最低賃金法 第12条(地域別最低賃金の改正等)
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厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、地域別最低賃金について、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して必要があると認めるときは、その決定の例により、その改正又は廃止の決定をしなければならない。
この条文の基本情報
地域別最低賃金の改正等とは何ですか?
定義地域別最低賃金の改正等とは、最低賃金法第12条に定められた規定で、「厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、地域別最低賃金について、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して必要があると認めるときは、…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 最低賃金法第12条(地域別最低賃金の改正等)は、日本の最低賃金法に含まれる条文です。
- 最低賃金法第12条の条文原文は「厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、地域別最低賃金について、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して必要があると認めるときは、…」で始まります。
- 最低賃金法第12条は第二節 地域別最低賃金に置かれています。
- 最低賃金法の公布日は昭和34年4月15日です。
- 最低賃金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 最低賃金法第12条の前の条は最低賃金法第11条です。
- 最低賃金法第12条の次の条は最低賃金法第13条です。
- 最低賃金法第12条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第12条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000137 - 本サイト収録
最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第12条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000137/12
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点最低賃金法12条は、厚生労働大臣又は都道府県労働局長が、生計費・賃金・通常の事業の賃金支払能力を考慮し、必要があるときは地域別最低賃金を改正又は廃止すると定める規定である。
Q · 毎年10月に最低賃金が変わるのは、どの法律のどの条文が根拠なんですか?
最低賃金法12条。条文に「引上げ」とは書かれていない
最低賃金法12条が根拠です。厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して必要があると認めるときは、その決定の例により地域別最低賃金の改正又は廃止を決定しなければなりません。「その決定の例により」とは、最初の決定と同じく最低賃金審議会への諮問、意見の公示、関係労働者・関係使用者の異議申出(法10条)を経ることを意味します。決定は公示の日から起算して30日を経過した日に発効します(法14条1項)。
解説
毎年10月、地域別最低賃金が改定される。ニュースは「今年は何円アップ」としか伝えないが、その改定を命じているのが本条である。よく読むと、書いてあるのは「改正又は廃止の決定をしなければならない」。引上げとは一言も書かれていない。判断材料は三つだけ、地域の労働者の生計費、地域の賃金水準、そして通常の事業の賃金支払能力。この三つ目こそ、経営者側が毎年の審議会で盾にする条文上の根拠である。さらに「その決定の例により」という一句が効いている。改定は最初の決定とまったく同じ手続、つまり最低賃金審議会への諮問、その意見の公示、そして関係労働者・関係使用者からの異議申出(法10条)を経る。あなたが働く側でも雇う側でも、公示から15日以内なら、この改定に正面から異議を申し出る資格がある。使う人は、ほとんどいない。
法的な位置づけ
最低賃金法12条は、地域別最低賃金の改正及び廃止の決定手続を定める規定である。決定権者は厚生労働大臣又は都道府県労働局長であり、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力という三要素を考慮し、必要があると認めるときは、最初の決定と同一の手続(同法10条)により改正又は廃止を決定する義務を負う。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分の都道府県の改定額と発効日を確認する 毎年8月頃に都道府県労働局長が公示する地域別最低賃金の改定内容と、公示の日から起算して30日を経過した発効日(法14条1項)を確認する。隣県と発効日が数日ずれる年もあるため、事業所ごとに個別に押さえる
- 2.公示から15日以内に異議申出を検討する 審議会の意見の公示に納得できない場合、関係労働者又は関係使用者として公示の日から15日以内に異議を申し出る(法10条4項)。異議が出れば審議会に改めて意見を求める手続に入る。人件費比率・営業利益率・地域の求人賃金の実額など数字を添える
- 3.全従業員の賃金を時間額に換算して判定する 月給者は1か月平均所定労働時間で除して時間額を算出する。通勤手当・家族手当・精皆勤手当・臨時の賃金・賞与・時間外や休日、深夜の割増賃金は算入しない(法4条3項、施行規則1条)。手当込みでクリアという計算は通らない
- 4.発効日までに賃金規程とシステムを更新する 就業規則・賃金規程の時間額、シフト管理システムや給与計算システムの単価設定を、発効日以降の労働時間に新額が適用されるよう書き換える。締め日と発効日がずれる月は、日割りで旧額・新額を分けて計算する
- 5.下回っていた期間があれば差額を遡って支払う 発効日以降に新額を下回った期間があれば、その合意は無効となり最低賃金額に置き換わる(法4条2項)。差額を未払賃金として遡って支払い、是正記録を残す。労働者側は書面で請求し、応じなければ労働基準監督署へ申告する
よくある質問 AI による整理
Q1最低賃金法12条とは何ですか?
地域別最低賃金の改正・廃止の決定手続を定めた条文です。厚生労働大臣又は都道府県労働局長が、生計費・賃金・通常の事業の賃金支払能力を考慮して決定します。
Q2最低賃金の改定はいつから発効しますか?
改定の決定は公示され、公示の日から起算して30日を経過した日に効力が生じます(法14条1項)。実務上は毎年10月1日前後の発効が通例です。
Q3最低賃金は引き下げられることもありますか?
条文上はあり得ます。12条が命じるのは「改正又は廃止」であり、引上げとは書かれていません。三つの考慮要素が逆を向けば理論上は引下げも成立します。
Q4最低賃金の改定に異議は申し出られますか?
できます。審議会の意見が公示された後、関係労働者又は関係使用者は公示の日から15日以内に異議を申し出られます(法10条4項)。個人でも資格があります。
Q5最低賃金を下回る時給は違法ですか?
違法です。最低賃金額に達しない賃金の定めは無効となり最低賃金額に置き換わり(法4条2項)、地域別最低賃金違反には50万円以下の罰金が定められています(法40条)。
Q6最低賃金の目安はいつ決まりますか?
毎年7月末頃に中央最低賃金審議会が引上げ額の目安を答申し、これを踏まえて8月に各都道府県の地方最低賃金審議会が答申します。改定の実質的な山場は7月から8月です。
Q7最低賃金が都道府県ごとに違うのはなぜですか?
地域別最低賃金は「地域における」労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して決めるためです(法9条、12条)。地域差は制度上の前提です。
Q8最低賃金が改定されたら就業規則も直す必要がありますか?
賃金額を下回る条項は無効となり最低賃金額に置き換わるため、実務上は就業規則の賃金条項と勤怠・給与システムの単価設定を発効日までに更新する必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1最低賃金って、そもそも誰が決めてるんですか?
法律上の決定権者は厚生労働大臣または都道府県労働局長です(法10条、本条12条)。ただし決定の前に最低賃金審議会の調査審議を求め、その意見を聴かなければならず、実務ではこの答申どおりに決まります。実務のポイント:地方最低賃金審議会は公益・労働者・使用者の各代表で構成され、委員名簿も議事録も公開されている。自分の県の使用者代表がどの業界から出ているかを見ると、翌年の引上げ幅の温度感がかなり読める
Q2うちの県だけ引上げ額が低いんですけど、文句を言う手段はないんですか?
あります。本条は改正も最初の決定と同じ手続によるとしており、審議会の意見が公示された後、関係労働者または関係使用者は公示の日から15日以内に異議を申し出られます(法10条4項)。異議が出れば、審議会に改めて意見を求める手続に入ります。実務のポイント:この制度は毎年動いているのに利用はごく少ない。労組も業界団体も、公示を待たず審議中に意見書を出すルートを本命にしている。公示後の異議は最後の手段で、本番は7月から8月の審議期間である
Q3時給は最低賃金ぴったりなんですが、通勤手当を足せばセーフですよね?
セーフになりません。比較に算入されるのは所定労働時間に対応する基本的な賃金のみで、通勤手当・家族手当・精皆勤手当・臨時の賃金・賞与・時間外や休日、深夜の割増賃金は除外されます(法4条3項、最低賃金法施行規則1条)。実務のポイント:監督署の調査で最も多い指摘が、この手当込みでクリアという誤解。特に月給制は所定労働時間で割った時間額で判定されるため、固定残業代を組み込んだ賃金設計ほど下回りやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 「今年の最低賃金は誰が決めたのか」と問う人は多いが、問いの立て方がずれている。法律上の決定権者は厚生労働大臣または都道府県労働局長という行政庁であり、最低賃金審議会は意見を述べる機関にすぎない(法10条、12条)。ところが実務では答申どおりに決定されるのが通例で、働きかけるべき相手は決定権者ではなく審議会の側にある。この構造を知らないと、陳情先を間違える。
- 最低賃金が上がることは知っていても、その効力の強さまで知る人は少ない。最低賃金額に達しない賃金の合意は無効となり、最低賃金額と同じ定めをしたものとみなされる(法4条2項)。労使が合意していても、本人が納得のうえサインしていても無効である。差額は未払賃金として遡って請求され、支払わなければ罰則が控えている。
- 「最低賃金は毎年必ず上がる」と信じられているが、条文にその保証はどこにもない。本条が命じるのは生計費・賃金・通常の事業の賃金支払能力という三要素の考慮であり、要素が逆を向けば理論上は引下げも廃止もありうる。実際、景気後退局面では目安が「現行水準の維持」とされた年度もある。上がり続けているのは政策判断の積み重ねであって、法律が約束した結果ではない。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 12条:地域別最低賃金の改正・廃止の決定義務 | 9条:地域別最低賃金の原則と三考慮要素の定義 10条:最初の決定手続(諮問・公示・異議申出) |
| 誰が動くか | 厚生労働大臣又は都道府県労働局長(改定の決定権者) | 決定権者が考慮すべき要素を定めるのみ 最低賃金審議会(調査審議・答申)と関係労使(異議申出) |
| 労使が介入できる場面 | 「その決定の例により」を通じて10条の異議申出が準用される | 介入の場面を直接は定めていない 意見の公示から15日以内の異議申出(4項) |
| 効力が生じる時点 | 改正決定の公示後、14条1項により公示から30日経過日 | — 決定自体は14条により効力発生時期が定まる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は2024年施行の最低工資法により、それまで労働基準法上の基本工資として運用されてきた制度を独立法化した。最低工資審議会が毎年審議し、中央主管機関が公告する点で日本の審議会方式に近いが、考慮指標として消費者物価指数の参照が制度上より強く位置付けられている
韓国は雇用労働部長官が毎年8月上旬までに最低賃金を決定・告示し、翌年1月1日から適用する。決定前に最低賃金委員会の審議を経る点、告示後に異議申立ての機会がある点は日本と同型だが、全国一律の単一額である点が地域別の日本と決定的に異なる
ドイツは2015年に全国一律の法定最低賃金を導入し、労使同数で構成する Mindestlohnkommission が定期的に改定を議決、政府が法規命令で効力を与える。地域別ではなく全国一律である点、改定の起点が政府の諮問ではなく委員会の議決である点が日本と異なる
米国の連邦最低賃金は自動改定の仕組みを持たず、額を変えるには議会の立法が必要である。そのため長期間据え置かれることがあり、実際の水準は州法・市条例が上乗せして決めている。日本のような毎年の行政決定サイクル自体が存在しない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは従業員8人の居酒屋を経営している。8月下旬に県の最低賃金の改定が公示され、発効まで残り約30日。時給を据え置いたまま10月分の給与を払えば、その瞬間に法4条1項違反となり、50万円以下の罰金の対象になる(法40条)。就業規則の賃金条項とシフト管理システムの単価設定、両方を今月中に書き換える必要がある。
- もし、あなたの県の引上げ額が隣県より20円低かったら、どうする? その差は中央最低賃金審議会が示す「目安」のランク区分と、県の地方最低賃金審議会の判断で決まっている。決定の前提となる審議会の意見は公示され、そこから15日以内であれば異議を申し出られる(法10条4項)。県境をまたいで通勤する人ほど、この20円は生活に直撃する。
- パート先の時給が、9月まで1,010円、10月から1,050円になった。誰も説明してくれない。本条に基づく改正決定が、あなたの雇用契約を頭越しに書き換えた結果である。
- 地方最低賃金審議会の使用者側委員から、あなたの業界団体に意見照会が来た。回答期限は2週間。「支払能力が限界」と書くだけでは審議の材料にならない。本条が求めているのは印象ではなく、人件費比率、営業利益率、地域の求人賃金の実額という数字である。それを添えられるかどうかで、審議会での重みが変わる。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分の都道府県の地域別最低賃金額と発効日を、都道府県労働局または厚生労働省の公表で確認2. 直近の給与明細と勤怠記録から実支給額を時間額に換算。このとき通勤手当・家族手当・精皆勤手当・賞与・時間外や深夜の割増賃金は算入しない(法4条3項、施行規則1条) 3. 下回っていれば、その合意は無効で最低賃金額に置き換わる(法4条2項)。差額は未払賃金として請求できる4. 会社に書面で請求し、応じなければ労働基準監督署へ申告する。申告を理由とする不利益取扱いは法律上禁止されている
訴えられた側:1. 公示された改定額と発効日を確認し、発効日以降の全労働時間に新額を適用2. 月給者は所定労働時間で割った時間額で判定する。手当を足せばクリアという計算は通らない(施行規則1条) 3. 下回っていた期間があれば差額を遡って支払い、是正の記録を残す4. 「支払能力がない」は据置きの理由にならない。本条の「通常の事業の賃金支払能力」は地域の通常の事業を指し、個別企業の経営状況ではない。業務改善助成金など原資側の制度を先に押さえる
時効(請求できる期限):本条自体に期限の定めはないが、実務のカレンダーは毎年ほぼ固定:7月末に中央最低賃金審議会が目安を答申、8月に地方最低賃金審議会が答申し都道府県労働局長が公示、公示の日から起算して30日を経過した日に発効(法14条1項、通例10月1日前後)。審議会の意見の公示に対する異議申出は公示の日から15日以内(法10条4項)。最低賃金との差額請求は賃金債権として支払期日から5年、ただし当分の間3年(労働基準法115条、同法附則143条3項)
学説
通説:12条の「通常の事業の賃金支払能力」は、地域において通常の経営を営む事業を基準とするものであり、経営難にある個別企業の資力を指さない。したがって自社の赤字は改定額の適用を免れる理由にならず、原資対策は助成金など別制度で手当てすべきものと解される。
通説:12条の「その決定の例により」は手続の全面的な準用を意味し、改定時にも10条の諮問・公示・異議申出が働く。決定権者は行政庁であって審議会ではないが、実務上は答申どおりに決定されるため、影響力を行使すべき局面は決定前の審議段階にあると理解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成19年(2007年)最低賃金法の大改正 地域別最低賃金をすべての労働者に適用される安全網として位置付け直し、生計費の考慮にあたり生活保護に係る施策との整合性に配慮する旨を明記、罰金額も引き上げられた。本条の条番号および文言が現行の形に至った経緯は要人的検証
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:最低賃金法制定。業者間協定方式を出発点として、最低賃金の決定・改正・廃止の手続を法定した
- 2.平成19年(2007年) 改正:最低賃金法の大改正。地域別最低賃金をすべての労働者に適用される安全網として位置付け直し、生計費の考慮にあたり生活保護に係る施策との整合性に配慮する旨を明記、罰金額も引き上げられた
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