厚生年金保険法 第45条(失権)
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老齢厚生年金の受給権は、受給権者が死亡したときは、消滅する。
この条文の基本情報
失権とは何ですか?
定義失権とは、厚生年金保険法第45条に定められた規定で、「老齢厚生年金の受給権は、受給権者が死亡したときは、消滅する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第45条(失権)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第45条の条文原文は「老齢厚生年金の受給権は、受給権者が死亡したときは、消滅する。」で始まります。
- 厚生年金保険法第45条は第二節に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第45条の前の条は厚生年金保険法第44条の3です。
- 厚生年金保険法第45条の次の条は厚生年金保険法第46条です。
- 厚生年金保険法第45条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第45条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第45条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/45
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法45条は、老齢厚生年金の受給権が受給権者の死亡により消滅すると定める。死亡月分までは支給され、未支給分は生計同一の遺族が5年以内に請求できる。
Q · 親が亡くなったら、その月の年金はどうなるんですか?
死亡した月の分まで満額支給され、未支給分は遺族が請求できます
厚生年金保険法45条により、老齢厚生年金の受給権は受給権者の死亡で消滅します。ただし年金は権利が消滅した月の分まで支給され(同法36条1項)、支払いは偶数月の後払いであるため、死亡時点で1〜3か月分の未支給年金が残るのが通常です。この未支給分は相続財産ではなく、生計を同じくしていた遺族が同法37条により自己の名で請求できる固有の権利です。請求権は5年で時効消滅し(同法92条)、誰も請求しなければ誰にも支払われません。
解説
「老齢厚生年金の受給権は、受給権者が死亡したときは、消滅する」。二十数文字で終わるこの条文を、ほとんどの人は読み飛ばす。だが実務で効いてくるのは「消滅する」の一語ではなく、消滅する瞬間の切り取り方だ。年金は死亡した月の分まで支給され(厚生年金保険法36条1項)、支払いは偶数月の後払い。つまり受給者が亡くなった時点で、ほぼ必ず一か月から三か月分の「まだ振り込まれていない年金」が宙に浮く。それは相続財産ではなく、生計を同じくしていた遺族が自分の名前で請求できる固有の権利だ(同法37条)。誰も請求しなければ誰にも届かず、5年の時効で静かに消える。親を看取った家族の多くが、この請求書を出さないまま四十九日を過ぎていく。
法的な位置づけ
厚生年金保険法45条は、老齢厚生年金の失権事由を定める規定であり、受給権者が死亡した時点で当該受給権が消滅する旨を規定する。給付の一身専属性を示す条文であり、受給権そのものは相続の対象とならない。死亡月までに発生した未支給分は同法37条の未支給の保険給付として、遺された家族の生活保障は同法58条の遺族厚生年金として、それぞれ別個の制度が引き継ぐ構造をとる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.死亡日を確定し受給権者死亡届を出す 死亡日を起点に10日以内に受給権者死亡届を年金事務所へ提出する(厚生年金保険法98条)。日本年金機構にマイナンバーが収録済みなら省略できるが、翌月の通帳で入金が止まったかを必ず自分の目で確認する
- 2.同じ窓口で未支給年金・未支払給付金請求書を提出する 死亡届と未支給年金請求は同一窓口で同時処理できる。戸籍・住民票・通帳を一度で揃えれば二度手間を避けられる。請求権者の順位(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、三親等内の親族)を先に家族で確認しておく
- 3.別世帯なら生計同一を立証する書類を追加する 請求者が故人と別世帯だった場合、生計同一関係に関する申立書に加え、仕送りの振込記録、公共料金の負担実績、定期的な訪問や通院付添いの記録などを添付して生計同一を裏づける
- 4.遺族厚生年金の要件を並行して確認する 未支給年金とは別制度として、遺族厚生年金(厚生年金保険法58条)の要件を確認する。額は原則として死亡者の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3で、遺族自身の老齢厚生年金がある場合は併給調整が入る。請求権の時効も5年
- 5.過払いがあれば発覚を待たず自分から申し出る 死亡月の翌月以降の年金を受け取ってしまった場合、年金事務所へ自主的に申告する。受領月・金額・使途を時系列で整理し、届出が遅れた事情を示す資料を添える。届出をせず長期間受領を続けた事案は詐欺(刑法246条)の評価が入りうるため、その前に専門家へ相談する
よくある質問 AI による整理
Q1受給権者死亡届とは何ですか?
年金受給者が亡くなったことを日本年金機構へ知らせる届出です。厚生年金保険法98条により死亡から10日以内が原則で、マイナンバーが収録されていれば省略できます。
Q2未支給年金はいつまでに請求すればいいですか?
請求権は5年で時効消滅します(厚生年金保険法92条)。年金は支払期月ごとに支分権が発生するため時効も月単位で進行し、古い月分から順に消えていきます。
Q3未支給年金は誰が請求できますか?
配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他三親等内の親族の順です(厚生年金保険法37条)。生計を同じくしていたことが要件で、同順位者が複数なら一人の請求が全員のための請求とみなされます。
Q4死亡後に振り込まれた年金は返さないといけませんか?
死亡月の翌月以降に振り込まれた分は返納対象です。気付いた時点で自分から年金事務所に申し出れば返納で収まることが多く、一括が難しければ分割相談も可能です。
Q5未支給年金に税金はかかりますか?
相続財産ではないため相続税ではなく、受け取った遺族の一時所得として所得税の対象です。50万円の特別控除があるため通常は課税されませんが、他に一時所得がある年は注意が必要です。
Q6マイナンバーが登録されていれば死亡届は不要ですか?
日本年金機構にマイナンバーが収録されていれば受給権者死亡届は原則不要です。ただし収録漏れの場合は年金が振り込まれ続けるため、翌月の通帳で入金停止を必ず確認してください。
Q7未支給年金の請求に必要な書類は何ですか?
年金証書、死亡の記載がある戸籍または除籍謄本、請求者との身分関係が分かる戸籍、生計同一を示す書類、請求者名義の通帳です。別世帯なら生計同一関係に関する申立書も要ります。
Q8生計を同じくしていたとはどういう意味ですか?
同居のほか、別居でも生活費の仕送りや定期的な援助があれば認められます。住民票、送金記録、通院付添いの実態などが判断材料になり、別世帯の場合は申立書での立証が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親が月の途中で亡くなったら、その月の年金は日割りで返すんですか?
返す必要はない。年金の支給は権利が消滅した月で終わる(厚生年金保険法36条1項)ので、1日に亡くなっても月末に亡くなっても、その月分は満額。後払いである以上、むしろ受け取っていない分が残る側だ。実務のポイント:問題になるのは死亡の翌月以降の入金で、これは返納対象。通帳を開いて、入金が止まった月をメモしておくと後の交渉が早い
Q2遺産分割でもめている最中でも、未支給年金は請求できますか?
できる。未支給年金は相続財産ではなく、生計を同じくしていた遺族が自分の名で取得する固有の権利だ(厚生年金保険法37条、最判平成7.11.7)。協議の成立を待つ必要はなく、相続放棄した人でも受け取れる。実務のポイント:同順位者が複数いても支払いは一人にまとめて行われる。誰が請求するかを先に家族で決めておかないと、振り込まれた後の分け方で二次紛争になる
Q3繰下げ待機中に死亡したら、増えるはずだった分はもらえないんですか?
増額はされない。繰下げによる増額は本人が繰下げ請求をして初めて発生するため、請求前に死亡すれば遺族が請求できるのは本来額の未支給分にとどまる(厚生年金保険法44条の3、37条)。実務のポイント:待機中に大病が判明した時点で、本人が本来請求へ切り替える手がある。増額を捨てて確実性を取る判断であり、家族会議で話すべきなのはまさにここ(令和5年4月施行の特例的な繰下げみなし増額制度との関係は最新の取扱いをご確認ください)
Q4父の年金が止まったら、残された母はどうなるんですか?
老齢厚生年金は失権するが、要件を満たせば妻に遺族厚生年金が発生する(厚生年金保険法58条、60条)。額は原則として夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3で、妻自身の老齢厚生年金があれば併給調整が入り、単純な上乗せにはならない。実務のポイント:世帯収入は夫の生前の半分近くまで落ちるのに、家賃や固定費は落ちない。遺族厚生年金は近年制度見直しが進んでいるため、最新の改正状況をご確認ください
間違えやすい点 AI による整理
- 「年金は死んだ月から止まるのか、日割りになるのか」と、多くの人は終わり方を気にする。だが問うべきはそこではない。年金は死亡した月の分まで満額支給され(36条1項)、しかも後払いだ。本当の論点は「いつ止まるか」ではなく「止まるまでに発生した分を、誰が、いつまでに取りに行くか」。問いを立て違えたまま、請求書を出さずに5年が過ぎる家族が毎年いる
- 未支給年金の存在自体は知っている人でも、その金額の深刻度を過小評価している。偶数月の後払いという仕組み上、死亡月によっては3か月分が残る。老齢厚生年金と老齢基礎年金を合わせて月20万円台の世帯なら、60万円規模の請求権が動かないまま消える計算になる。しかもその時期は、葬儀費用と医療費の支払いが集中する月と完全に重なる
- 遺族から見れば「亡くなった人のお金を家族が受け取る」だけの話に見える。法律から見れば、それは相続でも遺産分割でもなく、遺族が自分の名で原始取得する固有の権利だ(最判平成7.11.7)。この落差は両方向に効く。相続放棄した人でも受け取れる一方、遺言に「長男に相続させる」と書いても、37条の順位が上の配偶者を飛び越えることはできない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 死亡が引き起こす効果 | 45条:老齢厚生年金の受給権が消滅する | 37条:未支給の保険給付として遺族固有の請求権が発生する 58条:遺族厚生年金の受給権が新たに発生する |
| 権利の性質 | 一身専属的な受給権の終了、相続の対象外 | 遺族が自己の名で原始取得する固有の権利、相続財産ではない 遺族自身を受給権者とする独立の年金給付 |
| 請求する人と手続 | 請求不要、死亡届の提出により処理される(98条) | 生計同一の遺族が順位に従い請求書を提出 配偶者・子等が裁定請求書を提出、併給調整あり |
| 時間の制約 | 死亡した月の分まで支給される(36条1項) | 5年で時効消滅、月ごとに順次進行(92条) 請求権は5年で時効消滅(92条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も被保険者の死亡により本人の老年給付は終了し、遺屬年金・喪葬給付が別途発生する二層構造をとる。年金化以降、日本の未支給年金に近い扱いも実務上論点となる
韓国も受給権者の死亡で年金受給権が消滅し、미지급 급여(未支給給付)を遺族が固有の権利として請求する構造。順位規定と生計同一要件を置く点も日本と類似する
ドイツは受給権者が死亡した月の末日まで年金を支給し、その後は Witwen-/Witwerrente(遺族年金)へ移行する。死亡月まで満額という処理は日本の36条1項と同じ発想
米国は死亡した月の給付を受給できない扱いが原則で、日本と逆方向の処理。代わりに一時金である lump-sum death payment と survivors benefits が用意される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父が今朝亡くなった。葬儀社との打ち合わせ、役所の死亡届、通夜の準備。その渦中で、年金事務所への受給権者死亡届の期限は10日以内(厚生年金保険法98条)。日本年金機構にマイナンバーが収録されていれば省略できるが、収録漏れなら年金は止まらずに振り込まれ続け、数か月後に「全額返してください」という通知が届く
- もし、繰下げ待機中の親が69歳で亡くなったら、待っていた増額分はどうなる? 答えは、増額はされない。遺族が請求できるのは本来の年金額の未支給分だけで、しかも時効の壁の内側に限られる。70歳まで待って42%増を狙った家族の戦略が、数か月の差で丸ごと消える(令和5年4月施行の特例的な繰下げみなし増額制度との関係は最新の取扱いをご確認ください)
- 母の借金があったので相続放棄した。だから年金も一円も受け取れないと思っていた。未支給年金は相続財産ではないので、放棄した人でも受け取れる(最判平成7.11.7)
- 同居していた祖母の年金が、亡くなった後も口座に入り続けた。生活費と葬儀費に消えた。半年後、日本年金機構から返納通知が届く。ここで放置すると、単なる過払いの返還ではなく詐欺(刑法246条)の評価が入る領域に踏み込む。届け出なかった期間の長さと、自分から言い出したかどうかが、行政の対応を分ける
- 「兄が先に請求書を出したらしい」と妹から電話が来た。未支給年金の請求権者には順位があり(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、それ以外の三親等内の親族)、同順位者が複数なら一人の請求が全員のための請求とみなされ、支払いも一人にまとめて行われる。要件は「生計を同じくしていた」こと。仕送りの記録や定期的な訪問の実態が判断材料になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 死亡日を確定し、10日以内に受給権者死亡届(厚生年金保険法98条)。マイナンバー収録済みなら省略可だが、翌月の通帳で入金が止まったかを必ず自分の目で確認する2. 同じ窓口で未支給年金・未支払給付金請求書を提出。年金証書、死亡の記載がある戸籍(除籍)謄本、請求者との身分関係が分かる戸籍、生計同一を示す書類、請求者名義の通帳を用意3. 別世帯なら生計同一関係に関する申立書と仕送りの記録4. 並行して遺族厚生年金(58条)の要件を確認、これは別申請
訴えられた側:1. 死亡後の年金を受け取ってしまったと気付いたら、発覚を待たず自分から年金事務所に申し出る。ここが分水嶺で、自主申告なら過払い分の返納で収まることが多い2. 受領した月・金額・使途を時系列で整理し、意図的でないことを示す資料(届出が遅れた事情、本人の入院記録、成年後見の有無など)を添える3. 一括返納が難しければ分割の相談が可能4. 届出をせず長期間受け続けた事案は詐欺(刑法246条)の評価が入りうるので、その前に弁護士へ
時効(請求できる期限):受給権者死亡届は死亡から10日以内(厚生年金保険法98条、日本年金機構にマイナンバーが収録されていれば原則不要)。未支給年金を受ける権利は5年で時効消滅(同法92条)。年金は支払期月ごとに支分権が発生するため、時効も月ごとに順次進行し、古い月から消えていく。遺族厚生年金の請求権も同じく5年
学説
通説:年金受給権は保険料納付と加入期間に対応する一身専属的な給付であり、死亡による失権は制度上必然である。遺族の生活保障は相続法ではなく、未支給の保険給付(37条)と遺族厚生年金(58条)という社会保険独自の承継ルートで実現される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和29年(1954年) 新設:厚生年金保険法の全部改正により現行法が成立し、老齢年金の失権事由として受給権者の死亡を定める規定が置かれた。
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