先は管轄の裁判所でもよいし、自分の部で処理してもよい。自分で処理する場合、調停の進行役である調停主任は、受訴裁判所が自らの裁判官の中から指定する。歯止めは一つだけある。争点と証拠の整理が終わった後は、当事者が合意しない限り調停には回せない。判決目前の当事者から、判決を受ける機会を奪わないための線である。調停が成立するか、17条の「調停に代わる決定」が確定すれば、訴えは取り下げられたものとみなされ、訴訟はそこで終わる。合意できなければ訴訟に戻る。付調停は判決をあきらめることではなく、別のルートを試すことである。この構造を知っていれば、打診を必要以上に恐れることも、言われるまま漫然と受けることもなくなる。
法的な位置づけ
民事調停法20条は付調停を定める規定であり、訴訟が係属する受訴裁判所が、適当と認める場合に職権で事件を調停に付し、管轄裁判所に処理させ又は自ら処理できる旨を規定する。争点及び証拠の整理完了後は当事者の合意を要件とし、調停成立又は17条決定の確定により訴えの取下げが擬制される。非訟事件にも準用される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.争点整理の進行段階を確認する 付調停の打診を受けたら、期日調書や弁論準備手続の記録で争点及び証拠の整理が完了しているかを確認する。完了後であれば、当事者の合意がない限り付調停はできない(20条1項ただし書)
- 2.付調停に対する意見を具体的に述べる 調停を避けたい場合は、過去の交渉経緯など調停に向かない具体的理由を示す。専門的な争点がある事件では、逆に自ら付調停を上申し、専門家調停委員の関与を求めることも検討する
- 3.調停での譲歩案を組み立てる 受訴裁判所が自ら処理する場合、調停主任は同じ部の裁判官となり得る。不成立後に判決を書く裁判官が聞く可能性を前提に、提示する譲歩案と認める事実を選ぶ
- 4.調停成立時は調書の条項を精査する 調停成立で訴えは取下げとみなされ、調停調書は裁判上の和解と同一の効力を持つ(16条)。支払方法、期限の利益喪失、清算条項を細部まで確認する
- 5.17条決定の異議期限を管理する 調停に代わる決定が出たら、告知を受けた日から2週間以内に異議を出すかを判断する(18条1項)。期間を過ぎると決定は確定し、訴えの取下げが擬制される
よくある質問 AI による整理
Q1付調停とは何ですか?
訴訟が係属している裁判所が、その事件を調停手続に移すことです。民事調停法20条が根拠で、当事者の申立てがなくても職権で行えます。
Q2付調停になると訴訟はいったん止まりますか?
調停の進行中は訴訟手続を中止できる扱いがあり、実務上は調停の結果を待つことが多いです。不成立になれば訴訟手続が再開されます。
Q3付調停の調停委員はどんな人が選ばれますか?
事件類型に応じて弁護士や建築士、不動産鑑定士などの専門家が選ばれることがあります。専門的争点の整理に役立つのが付調停の利点です。
Q4付調停で調停が不成立になったらどうなる?
調停不成立で17条決定も出ない、又は異議で失効した場合、事件は元の訴訟手続に戻り、判決に向けて審理が続きます。
Q5控訴審でも付調停されることはありますか?
20条は受訴裁判所と規定しており、控訴審の裁判所も受訴裁判所に当たり得ます。ただし整理完了後は当事者の合意が必要です。
Q6付調停に追加の費用はかかりますか?
訴訟から付調停された場合、改めて調停申立手数料を納める必要は通常ありません。個別の費用負担は裁判所に確認するのが確実です。
Q7付調停の調停主任は誰がなりますか?
受訴裁判所が自ら処理する場合、調停主任は7条1項にかかわらず、受訴裁判所がその裁判官の中から指定します(20条3項)。
Q8非訟事件も調停に付されますか?
付されます。20条4項により、1項から3項の規定は非訟事件を調停に付する場合にも準用されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1裁判所に「調停に回す」って言われたんですけど、断れないんですか?
争点と証拠の整理が終わる前なら、受訴裁判所は職権で付調停できるので、手続そのものを拒む権利は原則としてない(民事調停法20条1項)。整理が終わった後は当事者の合意が必要になる。また、調停は合意の場なので、内容に応じない自由は残る。実務のポイント:実務では裁判官が付調停の前に意見を聞くことが多い。その場で「調停に向かない具体的理由」、たとえば過去の交渉で相手が一切譲歩しなかった経緯などを示すと、打診が見送られることもある
Q2調停で話がまとまったら、裁判はどうなるの? 判決みたいに差押えできますか?
調停が成立すると訴えの取下げがあったものとみなされ、訴訟は終わる(20条2項)。調停調書の記載は裁判上の和解と同じ効力を持つので(16条)、相手が払わなければ調書をもとに強制執行できる。実務のポイント:取下げとみなされるため、納めた訴え提起手数料の一部が還付される余地がある(民事訴訟費用等に関する法律9条。要件と期限は最新の規定を確認すること)。還付は申立てが必要なのに、成立に安心して手続を忘れる当事者は少なくない
間違えやすい点 AI による整理
- 「調停に回されたのは、裁判官に負け筋と見られたからではないか」と悩む人がいるが、その問いの立て方自体がずれている。付調停は勝ち負けの心証を示すものではない。建築の欠陥や賃料の増減額のように、専門知識や柔軟な落としどころが役に立つ事件類型で、実務上よく選ばれる手続である
- 調停は合意しなければ成立しない、という点は多くの人が知っている。知られていないのは17条決定の重さである。合意に至らなくても裁判所が調停に代わる決定を出し、告知から2週間以内に異議が出なければ、裁判上の和解と同じ効力をもって確定する。放っておけば確定してしまう
- あなたから見れば、調停の席は判決とは無関係な話し合いの場である。しかし受訴裁判所が自ら処理する場合、調停主任はその部の裁判官から指定される。調停で口にした譲歩案や認めた事情を、不成立になった後に判決を書く側の裁判官がすでに聞いている可能性がある。この落差に気付かずに本音を出しすぎると、後で響く
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の性質 | 民事調停法20条:受訴裁判所による職権付調停(裁量) | 民事調停法24条の2:地代借賃増減請求の調停前置(原則として付調停) 民事調停法17条:調停に代わる決定 |
| 当事者の同意 | 争点及び証拠の整理完了前は不要、完了後は合意が必要 | 調停を経ずに訴えた場合、原則として調停に付される 決定自体に同意は不要だが、2週間以内の異議で失効 |
| 訴訟への影響 | 調停成立又は17条決定確定で訴えの取下げを擬制 | 付調停後は20条2項と同様の処理となる 確定すれば裁判上の和解と同一の効力 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では第一審係属中、両当事者の合意を得て事件を調解に移付できる。日本の職権付調停より当事者の合意を重視する設計
韓国では受訴裁判所が必要と認めれば決定で事件を調停に回付できる。職権型である点で日本に近い
ドイツでは裁判所が当事者を和解交渉のため Güterichter(和解裁判官)に回付できる。判決をする裁判官とは別の裁判官が担当する
米国連邦地裁は ADR プログラムの整備を義務付けられ、裁判所附属の調停(court-annexed mediation)が広く運用されている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- リフォーム代金を払わない施主を訴えたら、第二回期日で裁判官が「建築士の調停委員に見てもらいましょう」と言い出した。どうなる? 争点整理が終わる前なら、あなたの同意がなくても事件は調停に付されうる。あなたが拒めるのは、調停で合意するかどうかだけである
- あなたは被告側。調停は不成立だったが、裁判所が17条の調停に代わる決定を出し、支払額を示してきた。告知から2週間以内に異議を出さなければ決定は確定する。訴訟は取下げとみなされ、決定どおりの支払義務だけが残る。今すぐカレンダーに期限を書き込む場面である
- 争点整理が終わり、尋問期日まで決まってから付調停を打診された。この段階なら「合意しません」の一言で止められる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 原告として打診を受けたら、期日調書などで争点整理が完了しているかを確認する。完了後であれば、合意しない限り付調停はできない(20条1項ただし書) 2. 専門的な争点がある事件では、むしろ自分から付調停を上申し、専門家調停委員の見解を得る道を検討する3. 調停で示す譲歩案は、不成立後に同じ部の裁判官が判決を書く可能性を前提に組み立てる4. 17条決定が出たら、告知日から2週間の異議期限を管理する
訴えられた側:1. 被告として付調停に応じても合意する義務はない。のめない条件ははっきり断る2. 調停が成立すると訴えの取下げとみなされ、調停調書は裁判上の和解と同じ効力を持つ(16条)。清算条項と支払方法は細部まで詰める3. 17条決定が不当なら2週間以内に異議を出す。異議を出せば決定は効力を失い、訴訟に戻る4. 調停が長引く間も遅延損害金は膨らみ続ける。その金額も試算に入れる
時効(請求できる期限):付調停そのものに期限はない。ただし、当事者の合意なしに付調停できるのは争点及び証拠の整理が完了するまでである(20条1項ただし書)。調停に代わる決定(17条)への異議は、当事者が決定の告知を受けた日から2週間以内(18条1項)。期間を過ぎれば決定は確定し、訴えの取下げがあったものとみなされる(20条2項)
学説
一般的理解:付調停は裁判所の裁量に委ねられるが、争点及び証拠の整理完了後は当事者の合意を要件とすることで、判決を受ける機会、すなわち裁判を受ける権利(憲法32条)との調整が図られていると理解されている
- 民事調停法 第17条調停に代わる決定、取下げ擬制の要件
- 民事調停法 第18条17条決定への異議と2週間の期間
- 民事調停法 第16条調停成立は裁判上の和解と同一効力
- 民事調停法 第7条調停主任の指定原則、3項で例外
- 民事調停法 第24条の2地代借賃増減請求の調停前置と必要的付調停
- 家事事件手続法 第274条家事事件における付調停の対応規定
- 民事訴訟法 第89条訴訟内の和解の試み、合意解決の別経路
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