要点宅地建物取引業法 31 条は、宅地建物取引業者に取引関係者への信義誠実義務を課す規定。罰則はないが、違反は指示処分や業務停止など監督処分の根拠となる。
Q · 不動産屋の対応が明らかに不誠実。でもどの条文にも当てはまらないときは?
罰則はないが、免許権者が処分を出す根拠になる
宅地建物取引業法 31 条 1 項は、宅地建物取引業者に取引関係者への信義誠実義務を課しています。重要事項説明(35 条)の列挙項目にも、故意の事実不告知(47 条)にも該当しない不誠実な行為を最後に受け止める一般条項です。31 条自体に罰則はありませんが、免許権者は本条違反を根拠に指示処分(65 条 1 項)、業務停止(65 条 2 項)、免許取消(66 条)を出せます。義務主体は担当者個人ではなく宅地建物取引業者です。
たった二行、具体的な禁止行為は一つも書かれていない。だから宅地建物取引業法を読む人の大半は31条を素通りする。ところが行政の現場では、この条文が最も広い射程を持つ。重要事項説明(35条)の列挙項目にも、故意の事実不告知(47条)にも当てはまらない、けれど明らかに不誠実な振る舞いがある。強引な囲い込み、都合の悪い情報を聞かれるまで黙っている態度、両手仲介での一方への偏り。これらを最後に受け止めるのが31条1項の信義誠実義務であり、免許権者はこれを根拠に指示処分(65条1項)を出せる。つまりあなたが本当に向き合うべき相手は、目の前の営業担当ではなく、その業者に免許を与えた都道府県知事または国土交通大臣だ。2項は毛色が違い、自己の裁量で売買を決められる立場(取引一任代理等)の業者に、投機の抑制への配慮を求めている。
宅地建物取引業法 31 条は業務処理の原則を定める規定であり、1 項で宅地建物取引業者に取引関係者に対する信義誠実義務を課し、2 項で取引一任代理等における投機的取引の抑制への配慮を求める。個別列挙規定(35 条・47 条)で捕捉できない不誠実な行為を受け止める一般条項として機能し、監督処分の根拠規定となる。
宅地建物取引業法 31 条が定める、宅地建物取引業者の基本義務です。取引の関係者に対し信義を旨とし誠実に業務を行うことを求め、個別の禁止規定で捕捉できない不誠実を受け止める一般条項として働きます。
指定流通機構への登録を怠る、他社からの問合せに「商談中」と偽るなどの囲い込みは、31 条 1 項の誠実義務違反として監督指導の対象になってきました。媒介契約の登録義務違反も同時に問題になります。
両手仲介そのものは禁止されていません。ただし双方から報酬を受ける以上、一方に偏った対応は 31 条 1 項の誠実義務違反として評価される余地があります。報酬額の上限規制も別途かかります。
35 条の列挙項目でなくても、取引の判断を左右する事実を意図的に伏せていれば 31 条 1 項の誠実義務違反となり得ます。故意の不告知が明白なら 47 条 1 号の適用も検討されます。
決まっていません。更新料は契約の合意で発生するもので、法定の制度ではありません。「法律で決まっている」との説明は誠実義務の線上にあり、免許権者への申出の材料になり得ます。
宅地建物取引業者が、依頼者から売買等の判断を一任されて自己の裁量で取引を行う類型です。50 条の 2 第 1 項が規定し、これを行う業者は 31 条 2 項により投機的取引の抑制へ配慮する義務を負います。
31 条の義務主体は宅地建物取引業者(会社)です。宅地建物取引士個人の業務処理の原則は 15 条が別に定めています。担当者個人の逸脱でも、法律上は会社の義務違反として構成されます。
宅地建物取引業者が従業者に対し、業務を適正に実施させるための必要な教育を行う努力義務です。31 条の誠実義務を組織的に担保する規定で、研修実施記録は監督対応の立証材料にもなります。
31条は行政法規なので、その違反だけを理由に裁判所へ請求を立てる構成にはなりません。民事は民法709条や消費者契約法4条(不実告知による取消)で組み、行政は免許権者への申出で組む、この二本立てが実務です。業界裏話ヒント:行政への申出は無料で、業者は監督課からの照会を極端に嫌がる。民事交渉と並行させると、相手が和解のテーブルに着く速度が変わる
事務所が一つの都道府県内だけなら知事、二つ以上の都道府県にまたがるなら国土交通大臣です(3条1項)。免許番号の頭に「東京都知事」「国土交通大臣」と書いてあります。業界裏話ヒント:免許番号の括弧内の数字は更新回数で、5年ごとに1つ増える。(1)なら業歴5年未満。名刺と重要事項説明書でこの数字を確認する客は、ほぼいない
まず指示処分(65条1項)、従わなければ業務停止(65条2項)、情状が特に重ければ免許取消(66条)です。罰金刑ではないので軽く見えますが、業務停止は営業そのものが止まります。業界裏話ヒント:行政処分歴は国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで誰でも調べられる。契約前に業者名を入れる作業は5分で終わる(名称・運用状況は最新をご確認ください)
国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(2021年)が枠組みを示しており、賃貸は概ね3年、売買は期間を区切らず告げるのが基本線です。31条と47条の誠実義務を具体化したものです。業界裏話ヒント:老衰や病死などの自然死は原則告知不要とされている。告知がなかったこと自体を争う前に、ガイドラインのどの区分かを先に確認する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律の方式 | 31 条:抽象的な信義誠実義務(一般条項・受け皿) | — |
| 適用場面 | 35 条・47 条のいずれにも当てはまらない不誠実な行為 | — |
| 制裁 | 罰則なし。指示処分(65 条 1 項)→業務停止→免許取消 | — |
| 民事効との関係 | 行政法規であり、違反が直ちに民事請求権を生むわけではない | — |
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