厚生年金保険法 第78条の22(年金たる保険給付の併給の調整の特例)
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第一号厚生年金被保険者期間、第二号厚生年金被保険者期間、第三号厚生年金被保険者期間又は第四号厚生年金被保険者期間(以下「各号の厚生年金被保険者期間」という。)のうち二以上の被保険者の種別に係る被保険者であつた期間を有する者(以下「二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者」という。)であつて、一の被保険者の種別に係る被保険者であつた期間(以下「一の期間」という。)に基づく年金たる保険給付と同一の支給事由に基づく当該一の被保険者の種別と異なる他の被保険者の種別に係る被保険者であつた期間(以下「他の期間」という。)に基づく年金たる保険給付を受けることができるものについて、第三十八条の規定を適用する場合においては、同条第一項中「遺族厚生年金を除く」とあるのは「当該老齢厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される老齢厚生年金及び遺族厚生年金を除く」と、「老齢厚生年金を除く」とあるのは「老齢厚生年金及び当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される遺族厚生年金を除く」とする。
この条文の基本情報
年金たる保険給付の併給の調整の特例とは何ですか?
定義年金たる保険給付の併給の調整の特例とは、厚生年金保険法第78条の22に定められた規定で、「第一号厚生年金被保険者期間、第二号厚生年金被保険者期間、第三号厚生年金被保険者期間又は第四号厚生年金被保険者期間(以下「各号の厚生年金被保険者期間」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第78条の22(年金たる保険給付の併給の調整の特例)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第78条の22の条文原文は「第一号厚生年金被保険者期間、第二号厚生年金被保険者期間、第三号厚生年金被保険者期間又は第四号厚生年金被保険者期間(以下「各号の厚生年金被保険者期間」という。」で始まります。
- 厚生年金保険法第78条の22は第三章の四に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第78条の22の前の条は厚生年金保険法第78条の21です。
- 厚生年金保険法第78条の22の次の条は厚生年金保険法第78条の23です。
- 厚生年金保険法第78条の22には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の22 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の22(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/78_22
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法78条の22は、二以上の被保険者種別の期間を持つ人について38条の併給調整を読み替え、同一の支給事由に基づく老齢厚生年金どうしを支給停止の対象から外す規定である。
Q · 年金証書が日本年金機構と共済組合から二通届いたけど、これは間違いじゃないの?
誤りではない。二本とも受け取れる
民間企業と公務員・私学など複数の種別にまたがって働いた人は、実施機関ごとに別々の老齢厚生年金が決定されます。厚生年金保険法38条は一人一年金を原則としますが、78条の22が38条を読み替え、同一の支給事由に基づく老齢厚生年金どうし・遺族厚生年金どうしを支給停止の対象から除いています。したがって年金証書が二通届くのは正常であり、片方を返す必要はありません。二本を合計して初めて本来の年金額になります。
解説
郵便受けに年金証書が二通届く。日本年金機構から一通、地方公務員共済組合から一通。多くの人はここで、どちらかが誤りで後から返せと言われるのではないかと身構える。誤りではない。2015年10月の被用者年金一元化により、共済年金は厚生年金に統合され、被保険者は第1号(民間)から第4号(私学)まで四つの種別に分かれた。民間で15年、市役所で20年働いたあなたは、二つの実施機関からそれぞれ老齢厚生年金を受け取る。ところが厚生年金保険法38条は「一人一年金」を原則とし、同じ人が複数の年金たる保険給付を受けられるときは片方の支給を止めると定めている。この原則をそのまま当てはめれば、あなたの年金は片方が消える。78条の22は、その事故を防ぐために38条の文言を読み替え、同一の支給事由に基づく老齢厚生年金どうし、遺族厚生年金どうしを併給調整の射程から外した。二通の証書が両方生きているのは、この一条があるからだ。
法的な位置づけ
厚生年金保険法78条の22は、第一号から第四号までの厚生年金被保険者期間のうち二以上の種別にまたがる期間を有する者に対し、併給調整を定める38条の適用を読み替える特例規定である。同一の支給事由に基づいて支給される老齢厚生年金相互および遺族厚生年金相互は、支給停止の対象から除外される。
よくある質問 AI による整理
Q1二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者とは?
第一号(民間)から第四号(私学)までの厚生年金被保険者期間のうち、二つ以上の種別にまたがる期間を持つ人を指します。民間から公務員へ転職した人が典型例です。
Q2厚生年金の第1号から第4号の違いは?
第1号は民間被用者、第2号は国家公務員、第3号は地方公務員、第4号は私立学校教職員です。種別ごとに実施機関が異なり、年金も別々に決定されます。
Q3併給の調整とは何ですか?
同じ人に複数の年金給付が発生したとき、一方の支給を停止する仕組みです。厚生年金保険法38条が根拠で、一人一年金の原則を実現しています。
Q4共済年金はいつ厚生年金に統合されたのですか?
被用者年金一元化により2015年10月1日に統合されました。根拠は2012年公布の一元化法で、78条の22もこのとき新設された特例規定です。
Q5年金の請求はどこの窓口ですればいいですか?
共済期間があっても、いずれか一つの実施機関の窓口で全種別分をまとめて受け付けます(ワンストップ)。役所を順に回る必要はありません。
Q6在職老齢年金の支給停止は二本立ての場合どうなりますか?
各実施機関の年金額に応じて按分して停止されます。片方だけが全額止まるのではなく、それぞれの割合に従って停止額が振り分けられます。
Q7加給年金は二つの実施機関から出ますか?
出ません。各号の期間を合算して要件を判定したうえで、一つの実施機関からのみ支給されます。合算判定なので単独では届かない人も対象になり得ます。
Q8経過的職域加算額はまだもらえますか?
2015年9月までの共済期間分については、旧職域部分が経過的職域加算額として共済組合等から別枠で支給されます。厚生年金本体とは別の給付です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1年金証書が二通来たんですけど、片方は返さなくていいんですか?
返す必要はない。民間期間と共済期間の両方があると、実施機関ごとに別の決定が出て別々に振り込まれる。38条の併給調整は同一の支給事由に基づく老齢厚生年金どうしには及ばない(78条の22の読替え)。実務のポイント:支払日が同じでも通帳の入金は二行に分かれるため、一行だけ見て減額されたと誤解する人が多い。二行を足して初めて年金額になる。入金明細をそのまま老後予算に転記すると毎回取り違える
Q2二つに分かれると、一本でもらうより損しませんか?
本体部分の総額が分割そのものによって減ることは原則ない。ただし在職老齢年金による支給停止は各実施機関の年金額に応じて按分され、加給年金額は各号の期間を合算して要件を判定したうえで一つの実施機関からのみ支給される。実務のポイント:加給年金は合算判定なので、民間だけ、公務員だけでは期間要件に届かない人でも、合算すれば対象になりうる。一元化前の感覚で最初から諦めている人が今も少なくない(最新の改正状況をご確認ください)
Q3決定に納得いかないとき、どこに文句を言えばいいんですか?
不服の相手は処分をした実施機関ごとに分かれる。日本年金機構の決定と共済組合の決定は別個の処分であり、審査請求はそれぞれの決定を知った日から3か月以内に社会保険審査官へ行う。実務のポイント:原因が記録漏れなら、審査請求より先に厚生労働大臣への年金記録の訂正請求を検討する。訂正が認められた場合、増額分は5年の時効にかからず遡って支払われる特例法があり、入口の選び方で取り戻せる額が桁で変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 「年金は一人一つだけ」と覚えている人は多く、この原則自体は厚生年金保険法38条のとおり正しい。だが一元化後は、同一の老齢厚生年金が種別ごとに分割して決定・支給されるため、二本三本受け取ることこそが原則どおりの姿になった。二通届いて誤送付を疑う、その反射のほうが今は間違っている
- 二つ受け取れること自体は知っていても、合計額が一本にまとめた場合と常に一致するとは限らない点までは知られていない。在職老齢年金による支給停止は各実施機関の年金額に応じて按分され、加給年金額は各号の期間を合算して要件を判定したうえで一つの実施機関からのみ支給される。分割は受取額ではなく計算過程に効いてくる
- あなたから見れば「自分の年金」という一つの財布だが、制度から見れば複数の実施機関が別々に出した複数の処分である。だから不服申立ての期限も処分ごとに別々に走る。片方の決定に納得できないとき、もう片方の通知が届いた日を基準に日数を数えると、争う権利のほうが先に切れる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 78条の22:38条を読み替え、同一支給事由の年金相互を調整対象外にする特例 | 38条:一人一年金の原則、複数給付の一方を支給停止 46条:在職中の報酬に応じた老齢厚生年金の支給停止 |
| 二以上の種別がある場合の効果 | 実施機関ごとの老齢厚生年金・遺族厚生年金が共倒れせず併給される | 読替えがなければ一方が支給停止となる 停止額は各実施機関の年金額に応じて按分される |
| 受給者の実感 | 年金証書が複数届き、入金も複数行に分かれる | 老齢と遺族など支給事由が異なる場合は今も選択が必要 働き方を変えると停止額が動く |
| 争うときの相手 | 誤って停止された実施機関の処分ごとに審査請求 | 併給調整の可否そのものを争う 報酬額・停止計算の当否を争う |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾は労保・公教保・国民年金が制度として分立したままで、同一保険事故については択一請領を原則とする。日本のような統合+読替えによる併給保全の構造は採られていない
韓国も重複給付の調整規定を持ち、公務員年金等の職域年金と国民年金の間で加入期間の連携(연계)制度により通算する方式をとる
中国も2014年に公務員・事業単位の年金を企業職工基本養老保険と統合した。官民二元制の統合という課題設定は日本の一元化と同型
ドイツは同一の被保険者に複数の年金請求権が生じた場合、原則として高い方の年金のみを支給する。制度が一本化されているため日本のような実施機関ごとの分割決定は生じない
フランスは régime général と régimes spéciaux が併存し、複数制度加入者(polypensionnés)は各制度から按分して年金を受ける。分割受給が常態である点で日本の一元化後に近い
米国は社会保障年金と公的部門年金の重複を減額調整してきたが、2025年の Social Security Fairness Act により WEP・GPO は廃止された
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが民間企業で12年働いた後に県庁へ移り、25年勤めて退職したとしたら、年金の通知は何通届く? 答えは二通。日本年金機構と地方公務員共済組合が、それぞれ自分の担当期間分だけを計算し、別々に決定して別々に振り込む。通帳の入金が二行に分かれているのを見て「減らされた」と誤解する人が毎年いる
- 私立高校の教員から公立高校へ移った。第4号期間と第3号期間が並ぶ。老齢厚生年金は私学事業団と地方公務員共済組合から二本立てで出る。
- あなたが会社の総務担当者で、中途採用した元市職員の社員から「年金の見込額が二枚に分かれていて意味が分からない」と相談された。ここで38条の一人一年金だけを説明すると完全な誤答になる。78条の22の読替えを知っている担当者と知らない担当者では、社内での信用が一度で決まる
- 配偶者を亡くし、遺族年金の手続きを後回しにしている。故人に民間期間と共済期間の両方があれば遺族厚生年金も二本出るが、請求が遅れれば古い月の分から順に落ちていく。支分権の時効は5年、1か月放置すれば1か月分が消える計算だ。請求窓口はどこか一つでよい(ワンストップ)、迷って止まっている時間がそのまま損失になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. ねんきんネットまたは年金事務所で、自分の被保険者記録が第1号から第4号のどの種別にまたがっているかを先に確定させる2. 請求はどこか一つの窓口で全種別分をまとめて提出する(ワンストップ)、共済ごとに回らない3. 決定通知は実施機関ごとに届くので、封筒単位で保管し到達日を控える4. 片方が支給停止されていたら38条の機械的適用を疑い、78条の22による読替えを示して照会する
訴えられた側:過払いを理由に返納通知が来たら、まず停止事由が併給調整なのか在職老齢年金による按分停止なのかを通知書で特定する。前者であれば、同一の支給事由に基づく老齢厚生年金どうし・遺族厚生年金どうしは78条の22の読替えにより併給調整の対象外である旨を主張できる。返納は納付前でも争えるため、支払う前に社会保険審査官への審査請求期限を確認し、記録漏れの有無も同時に洗う
時効(請求できる期限):年金を受ける権利を行使せずに放置すると、各支払期月の分から順に5年で時効消滅する(厚生年金保険法92条)。決定に不服がある場合の審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に社会保険審査官へ。再審査請求は決定書謄本の送付を受けた日の翌日から2か月以内に社会保険審査会へ(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:38条の併給調整は支給事由を異にする年金相互の重複給付を排除する趣旨であり、被用者年金一元化により同一の支給事由の年金が実施機関ごとに分割決定される構造が生じた以上、その相互間まで調整対象とすることは制度統合の趣旨に反すると理解されている。78条の22はこの理解を条文上明確化した読替え規定である。
改正沿革 AI による整理
- 平成24年(2012年)公布、平成27年(2015年)10月1日施行 被用者年金制度の一元化に伴い新設。共済年金が厚生年金に統合され被保険者が四つの種別に分かれた結果、同一の支給事由に基づく年金給付が複数の実施機関から生じることとなったため、38条の併給調整規定を読み替えて共倒れを防ぐ特例を置いた
改正の年表
- 1.平成24年(2012年) 新設:被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律により新設。共済年金の厚生年金への統合に伴い、38条の併給調整規定を読み替える特例が置かれた
- 2.平成27年(2015年)10月1日 改正:一元化法の施行により本条が効力を生じる。被保険者が第一号から第四号までの種別に区分され、実施機関ごとの分割決定と併給が実務上の標準となった
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