実施機関は、厚生年金保険制度に対する国民の理解を増進させ、及びその信頼を向上させるため、主務省令で定めるところにより、被保険者に対し、当該被保険者の保険料納付の実績及び将来の給付に関する必要な情報を分かりやすい形で通知するものとする。
要点厚生年金保険法31条の2は、実施機関が被保険者へ保険料納付の実績と将来の給付見込みを分かりやすい形で通知する義務を定める。通知は処分ではなく、記録の正確性は保証しない。
Q · 誕生月に届くねんきん定期便って、法律で送ることが決まっているんですか?
通知は届くが、記録の正しさまでは保証されない
厚生年金保険法31条の2により、実施機関(厚生労働大臣=日本年金機構、各共済組合、日本私立学校振興・共済事業団)は、被保険者に対し保険料納付の実績と将来の給付に関する必要な情報を分かりやすい形で通知する義務を負います。これがねんきん定期便の法的根拠です。ただし本条が定めるのは通知義務までで、記録内容の正確性を保証するものではありません。誤りを見つけた場合は第31条の確認の請求、または第28条の2の訂正請求という別の手続に自分から乗せる必要があります。
毎年の誕生月、日本年金機構から薄いハガキが届く。ねんきん定期便である。多くの人は封も開けずに引き出しへ放り込む。だがそのハガキの法的根拠がこの条文だ。実施機関(厚生労働大臣=日本年金機構、および公務員共済・私学共済)は、あなたの保険料納付実績と将来の給付見込みを「分かりやすい形で」通知しなければならない。ここで押さえるべきは、この通知が確認の機会を与えるものであって、記録の正しさを保証するものではないという点だ。加入月数が実際より短く印字されていても、実施機関が自動で直してくれるわけではない。誤りを見つけて申し立てるのはあなたの側の仕事である。しかも気付くのが退職直前だと、給与明細も会社の賃金台帳も、証拠がすべて消えた後になる。この条文が守っているのは、あなたが「まだ証拠が残っているうちに気付く」機会そのものだ。
厚生年金保険法第31条の2は、実施機関が被保険者に対して年金個人情報を提供する義務を定める規定である。通知の対象は保険料納付の実績及び将来の給付に関する必要な情報であり、通知の方法は主務省令に委ねられる。通知自体は行政処分ではなく、記録の是正は第31条の確認の請求又は第28条の2の訂正請求による。
厚生年金保険法31条の2に基づき実施機関が被保険者へ送る年金個人情報の通知です。これまでの加入期間、保険料納付額、年金見込額などが記載され、毎年の誕生月に届きます。
毎年の誕生月に届きます。節目年齢(35歳・45歳・59歳)は詳しい封書形式、それ以外の年はハガキ形式で送付されるのが実務の運用です。
住所変更の未届、被保険者でない期間、基礎年金番号の紐付け状況などが原因になります。届かない状態が続く場合は年金事務所へ照会し、住所情報を確認してください。
年金事務所を経由し、地方厚生(支)局長宛てに第28条の2の訂正請求を出します。地方年金記録訂正審議会が個別に審議します。資格の得喪自体を争う場合は第31条の確認の請求です。
定期便は年1回の通知で合計値中心の表示ですが、ねんきんネットは随時アクセスでき、月単位の標準報酬月額まで確認できます。ハガキでは見えない異常値の発見に向いています。
給与明細、源泉徴収票、雇用契約書など厚生年金保険料の控除が分かる資料を集めて訂正請求を出します。会社が納付していなくても厚生年金特例法で被保険者期間に算入される余地があります。
厚生労働大臣(実務は日本年金機構)、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合、日本私立学校振興・共済事業団を指します。2015年10月の被用者年金一元化以降この構成です。
法律上の保存義務はありません。ただし記録の誤りに気付ける年1回の機会なので、加入月数の合計を自分の転職履歴と突き合わせてから処分するのが安全です。
50歳未満の定期便に載る額は、これまでの加入実績だけで計算した数字です。今後も働き続ければ増えます。50歳以上は現在の加入条件が60歳まで続く前提の見込額で、こちらは実額に近い。業界裏話ヒント:どちらも本人の記録が正しいという前提の上の数字であり、第31条の2は通知の義務を課しただけで記録の正確性を保証した規定ではない。ねんきんネットで月単位まで開くと、ハガキの合計値では見えない標準報酬月額の異常値が浮かび上がる
会社が消えていても諦める必要はありません。第28条の2の訂正請求では、給与明細、源泉徴収票、預金通帳の給与振込記録、同僚の証言といった間接証拠で認められた例が多数あり、地方年金記録訂正審議会が個別に審議します。業界裏話ヒント:給与から厚生年金保険料が天引きされていた事実さえ示せれば、会社が納付していなくても厚生年金特例法で被保険者期間に算入されうる。会社の未納を本人の不利益にしないというのが立法の建付けです
通知の内容そのものは行政処分ではないため、取消訴訟や審査請求の直接の対象になりません。まず第31条の確認の請求または第28条の2の訂正請求を出し、それに対する実施機関の決定に対して社会保険審査官へ審査請求(第90条)、その先が訴訟という順序です。業界裏話ヒント:審査請求には決定を知った日の翌日から3か月という期限がある。定期便を何年放置していたかは問われないが、決定が出てからの3か月だけは容赦なく走ります
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 31条の2:実施機関の情報提供義務(ねんきん定期便) | — |
| 誰が動かすか | 実施機関が自動的に通知(本人の請求不要) | — |
| 処分性の有無 | 通知自体は行政処分ではない(争訟の直接対象にならない) | — |
| 不服がある場合 | 通知を直接争えず、確認の請求・訂正請求へ乗せ換える | — |
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