厚生年金保険法 第28条の2(訂正の請求)
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- 第一号厚生年金被保険者であり、又はあつた者は、前条の原簿(以下「厚生年金保険原簿」という。)に記録された自己に係る特定厚生年金保険原簿記録(第一号厚生年金被保険者の資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬その他厚生労働省令で定める事項の内容をいう。以下この項において同じ。)が事実でない、又は厚生年金保険原簿に自己に係る特定厚生年金保険原簿記録が記録されていないと思料するときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができる。
- 2.前項の規定は、第一号厚生年金被保険者であり、又はあつた者が死亡した場合において、次の表の上欄に掲げる者について準用する。この場合において、同項中「自己」とあるのは、同表の上欄に掲げる者の区分に応じ、同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
- 3.第一項の規定は、第七十八条の六第三項又は第七十八条の十四第四項の規定により被保険者期間であつたものとみなされた期間(第一号厚生年金被保険者期間に係るものに限る。)を有する者(第一号厚生年金被保険者であり、又はあつた者を除く。)について準用する。
この条文の基本情報
訂正の請求とは何ですか?
定義訂正の請求とは、厚生年金保険法第28条の2に定められた規定で、「第一号厚生年金被保険者であり、又はあつた者は、前条の原簿(以下「厚生年金保険原簿」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第28条の2(訂正の請求)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第28条の2の条文原文は「第一号厚生年金被保険者であり、又はあつた者は、前条の原簿(以下「厚生年金保険原簿」という。」で始まります。
- 厚生年金保険法第28条の2は第四節に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第28条の2の前の条は厚生年金保険法第28条です。
- 厚生年金保険法第28条の2の次の条は厚生年金保険法第28条の3です。
- 厚生年金保険法第28条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第28条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第28条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/28_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法28条の2は、原簿の記録が事実でない、又は記録がないと思料するとき、厚生労働大臣に訂正を請求できると定める。請求期限はなく、対象は第一号被保険者期間に限る。
Q · 年金記録に抜けがあるみたいなんですが、証拠がなくても訂正してもらえますか?
証拠がなくても請求できる。請求に期限もない
厚生年金保険法28条の2は、原簿の記録が事実でない、又は記録されていないと「思料するとき」に厚生労働大臣へ訂正を請求できると定めます。証拠の添付は請求の要件ではなく、事業所への照会や関連記録の調査は行政側が行い、地方年金記録訂正審議会が周辺事情を総合して判断します。請求そのものに時効はなく、数十年前の記録でも受け付けられます。ただし対象は第一号厚生年金被保険者(民間企業の会社員)だった期間に限られ、公務員や私学教職員の期間は各実施機関が窓口です。
解説
ねんきん定期便の加入履歴に、若い頃に働いた会社の名前が載っていない。そのとき打てる手が、法律に一本だけ用意されている。厚生年金保険法28条の2は、原簿に記録された自分の資格取得日・喪失日・標準報酬が事実と違う、あるいは記録そのものが抜けていると「思料するとき」、厚生労働大臣に訂正を請求できると定める。注目すべきは「思料するとき」という言葉だ。完璧な証拠を握っている必要はなく、疑いを持った時点で請求権が立ち上がる。しかも請求そのものに期限はない。40年前の記録でも受け付けられる。2項では本人が死亡した場合に遺族が、3項では離婚時の年金分割で期間を得た元配偶者が、それぞれ同じ請求をできる。ただし使えるのは第一号厚生年金被保険者、つまり民間企業の会社員だった期間だけ。公務員や私学教職員の期間は、各共済の実施機関が窓口になる。
法的な位置づけ
厚生年金保険法28条の2は、厚生年金保険原簿の訂正請求権を定める規定である。第一号厚生年金被保険者であり、又はあった者は、原簿上の資格の取得・喪失の年月日や標準報酬の記録が事実でない、又は記録がないと思料するとき、厚生労働大臣に訂正を請求できる。2項は遺族に、3項は年金分割で期間を得た者に準用される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.全期間の加入記録を出力して空白を洗い出す ねんきんネットまたは年金事務所で全期間の加入記録を取得し、勤務していたのに記録がない期間、標準報酬が当時の給与より不自然に低い期間を線を引いて特定する。見込額の欄より先に加入履歴を見る
- 2.勤務と保険料控除を裏づける資料を集める 給与明細(厚生年金保険料の控除額が印字されていれば標準報酬を逆算できる)、源泉徴収票、雇用契約書、社員証、給与振込のある預金通帳、当時の同僚の連絡先を集める。会社が存続していれば賃金台帳の照会も可能
- 3.ハローワークで雇用保険の加入履歴を取り寄せる 雇用保険の被保険者記録はハローワーク、健康保険の記録は健保組合と、厚生年金とは別系統で残っていることが多い。雇用保険には記録があるのに厚生年金だけ抜けている状態を示せると認定が動きやすい
- 4.年金事務所に厚生年金保険原簿の訂正請求書を提出する 訂正請求書に、訂正を求める期間・事業所名・訂正内容と、そう思料する理由を具体的に書く。証拠は要件ではないので、資料が足りなくても提出する。事業所への照会や関連記録の調査は行政側が行う
- 5.審議会の審議と決定を待ち、改定通知と入金まで追う 地方年金記録訂正審議会の審議を経て厚生労働大臣の決定が出る。訂正決定と年金額の改定は別処理で動くため、決定通知が届いた時点で終わりにせず、改定通知と遡及分の着金まで確認する
- 6.訂正不要決定なら不服申立てを検討する 訂正不要決定が出た場合、行政不服審査法に基づく審査請求、さらに取消訴訟という道が残る。新しい資料が見つかった場合は、その資料を添えて改めて請求することも検討する
よくある質問 AI による整理
Q1年金記録の訂正請求とは何ですか?
厚生年金保険原簿に記録された自分の資格取得日・喪失日・標準報酬が事実と違う、または記録がないときに、厚生労働大臣へ訂正を求める手続です。根拠は厚生年金保険法28条の2です。
Q2年金記録の訂正請求はどこに出しますか?
最寄りの年金事務所(日本年金機構)に訂正請求書を提出します。請求は厚生労働大臣宛てで、地方厚生局に置かれた地方年金記録訂正審議会の審議を経て決定が出されます。
Q3年金記録の訂正請求に期限はありますか?
請求自体に時効はなく、数十年前の記録でも受け付けられます。実質的な期限は資料の寿命で、事業主の書類保存義務期間を過ぎると立証が難しくなります。早く動くほど有利です。
Q4ねんきん定期便に空白期間があったらどうする?
まずねんきんネットや年金事務所で全期間の加入記録を出力し、空白期間と標準報酬の不自然な下落を特定します。そのうえで給与明細・通帳・雇用契約書などを集めて訂正請求します。
Q5訂正請求に必要な書類は何ですか?
訂正請求書のほか、給与明細、源泉徴収票、雇用契約書、社員証、給与振込のある預金通帳、同僚の証言など、勤務と保険料控除を裏づける資料です。添付は要件ではなく補強材料です。
Q6訂正が認められなかった場合はどうなりますか?
訂正不要決定が出た場合、行政不服審査法に基づく審査請求ができ、さらに決定の取消訴訟という道も残ります。新資料が見つかれば改めて請求することも考えられます。
Q7亡くなった親の年金記録も訂正できますか?
できます。28条の2第2項が、本人が死亡した場合に一定の遺族へ訂正請求権を準用しています。遺族厚生年金や未支給年金の額は故人の記録から計算されるため実益があります。
Q8離婚の年金分割をした期間の記録も訂正できますか?
できます。28条の2第3項が、合意分割・3号分割により被保険者期間とみなされた期間(第一号厚生年金被保険者期間に係るもの)を有する者に準用しています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社がもう潰れていて給与明細も残ってないんですが、それでも請求できますか?
できる。28条の2は「思料するとき」で足り、証拠の添付は請求の要件ではない。厚生労働大臣側が事業所の残存記録や関連記録を照会し、地方年金記録訂正審議会が周辺事情を総合して判断する。実務のポイント:雇用保険の被保険者記録はハローワーク、健康保険の記録は健保組合と、別系統で残っていることが多い。厚生年金だけ抜けている状態を示せると認定が一気に動く
Q2訂正が認められたら、昔の分の年金もさかのぼって払ってもらえるんですか?
支払われる。通常、年金を受ける権利は5年で時効消滅する(厚生年金保険法92条)が、記録訂正に基づく増額分は時効特例法により5年より前の期間分も対象になる。実務のポイント:この特例を知らず「どうせ5年分しか戻らない」と請求自体をやめる人が多い。数十年分がまとまれば一時金は数百万円規模になりうる
Q3公務員だった期間の記録がおかしいときも、同じ窓口でいいんですか?
違う。28条の2が使えるのは第一号厚生年金被保険者、つまり民間企業の会社員だった期間に限られる。国家公務員、地方公務員、私学教職員の期間は、それぞれの実施機関が記録を管理し訂正手続も別に用意されている。実務のポイント:民間と公務員をまたいで転職した人は、期間ごとに窓口が割れる。一つの窓口で「うちの記録に誤りはない」と言われても、他期間の記録は一切検証されていない
Q4給料から厚生年金が引かれてたのに、会社が納めてなかった場合はどうなりますか?
記録訂正とは別に、厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律(平成19年法律第131号)がある。給与から控除されていた事実が確認されれば、事業主が納付していなくても被保険者期間として年金額に反映されうる。実務のポイント:控除額が印字された給与明細一枚が決定的資料になる。会社が倒産していても、あなたに保険料の追納が求められることはない
間違えやすい点 AI による整理
- 年金記録の抜けが社会問題になったことは知識として知っている。だが、持ち主が特定できないまま残る未統合記録の解明作業が今も終わっていないこと、そして自分の記録がその中にある可能性を、自分ごととして点検した人はごく少ない(未解明件数の最新の公表状況をご確認ください)
- 「証拠がないから請求しても無駄ではないか」という問いの立て方自体がずれている。条文は「思料するとき」に請求できると書いており、証拠の提出は請求の要件ではない。事業所への照会や関連記録の調査は行政側が行い、判断は審議会が総合的に下す。証拠不足は請求を止める理由ではなく、補強の努力をする理由にすぎない
- 訂正が認められれば即座に振込額が増えると受け取られがちだが、記録の訂正決定と年金額の改定は別の処理として動く。訂正決定の通知が届いてから、実際の増額と遡及分の支払いが着金するまでには数か月のタイムラグが生じるのが通常。決定書が届いた時点で終わりだと思わず、改定通知と入金まで追いかける必要がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 何を動かす手続か | 28条の2:原簿の記録内容そのものの訂正を請求する | 31条:資格の得喪について厚生労働大臣の確認を請求する 28条:厚生労働大臣が原簿を備え記録する義務(訂正の対象となる帳簿) |
| 誰が請求できるか | 本人、死亡時の一定の遺族(2項)、年金分割で期間を得た者(3項) | 被保険者または被保険者であった者 請求権の規定ではなく行政の記録義務 |
| 判断のしかた | 地方年金記録訂正審議会の意見を経て厚生労働大臣が決定(28条の3以下) | 厚生労働大臣の確認処分 — |
| 期限と時効 | 請求自体に時効なし。訂正による増額分は時効特例法で5年より前も支払対象 | 確認請求自体に期限の定めはないが、給付権は92条で5年時効 — |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾は労保局への投保資料更正申請という行政手続に加え、投保単位(事業主)が未申報・過少申報した場合の労働者に対する損害賠償責任を条文で明示する。日本が記録訂正という行政救済に軸足を置くのに対し、台湾は事業主の民事責任を正面から書き込む構造
韓国も国民年金公団に対する加入資格の確認請求を通じて加入履歴を是正する仕組みを持つ。第三者委員会型の審議機関を法定する日本の28条の3以下ほど、訂正専用の審議手続が明確に分離されてはいない(詳細は要検証)
使用者および個人が自己の納付・受給記録を無料で照会し核対することを認める。照会・核対の権利は明記されるが、日本のような第三者審議会を経る訂正請求という独立した手続構成にはなっていない
ドイツは Kontenklärung(加入口座の明確化)として、年金保険者が加入記録を確認し確定的な処分を出す仕組みを持つ。定期的に記録を確定していく予防型で、日本のように事後の訂正請求に依存する度合いが低い
フランスは relevé de carrière(キャリア記録)の情報提供義務を法定し、被保険者が記載内容の是正を求める運用が組まれている。情報提供義務を起点に是正を促す設計
米国は収入記録の訂正について原則的な期間制限(time limitation)を置きつつ、事務的誤りや詐欺等の例外を列挙する。請求自体に時効を置かない日本とは、期間制限の設計思想が逆方向
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 50歳を過ぎて初めてねんきん定期便を真面目に開いたら、22歳から24歳まで働いた会社の2年分が丸ごと空白だった。その会社はもう存在しない。それでも請求はできる。給与明細も源泉徴収票も残っていないなら、当時の給与振込が載った預金通帳、雇用契約書、社員名簿、同僚の証言が資料になる。地方厚生局に置かれた地方年金記録訂正審議会は、直接証拠がなくても周辺事情を総合して判断する仕組みになっている
- もし、勤務期間は正しいのに標準報酬月額だけが当時の給与よりはるかに低く記録されていたら、どうなる? 事業主が負担を減らすために実際より低い額で届け出ていた、あるいは遡って引き下げていた事案は現実に存在する。給与明細に厚生年金保険料の控除額が印字されていれば、その控除額から本来の標準報酬は逆算できる。空白より、この「低すぎる数字」の方が見落とされやすい
- あなたが小さな会社の経営者で、10年前に辞めた従業員の記録訂正について年金事務所から照会状が届いた。当時の賃金台帳が残っていなければ、審議会はあなたの回答と周辺資料で判断する。記憶だけで断定的に答えると、後の是正で保険料の追徴があなたに跳ね返る
- 父が亡くなり、遺族厚生年金の裁定請求書を書いている最中に、父の加入記録に3年分の空白を見つけた。書類提出まであと2週間。先に裁定請求を出すか、訂正請求を先行させるか。遺族年金の額は父の記録から計算されるため、この判断が毎月の振込額に一生効き続ける。2項は、まさにこの場面のために遺族に請求権を渡している
取るべき行動
被害を受けた側:1. ねんきんネットか年金事務所で全期間の加入記録を出力し、空白期間と標準報酬の不自然な下落を洗い出す2. 給与明細、源泉徴収票、雇用契約書、社員証、給与振込のある通帳、同僚の連絡先を集める3. ハローワークで雇用保険の加入履歴を取り寄せる。厚生年金だけが欠けている場合の有力な間接資料になる4. 年金事務所に厚生年金保険原簿の訂正請求書を提出し、審議会の審議を経た決定を待つ5. 訂正不要決定が出たら、行政不服審査法に基づく審査請求、さらに取消訴訟という道が残る
訴えられた側:1. 元従業員の記録について照会状が届いたら、賃金台帳・出勤簿・雇用契約書・源泉徴収簿を先に確認する。記憶だけで答えない2. 資料が残っていない期間は「確認できない」と正確に回答する。事実と異なる断定は後で覆り、信用も失う3. 届出漏れや標準報酬の過少届出が判明した場合、遡及して保険料の追徴が生じうるため、社会保険労務士に試算させてから回答方針を決める4. 従業員の給与から控除しながら納付していなかった事案は、特例法で従業員側が救済される一方、事業主の未納責任は別途残る
時効(請求できる期限):訂正請求そのものに時効はなく、何十年前の記録でも請求できる。実質的な期限は資料の寿命であり、事業主の被保険者関係書類の保存義務は2年程度、賃金台帳も労働基準法109条の保存期間を過ぎれば処分される(令和2年改正で5年、当分の間3年)。なお年金給付を受ける権利は支給事由発生日から5年で時効消滅する(厚生年金保険法92条)が、記録訂正に基づく増額分は時効特例法により5年より前の分も支払われる
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)政府管掌年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律 新設。それまで総務省の年金記録確認第三者委員会が事実上担っていた記録訂正の判断を、厚生労働大臣への訂正請求権として法律上に明記した(施行日および後続の被用者年金一元化に伴う文言整備は要検証)
改正の年表
- 1.平成26年(2014年) 新設:政府管掌年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律により新設。それまで総務省の年金記録確認第三者委員会が事実上担っていた記録訂正の判断を、厚生労働大臣に対する訂正請求権として法律上に明記した(施行日および被用者年金一元化に伴う文言整備は要検証)
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