国税徴収法 第89条の2(参加差押えをした税務署長による換価)
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- 参加差押えをした税務署長は、その参加差押えに係る不動産(以下「参加差押不動産」という。)が第八十七条第三項(参加差押えの効力)の規定による催告をしてもなお換価に付されないときは、同項の滞納処分をした行政機関等の同意を得て、参加差押不動産につき換価の執行をする旨の決定(以下「換価執行決定」という。)をすることができる。ただし、参加差押不動産につき強制執行若しくは担保権の実行としての競売が開始されているとき、又は国税に関する法律の規定で換価をすることができないこととするものの適用があるときは、この限りでない。
- 2.前項の滞納処分をした行政機関等は、同項の参加差押えをした税務署長による換価の執行に係る同意の求めがあつた場合において、その換価の執行を相当と認めるときは、これに同意するものとする。ただし、同項の滞納処分による差押えに係る不動産につき既に他の参加差押えをした行政機関等による換価の執行に係る同意をしているときは、この限りでない。
- 3.換価執行決定は、第一項の参加差押えをした税務署長による換価の執行に係る同意をした行政機関等(以下「換価同意行政機関等」という。)に告知することによつてその効力を生ずる。
- 4.換価執行決定をした税務署長(次条において「換価執行税務署長」という。)は、速やかに、その旨を滞納者及び参加差押不動産(換価執行決定をしたものに限る。以下「特定参加差押不動産」という。)につき交付要求をした者に通知しなければならない。
この条文の基本情報
参加差押えをした税務署長による換価とは何ですか?
定義参加差押えをした税務署長による換価とは、国税徴収法第89条の2に定められた規定で、「参加差押えをした税務署長は、その参加差押えに係る不動産(以下「参加差押不動産」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第89条の2(参加差押えをした税務署長による換価)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第89条の2の条文原文は「参加差押えをした税務署長は、その参加差押えに係る不動産(以下「参加差押不動産」という。」で始まります。
- 国税徴収法第89条の2は第一款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第89条の2の前の条は国税徴収法第89条です。
- 国税徴収法第89条の2の次の条は国税徴収法第89条の3です。
- 国税徴収法第89条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第89条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第89条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/89_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法89条の2は、参加差押えをした税務署長が一番手の行政機関等の同意を得て自ら不動産を換価できる換価執行決定を定める。2015年1月施行。
Q · 差し押さえた役所が何年も売らないとき、後から参加差押えをした税務署が代わりに売れるんですか?
一番手の同意があれば、二番手の税務署が売却できます
国税徴収法89条の2により、参加差押えをした税務署長は、87条3項の催告をしてもなお換価されないとき、先に滞納処分をした行政機関等の同意を得て換価執行決定をし、自ら換価手続を進められます。ただし強制執行または担保権の実行としての競売が開始されている場合、および国税に関する法律により換価できない場合は決定できません(1項ただし書)。効力は同意した行政機関等への告知で発生し(3項)、滞納者と交付要求者への通知は事後の知らせです(4項)。通知が届いた時点で、手続はすでに動き出しています。
解説
税金を滞納して不動産を差し押さえられたとき、それを実際に売り払える権限を持つのは、最初に差押えをした一つの役所だけである。国税局が先に差押えていれば、後から来た税務署も市役所も「参加差押え」しかできず、自力では公売にかけられない。ところが一番手が事務量や処理順位の都合で動かないと、不動産は差押えの札が貼られたまま何年も凍結され、その間あなたの延滞税は年8.7%前後で積み上がり続ける。89条の2は、この構造的な塩漬けを壊すために2015年1月1日から動き出した規定である。参加差押えをした税務署長は、87条3項の催告をしてもなお換価されないとき、一番手の同意を取り付けて「換価執行決定」を出し、自らの手で売却手続を進められる。効力は一番手への告知で発生し、その後にあなたと交付要求をした債権者へ通知が飛ぶ。つまりその通知が届いた時点で、止まっていた時計はすでに動き出している。
法的な位置づけ
国税徴収法89条の2は換価執行決定を定める規定であり、参加差押えをした税務署長が、催告を経てもなお換価されない参加差押不動産について、先行して滞納処分をした行政機関等の同意を得たうえで、自ら換価の執行をする旨を決定できることを規定する。強制執行または担保権の実行としての競売が開始されている場合には適用されない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登記事項証明書で一番手を特定する 法務局またはオンラインで登記事項証明書を取得し、差押え・参加差押えの受付日を古い順に確認する。最初に差押えをした行政機関等が換価の主導権を持ち、89条の2の同意権者になる
- 2.参加差押えをした税務署へ催告と検討状況を照会する 参加差押えをしている税務署の徴収担当に、87条3項の催告が済んでいるか、換価執行決定の検討状況はどうかを確認する。前提事実が一つ欠けているだけで手続全体が止まっている例は珍しくない
- 3.換価の猶予・納税の猶予を検討する 資力があるなら換価の猶予(国税徴収法151条、申請によるものは151条の2で納期限から6か月以内)や納税の猶予(国税通則法46条)を検討する。認められれば法律上換価はできず、手続はそこで止まる
- 4.換価執行決定の通知が届いたら公売までを逆算する 通知の日付を起点に残り時間を逆算する。公売公告は原則として公売の日の10日前までに行われる(国税徴収法95条)。任意売却で買い手を探すなら、動ける期間は数週間しかない
- 5.買付証明を揃えて差押解除を交渉する 公売より高く売れる見込みがあるなら、購入希望者の買付証明書と残債の配分案を揃えて徴収担当と交渉する。公売手続が進むほど役所側の選択肢は物理的に狭まる
よくある質問 AI による整理
Q1換価執行決定とは何ですか?
参加差押えをした税務署長が、一番手の行政機関等の同意を得て、自ら不動産の換価(公売など)を進める旨を決める処分です。国税徴収法89条の2が根拠です。
Q2参加差押えをした税務署は不動産を売れますか?
原則は一番手だけが換価できます。ただし87条3項の催告後もなお換価されず、一番手の同意が得られれば、89条の2で二番手も換価できます。
Q3換価執行決定はいつからできた制度ですか?
平成26年(2014年)改正で新設され、平成27年(2015年)1月1日から施行されました。不動産が長期間換価されず塩漬けになる問題への対応です。
Q4換価執行決定に一番手の同意は必要ですか?
必要です。先に滞納処分をした行政機関等が相当と認めて同意した場合に限られ、既に他の機関へ同意済みなら重ねて同意はできません(2項ただし書)。
Q5換価執行決定の通知はいつ届きますか?
効力は一番手への告知で既に発生しており(3項)、滞納者と交付要求者への通知は決定後速やかに行われる事後の知らせです(4項)。
Q6住宅ローンの競売が始まったら換価執行決定はできますか?
できません。強制執行または担保権の実行としての競売が開始されているときは、換価執行決定は除外されます(1項ただし書)。
Q7換価執行決定を止める方法はありますか?
換価の猶予(国税徴収法151条、151条の2)や納税の猶予が認められれば、法律上換価はできません。公売公告前なら任意売却と差押解除の交渉余地も残ります。
Q8一番手の行政機関はどうやって調べますか?
登記事項証明書を取り、差押え・参加差押えの受付日を古い順に見ます。数百円で、どの機関が先行し誰が順番待ちかを確認できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1差し押さえられてから何年も何も起きないんですが、放っておいていいんですか?
放置は損失を積む一方です。差押えが続く間も延滞税は年8.7%前後で加算され(割合は毎年見直されるため最新をご確認ください)、建物の劣化も進みます。参加差押えをした税務署は87条3項で換価を催告でき、なお動かなければ89条の2で自ら換価執行決定を出せます。実務のポイント:一番手が売らない理由は物件が不良だからではなく、単純な処理順位であることが多い。買付証明を持って任意売却を持ちかけると、差押解除の交渉が一気に現実味を帯びます
Q2換価執行決定に納得がいかないとき、どこに文句を言えばいいんですか?
まず、効力は一番手の行政機関への告知で既に発生しており(3項)、あなたへの通知は事後の知らせです。換価執行決定それ自体の処分性は実務上解釈が分かれるため、争点は前提となる差押え・参加差押えや、その後の公売処分に置くのが定石です。不服申立ては処分を知った日の翌日から3か月以内(国税通則法77条)。実務のポイント:争うより換価の猶予を通す方が実利は大きい。猶予が認められれば法律上換価はできず、手続はそこで止まります
間違えやすい点 AI による整理
- 差押え=すぐ競売にかけられる、と身構える人は多い。だが実務で本当に苦しいのは逆で、売られないまま何年も放置される方である。凍結中も延滞税は止まらず、建物は傷み、固定資産税は課され続ける。動かないことのコストを計算に入れている滞納者は驚くほど少ない
- 参加差押えをした税務署なら自分の判断で売れる、と思われがちだが違う。87条3項の催告を経てもなお換価されないこと、一番手の同意があること、強制執行や担保権の実行としての競売が開始されていないこと、この条件が揃わなければ換価執行決定は出せない(1項ただし書)
- あなたから見れば「通知が一枚届いただけ」だが、法律から見れば効力は一番手への告知で既に発生済みである(3項)。あなたへの通知は効力発生要件ではなく事後の知らせにすぎない。この時差が、そのままあなたの準備期間を削っている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 何を定める規定か | 89条の2:二番手が自ら換価できる換価執行決定 | 87条3項:参加差押機関から一番手への換価の催告 151条の2:滞納者の申請による換価の猶予 |
| 動かす主体 | 参加差押えをした税務署長(一番手の同意が必要) | 参加差押えをした行政機関等(単独で催告できる) 滞納者(自ら申請する) |
| 効果 | 二番手が公売など換価手続を実行できる | 一番手に換価を促すだけで、実行権限は移らない 換価が法律上できなくなり、手続が止まる |
| 使えない場合 | 競売が開始済み、または法律上換価できないとき(1項ただし書) | 参加差押えの効力が生じていないとき 納期限から6か月を過ぎた申請、納付計画が立たないとき |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は公法上の金銭債権の執行を法務部行政執行署に一元化しているため、日本のような複数の徴収機関の競合が構造的に生じにくい。法院の執行と行政執行が競合する場合は嘱託・続行の規定で調整する
韓国も参加差押えの制度を持ち、先行機関が売却しない場合に参加差押機関が売却を催告・実行できる仕組みを設けている。条文番号は2020年の全部改正で大きく変わったため要確認
ドイツでは租税債権の不動産執行も強制競売法(ZVG)によるため、後行債権者は進行中の競売手続に参加(Beitritt)すればよく、先行機関の同意という関門は置かれていない
米国は IRS が levy と公売を単独で実施し、他の債権者との関係は lien priority で処理する。徴収機関相互の同意を要件とする制度はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 三年前に差押えを受けた自宅に、ある朝「換価執行決定をした」という通知が届いたら何が起きるか。動かなかったはずの手続が別の税務署の手で再起動し、公売公告まで一気に進む。公売公告は原則として公売の日の10日前までに行われる(国税徴収法95条)。任意売却で買い手を探すつもりなら、逆算できる時間はもう数週間しか残っていない
- あなたが後順位の抵当権者で、交付要求だけ出して二年待たされている。一番手の役所が動かない限り配当は永遠に来ない。参加差押えをしている税務署に催告の実施状況を確認するのが、凍結を解く最短ルートである
- 市の徴収担当として先に差押えをしたあなたのもとへ、税務署から換価執行の同意照会が届く。相当と認めるときは同意するものとされているが(2項)、既に別の行政機関へ同意済みなら重ねて同意はできない。どちらに同意するかで、その後の公売実務を誰が担うかが決まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 登記事項証明書で差押え・参加差押えの受付日を確認し、一番手の行政機関を特定する2. 参加差押えをしている税務署に、87条3項の催告と換価執行決定の検討状況を照会する3. 並行して換価の猶予(国税徴収法151条、151条の2)や分割納付の可否を徴収担当と詰める4. 交付要求だけの債権者なら、参加差押えへの切替えや任意売却の同意形成を早期に動かす
訴えられた側:1. 通知の日付を起点に公売公告までの残り時間を逆算する2. 資力があるなら換価の猶予(申請によるものは納期限から6か月以内、国税徴収法151条の2)や納税の猶予(国税通則法46条)を直ちに検討する。猶予が通れば換価は法律上できなくなる3. 公売より高く売れる見込みがあるなら買付証明を揃え、差押解除の交渉材料にする4. 争うなら前提となる差押えや後続の公売処分を対象に組み立てる
時効(請求できる期限):換価執行決定そのものに法定の申請期限はない。時間圧は隣接手続に張り付いている。公売公告は原則として公売の日の10日前までに行われ(国税徴収法95条)、処分を争うなら処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に再調査の請求または審査請求(国税通則法77条)。申請による換価の猶予は納期限から6か月以内(国税徴収法151条の2)。(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)改正、平成27年(2015年)1月1日施行 参加差押えをした税務署長による換価の執行を可能とする規定として新設。従来は最初に差押えをした行政機関等しか換価できず、その機関が動かない限り不動産が長期間換価されないまま放置される問題があった。同意を要件として二番手による換価執行決定の道を開いた
改正の年表
- 1.平成26年(2014年)改正・平成27年(2015年)1月1日施行 新設:参加差押えをした税務署長が、先行して滞納処分をした行政機関等の同意を得て自ら換価を執行できる制度として新設。従来は最初に差押えをした機関しか換価できず、その機関が動かない限り不動産が長期間換価されないまま放置される問題があった
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