要点厚生年金保険法 79 条の 3 は、特別会計積立金を GPIF への寄託により運用し、公務員や私学教職員の実施機関積立金は各実施機関が運用すると定める。
Q · 厚生年金の積立金は、全部 GPIF が運用しているんですか?
いいえ。公務員と私学の分は GPIF ではなく共済 3 団体が運用します
厚生年金保険法 79 条の 3 により、運用主体は積立金の種類で分かれます。特別会計積立金は厚生労働大臣が GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に寄託して運用し、寄託までの間は財政融資資金に預託できます(1 項・2 項)。一方、公務員や私立学校教職員が納めた分にあたる実施機関積立金は、3 項により国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団がそれぞれ運用します。同じ厚生年金でも、勤務先の種別で運用主体が変わります。
厚生労働大臣は、年金積立金を自分の判断で株や債券に投じることができない。できるのは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に「寄託」することだけである。運用の巧拙も損失の責任も、大臣の手を一度離れる設計になっている。ここまでは比較的知られている。知られていないのは3項だ。公務員や私立学校教職員が納めた分(実施機関積立金)は、GPIFには行かない。国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団が、それぞれ自前で運用する。同じ厚生年金なのに、積立金を動かしている主体はあなたの勤務先の種別で変わる。しかもただし書と読み替え規定により、その一部については前条の「専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために」から「専ら」の二文字が外れる。共済各法の目的も並んで立つ、という意味である。
厚生年金保険法 79 条の 3 は、年金積立金の運用方法を定める規定である。特別会計積立金は厚生労働大臣が年金積立金管理運用独立行政法人へ寄託する方法により運用され、寄託までの間は財政融資資金への預託が認められる。実施機関積立金は国家公務員共済組合連合会等の実施機関が自ら運用し、その一部は共済各法の目的に沿った運用が可能である。
公的年金の保険料収入のうち給付に使われず積み立てられた資金である。厚生年金では特別会計積立金と実施機関積立金に分かれ、厚生年金保険法 79 条の 3 が運用方法を定める。
年金積立金管理運用独立行政法人の略称。厚生労働大臣から特別会計積立金の寄託を受けて運用する法人であり、厚生年金保険法 79 条の 3 第 1 項がその寄託の根拠となる。
公務員や私立学校教職員に係る厚生年金の積立金を指す。79 条の 3 第 3 項により GPIF へは寄託されず、国家公務員共済組合連合会・地方公務員共済組合連合会・日本私立学校振興・共済事業団が運用する。
被保険者個人の口座ではなく、制度全体の共同財源である。運用益が個人の年金額へ直接加算される仕組みは条文上存在せず、給付水準は財政検証を通じて調整される。
選べない。厚生年金保険法 79 条の 3 は運用主体を大臣の寄託先である GPIF と各実施機関に限定しており、被保険者が個別に運用先を指定できる規定は置かれていない。
日本私立学校振興・共済事業団である。79 条の 3 第 3 項により実施機関積立金は実施機関自身が運用するため、GPIF の公表資料に私学分の運用実績は含まれない。
国の資金運用制度へ積立金を預ける仕組みである。79 条の 3 第 2 項は GPIF へ寄託するまでの間に限って預託を認めており、財政投融資改革以前の預託制度の名残にあたる。
特別会計積立金は GPIF の公表資料、公務員・私学分は各共済団体の公表資料で確認する。長期の評価は 5 年ごとの財政検証が示す前提と比較して行う。
直ちには減らない。積立金は給付財源の一部であり、給付の大半は現役世代の保険料と国庫負担で賄われている。運用結果は5年ごとの財政検証を通じて長期の給付水準の議論に反映される仕組みである。業界裏話ヒント:実務家が見るのは名目の損益額ではなく、名目運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いた実質的な運用利回りで、これを財政検証の前提と比較する。この一指標を押さえるだけで、議論の土俵が変わる。
制度は統合されたが、3項本文が実施機関積立金の運用を実施機関自身に委ねる建て付けを残したためである。さらにただし書と読み替え規定により、その一部は共済各法の目的に沿った運用が認められ、前条の「専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために」から「専ら」が外れる。業界裏話ヒント:この二文字の削除が実務上の急所で、条文を読み慣れた人はただし書と読み替え規定から先に読む。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律の内容 | 79 条の 3:積立金を「どの主体がどう運用するか」という手段 | — |
| 主語(行為主体) | 厚生労働大臣(1 項・2 項)と実施機関(3 項) | — |
| 分岐の有無 | 特別会計積立金は GPIF へ寄託、実施機関積立金は実施機関が運用と二分岐 | — |
| 被保険者から見た距離 | 個人の請求権は生じない。運用主体を知る意味は情報アクセス先の特定にある | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。