要点厚生年金保険法104条は両罰規定を定め、従業者が業務に関して102条から103条の違反をしたとき、行為者に加えて法人または事業主にも各本条の罰金刑を科す。人格のない社団等も対象に含まれる。
Q · 従業員が社会保険の届出をごまかしたら、会社まで罰金を取られるんですか?
はい、会社にも罰金が科されます。無過失の立証で免れる余地はあります。
厚生年金保険法104条は両罰規定です。法人の代表者や代理人、使用人その他の従業者が、その法人または人の業務・財産に関して102条から103条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人または人に対しても各本条の罰金刑が科されます。判例は事業主の選任監督上の過失を推定する構成をとっているため、指示していないという主張だけでは免責されず、監督を尽くしていた記録を示して無過失を立証する必要があります。代表者または管理人の定めがある任意団体(人格のない社団等)も対象に含まれます。
厚生年金の保険料を会社が納めていない、届出をごまかした。その責任を負うのは誰か。総務担当者や社長個人が罰せられて終わり、と考えていないだろうか。104条はそこに一本の線を引く。従業員や代理人が業務に関して102条から103条の違反をしたとき、行為者本人を罰するのはもちろん、その法人または事業主本人にも罰金刑を科す。これが両罰規定である。あなたが総務担当者なら、自分の判断ミスが会社そのものを前科ある法人にしうる。あなたが経営者なら、自分は何も指示していなくても罰金を科されうる。判例上、事業主の責任は「従業者の選任監督について過失がなかったことを立証しない限り免れない」という過失推定として理解されている。何もしていないことが、そのまま無罪の理由にはならない構造だ。さらに2項は、法人格のない社団や財団、つまり任意団体や町内会のような組織まで射程に入れる。
厚生年金保険法104条は両罰規定を定める。法人の代表者、または法人もしくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その業務または財産に関して同法102条から103条までの違反行為をした場合に、行為者の処罰に加えて、その法人または事業主本人に対しても各本条の罰金刑を科す規定である。代表者または管理人の定めがある法人でない社団・財団も法人に含まれる。
違反行為をした本人(行為者)に加えて、その者を使用する法人や事業主にも罰金刑を科す仕組みです。厚生年金保険法では104条がこれにあたり、組織を通じた違法を抑止する目的で置かれています。
104条自体は金額を定めていません。法人や事業主に科されるのは「各本条の罰金刑」、つまり102条・103条など違反した条文が定める罰金です。金額は該当条文の法定刑を個別に確認する必要があります。
従業者の選任監督について過失がなかったことを立証する必要があります。採用時の適性確認、業務マニュアル、定期研修、届出内容のダブルチェック履歴など、実際に運用していた記録が決め手になります。
法人登記をしていないが、代表者または管理人の定めがある社団・財団のことです。町内会や任意団体が典型で、104条1項の括弧書きにより法人と同じく両罰規定の対象になります。
104条は「代理人」を明示しており、委託先の行為が事業主の業務に関するものであれば、行為者と並んで事業主にも罰金が及びうる構造です。外部委託は責任の外部化にはなりません。
104条に固有の期間はなく、各本条の法定刑に従います。罰金刑にあたる罪は3年です(刑事訴訟法250条2項)。起算点は違反行為の終了時で、届出義務違反のような継続型は終了時点の認定が争点になります。
両罰規定による処罰は法人自身の犯歴として残ります。建設業・介護事業・労働者派遣事業など許認可のある業種では、欠格事由や更新審査、入札参加資格への影響が罰金額より重くなることがあります。
あります。社会保険分野には同型の両罰規定が置かれており、健康保険法220条が対応します。厚生年金と健康保険は届出が連動するため、一つの違反が双方の罰則に触れる場面があります。
感覚としては理解できるが、両罰規定は事業主が従業者を使って利益を得ている以上、その選任監督の責任も負うという考え方に立つ。判例は事業主の過失を推定する構成をとっており、無過失を立証できれば免責の余地はある。業界裏話ヒント:この「立証」は裁判で初めてやるものではない。年金事務所や検察の段階で監督体制の資料を出せた会社は、そもそも被疑者として立件されずに終わることが多い。動く順番が結果を分ける
なる。104条1項は括弧書きで、代表者または管理人の定めがある法人でない社団または財団(人格のない社団等)を法人に含めている。さらに2項で、刑事訴訟における代表方法や法人被告人に関する規定を準用する仕組みまで用意されている。業界裏話ヒント:任意団体は「うちは会社じゃないから労働社会保険は関係ない」と考えがちだが、常時5人以上を雇う一定の業種は強制適用になりうる。人を雇った瞬間から適用の可否を確認するのが正しい順序
主張はできるが、それだけでは通らない。104条は「その法人又は人の業務又は財産に関して」違反があったことを要件とし、業務関連性が認められれば法人にも罰金刑が及ぶ。反論の中身は、監督に過失がなかったという具体的な立証になる。業界裏話ヒント:ここで効くのは立派な規程集ではなく、実際に運用していた痕跡。年に一度の届出内容ダブルチェックの記録が残っている会社と、規程だけ立派で運用記録ゼロの会社では、扱いがはっきり違う
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 104条:行為者に加えて法人または事業主本人も処罰(両罰規定) | — |
| 成立の前提 | 従業者等の違反が「その法人又は人の業務又は財産に関して」なされたこと | — |
| 科される制裁 | 各本条の罰金刑が法人・事業主に対して科される | — |
| 反論・免責の方向 | 選任監督に過失がなかったことの立証(判例上の過失推定を覆す) | — |
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