厚生年金保険法 第28条(記録)
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実施機関は、被保険者に関する原簿を備え、これに被保険者の氏名、資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額をいう。以下同じ。)、基礎年金番号(国民年金法第十四条に規定する基礎年金番号をいう。)その他主務省令で定める事項を記録しなければならない。
この条文の基本情報
記録とは何ですか?
定義記録とは、厚生年金保険法第28条に定められた規定で、「実施機関は、被保険者に関する原簿を備え、これに被保険者の氏名、資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第28条(記録)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第28条の条文原文は「実施機関は、被保険者に関する原簿を備え、これに被保険者の氏名、資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額をいう。」で始まります。
- 厚生年金保険法第28条は第四節に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第28条の前の条は厚生年金保険法第27条です。
- 厚生年金保険法第28条の次の条は厚生年金保険法第28条の2です。
- 厚生年金保険法第28条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第28条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第28条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/28
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法28条は、実施機関に被保険者原簿の備付けと、氏名・資格取得喪失日・標準報酬・基礎年金番号の記録を義務づける。原簿に記載のない期間は、原則として給付算定の基礎にならない。
Q · 自分が厚生年金に入っていた記録って、どこに残っているんですか?
実施機関が備える被保険者原簿に記録されます
厚生年金保険法28条により、実施機関(厚生労働大臣=日本年金機構、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合等、日本私立学校振興・共済事業団)が被保険者原簿を備え、氏名、資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬月額・標準賞与額、基礎年金番号などを記録します。将来の年金額も、障害厚生年金が出るかどうかも、この原簿の記載を基礎に判断されます。記載に誤りや漏れがあると考える場合は、同法28条の2の訂正請求で争えます。
解説
あなたの厚生年金を最終的に決めるのは、給与明細でも会社の台帳でもなく、実施機関(日本年金機構や各共済組合)が持つ一冊の原簿である。厚生年金保険法28条が命じているのはそれだけだ。氏名、資格を取得した年月日、喪失した年月日、標準報酬月額、標準賞与額、基礎年金番号。この記録があるかどうかが、40年後に受け取る金額を、そして事故や病気のときに障害厚生年金が出るかどうかを決める。会社が届出を忘れても、あなたの記憶の中には確かに勤務した事実がある。だが原簿に載っていなければ、年金の世界ではその期間は存在しなかったことになる。2007年に発覚した5,000万件を超える持ち主不明記録は、この一条が実務でどれほど脆いかの証明だった。だから2015年から、記録が違うと思ったら自分で訂正を請求できる仕組み(28条の2)が法定された。原簿はあなたの所有物ではないが、中身を見て、直させる権利はある。
法的な位置づけ
厚生年金保険法28条は、実施機関(厚生労働大臣、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合等、日本私立学校振興・共済事業団)に被保険者原簿の備付義務を課す規定である。記録事項は氏名、資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬月額及び標準賞与額、基礎年金番号その他主務省令で定める事項であり、原簿の記載が保険給付算定の基礎となる。
手順
- 1.全期間の加入記録を出力して職歴と突き合わせる ねんきんネットまたはねんきん定期便で全期間の加入記録を出力し、自分の職歴(入社日・退職日・勤務先名)と一行ずつ照合する。抜けている期間、事業所名が違う期間、標準報酬が実感と大きくずれる期間に印を付ける
- 2.間接証拠を集めて保全する 抜けている期間について、給与明細(厚生年金保険料の控除欄が最重要)、源泉徴収票、雇用保険被保険者証、健康保険証の写し、社員名簿、通勤定期の記録、同僚の連絡先などを集める。会社が存続しているうちに賃金台帳の写しを依頼する
- 3.訂正請求を文書で提出する 年金事務所(共済組合員なら所属の共済組合)へ、厚生年金保険法28条の2に基づく訂正請求を文書で提出する。窓口で口頭で難しいと言われても正式な決定ではないため、文書で出せば地方年金記録訂正審議会の審議にかかる
- 4.不服なら審査請求へ進む 訂正しない旨の決定に納得できない場合、社会保険審査官への審査請求を行う。決定通知書に記載された期間内に手続する必要があるため、通知書が届いた時点で日付を確認し、追加の証拠収集と並行して準備する
よくある質問 AI による整理
Q1被保険者原簿とは何ですか?
実施機関が備える厚生年金加入者の公的記録簿です。厚生年金保険法28条に基づき、氏名、資格の取得・喪失年月日、標準報酬、基礎年金番号などが記録され、給付計算の基礎になります。
Q2実施機関とは誰のことですか?
厚生労働大臣(実務は日本年金機構)、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合等、日本私立学校振興・共済事業団を指します。2015年の被用者年金一元化により整理された呼称です。
Q3厚生年金の記録はどこで確認できますか?
毎年届くねんきん定期便、またはねんきんネットで全期間の加入記録を確認できます。共済組合の期間は各共済組合でも照会できます。職歴と一行ずつ突き合わせるのが確認の基本です。
Q4原簿に載っていない期間は年金に反映されますか?
原則として反映されません。実際に勤務し保険料が天引きされていても、記録がなければ被保険者期間として扱われません。訂正請求で記録を復元する必要があります。
Q5年金記録の訂正請求に期限はありますか?
訂正請求(厚生年金保険法28条の2)自体に期限はありません。受給開始後でも、本人死亡後に遺族が請求することもできます。期限があるのは保険料徴収権(2年)と各支払期の受給権(5年)です。
Q6基礎年金番号とは何ですか?
国民年金法14条に規定される、公的年金制度共通の個人識別番号です。厚生年金保険法28条により被保険者原簿の記録事項とされ、転職や制度間移動をまたいで記録を名寄せする鍵になります。
Q7標準報酬月額はどうやって決まりますか?
資格取得時の決定、毎年の定時決定、報酬が大きく変わったときの随時改定によって決まり、実際の年収そのものではありません。決定された額が原簿に記録され、年金額の計算に使われます。
Q8会社が資格取得届を遅れて出したらどうなりますか?
遅れた日付がそのまま原簿の資格取得年月日になり得ます。初診日が資格取得前と扱われれば障害厚生年金が出ないなど、従業員側に不可逆の不利益が生じます。事業主は速やかに訂正届を出すべきです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ねんきん定期便の記録がどうも違う気がするんですが、どこに言えばいいんですか?
年金事務所(共済組合員なら各共済組合)に訂正請求を出す(厚生年金保険法28条の2)。地方年金記録訂正審議会の審議を経て、厚生労働大臣が訂正するかどうかを決定する。実務のポイント:証拠がないと無理だと思われがちだが、同僚の証言、社員名簿、健康保険証の写し、通勤定期の記録といった間接証拠の積み上げで認められた例は多い。窓口で口頭で断られても正式決定ではないので、文書で出せば必ず審議にかかる
Q2会社が厚生年金に入れてくれていなかった期間、もう手遅れですか?
保険料を徴収する権利は2年で時効なので(厚生年金保険法92条)、原則としてそれより前へは遡れない。ただし給与から保険料が天引きされていた場合は、厚生年金特例法により事業主が納付していなくても被保険者期間として記録される道がある。実務のポイント:分かれ目は天引きされていたかどうかの一点。給与明細の厚生年金保険料の控除欄が最強の証拠になる。1枚残っているかどうかで結論が変わる
Q3亡くなった父の年金記録も、今から直せるものですか?
遺族からも訂正請求できる。訂正が認められれば、本人が生前受け取れなかった分を未支給の保険給付(厚生年金保険法37条)として遺族が受け取れる場合がある。実務のポイント:未支給の保険給付は相続財産ではなく、法定された範囲の遺族が生計同一要件のもとで持つ固有の権利。だから相続放棄をしていても請求できる。この違いを知らずに最初から諦める遺族が非常に多い
間違えやすい点 AI による整理
- 給与から厚生年金保険料が天引きされていれば記録も残っている、そこまでは多くの人が知っている。知られていないのは深刻度のほうだ。天引きされていても事業主が届出も納付もしていなければ、原簿には何も残らない。しかも保険料の徴収権は2年で時効にかかる(厚生年金保険法92条)。救済として厚生年金特例法があるが、発動には天引きの事実を示す資料が要る。給与明細を捨てた人と取ってある人で、老後の受給額が変わる
- 「年金記録の間違いはいつまでに直せばいいのか」という問いの立て方自体がずれている。訂正請求(28条の2)に期限はなく、受給が始まった後でも、本人が亡くなった後に遺族が請求してもよい。本当に効いてくる期限は別のところにあり、保険料の徴収権が2年で消えること、各支払期の年金を受け取る権利が5年で時効になること、この二つだ。急ぐべき対象を間違えると、直せたはずのものだけ直せなくなる
- あなたから見れば「その会社に勤めていた」は動かしようのない事実だが、実施機関から見れば原簿の記載こそが事実そのものである。この落差を埋める作業は、原則としてあなたの側の負担になる。役所が過去を調べ直してくれるのではなく、あなたが過去を証明しに行く構造になっている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 誰の義務・権利か | 28条:実施機関の原簿備付け・記録義務 | 27条:事業主の届出義務(記録の情報源) 28条の2:被保険者等の訂正請求権 |
| 動くタイミング | 常時(届出を受けて随時記録) | 資格取得・喪失・報酬変動が生じた都度 記録に誤りや漏れがあると気付いたとき |
| 違反・不備の効果 | 記載を欠く期間は給付算定の基礎にならない | 届出漏れにより従業員の記録が生成されない 訂正が認められれば記録が遡って復元される |
| 期限の有無 | 期限の観念なし(継続的義務) | 届出は事由発生後速やかに(保険料徴収権は92条で2年) 請求自体に期限なし(受給開始後・本人死亡後も可) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も投保單位(事業主)の申報を記録の起点とし、勞工保險局が被保險人資料を管理する。月投保薪資が給付計算の基礎となる点は日本の標準報酬と同型で、申報漏れ時の救済が争点になる構造も共通する
韓国も公団が加入者ごとの資格と基準所得月額を記録し、事業主の申告に依存する。記録漏れ時の遡及加入と保険料徴収時効の扱いが実務上の焦点となる点は日本と類似する
ドイツは Deutsche Rentenversicherung が保険者ごとに Versicherungskonto を管理し、Kontenklärung(記録の明確化)手続で被保険者自身が記録を確認・補正できる。制度化の時期は日本より早く、記録確認を促す運用が定着している
米国は SSA が Social Security Number ごとに earnings record を保持し、原則として一定期間経過後は記録が確定的(conclusive)となる時効的制度を持つ。訂正請求に期限を設けない日本とは正反対の設計思想
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし勤めていた会社が倒産して、その2年分が原簿に載っていなかったら? 賃金台帳は散逸し、社長とも連絡がつかない。手元に残るのは給与明細のコピーだけ。厚生年金特例法により、保険料が天引きされていた事実を示せれば被保険者期間として認められる余地がある。その給与明細を捨てるかどうかを、あなたは今日の書類整理で決めている
- あなたが数名の会社を経営していて、入社した従業員の資格取得届を3か月遅れで出した。その遅れがそのまま原簿の資格取得年月日になる。もしその3か月の間に従業員が事故に遭い、初診日が資格取得前になっていたら、障害厚生年金は一円も出ない。届出の日付は、あなたの事務処理速度ではなく、他人の一生分の給付を左右する
- ねんきん定期便が届いた。20代の頃の1年半が抜けている。それは記憶違いではなく、原簿に載っていないという意味だ
- 離婚の話し合いで年金分割が出てきた。分割の対象は原簿に記録された標準報酬であって、実際の年収でも役職手当でもない。相手が賞与を厚く取っていた年の標準賞与額が正しく記録されているか、按分割合に合意する前に年金分割のための情報通知書で確認する
- 親から「昔の会社の年金が入っていない気がする」と相談された。訂正請求に期限はないので、80代でも請求できる。しかも訂正による増額分は年金時効特例法により5年より前の分も支払われる。あなたが3分でこれを説明できるかどうかで、親が生涯に受け取る額が変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. ねんきんネットまたはねんきん定期便で全期間の記録を出力し、自分の職歴と一行ずつ突き合わせる2. 抜けている期間について給与明細、源泉徴収票、雇用保険被保険者証、社員名簿、同僚の連絡先など間接証拠を集める3. 年金事務所または所属の共済組合へ訂正請求(厚生年金保険法28条の2)を文書で提出する。窓口で口頭で無理だと言われても、それは正式な決定ではない4. 不支給や訂正しない旨の決定に不服なら、社会保険審査官への審査請求へ進む
訴えられた側:1. 資格取得届・喪失届・報酬月額算定基礎届の提出状況を全従業員分で棚卸しする2. 遅延や漏れがあれば指摘を待たず自主的に訂正届を出す。遡って届け出れば保険料の追納は生じるが、従業員の記録は復元される3. 保険料の徴収権は2年で時効だが、天引きしながら納付していない分は厚生年金特例法の対象となり、事業主としての責任は時効では消えない4. 従業員から確認請求(同法31条)が出た場合、賃金台帳と出勤簿の提出を求められる前提で書類を保全する
時効(請求できる期限):訂正請求(厚生年金保険法28条の2)自体に期限はなく、受給開始後でも、本人死亡後に遺族が請求してもよい。一方、保険料を徴収する権利は2年(同法92条)で時効にかかり、原則としてそれより前に遡って加入することはできない。各支払期の年金を受け取る権利は5年で時効。ただし記録訂正による増額分は年金時効特例法により5年より前の分も支払われる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条の原簿は、被保険者期間と標準報酬という給付算定の二大要素を公的に確定する基礎資料であり、その記載には事実上の推定力が働く。もっとも記載は事業主の届出に依存するため、記載の欠落が直ちに被保険者資格の不存在を意味するものではなく、28条の2以下の訂正手続および特例法による救済で補完される構造と理解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成24年(2012年)被用者年金一元化法、平成27年(2015年)10月1日施行 共済年金を厚生年金へ統合したことに伴い、原簿の備付け・記録義務の主体が厚生労働大臣から「実施機関」(厚生労働大臣、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合等、日本私立学校振興・共済事業団)へ改められ、委任先も厚生労働省令から主務省令となった
- 平成26年(2014年)改正、平成27年(2015年)3月1日施行 本条自体ではなく直後に28条の2から28条の4が新設され、被保険者等による記録の訂正請求手続が法律上の制度として整備された。それ以前は年金記録確認第三者委員会という行政組織の運用で処理されていた
改正の年表
- 1.昭和29年(1954年) 新設:厚生年金保険法の全部改正(昭和29年法律第115号)により現行法が成立し、被保険者原簿の備付け・記録義務が制度の基礎規定として置かれた
- 2.平成24年(2012年) 改正:被用者年金一元化法により、平成27年(2015年)10月1日から原簿の備付け・記録義務の主体が厚生労働大臣から「実施機関」へ改められ、委任先も厚生労働省令から主務省令となった
- 3.平成26年(2014年) 改正:平成27年(2015年)3月1日施行で28条の2から28条の4が新設され、被保険者等による記録の訂正請求が法律上の制度として整備された。それ以前は年金記録確認第三者委員会という行政組織の運用で処理されていた
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