厚生年金保険法 第78条の24(年金の支払の調整の特例)
クイックジャンプ
二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る保険給付の受給権者について、第三十九条第一項及び第二項の規定を適用する場合においては、同条第一項中「乙年金の受給権者」とあるのは「第七十八条の二十二に規定する各号の厚生年金被保険者期間(以下この条において「各号の厚生年金被保険者期間」という。)のうち第七十八条の二十二に規定する一の期間(以下この条において「一の期間」という。)に基づく乙年金(以下この項において「乙年金」という。)の受給権者」と、「甲年金の受給権」とあるのは「当該一の期間に基づく甲年金(以下この項において「甲年金」という。)の受給権」と、同条第二項中「年金の支給」とあるのは「各号の厚生年金被保険者期間のうち一の期間に基づく年金の支給」と、「年金が支払われたとき」とあるのは「当該年金が支払われたとき」と、「年金の内払」とあるのは「当該一の期間に基づく年金の内払」と、「年金を減額して」とあるのは「各号の厚生年金被保険者期間のうち一の期間に基づく年金を減額して」と、「年金が支払われた場合」とあるのは「当該一の期間に基づく年金が支払われた場合」とする。
この条文の基本情報
年金の支払の調整の特例とは何ですか?
定義年金の支払の調整の特例とは、厚生年金保険法第78条の24に定められた規定で、「二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る保険給付の受給権者について、第三十九条第一項及び第二項の規定を適用する場合においては、同条第一項中「乙年金の受…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第78条の24(年金の支払の調整の特例)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第78条の24の条文原文は「二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る保険給付の受給権者について、第三十九条第一項及び第二項の規定を適用する場合においては、同条第一項中「乙年金の受…」で始まります。
- 厚生年金保険法第78条の24は第三章の四に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第78条の24の前の条は厚生年金保険法第78条の23です。
- 厚生年金保険法第78条の24の次の条は厚生年金保険法第78条の25です。
- 厚生年金保険法第78条の24には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の24 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の24(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/78_24
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法78条の23は、複数種別の期間を持つ受給者の内払調整を、一の期間に基づく年金の中でのみ行うと定める。他の種別の年金からは差し引けない。
Q · 公務員期間と民間期間の両方がある人の年金、過払いはまとめて調整してもらえないの?
同じ期間の年金からしか差し引けず、通知も実施機関ごとに別々に届きます
厚生年金保険法78条の23により、内払調整(過払い分を次回以降の年金から差し引く処理、同法39条)は「一の期間に基づく年金」の中だけで行われます。第1号厚生年金被保険者期間分の過払いを、第3号(地方公務員)期間分の年金から差し引くことはできません。その結果、返還通知は実施機関ごとに別々に届き、内払調整で吸収できない分は現金での返納になります。
解説
同じ週に、差出人の違う封筒が2通届く。片方は日本年金機構、もう片方は地方公務員共済組合。どちらにも「過払い分を返してください」と書いてある。あなたは事務ミスを疑うが、これは制度どおりの動きだ。2015年10月の被用者年金一元化で共済年金は厚生年金に統合されたが、統合されたのは制度の名前であって勘定ではない。民間期間・国家公務員期間・地方公務員期間・私学期間、この4種別は今も別々の実施機関が別々に計算し、別々に支払っている。本条は、支給停止や減額改定が遅れて生じた過払いを次回以降の年金から差し引く仕組み(第39条の内払調整)を、「一の期間に基づく年金」の中だけで完結させると定めている。第1号期間分の過払いは第1号期間分の年金からしか引けない。隣の勘定には手が届かない。だから通知は2通になり、返納の相談も2回必要になる。
法的な位置づけ
厚生年金保険法78条の23は、二以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る保険給付について、同法39条の内払・過誤払調整規定を読み替える技術的規定である。調整の対象は、各号の厚生年金被保険者期間のうち一の期間に基づく年金に限られ、他の種別の期間に基づく年金には及ばない。
よくある質問 AI による整理
Q1二以上の種別の被保険者期間とは何ですか?
民間(第1号)、国家公務員(第2号)、地方公務員(第3号)、私学教職員(第4号)のうち、二つ以上の期間を持つことです。厚生年金保険法78条の22以下の特例が適用されます。
Q2被用者年金一元化で共済年金はどうなりましたか?
2015年10月に共済年金は厚生年金に統合されました。ただし統合されたのは制度の枠組みで、決定・支払は今も実施機関ごとに分かれています。振込が複数件になるのは設計どおりです。
Q3実施機関とはどこを指しますか?
第1号は日本年金機構、第2号は国家公務員共済組合連合会等、第3号は地方公務員共済組合等、第4号は日本私立学校振興・共済事業団です。期間の種別ごとに相手方が決まります。
Q4内払調整とは何ですか?
支給停止や減額改定が遅れて生じた過払いを、次回以降に支払う年金の内払とみなして処理する仕組みです。厚生年金保険法39条が定め、本条がその適用範囲を期間ごとに区切ります。
Q5年金の過払い返還に時効はありますか?
国等の金銭債権の消滅時効は原則5年です(会計法30条)。ただし内払調整で処理できる範囲では、時効よりも「同一の期間に基づく年金か否か」が実際の争点になります。
Q6在職老齢年金で支給停止になったら届出はどこにしますか?
期間の種別ごとの実施機関すべてに必要です。請求時のワンストップ窓口と、受給開始後の届出先は別物です。片方だけ処理すると、もう一方で過払いが積み上がります。
Q7年金の返納金は分割で払えますか?
実施機関ごとに分割納付の相談に応じる運用があります。相談先は過払いが生じた期間の実施機関で、もう一方に頼んでも本条により法律上動かせません。
Q8厚生年金保険法78条の23は誰に適用されますか?
二以上の種別の被保険者であった期間を有する受給権者に適用されます。民間だけ、公務員だけの職歴なら本条の出番はなく、39条がそのまま適用されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1なんで年金機構と共済組合、両方から通知が来るんですか。どっちかの間違いじゃないんですか
間違いではない。2015年10月の一元化後も、種別ごとの期間に基づく年金は各実施機関が別々に決定し支払う(厚生年金保険法78条の22)。本条が過払いの内払調整も一の期間の中に限るため、通知も別々になる。実務のポイント:請求窓口はワンストップ化されたが、決定通知・支払・返納交渉の窓口は一元化されていない。「窓口が一つだったから届出も一回で足りたはず」という思い込みが、過払いの最大の温床になっている
Q2過払い分、次の年金から少しずつ引いてもらうことはできませんか
同じ期間に基づく年金であれば、内払調整(厚生年金保険法39条)で差し引ける。だが別の期間に基づく年金からは引けない、それが本条の効果である。引けない分は現金での返納になる。実務のポイント:返納は一括が原則と説明されがちだが、実施機関ごとに分割納付の相談に応じる運用がある。相談先を取り違えて時間を空費すると、督促の段階に入ってから交渉することになり、条件は硬くなる
Q3亡くなった親の年金を返せと言われました。相続放棄すれば払わなくていいですか
死亡月より後に振り込まれた分の返還債務は相続債務なので、相続放棄すれば承継しない(民法939条)。一方、未支給年金は相続財産ではなく遺族固有の権利とされる(厚生年金保険法37条)。実務のポイント:実務上、未支給年金の受領が単純承認にあたるかは解釈が分かれている。返納通知と未支給年金の請求案内が同時に届き、熟慮期間3か月の中で判断を迫られる形になるので、放棄を検討中なら入金に手をつける前に専門家へ
間違えやすい点 AI による整理
- 一元化で共済年金は厚生年金になったのだから、年金は一本にまとまったと思われている。まとまったのは制度の枠組みであって、計算も支払も実施機関ごとに分かれたままだ。通帳に振込が2件並ぶのは事務ミスではなく、設計どおりの姿である
- 「過払いは次回以降の年金から差し引かれる」ことを知っている人は多い。だがその調整が期間の壁を越えられないところまでは知られていない。この差は、現金を用意して返すか、月々の年金額が少し減るだけで済むかの差であり、生活費に直撃する
- 「どちらの窓口に電話すればいいですか」という問いそのものが、この制度では成り立たない。過払いが起きた期間ごとに相手方は最初から決まっている。立てるべき問いは「この過払いは、どの期間に基づく年金の分か」である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 78条の23:39条を読み替え、調整を一の期間内に限定 | 39条:内払・過誤払調整の原則規定 78条の22:二以上の種別の期間を有する者の給付の通則 |
| 適用対象 | 二以上の種別の期間を有する受給権者 | すべての受給権者(単一種別を含む) 二以上の種別の期間を有する者全般 |
| 過払いの処理範囲 | 同一の期間に基づく年金からのみ差引き可 | 同一の受給権者の年金内で広く調整可 各期間ごとに実施機関が別々に決定・支払 |
| 受給者への影響 | 通知が複数届き、吸収できない分は現金返納 | 月々の年金が減るだけで済むことが多い 窓口・照会先が期間ごとに分かれる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も労工保険と公教人員保険が別建てで、過払いの控除は原則として同一保険の給付内で行われる。制度間をまたぐ相殺が予定されていない点は日本と同じ構造
韓国は国民年金と職域年金(公務員・私学・軍人)が統合されず、連携法で期間通算のみ行う。過払いの環収も各制度の運営主体ごとに完結する
ドイツは過払い給付の返還を社会法典総則で一般的に規律し、将来給付との相殺も広く認める。日本のような制度種別ごとの遮断は前提としていない
米国は OASDI が単一制度のため、過払いは将来の給付からの調整または返還請求で処理され、勘定の分離という論点自体が生じにくい
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、在職老齢年金で支給停止になるべき月に、片方の実施機関だけ届出が反映されていなかったら? 第1号期間分は止まったが、第3号期間分は満額で振り込まれ続けた。3か月後に発覚したとき、第3号期間分の過払いを第1号期間分の年金から差し引くことはできない。返納方法の回答期限まであと2週間、動くべき先は共済組合であって年金機構ではない
- 親が亡くなった。元県立高校の教員で、定年後は民間企業で働いていた。翌月、遺族のあなたの手元に、共済組合と年金機構から別々の過払い返還通知が届く
- あなたが企業の人事担当者で、再雇用者の在職老齢年金の停止手続を処理している。その人に公務員期間があるなら、届出先は一つではない。片方だけ処理して完了と思い込むと、本人には現金返納の負担が残り、あとで「会社が手続をしてくれなかった」と言われる側に回る
- 障害厚生年金の受給権を得て老齢厚生年金が支給停止になる場面。停止処理が実施機関ごとに時差で進むと、片方は止まり片方は払われ続ける。払われすぎた分は隣の期間の年金では吸収できないので、あなたの口座から現金で返すことになる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 通知書の年金コードと「どの期間に基づく年金か」をまず確認、2通あるなら別事案として机の上で分ける2. 各実施機関に、内払調整で処理される部分と現金返納になる部分の内訳を書面で求める3. 現金返納分の分割納付は、その実施機関に直接相談する。もう一方に頼んでも本条により法律上動かせない4. 支給停止事由の発生日と届出日を時系列で整理する。行政側の処理遅れが主因なら、その記録が返納条件の交渉材料になる
訴えられた側:1. 在職・他の年金の受給権取得・死亡など支給停止や減額の事由が生じたら、種別ごとの実施機関すべてに届け出る。請求のワンストップ窓口と、その後の届出は別物だと考える2. 事業主側は、公務員期間や私学期間のある再雇用者について、本人へ他実施機関への届出を促した記録を残す3. 過払いに気付いたら発覚を待たず自己申告する。放置が長いほど内払調整で吸収できず現金返納の比率が上がる
時効(請求できる期限):年金を受ける権利は、支給すべき事由が生じた日から5年で時効消滅する(厚生年金保険法92条)。過払い分の返還請求権は国等の金銭債権として原則5年(会計法30条)。内払調整で処理できる範囲では時効ではなく「同一の期間に基づく年金か否か」が争点になる。相続人が返還債務を承継するかは、相続放棄の熟慮期間3か月(民法915条)の中で判断を迫られる。(最新の改正状況をご確認ください)
学説
立法趣旨に関する一般的理解:一元化後も各種別の年金は実施機関ごとに異なる財源・経理で支えられているため、期間を越えた内払調整を認めると費用負担の帰属が崩れる。本条は経理の独立を優先し、受給者側に通知が複数届くという手続的負担を負わせたものと理解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成24年(2012年)法律第63号公布、平成27年(2015年)10月1日施行 被用者年金一元化により第3章の4「二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者の特例」が新設され、本条もその一環として新設された。共済年金の厚生年金への統合に伴い、支払調整を期間種別ごとに完結させる技術的読替を定めたもの
改正の年表
- 1.平成24年(2012年) 新設:被用者年金一元化法(平成24年法律第63号)により、第3章の4「二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者の特例」が新設され、その一環として本条が設けられた。施行は平成27年(2015年)10月1日
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める