警察法 第61条(管轄区域外における権限)
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都道府県警察は、居住者、滞在者その他のその管轄区域の関係者の生命、身体及び財産の保護並びにその管轄区域における犯罪の鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕その他公安の維持に関連して必要がある限度においては、その管轄区域外にも、権限を及ぼすことができる。
この条文の基本情報
管轄区域外における権限とは何ですか?
定義管轄区域外における権限とは、警察法第61条に定められた規定で、「都道府県警察は、居住者、滞在者その他のその管轄区域の関係者の生命、身体及び財産の保護並びにその管轄区域における犯罪の鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕その他公安の維持に…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 警察法第61条(管轄区域外における権限)は、日本の警察法に含まれる条文です。
- 警察法第61条の条文原文は「都道府県警察は、居住者、滞在者その他のその管轄区域の関係者の生命、身体及び財産の保護並びにその管轄区域における犯罪の鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕その他公安の維持に…」で始まります。
- 警察法第61条は第四節 都道府県警察相互間の関係等に置かれています。
- 警察法の公布日は昭和29年6月8日です。
- 警察法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 警察法第61条の前の条は警察法第60条の3です。
- 警察法第61条の次の条は警察法第61条の2です。
- 警察法第61条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第61条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000162 - 本サイト収録
警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第61条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000162/61
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点警察法61条は、都道府県警察が自区域の関係者の保護や、自区域の犯罪の捜査・被疑者の逮捕など公安維持に必要な限度で、管轄区域外にも権限を及ぼせると定める。
Q · 他の県で起きた事件で、その県の警察が自分の住む県まで来て捜査できるの?
できる。事件地の県警は捜査・逮捕のため越境可能
警察法61条により、都道府県警察は、自分の管轄区域で起きた犯罪の捜査や被疑者の逮捕など公安の維持に関連して必要な限度であれば、管轄区域外でも権限を行使できます。区域の住民や滞在者の生命・身体・財産を守るための越境も認められます。ただし越境の根拠は目的に限られ、他県を自分の管轄のように扱えるわけではありません。通常逮捕には裁判官の逮捕状が必要です(刑事訴訟法199条)。
解説
県境は、警察にとって壁ではない。大阪で詐欺をはたらいた人物が東京のマンションに逃げ込んでも、大阪府警の捜査員は新幹線に乗って東京まで来て、令状を示して逮捕できる。根拠が警察法61条である。日本の警察は都道府県ごとに置かれ、原則として自分の管轄区域の中で動く(64条)。そのうえで本条は、区域外でも権限を使ってよい場合を二つに絞っている。一つは、自分の区域に住む人や滞在する人などの生命・身体・財産を守る場合。もう一つは、自分の区域で起きた犯罪を鎮圧・捜査し、被疑者を逮捕するなど、公安の維持に関連する場合である。つまり「どこで起きた事件か」「誰を守るためか」が越境の許可証になる。この線を知らないと、次の二つを見落とす。あなたが被害者なら、犯人が遠くへ逃げても事件担当の警察が追ってこられる。あなたが疑われる側なら、自宅に来た警察官がどこの県警で、どの事件の担当かによって、その後の身柄拘束の場所がまるごと変わる。
法的な位置づけ
警察法61条は、都道府県警察の管轄区域外における権限行使を定める規定である。管轄区域の居住者・滞在者その他の関係者の生命・身体・財産の保護、および管轄区域における犯罪の鎮圧・捜査、被疑者の逮捕その他公安の維持に関連して必要な限度で、区域外への権限行使を認める。同法64条の区域内原則に対する目的限定の例外として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.連絡してきた警察の所属と担当事件を確認する 他県警から電話や訪問があったら、所属する都道府県警察・警察署名・担当者の氏名・担当事件を聞き取り、メモに残す。電話の場合は、その警察署の代表番号に自分からかけ直して本物かを確認する
- 2.令状の有無と記載内容を確認する 自宅に来た場合、逮捕状や捜索差押許可状が示されたら、被疑事実・発付した裁判所・有効期間を読む。令状がなければ任意の協力要請であり、その場で応じるかを判断できる
- 3.任意段階なら出頭前に弁護士へ相談する 任意出頭の要請であれば、応じる前に弁護士に相談し、出頭の日時・場所の調整や同行を依頼する。事件地の弁護士に依頼すると、その後の身柄移送や勾留にも対応しやすい
- 4.逮捕されたら当番弁護士を呼ぶ 逮捕された場合は黙秘権を意識し、当番弁護士の派遣を求める。移送先の地域の弁護士会が対応する。家族には移送先の警察署名を伝え、差し入れや面会の段取りを依頼する
よくある質問 AI による整理
Q1警察の管轄区域とは何ですか?
各都道府県警察が職権を行使する地理的範囲で、原則として当該都道府県の区域です。警察法64条が区域内での職権行使を原則として定めています。
Q2県外で被害に遭ったら被害届はどこに出す?
最寄りの警察署で出せます。犯罪捜査規範61条により、警察官は管轄区域の事件かどうかを問わず被害届を受理する必要があり、その後に事件地の警察へ引き継がれます。
Q3他県警から任意出頭の電話が来たら応じるべき?
応じる前に、所属・担当者名・担当事件を確認し、折り返しは警察署の代表番号にかけて本物かを確かめます。そのうえで事件地の弁護士に相談するのが安全です。
Q4他県で逮捕されたら身柄はどこに移される?
通常は事件地の警察署に移され、勾留や起訴の判断も事件地の検察庁が行います。家族の面会や弁護人選びも事件地が基準になります。
Q5越境捜査で地元の警察は協力する?
実務では、事件地の県警が越境先の県警に事前連絡や協力要請をするのが通例です。警察法60条には他の都道府県警察への援助要求の規定もあります。
Q6警察法61条の「必要がある限度」とはどこまで?
自区域の関係者の保護、または自区域の犯罪の鎮圧・捜査・逮捕など公安維持に関連する範囲に限られます。目的と関係のない越境は本条の根拠を欠きます。
Q7県境近くの事件はどちらの警察が扱う?
境界周辺の事案については、警察法60条の2が区域外での権限行使を別途定めています。事案の発生地や状況に応じて関係県警が連携して対応します。
Q8ネット取引の詐欺はどこの県警が捜査する?
被害届が受理され事件を担当する県警が捜査し、売り手が他県にいれば本条に基づき越境して捜査・逮捕します。被害者の地元の県警が担当となることも多くあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1他の県の警察が、いきなり家に来て逮捕なんてできるんですか?
できます。事件がその県警の管轄区域で起きていれば、捜査や被疑者の逮捕のために区域外へ出て権限を使えます(警察法61条)。通常逮捕には裁判官の逮捕状が必要です(刑事訴訟法199条)。実務のポイント:越境して逮捕するときは、現地の警察に事前に連絡したり協力を求めたりするのが実務上の通例です。地元の警察署の人が一緒に来ることがあるのはそのためです
Q2管轄外の警察官がやった逮捕って、違法になりませんか?
本条の目的の範囲内で行われていれば適法です。自分の区域の事件の捜査に関連しているかどうかが分かれ目になります。また現行犯逮捕は、どの地域でも警察官の職権として行えます(警察法65条)。実務のポイント:越境の目的が外れていたことを理由に証拠の排除まで認めさせるのは、実務上ハードルが高いです。弁護人はむしろ、移送による防御上の不利益を勾留の必要性の判断で主張することが多いです
間違えやすい点 AI による整理
- 「警察は全国一つの組織だから、どこの警察官でも何でもできる」と思われがちだが、実際は都道府県警察ごとの分権型である。区域外での権限行使は本条の目的に限られる。ただし現行犯逮捕だけは例外で、警察官はどの地域でも職権を行える(65条)
- 越境捜査があること自体は多くの人が知っている。見落とされているのは、その深刻さのほうである。他県警に逮捕されると、身柄は事件地の警察署に移され、勾留や起訴の判断もその地の検察庁が行うのが通常である。仕事、家族との面会、弁護人選びまで、生活の拠点ごと引きはがされる
- 「どこの警察に被害届を出せばいいのか」と迷う人は多い。ただ、その迷い方がそもそもずれている。犯罪捜査規範61条は、管轄区域の事件かどうかを問わず被害届を受理するよう警察官に求めている。窓口で迷う必要はない。考えるべきは、どの県警が事件を担当し、越境して動けるかである
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の内容 | 警察法61条:目的限定で管轄区域外にも権限を及ぼせる | 警察法64条:管轄区域内での職権行使が原則 警察法65条:現行犯逮捕はどの地域でも職権で可能 |
| 越境の要件 | 自区域の関係者保護または自区域の犯罪捜査・逮捕等に関連し必要な限度 | 越境を想定しない(区域内が前提) 現行犯であること(刑事訴訟法212条) |
| 典型場面 | 大阪で起きた詐欺の被疑者を大阪府警が東京で逮捕 | 東京で起きた事件を警視庁が東京で捜査 旅行中の警察官が旅先で目撃したひったくり犯を逮捕 |
| 近接規定との違い | 区域の関係者・区域内事件に結び付けて越境を許す一般規定 | 60条の2は境界周辺の事案に限った区域外権限 60条は他の都道府県警察への援助要求 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は内政部警政署のもとで全国の警察が一元的に指揮監督されるため、日本のような都道府県単位の区域外権限規定の必要性が小さい
韓国は2021年に自治警察制度を導入したが、犯罪捜査は主に国家警察が担うため、県境越えの権限問題は日本ほど前面に出ない
ドイツも州ごとの警察制度をとり、州境を越えた逃走者の追跡(Nacheile)と逮捕を裁判所構成法で認めている点で日本と問題状況が近い
米国は州ごとの法執行機関が並立するため、州境を越えた追跡を認める統一法を多くの州が採用している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 朝6時、東京の自宅インターホンに映ったのは「福岡県警です」と名乗る私服の二人組だった。あなたが半年前にネットで売った商品をめぐる詐欺の容疑で、福岡の被害者が被害届を出していた。逮捕されれば、あなたは福岡の警察署へ移される。勾留も取調べも福岡で進む。家族が差し入れに行くだけでも飛行機代がかかる
- もし、旅行先の北海道で財布を盗まれ、犯人が地元の横浜に住む人間だと分かったら、どうなる? 事件を扱うのは現場を管轄する北海道警である。道警は本条にもとづき神奈川で捜査し、逮捕までできる。あなたが横浜に帰ってから神奈川県警に相談しても、窓口で道警に引き継がれることになる
- 実家の母が、他県に住む「息子」を名乗る電話で現金をだまし取られた。受け子はすでに県外に出ている。防犯カメラの映像は、多くの場合1週間から1か月程度で上書きされる。被害に気付いた当日に被害届を出すかどうかで、越境捜査の手がかりが残るかどうかが決まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 被害に気付いたら、事件地がどこであっても最寄りの警察署で被害届を出す(犯罪捜査規範61条にもとづく受理義務) 2. 受理番号、担当者名、担当署を控える3. 加害者の住所・アカウント・振込先など、越境捜査の手がかりになる情報をまとめて提出する4. 事件地の警察へ引き継がれたら、以後の連絡先を確認し、防犯カメラ映像などの保全を早めに依頼する
訴えられた側:1. 他県警から連絡や訪問があったら、所属・氏名・担当事件を確認する。令状があれば記載内容を読む2. 任意の段階なら、出頭の前に弁護士に相談する3. 逮捕されたら黙秘権を意識し、当番弁護士を呼ぶ(移送先の弁護士会が対応する) 4. 越境の目的が本条の範囲を外れている疑いがあれば、弁護人と手続の違法を争うか検討する。ただし、これが決め手になる事案は多くない
時効(請求できる期限):本条そのものに時効はない。ただし逮捕された場合、警察は48時間以内に検察官へ送致し、検察官は24時間以内に勾留請求するかどうかを判断する。勾留は原則10日で、延長されると最大20日(刑事訴訟法203条、205条、208条)。移送の移動時間もこの時間制限に含まれる
学説
一般的理解:本条は都道府県警察制度の分権的構造を前提に、区域外での権限行使を管轄区域の関係者の保護と区域内の公安維持への関連性という目的に結び付けて認めたものと理解されている。越境先の区域を包括的に自らの管轄とする趣旨ではない
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和29年(1954年) 新設:旧警察法(昭和22年)の国家地方警察と自治体警察の二本立てを廃止し、現行警察法が制定され都道府県警察に一本化。あわせて本条により管轄区域外での権限行使の根拠が定められた
- 警察法 第64条管轄区域内での職権行使の原則
- 警察法 第65条現行犯逮捕は全地域で職権行使可
- 警察法 第60条の2境界周辺の事案での区域外権限
- 警察法 第60条他の都道府県警察への援助要求
- 警察法 第36条都道府県警察の設置と責務
- 刑事訴訟法 第199条越境逮捕にも必要な逮捕状の要件
- 刑事訴訟法 第212条現行犯人の定義、65条の前提
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