厚生年金保険法 第78条の25(損害賠償請求権の特例)
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二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る保険給付について、第四十条第二項の規定を適用する場合においては、同項中「その価額」とあるのは、「その価額をそれぞれの保険給付の価額に応じて按分した価額」とする。
この条文の基本情報
損害賠償請求権の特例とは何ですか?
定義損害賠償請求権の特例とは、厚生年金保険法第78条の25に定められた規定で、「二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る保険給付について、第四十条第二項の規定を適用する場合においては、同項中「その価額」とあるのは、「その価額をそれ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第78条の25(損害賠償請求権の特例)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第78条の25の条文原文は「二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る保険給付について、第四十条第二項の規定を適用する場合においては、同項中「その価額」とあるのは、「その価額をそれ…」で始まります。
- 厚生年金保険法第78条の25は第三章の四に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第78条の25の前の条は厚生年金保険法第78条の24です。
- 厚生年金保険法第78条の25の次の条は厚生年金保険法第78条の26です。
- 厚生年金保険法第78条の25には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の25 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の25(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/78_25
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法78条の25は、二以上の種別の期間を有する者について、40条2項の損害賠償調整額を各保険給付の価額に応じて按分した価額に読み替える規定である。
Q · 公務員と会社員の両方を経験した人が事故の賠償金を受け取ったら、年金は二か所とも全額止まるの?
止まる総額は変わらず、各実施機関に按分されます
厚生年金保険法40条2項は、第三者から損害賠償を受けたとき、その価額の限度で保険給付を行わないことができると定めます。二以上の種別の被保険者期間がある人は複数の実施機関から別々に給付を受けるため、そのまま適用すると同じ賠償金で二度控除されるおそれがあります。78条の25はこれを「それぞれの保険給付の価額に応じて按分した価額」と読み替え、調整の総額は維持したまま、負担を各給付額の比で分けます。
解説
読替え規定は、法律の中で最も読み飛ばされる形式だ。だがこの一行が守っているのは、あなたの手取りである。厚生年金保険法40条2項は、交通事故のように第三者が原因の事故で受給権者が加害者から損害賠償を受けたとき、政府(実施機関)はその価額の限度で保険給付をしないことができると定める。ここで問題になるのが、民間企業と公務員、あるいは私学教職員を渡り歩いた人だ。2015年10月の被用者年金一元化以降、その人の厚生年金は複数の実施機関が別々に支給する。読替えがなければ、それぞれの実施機関が「その価額の限度で」止められることになり、同じ賠償金を理由に二度控除される危険が残る。78条の25は「その価額」を「それぞれの保険給付の価額に応じて按分した価額」に置き換え、調整をそれぞれの給付額の比で分ける。総額は一つ、負担は比例。あなたが検算すべきなのは、その比率である。
法的な位置づけ
厚生年金保険法78条の25は、二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る保険給付について、同法40条2項の読替えを定める規定である。第三者から損害賠償を受けた場合の支給停止の基準額を、各実施機関が支給する保険給付の価額に応じて按分した価額に置き換え、実施機関相互の負担配分を給付額の比により機械的に決定する。
よくある質問 AI による整理
Q1二以上の種別の被保険者とは?
第1号(民間被用者)、第2号(国家公務員)、第3号(地方公務員)、第4号(私学教職員)のうち、二つ以上の種別の厚生年金被保険者期間を持つ人を指します。転職で制度をまたいだ人が該当します。
Q2厚生年金の按分はどう計算する?
調整対象額の総額を、各実施機関が支給する保険給付の価額の比で割り付けます。例えば給付額が3対7なら、調整額も3対7で各機関に振り分けられ、合計額は1機関のみの場合と変わりません。
Q3第三者行為による事故の届出はいつまでにする?
法定の期限は本条にありませんが、実務上は事故を知った後すみやかに各実施機関へ届け出ます。示談成立前に届け出ておくと、調整見込みの説明を受けられる場合があります(最新の運用をご確認ください)。
Q4慰謝料も年金の支給停止の対象になる?
原則として対象外です。40条2項の調整は年金と同一の事由、すなわち逸失利益のように稼得能力の喪失を塡補する部分に及びます。慰謝料や見舞金は性質が異なるため、内訳の明示が重要になります。
Q5年金の支給停止はいつまで続く?
調整対象額に達するまで続きます。実務では支給停止の期間に上限を設ける運用があり、賠償額と年金額の比によって期間は変わります(最新の運用をご確認ください)。
Q6被用者年金一元化とは?
2015年10月に共済年金を厚生年金へ統合した制度改正です。以後、公務員・私学教職員も厚生年金の被保険者となり、給付は日本年金機構と各共済組合がそれぞれ実施機関として支給します。
Q7実施機関とはどこのこと?
厚生年金の適用・給付を行う主体で、日本年金機構、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合、日本私立学校振興・共済事業団が該当します。種別ごとに担当が分かれます。
Q8年金の減額に不服があるときは?
各実施機関の処分に対し、社会保険審査官へ審査請求ができます。期限は処分があったことを知った日の翌日から3か月以内です。二通の通知を並べ、按分の比率を検算してから申し立てます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1事故の賠償金をもらったら、年金は全部止まっちゃうんですか?
止まるのは同一の事由に対応する部分だけである。40条2項の調整は逸失利益のように年金と同じ性質の損害が対象で、慰謝料や見舞金は原則として対象外。二以上の種別の期間がある人は78条の25で各給付に按分される。実務のポイント:実務では支給停止に期間の上限を設ける運用があり、示談書の内訳の書き方一つで調整額が変わる(最新の運用をご確認ください)
Q2示談って自分で勝手に決めていいんですよね?
決められるが、実施機関は40条1項で損害賠償請求権を取得しているため、その求償を無視した内容は後から不利益になって返ってくる。全額を放棄する内容の示談は、賠償を受けたものとして扱われるおそれがある。実務のポイント:示談前に第三者行為の事故を届け出ておくと、担当者から調整見込みの説明を受けられることがある。金額を動かせるのは署名前だけである
Q3共済組合と年金機構、どっちに連絡すればいいんですか?
両方が関係する。一元化後の年金請求の窓口はワンストップ化されているが、給付自体は各実施機関が別々に決定し、78条の25の按分もそれぞれの給付額を前提に計算される。実務のポイント:通知書は二通届く。片方だけを見て「年金が減らされた」と判断する人が多いが、按分が正しいかどうかは二通を並べて初めて検算できる
間違えやすい点 AI による整理
- 「按分されるなら公平だから安心」と理解した時点で止まる人が多い。だが按分が決めるのは負担の分け方であって、止められる総額ではない。同一の事由について賠償を受けた以上、調整の総量は変わらない。安心すべきは重複控除を避けられる点であって、手取りが増える話ではないという深刻さを取り違えると、生活設計を丸ごと外す
- 「賠償金と年金、どちらを選べばいいですか」という問いを立てた瞬間に間違っている。40条は選択制ではなく、受け取れば法律が自動的に調整する仕組みだ。選べるのは「どちらを取るか」ではなく「示談書に内訳をどう書かせるか」と「どの時点で実施機関に届け出るか」だけである
- あなたから見れば賠償金は事故の慰めであり、年金は納めた保険料の見返りである。法律から見れば、逸失利益に対応する部分は同じ損害を二度埋めるものだ。この視点の落差に気付かないまま賠償金を生活費に組み込むと、数か月後に減額された年金通知が届き、支出計画だけが先に走っている状態になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 78条の25:40条2項の文言を按分ベースへ読み替える特例 | 40条2項:第三者賠償を受けた場合に支給を行わないことができる本体規定 78条の22:二以上の種別の期間を有する者に関する特例の通則 |
| 適用の前提 | 二以上の種別の被保険者期間があり、かつ40条2項が適用される場面 | 第三者行為により給付事由が生じ、受給権者が賠償を受けたこと 二以上の種別の期間があること(調整の場面に限らない) |
| 受給者への効果 | 調整の総額は同じで、各実施機関の給付額の比により分割される | その価額の限度で保険給付が行われない 各種別ごとに給付を計算し、それぞれの実施機関が決定する |
| 確認すべき書類 | 複数の支給決定通知書を並べた按分比率の検算 | 示談書の内訳(逸失利益・慰謝料・治療費) 年金記録(各種別の被保険者期間) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は保険者による第三者への代位求償と、雇主の災害補償に対する賠償金の抵充という形で二重塡補を排除する。単一の保険者が担うため、日本のような機関間の按分規定は必要とされていない
韓国も第三者行為による給付について求償権と給付調整の仕組みを持つ。国民年金と職域年金は統合されず連携法により接続されるため、日本の一元化とは異なる構造をとる
ドイツは損害賠償請求権が給付を行った社会保険者へ法律上当然に移転する構成をとる。複数の保険者が関係する場合の分配も同条の枠組みの中で処理され、受給者側の支給停止という形はとらない
米国は労災補償等との併給時に障害給付を減額する offset 方式を採用する。州法の collateral source rule との関係で、賠償金と社会保障給付の重複処理は法域ごとに差がある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 地方公務員として15年、その後民間企業で20年働いた夫が追突事故で亡くなったら、遺族厚生年金はどこから出るのか? 答えは、共済組合と日本年金機構の両方から、それぞれの被保険者期間に応じて別々に出る。加害者側の保険会社から賠償金を受け取った瞬間、その両方が同時に調整の対象になる。片方の通知書だけを見ていると、家計の見通しを二重に読み違える
- 支給額の通知が二通、同じ週に届く。どちらも減額されている。按分の比率を見ない限り、正しい減額なのか誤りなのかは判定できない
- あなたが加害者側の任意保険の担当者だとする。逸失利益も慰謝料も一括で「解決金」とだけ書いた示談書を作れば、社内の事務は早い。だがその後、複数の実施機関から別々に求償の照会が来る。内訳のない示談書は被害者遺族の年金調整を最大化し、自社への求償額の確定も長引かせる。内訳を書き分けることには、双方にとっての実務的合理性がある
- 示談書へのサインまであと5日。保険会社は「今週中に返事をくれれば上乗せする」と言ってくる。だが署名前に逸失利益部分がいくらかを確認していないと、その部分は後から年金の支給停止として差し引かれる。実質の手取りは提示額より少ない。残り5日でやるべきことは、金額の上積み交渉ではなく、内訳の明示要求である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 二以上の種別の被保険者期間があるかを年金記録で確認、関係する実施機関を全部洗い出す2. 第三者行為による事故であることを各実施機関へ速やかに届け出る3. 示談前に、示談金の内訳(逸失利益・慰謝料・治療費)を書面で明示させる4. 支給決定通知が届いたら、各給付額の比と按分額を突き合わせて検算5. 納得できなければ、処分を知った日の翌日から3か月以内に社会保険審査官へ審査請求
訴えられた側:加害者側・保険会社側に立つなら、示談金を「解決金」の一括表示にしないこと。実施機関は40条1項で求償権を取得し、複数の実施機関から個別に照会が来る。内訳を明示した示談書は求償額の確定を早め、二重請求の主張を防ぐ材料になる。受給者側で過払いの返納を求められた場合は、按分の計算根拠の開示をまず求め、同一の事由に当たらない慰謝料部分が混入していないかを確認する
時効(請求できる期限):本条自体に固有の期限はない。関連する期限は、損害賠償請求権が民法724条・724条の2(知った時から3年、人の生命または身体を害する場合は5年、行為時から20年)、年金給付を受ける権利の時効が支給すべき事由の生じた日から5年(厚生年金保険法92条)、支給決定への審査請求が処分を知った日の翌日から3か月以内(最新の運用をご確認ください)
学説
通説・実務:40条2項の調整は、保険給付と損害賠償が同一の事由について重複して損害を塡補する範囲に限られると解される。78条の25はその範囲を前提としたうえで、複数実施機関に対する配分基準のみを定めた技術的規定と位置づけられる
改正沿革 AI による整理
- 平成24年(2012年)公布、平成27年(2015年10月1日)施行 被用者年金一元化法により、二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者の特例を定める章とともに新設。40条2項の「その価額」を各保険給付の価額に応じて按分した価額と読み替える規定を置いた
改正の年表
- 1.平成24年(2012年)公布・平成27年(2015年10月1日)施行 新設:被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律により、二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者の特例を定める章とともに新設。40条2項の「その価額」を按分後の価額に読み替える規定を置いた
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