国税徴収法 第117条(国税等の完納による売却決定の取消し)
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税務署長は、換価財産に係る国税(特定参加差押不動産を換価する場合にあつては、特定参加差押えに係る国税又は換価同意行政機関等の滞納処分による差押えに係る国税、地方税若しくは公課)の完納の事実が買受人の買受代金の納付前に証明されたときは、その売却決定を取り消さなければならない。
この条文の基本情報
国税等の完納による売却決定の取消しとは何ですか?
定義国税等の完納による売却決定の取消しとは、国税徴収法第117条に定められた規定で、「税務署長は、換価財産に係る国税(特定参加差押不動産を換価する場合にあつては、特定参加差押えに係る国税又は換価同意行政機関等の滞納処分による差押えに係る国税、地方…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第117条(国税等の完納による売却決定の取消し)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第117条の条文原文は「税務署長は、換価財産に係る国税(特定参加差押不動産を換価する場合にあつては、特定参加差押えに係る国税又は換価同意行政機関等の滞納処分による差押えに係る国税、地方…」で始まります。
- 国税徴収法第117条は第五款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第117条の前の条は国税徴収法第116条です。
- 国税徴収法第117条の次の条は国税徴収法第118条です。
- 国税徴収法第117条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第117条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第117条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/117
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法117条は、換価財産に係る国税の完納が買受人の代金納付前に証明されたときは、税務署長は売却決定を取り消さなければならないと定める。代金納付後は取消しできない。
Q · 公売で落札者が決まった後でも、税金を全部払えば売却は取り消せますか?
買受人が代金を納める前に完納すれば取り消されます
国税徴収法117条により、換価財産に係る国税の完納の事実が買受人の買受代金の納付前に証明されたときは、税務署長は売却決定を取り消さなければなりません。裁量ではなく義務です。特定参加差押不動産を換価する場合は、特定参加差押えに係る国税のほか、換価同意行政機関等の滞納処分による差押えに係る国税・地方税・公課も完納の対象となります。一方、買受人が買受代金を納付した時点で所有権は買受人に移転するため(同法116条)、その後は取消しを求めることができません。分かれ目は代金納付という一点だけです。
解説
差し押さえられた不動産が競売にかけられ、落札者まで決まった。もう終わりだと思うのが普通だ。だが国税徴収法117条は、そこにもう一枚の扉を残している。買受人が代金を納付する前に、あなたが滞納していた国税を全額納めたことを証明できれば、税務署長は売却決定を「取り消さなければならない」。裁量ではない、義務である。ここで効いてくるのは「代金納付前」という一点だけだ。落札が決まった日でも、代金納付の期限日の朝でも、納付が済んでいなければ間に合う。逆に買受人が代金を納めた瞬間、所有権は買受人に移り(同法116条)、この扉は永久に閉じる。あなたが親族や取引先から資金をかき集めるために残された時間は、公売の落札日から代金納付期限までの、わずか数日である。その数日を知っているかどうかで、自宅を失うか取り戻すかが分かれる。
法的な位置づけ
国税徴収法117条は、公売手続における売却決定の取消義務を定める規定である。換価財産に係る国税(特定参加差押不動産を換価する場合は、特定参加差押えに係る国税又は換価同意行政機関等の滞納処分による差押えに係る国税・地方税・公課)の完納の事実が買受人の買受代金の納付前に証明されたときは、税務署長は当該売却決定を取り消さなければならない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.買受代金が納付済みかを最優先で確認する 税務署の徴収担当に電話し、税額の相談より先に「買受人は買受代金をもう納付しましたか」を確認する。納付済みなら所有権は既に移転しており(同法116条)、117条による取消しの余地はない。未納付であれば次のステップに進む
- 2.納付期限日から逆算して残り時間を確定する 公売公告と売却決定通知書に記載された買受代金の納付期限日を確認し、資金調達の締切を逆算する。期限当日に納付しても完納の証明が翌日になれば間に合わない危険があるため、実質的な締切は期限の前日と考える
- 3.その日に納めるべき完納額を数字で確定する 徴収担当に「本日納付する場合の完納額」を照会する。本税に延滞税、場合により滞納処分費を加えた総額であり、延滞税は日々増える。特定参加差押不動産の場合は、他の行政機関の差押えに係る地方税・公課まで対象に含まれるかを必ず確認する
- 4.審査が数日で終わる資金調達手段を並行して当たる 銀行の通常審査は間に合わないことが多い。親族・取引先からの一時借入、不動産担保ローン、事業者向けの短期資金など、数日で実行できる手段を同時並行で打診する。要件は完納の事実のみであり、資金の出所は問われない
- 5.納付後ただちに完納の事実を証明し、取消しを求める 納付書控えや電子納税の受信通知を持参し、買受代金の納付前に完納の事実が証明された状態を作る。証明が到達すれば税務署長は売却決定を取り消さなければならず、情に訴える必要はない。取消しは関係者に通知される(同法118条)
よくある質問 AI による整理
Q1売却決定の取消しとは何ですか?
公売で決まった売却決定を税務署長が撤回する処分です。国税徴収法117条により、買受代金の納付前に国税の完納が証明された場合、税務署長は取り消さなければなりません。
Q2公売の買受代金の納付期限はいつまでですか?
売却決定の際に税務署長が指定します(国税徴収法115条)。公売公告および売却決定通知書に記載され、通常は売却決定から数日以内です。この期限が117条を使えるタイムリミットになります。
Q3完納の事実はどうやって証明しますか?
納付書控えや電子納税の受信通知など、納付の事実が分かる資料を徴収担当に提示します。証明が買受代金の納付前に到達していることが要件のため、納付後は直ちに提出することが重要です。
Q4売却決定が取り消されたら不動産はどうなりますか?
換価手続は終了し、財産は滞納者のもとに残ります。取消しは関係者に通知され(同法118条)、買受人が納付済みの公売保証金は返還の対象となります(同法100条の枠組み)。
Q5地方税も完納しないと売却決定は取り消されませんか?
特定参加差押不動産を換価する場合は、特定参加差押えに係る国税に加え、換価同意行政機関等の滞納処分による差押えに係る国税・地方税・公課も完納の対象です。国税だけでは足りない場合があります。
Q6換価の猶予を申請すれば公売は止まりますか?
換価の猶予は換価を先送りする別制度で、117条の取消しとは要件も窓口も異なります。公売の最終盤で申し出ても間に合わないことが多く、猶予の相談は公売手続の開始前に行うのが原則です。
Q7税務署長は完納しても取消しを拒否できますか?
できません。条文は「取り消さなければならない」と定めており、完納の事実が代金納付前に証明された以上、税務署長に拒否する裁量はありません。立証すべきは納付の事実のみです。
Q8動産の公売でも同じルールが適用されますか?
117条は換価財産一般を対象としており、動産・不動産を問わず適用されます。ただし動産は買受代金の納付が即日に近いことも多く、実際に動ける時間は不動産より短くなりがちです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1落札されちゃったんですが、今から全額払えば家は戻ってきますか?
買受人が買受代金をまだ納付していなければ戻る可能性があります。国税徴収法117条により、完納の事実が代金納付前に証明されれば税務署長は売却決定を取り消さなければなりません。逆に納付済みなら116条で所有権が買受人に移り、手段はなくなります。実務のポイント:徴収担当に電話して真っ先に聞くべきは「買受代金はもう納付されましたか」の一言。この確認をせずに資金調達に走ると、間に合わない案件に時間と信用を使い果たす
Q2延滞税まで含めて全部払わないとダメなんですか?一部じゃ無理?
全額です。条文は「完納の事実」を要件としており、一部納付では売却決定は取り消されません。本税に加えて延滞税、場合により滞納処分費も含めた総額の確認が必要です。実務のポイント:滞納税額は日々延滞税が増えるため、昨日聞いた金額で振り込むと数百円足りずに完納にならないことがある。納付する当日に「本日納付する場合の完納額」を数字で確認し、端数は多めに納める
Q3公売で落札したのに取り消されたら、払った保証金はどうなりますか?
滞納者の完納による取消しは買受人の責めによるものではないため、納付済みの公売保証金は返還されます(国税徴収法108条、100条の返還規定の枠組み)。買受代金を納付していた場合は所有権が既に移転しており、そもそも117条の取消しは生じません。実務のポイント:公売物件の投資では、代金納付を済ませるまで物件は他人のものと考える。落札直後に工事や転売の契約を入れる投資家が、取消しで違約金を抱える事例がある
間違えやすい点 AI による整理
- 「落札者が決まった時点で不動産は他人のものになる」と思われているが、法的な所有権移転時期は買受代金の納付時である(国税徴収法116条)。落札決定と所有権移転の間には数日の空白があり、117条はまさにその空白に効く。この時間差の存在を知らない滞納者が、動けるはずの数日を諦めて過ごしている
- 「一部でも納めれば税務署は考慮してくれるはず」という期待は、条文の構造を読み違えている。117条が要求するのは「完納」であり、9割納めても売却決定は取り消されない。分納の相談は公売開始前に済ませるべきもので、公売の最終盤に持ち込むカードではない
- 税務署長の判断次第で取り消してもらえるかどうかが決まると考えがちだが、条文は「取り消さなければならない」と定める。完納の事実が証明された以上、税務署長に拒否する裁量はない。あなたが立証すべきは納付の事実だけであり、事情を訴えて情に働きかける必要はまったくない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 117条:完納による売却決定の取消義務 | 116条:買受代金の納付による権利移転の時期 115条:買受代金の納付の期限 |
| 時的な基準点 | 買受代金の納付前に完納の事実が証明されたか | 買受代金を納付した時(この瞬間に所有権が移る) 税務署長が指定した納付期限日 |
| 誰の行為が結果を決めるか | 滞納者の完納+証明の到達 | 買受人の代金納付 税務署長の期限指定と買受人の履行 |
| 税務署長の裁量 | なし(取り消さなければならない) | なし(納付により当然に権利移転) 期限の指定について一定の裁量あり |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾は債務者が拍定前に現款を提出して差押えの取消しを求められる。日本が「買受代金の納付前」まで扉を開けるのに対し、台湾は「拍定前」で閉じる点が実務上の大きな差
韓国も買受代金の納付前に体納額を納付した場合の売却決定取消しを定めるが、取消しの申請手続や買受人の地位の扱いに関する運用要件が日本と異なる
税務機関による強制執行措置として差押え・換価を定めるが、買受代金納付前の完納による取消しを一箇条で明文化する構造は採っていない
ドイツは執行債権が消滅した場合に強制執行を停止する一般規定(AO § 257)で処理し、不動産競売は ZVG の Zuschlag(競落許可)が権利移転の分水嶺となる
フランスは弁済により差押えの解除(mainlevée)を行う一般構造で、租税債権についても執行手続法の枠組みで処理される
米国内国歳入法は売却前の弁済による返還に加え、不動産については売却後180日以内の償還権を認める。日本の117条が代金納付で完全に閉じるのと対照的に、事後救済の窓が残る
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 自宅が公売にかけられ、開札で落札者が決まったという通知が届いた。もう手遅れだと思って封筒を閉じたが、実は買受代金の納付期限まであと5日ある。この5日間で滞納税額と延滞税を完納し、完納証明を税務署に提出できれば、売却決定は取り消される。銀行が動かないなら親族・取引先からの一時借入でも構わない。要件は完納の事実だけだ
- 経営していた会社の社会保険料と法人税の滞納で工場用地が公売に。買受人が決まった翌日、取引先が支援を申し出た。ここで確認すべきは一つ、買受人はもう代金を納付したか。まだなら117条が使える。納付済みなら116条により所有権は既に移転しており、取消しは不可能
- もし、複数の役所(税務署と市役所)から差押えを受けている不動産が公売にかかっていたら、どこまで納めれば取り消せるのか。特定参加差押不動産の場合、特定参加差押えに係る国税だけでなく、換価同意行政機関等の差押えに係る地方税・公課も対象になる。国税だけ納めて安心していると、取消しは認められない
- 公売の買受人となったあなたのもとに、突然「売却決定が取り消された」との通知が来る。滞納者が期限ぎりぎりで完納したためだ。買受人には落札物件を取得する権利はなく、納付済みの保証金は返還される。あなたが不動産投資で公売物件を狙うなら、代金納付までは物件は自分のものではないという前提で動く必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 売却決定通知書と公売公告で買受代金の納付期限日を確認、残り日数を把握する2. 税務署の徴収担当に滞納税額(本税・延滞税を含む全額)と、換価財産に係る国税の範囲を照会、特定参加差押不動産なら他の行政機関の税・公課も対象になるか確認3. 親族・取引先・不動産担保ローンなど、審査が数日で済む調達手段を並行して当たる4. 完納後ただちに納付書控えを持参し、完納の事実を証明して売却決定の取消しを求める
訴えられた側:公売の買受人側の場合。1. 最高価申込者になっても、代金納付までは所有権を取得していない前提で動く(国税徴収法116条) 2. 代金納付前のリフォーム発注・転売契約・賃貸募集は避ける、取消し時に自分が違約金を負う3. 取消しがあった場合、納付済みの保証金は返還される、返還手続と時期を徴収担当に確認4. 早期に代金を納付することが、滞納者の逆転完納の余地を消す唯一の方法である
時効(請求できる期限):買受人が買受代金を納付する時まで。完納の事実の証明が納付前に到達しなければ取消しは認められない。買受代金の納付期限は公売公告および売却決定通知に記載されており、通常は売却決定から数日以内。特定の消滅時効の問題ではなく、手続上の一点で扉が閉じる構造である(最新の運用状況をご確認ください)
学説
通説:滞納処分の目的は租税債権の満足にあり、完納によりその目的が達成された以上、換価を続行する法的な理由は消滅する。他方で無制限の取消しは公売の信頼性を損なうため、取消しの限界を買受代金の納付という客観的一点に固定したものと解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行国税徴収法の全部制定に伴い、完納による売却決定の取消しを税務署長の義務として明文化
- 2.平成31年(2019年) 改正:参加差押えをした行政機関等による換価の制度創設に伴い、特定参加差押不動産を換価する場合の完納対象(換価同意行政機関等の差押えに係る国税・地方税・公課を含む)を括弧書きで追加。施行は令和3年(2021年)
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