要点厚生年金保険法 8 条は、任意適用事業所の事業主が厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所でなくすることを認める。申請には使用される者の 4 分の 3 以上の同意が必要である。
Q · 会社が「社会保険をやめる」と言い出したら、従業員は止められますか?
事業主が単独では決められず、働く人の 4 分の 3 以上の同意が必要です
厚生年金保険法 8 条 1 項により、任意適用事業所(同法 6 条 3 項)の事業主は厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所でなくすることができます。ただし同条 2 項は、その申請にあたり「当該事業所に使用される者(12 条に規定する者を除く。)の 4 分の 3 以上の同意」を義務づけています。裏返せば、4 分の 1 を超える人が同意しなければ、事業主は申請そのものができません。なお法人は 6 条 1 項により強制適用事業所であるため、本条による取消しは使えません。
同意書が回ってきたとする。「当事業所を厚生年金保険の適用事業所でなくすることに同意します」。署名欄にはあなたの名前が印字されている。押印すれば、翌月からあなたの給与明細の厚生年金保険料は消える。手取りは増える。ただし同時に、あなたの老後の年金は基礎年金だけになり、障害を負ったときの3級年金も、遺族厚生年金も、その瞬間に将来分が消滅する。厚生年金保険法8条は、任意適用事業所の事業主が「厚生労働大臣の認可」を受けて適用事業所でなくすることを認めるが、その認可申請には使用される者の4分の3以上の同意を義務づけた。裏返せば、4分の1を超える人が署名しなければ、事業主は申請すらできない。あなたのペン先が、事業所全体の年金制度の生死を握っている場面が現実に存在する。
厚生年金保険法 8 条は、任意適用事業所の適用取消しを定める規定である。同法 6 条 3 項により任意に適用事業所となった事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて当該事業所を適用事業所でなくすることができる。その認可を受けようとするときは、当該事業所に使用される者(同法 12 条に規定する者を除く。)の 4 分の 3 以上の同意を得て申請することを要する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
強制適用の対象外である事業所が、厚生労働大臣の認可を受けて任意に厚生年金の適用事業所となったものです(厚年法 6 条 3 項)。原則として法定業種以外、または常時 5 人未満の個人事業所が対象になります。
条文は「当該事業所に使用される者(12 条に規定する者を除く。)」と定めており、被保険者の数に限定していません。分母の確定は実務上の確認を要する論点で、数え方を誤れば同意要件そのものが崩れます。
事業主が対象者から 4 分の 3 以上の同意を集め、同意書を添えて厚生労働大臣(実務上は年金事務所経由)に認可申請します。認可が下りた時点で事業所は適用事業所でなくなります。
厚年法 14 条により、事業所が適用事業所でなくなった日に被保険者資格を喪失します。喪失後の期間は厚生年金の被保険者期間として積み上がりません。
被保険者資格を失うと、その配偶者は国民年金第 3 号被保険者から第 1 号被保険者へ切り替わります。保険料ゼロだった配偶者に、新たに国民年金保険料の負担が発生します。
自動ではありません。健康保険の任意適用取消しは健康保険法に基づく別の手続であり、同意要件や申請先も別に確認する必要があります。両者を同時に設計しないと片方だけ残ります。
撤回の可否は認可申請の進行段階により実務上の取扱いが分かれます。確実なのは署名前の段階であり、同意書を受け取ったその場で押印せず持ち帰る対応が最も確実です。
被保険者資格に関する処分は、社会保険審査官への審査請求で争えます(厚年法 90 条)。請求期間は処分を知った日の翌日から 3 か月以内とされており、期限管理が要になります。
同意はあくまで任意であり、8条2項は同意の取得を事業主側の義務として課している。不同意を理由とする解雇は、客観的合理性と社会通念上の相当性を欠く解雇として無効になりうる(労働契約法16条)。業界裏話ヒント:同意書に署名日欄が空白のまま集められている場合は要注意である。日付を後から入れられると、いつの時点の在籍者を分母にしたのかが検証できなくなる。署名するにせよしないにせよ、書面の写しをその場でスマホで撮っておく人と撮らない人では、後の交渉力がまるで違う
消えない。適用事業所でなくなるのは将来に向かってのことであり、それまでの被保険者期間と標準報酬の記録は残り、将来の老齢厚生年金に反映される。失われるのは今後の積み上げ分と、在職中に生じた事故に対する障害厚生年金3級・遺族厚生年金といった上乗せの守りである。業界裏話ヒント:脱退が決まった段階で、ねんきん定期便やねんきんネットで自分の被保険者期間と標準報酬の記録を印刷して保存しておく。記録の誤りは在職中の方が圧倒的に訂正しやすく、事業所が適用事業所でなくなった後は照会先の窓口が細くなる
法人であれば、従業員が代表者1人であっても強制適用事業所であり、8条による取消しはそもそも使えない(6条1項)。8条が使えるのは、任意に適用事業所となった個人事業所に限られる。業界裏話ヒント:実態を変えずに手続だけで適用を外そうとする設計は、後の調査で遡って是正され、保険料を延滞金付きで請求される。負担が重いなら、脱退ではなく納付の猶予や分割納付を年金事務所に相談する方が、結果的に事業も従業員も守られる。この選択肢を最初に案内するかどうかで、社会保険労務士の質が分かれる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 場面 | 厚年法 8 条:任意適用事業所から抜ける(出口) | — |
| 必要な同意 | 使用される者の 4 分の 3 以上 | — |
| 公的関門 | 厚生労働大臣の認可(申請主体は事業主) | — |
| 働く人への効果 | 認可日に資格喪失(14 条)、将来の上乗せ給付が消える | — |
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