受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 7 分7 分7 分

国税徴収法 第89条の3(換価執行決定の取消し)

クイックジャンプ
  1. 換価執行税務署長は、次の各号のいずれかに該当するときは、換価執行決定を取り消さなければならない。
  2. 一換価執行決定に係る参加差押え(以下「特定参加差押え」という。)を解除したとき。
  3. 二換価同意行政機関等の滞納処分による差押え(政令で定めるものを除く。次条において「特定差押え」という。)が解除されたとき。
  4. 三特定参加差押不動産の価額が特定参加差押えに係る滞納処分費及び特定参加差押えに係る国税に先立つ他の国税、地方税その他の債権の合計額を超える見込みがなくなつたとき。
  5. 四前三号に準ずるものとして政令で定めるとき。
  6. 2.換価執行税務署長は、次の各号のいずれかに該当するときは、換価執行決定を取り消すことができる。
  7. 一特定参加差押えに係る国税の一部の納付、充当、更正の一部の取消し、特定参加差押不動産の価額の増加その他の理由により、その価額が特定参加差押えに係る国税及びこれに先立つ他の国税、地方税その他の債権の合計額を著しく超過すると認められるに至つたとき。
  8. 二滞納者が他に差し押さえることができる適当な財産を提供した場合において、その財産を差し押さえたとき。
  9. 三特定参加差押不動産について、三回公売に付しても入札等がなかつた場合において、その特定参加差押不動産の形状、用途、法令による利用の規制その他の事情を考慮して、更に公売に付しても買受人がないと認められ、かつ、随意契約による売却の見込みがないと認められるとき。
  10. 四前三号に準ずるものとして政令で定めるとき。
  11. 3.前二項の規定により換価執行決定を取り消した税務署長は、速やかに、その旨を滞納者、換価同意行政機関等及び特定参加差押不動産につき交付要求をした者(第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定による換価執行決定の取消しにあつては、滞納者及び特定参加差押不動産につき交付要求をした者)に通知しなければならない。
  12. 4.特定参加差押不動産については、換価同意行政機関等が行う公売その他滞納処分による売却のための手続は、第一項又は第二項の規定により換価執行決定が取り消された後でなければ、することができない。

この条文の基本情報

換価執行決定の取消しとは何ですか?

定義換価執行決定の取消しとは、国税徴収法第89条の3に定められた規定で、「換価執行税務署長は、次の各号のいずれかに該当するときは、換価執行決定を取り消さなければならない。」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 国税徴収法第89条の3(換価執行決定の取消し)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
  2. 国税徴収法第89条の3の条文原文は「換価執行税務署長は、次の各号のいずれかに該当するときは、換価執行決定を取り消さなければならない。」で始まります。
  3. 国税徴収法第89条の3は第一款に置かれています。
  4. 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
  5. 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 国税徴収法第89条の3の前の条は国税徴収法第89条の2です。
  7. 国税徴収法第89条の3の次の条は国税徴収法第89条の4です。
  8. 国税徴収法第89条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第89条の3
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147
  • 本サイト収録国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第89条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/89_3

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点国税徴収法89条の3は換価執行決定の取消しを定め、剰余の見込みが消えたときは必要的に、三回公売に付しても入札等がないときは任意的に取り消される。

Q · 三回公売にかけても売れなかった不動産は、そのまま公売され続けるんですか?

三回入札ゼロなら換価執行決定を打ち切れます

国税徴収法89条の3は、参加差押えをした税務署長による換価執行決定を取り消す場面を定めます。1項は必要的取消事由で、特定参加差押えや先行機関の差押えが解除されたとき、不動産の価額が滞納処分費と先立つ債権の合計額を超える見込みがなくなつたときは、取り消さなければなりません。2項は任意的取消事由で、著しい超過、代替財産の提供、三回公売に付しても入札等がない場合が並びます。取消し後は3項の通知が行われ、4項の制限が解けて先行差押機関が自ら売却できる状態に戻ります。

解説

市役所が先に差押えをかけたあなたの家を、実際に公売にかけるのは市役所とは限らない。平成26年改正で入った換価執行決定という仕組みにより、あとから参加差押えをした税務署長が、先行機関の同意を得て換価を執行できるからだ。89条の3は、その決定を止めるためだけに置かれた条文である。1項は取り消さなければならない場合、2項は取り消すことができる場合を並べる。効き目が大きいのは1項3号と2項1号。売っても先順位の税金や債権で食い尽くされ、参加差押えに係る国税に一円も回らない見込みになったとき、税務署長は取り消す義務を負う。滞納額が減り、不動産の価額が債権総額を著しく超過するに至ったときも、打ち切りの対象になる。そして4項。換価執行決定が取り消されるまで、先に差し押さえた市役所は自分では公売できない。誰があなたの家を売る権限を握っているかは、この一条で入れ替わる。

法的な位置づけ

国税徴収法89条の3は、換価執行決定の取消事由を定める規定である。1項は特定参加差押えの解除、特定差押えの解除、換価による剰余の見込みの消滅等を必要的取消事由とし、2項は著しい超過、代替財産の提供、三回公売不調等を任意的取消事由とする。3項は関係者への通知義務を、4項は取消し前における換価同意行政機関等の売却手続の禁止を定める。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.登記事項証明書で差押えの順序を特定する 不動産の登記事項証明書(全部事項)を取得し、差押えと参加差押えの登記順・登記機関を確認する。どこが換価同意行政機関等(先行差押機関)で、どこが換価執行税務署長かを確定させる
  2. 2.見込価額と先順位債権を数値化する 不動産業者の査定書(できれば複数社)と、先立つ国税・地方税・抵当権の残高証明を揃える。見込価額から滞納処分費と先順位債権の合計を引き、剰余が出ないことを数字で示せる状態にする
  3. 3.1項3号への該当を書面で申し出る 換価執行税務署長あてに、1項3号(剰余の見込みなし)または2項1号(著しい超過)に該当する旨を、根拠資料を添えて書面で提出する。口頭の訴えは記録に残らず判断材料にならない
  4. 4.自宅を残したいなら代替財産を先に出す 2項2号を狙う場合は、定期預金・事業用機械・遊休地など差押可能な代替財産を特定し、提供を申し出る。実際に差し押さえられて初めて取消事由となるため、資産の特定資料まで用意する
  5. 5.公売公告前に動き、通知の日付を控える 公売公告後は手続が走り出し、国税徴収法171条により争える期限も前倒しになる。動くなら公告前。取消しがなされたら3項の通知日を控え、交渉相手を税務署から先行差押機関へ切り替える

よくある質問 AI による整理

Q1換価執行決定とは何ですか?

先行する差押機関の同意を得て、あとから参加差押えをした税務署長が不動産の換価(公売)を執行できるようにする決定です。国税徴収法89条の2が要件を定めます。

Q2換価執行決定が取り消されるのはどんなときですか?

1項は参加差押えや先行差押えの解除、剰余の見込みの消滅など必要的取消事由。2項は著しい超過、代替財産の提供、三回公売不調など任意的取消事由です。

Q3三回公売で売れなかった不動産はどうなりますか?

形状・用途・法令の規制などから、さらに公売に付しても買受人がなく随意契約の見込みもないと認められれば、2項3号で換価執行決定を取り消すことができます。

Q4換価執行決定の取消しは誰に通知されますか?

3項により、滞納者・換価同意行政機関等・交付要求をした者に通知されます。1項2号による取消しでは、滞納者と交付要求者が通知先です。

Q5換価執行決定がある間、市役所は公売できますか?

できません。4項により、換価同意行政機関等が行う公売その他滞納処分による売却手続は、換価執行決定が取り消された後でなければ行えません。

Q6無益な換価かどうかはどう判断しますか?

不動産の見込価額から、滞納処分費と特定参加差押えに係る国税に先立つ他の国税・地方税その他の債権の合計額を差し引き、超える見込みがあるかで判断します。

Q7代替財産を提供すれば公売を止められますか?

2項2号は、滞納者が他に差し押さえることができる適当な財産を提供し、その財産が差し押さえられた場合を任意的取消事由としています。提供だけでは足りません。

Q8換価執行決定の取消しに不服がある場合はどうしますか?

滞納処分に関する不服申立ての一般原則(国税通則法77条、原則3月)に加え、国税徴収法171条の期限特例が適用され得ます。期限は前倒しになる点に注意が必要です。

この条文についての質問 AI による整理

Q1換価執行決定を取り消してくださいって、こっちからお願いできるんですか?

89条の3は職権による取消しを定めた条文で、申請権を認める規定ではない。ただし1項各号は「取り消さなければならない」と義務を課しているので、3号の該当事実(見込価額が滞納処分費と先立つ債権の合計を超えない)を疎明する資料を出せば、事実上は動かせる。実務のポイント:徴収の現場が最も避けたいのは、後から「無益な換価だった」と蒸し返されることだ。査定書と残高証明を揃えて出す納税者は、口頭で訴えるだけの納税者と扱いが変わる

Q2取り消されたら、家の差押えも外れるってことですか?

外れない。取り消されるのは税務署長が換価を執行する権限で、参加差押え(86条)も先行機関の差押えも残る。むしろ4項の縛りが解け、先行機関が自ら公売できる状態に戻る。実務のポイント:取消しの通知は滞納者・換価同意行政機関等・交付要求者に送られる(3項)。この通知が届いた日が、交渉相手を税務署から先行差押機関へ切り替えるべき日である。通知の日付を控えておくこと

間違えやすい点 AI による整理

  • 無益な差押えなら取り消されるらしい、という話は聞いたことがある人でも、1項3号の判定が「不動産の見込価額」から「滞納処分費+先立つ他の国税・地方税その他の債権の合計額」を引く単純な引き算であることまでは押さえていない。だから査定書も先順位債権の残高証明も出さず、口頭で苦しさを訴えるだけで終わり、判断材料が役所側に何も残らない
  • 「換価執行決定を取り消してもらえば差押えが外れる」という問いの立て方そのものが誤っている。取り消されるのは税務署長が換価を執行する権限であって、参加差押えも先行機関の差押えも原則として残る。外れるのは売却の主導権であり、財産の拘束ではない
  • 1項も2項も同じ「取消し」と読み流されがちだが、1項は「取り消さなければならない」、2項は「取り消すことができる」。前者に裁量はなく、後者にはある。同じ事実を持ち込むにしても、1項3号の要件に当てはめて構成できるかどうかで、通る確率は桁違いに変わる
比較の観点この条文ほかの条文
何が消えるか89条の3:換価を執行する権限(換価執行決定)のみが消え、差押え自体は残る79条:差押えそのものが解除され、財産の拘束が外れる
88条:参加差押えが解除され、その機関の関与が外れる
裁量の有無1項=取り消さなければならない(義務)/2項=取り消すことができる(裁量)1項=解除しなければならない/2項=解除することができる
解除の効果は参加差押えの遡及的消滅ではなく将来効
無益・超過の扱い1項3号:見込価額が滞納処分費+先立つ債権の合計を超える見込みなし/2項1号:著しい超過79条1項2号:差押財産の価額が滞納処分費及び先立つ債権の合計を超える見込みがないとき
88条:先行差押えの解除等に連動
他機関への効果4項:取消し前は換価同意行政機関等が自ら売却できない解除により当該機関の手続が終了
1項1号を通じて89条の3の必要的取消事由に接続

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
行政執行法第26条・強制執行法第50条の1

台湾は公法上の金銭給付義務の強制執行を行政執行分署に一元化しており、日本のような複数徴収機関の権限調整規定を必要としない。無剰余の場合に拍賣を行わない扱いは89条の3第1項3号と発想を共有する

韓国
대한민국 국세징수법 제57조

韓国は圧留(差押え)解除の要件として、押収財産の価額が滞納処分費と先順位債権に満たない場合を掲げる。権限の巻き戻しではなく差押え自体の解除として構成する点が日本と異なる

ドイツ
Abgabenordnung § 281 Abs. 3、§ 297

ドイツは剰余が見込めない差押えを禁じ、換価の停止も認める。もっとも徴収は原則として単一の Finanzamt が行うため、機関間の換価権限の移転という日本固有の構造は存在しない

アメリカ
Internal Revenue Code § 6331(f)、§ 6343

米国は費用が財産価値を上回る uneconomical levy を禁じ、levy の解除事由も明文化する。連邦税リーエンと州税リーエンの優先関係は別途 § 6323が規律し、権限の集約・巻き戻しという枠組みは採らない

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 三回目の公売にも入札がゼロだったとしたら、その後は何が起きる? 間口が狭く接道も悪い実家の土地は、更に公売に付しても買受人がないと認められ、随意契約の見込みもないと認められれば、2項3号で換価執行決定を打ち切れる。次の公売公告まで残り三週間、その間に不動産業者の意見書と近隣成約事例を出せるかどうかで、判断材料の厚みが変わる
  • 市の徴収担当として先に差し押さえた不動産がある。税務署の換価執行決定が生きている間、市は自分で公売その他の売却手続を進められない(4項)。取消しの通知が届くまで、こちらの手は止まったままだ
  • 公売物件を落札するつもりで下見まで済ませたのに、期日直前に手続が止まった。参加差押えが解除されて1項1号で換価執行決定が取り消されたのかもしれないし、2項2号で滞納者が代替財産を差し出したのかもしれない。中止の公告に理由までは書かれない。買受希望者側からは、止まった理由が最後まで見えないまま終わる

取るべき行動

被害を受けた側:1. 登記事項証明書で差押えと参加差押えの登記順を確認し、どこが先行差押機関かを特定する2. 不動産の査定書と、先順位の税・抵当権の残高証明を揃える3. 1項3号(見込みなし)または2項1号(著しい超過)に当たると書面で申し出る、口頭は記録に残らない4. 公売公告後は争える期限が前倒しになる(国税徴収法171条)ので、動くなら公告前5. 自宅を残したいなら2項2号、代替財産の提供を交渉カードとして先に出す

訴えられた側:1. 1項各号は裁量のない義務規定、該当事実を把握したら速やかに取り消し、3項の通知を出す2. 通知先は滞納者・換価同意行政機関等・交付要求者(1項2号による取消しでは滞納者と交付要求者)、漏れは後の不服申立てで手続違背を突かれる3. 先行差押機関の側は4項により取消し前に売却手続を進められない、通知の到達を待つ4. 2項3号を使うなら、形状・用途・法令による利用の規制を記録化しておく

時効(請求できる期限):取消しを促す申出自体に法定期限はない(職権発動を求める行為であるため)。ただし滞納処分に関する不服申立ては、処分があったことを知った日の翌日から3月以内が原則(国税通則法77条)で、さらに国税徴収法171条の特例により、公売公告以降の瑕疵は買受代金の納付期限まで、配当の瑕疵は換価代金等の交付期日までと締切が前倒しになる。実務上の勝負どころは公売公告前(最新の改正状況をご確認ください)

学説

通説(徴収実務の理解):89条の3第1項は裁量を認めない義務規定であり、該当事実を把握した換価執行税務署長は速やかに取り消したうえで3項の通知を要する。2項は徴収機関の裁量に委ねられるが、無益・超過の滞納処分を避ける趣旨から、要件充足時には積極的な検討が求められると解される。

改正沿革 AI による整理

  • 平成26年(2014年)度税制改正 参加差押えをした税務署長による換価執行制度の創設に伴い新設されたとされる条文。取消義務(1項)、取消権(2項)、通知(3項)、先行機関の売却手続の制限(4項)を規定。施行日およびその後の改正の有無は人的検証が必要

改正の年表

  1. 1.平成26年(2014年) 新設:参加差押えをした税務署長による換価執行制度の創設に伴い新設されたとされる条文。取消義務(1項)、取消権(2項)、通知義務(3項)、換価同意行政機関等の売却手続の制限(4項)を規定。施行日およびその後の改正の有無は人的検証が必要

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

国税徴収法の全文を見る所属する編章節を開く:第一款

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›