商業登記法 第92条
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- 株式交換完全親会社又は株式移転設立完全親会社の本店の所在地を管轄する登記所においては、前条第二項の登記の申請のいずれかにつき第二十四条各号のいずれかに掲げる事由があるときは、これらの申請を共に却下しなければならない。
- 2.株式交換完全親会社又は株式移転設立完全親会社の本店の所在地を管轄する登記所においては、前条第一項の場合において、株式交換による変更の登記又は株式移転による設立の登記をしたときは、遅滞なく、その登記の日を同項の登記の申請書に記載し、これを株式交換完全子会社又は株式移転完全子会社の本店の所在地を管轄する登記所に送付しなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商業登記法第92条は、日本の商業登記法に含まれる条文です。
- 商業登記法第92条の条文原文は「株式交換完全親会社又は株式移転設立完全親会社の本店の所在地を管轄する登記所においては、前条第二項の登記の申請のいずれかにつき第二十四条各号のいずれかに掲げる事由…」で始まります。
- 商業登記法第92条は第五節 株式会社の登記に置かれています。
- 商業登記法の公布日は昭和38年7月9日です。
- 商業登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商業登記法第92条の前の条は商業登記法第91条です。
- 商業登記法第92条の次の条は商業登記法第93条です。
- 商業登記法第92条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第92条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125 - 本サイト収録
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第92条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/338AC0000000125/92
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商業登記法92条は、株式交換・株式移転の登記申請のいずれかに24条の却下事由があれば、親会社側の登記所が両申請を共に却下しなければならないと定める。
Q · 子会社側の書類に不備があったら、親会社の株式交換の登記だけ先に通してもらえますか?
できない。片方に不備があれば両方まとめて却下される
商業登記法92条1項は、株式交換完全親会社又は株式移転設立完全親会社の本店所在地を管轄する登記所に対し、前条2項の登記申請のいずれかに24条各号の却下事由があるときは、これらの申請を共に却下しなければならないと義務づけています。一方だけを通す裁量はありません。逆に登記が通れば、同条2項により登記所が登記の日を申請書に記載して子会社側の登記所へ遅滞なく送付します。なお株式交換自体の効力は効力発生日に生じ(会社法769条)、却下によって組織再編が無効になるわけではありません。
解説
株式交換や株式移転の登記は、親会社側と子会社側の二か所の登記所に別々に申請する。ところが本条を読むと、その二つが実は運命共同体だと分かる。親会社の本店所在地を管轄する登記所は、親会社分・子会社分どちらか一方に商業登記法24条の却下事由(添付書面の不備、登録免許税の不納付、申請の権限がないなど)があれば、両方まとめて却下しなければならない。片方だけ通す裁量はない。逆に登記が無事に通れば、その登記所は登記の日を申請書に記載し、子会社の本店所在地の登記所へ遅滞なく送付する。あなたが実務担当者なら、意味はひとつだ。子会社側の書類が一枚足りないだけで、完璧に整えた親会社側の変更登記も同日に消える。効力発生日は動かないのに登記だけ振り出しに戻る、その落差を管理するのがこの条文の読み方である。
法的な位置づけ
商業登記法92条は、株式交換及び株式移転に係る登記申請の一括処理を定める規定である。1項は親会社本店所在地を管轄する登記所による一括却下義務を、2項は登記後に登記の日を子会社本店所在地の登記所へ送付する職権処理を規定する。申請人の便宜と登記簿の整合性を同時に確保するための手続規定である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.効力発生日から逆算して登記スケジュールを一本の線で組む 会社法915条・925条の2週間の申請期限を起点に、親会社側と子会社側の書類準備を別行ではなく一本の依存線として工程表に落とす。92条の一括却下がある以上、二つを独立タスクとして並べた時点で管理が破綻する
- 2.両社の添付書面を一枚の表で突合し、同一の司法書士に最終確認させる 株主総会議事録、株主名簿、登録免許税の課税標準を証する書面などを親会社分・子会社分まとめて一覧化し、24条各号の却下事由に当たる不備がないかを申請の2週間前にチェックする
- 3.効力発生日の前に登記官へ事前照会を済ませる 受付後に補正指示が出てからでは日程を吸収できない。事前相談で書面の様式・課税標準の計算を確認しておけば、一括却下という最悪の分岐そのものを消せる
- 4.申請日に補正連絡へ即応できる担当者を社内待機させる 商業登記法91条の経由申請により、親会社本店所在地の登記所から連絡が入る。この電話に当日中に応答して補正できるかどうかで、補正で済むか92条1項の一括却下に至るかが分かれる
- 5.子会社側の登記完了までのタイムラグを織り込んで証明書取得日を設定する 92条2項により、子会社側の登記は親会社側の登記所から登記の日が送付された後に入る。二社の登記事項証明書が同時刻に揃う前提で融資実行条件やクロージング条件を書かない
よくある質問 AI による整理
Q1商業登記法92条とは何ですか?
株式交換・株式移転の登記申請について、いずれかに却下事由があれば両方を共に却下し、登記が通れば登記の日を子会社側の登記所へ送付すると定める手続規定です。
Q2株式交換の登記はいつまでに申請する?
会社法915条1項により、効力発生日から2週間以内に変更登記を申請します。株式移転の設立登記は会社法925条が根拠です。徒過すると過料の対象になり得ます。
Q3株式交換の登記が却下されるのはどんなときですか?
商業登記法24条各号の事由、たとえば添付書面の不備、登録免許税の不納付、申請権限の欠缺などです。92条により片方の申請の事由で両方が落ちます。
Q4株式交換の登記申請はどこの法務局にしますか?
商業登記法91条の経由手続により、株式交換完全親会社等の本店所在地を管轄する登記所が受付・審査の窓口となります。子会社側は経由して処理されます。
Q5登記が却下されたら登録免許税は戻りますか?
登録免許税法上、申請の却下があった場合は還付の対象となり得ます。再申請には改めて納付が必要なため、還付手続と再申請を並行して進めるのが実務です。
Q6合併の登記も一括却下されますか?
はい。商業登記法87条が合併について、90条が会社分割について同型の一括却下・通知の仕組みを定めています。組織再編登記に共通の構造です。
Q7株式移転の設立登記は誰が申請しますか?
株式移転設立完全親会社の代表者が申請人となります。設立登記であるため設立時の添付書面が必要で、完全子会社側の登記申請と一括して審査されます。
Q8登記の補正の連絡は誰に来ますか?
登記官から申請人または代理人の司法書士へ連絡が入ります。却下前に補正の機会が与えられる運用が一般的なため、申請日に即応できる体制が却下回避の鍵です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親会社の分だけでも先に登記してもらうことはできないんですか?
できない。本条1項は「共に却下しなければならない」と登記官に義務を課しており、一方だけを通す裁量はない。商業登記法24条各号の却下事由が片方にあれば、両方が落ちる。実務のポイント:実務では却下に至る前に登記官から補正の連絡が入ることが多い。この電話に即応できる担当者を申請日に必ず社内待機させておくかどうかで、却下されるか補正で済むかが分かれる
Q2子会社の登記簿はいつ更新されるんですか?
親会社の本店所在地の登記所が登記をした後、登記の日を申請書に記載して子会社の本店所在地の登記所へ送付し(本条2項)、そこで子会社側の登記が入る。したがって二社の登記簿が同時刻に更新されるわけではない。実務のポイント:登記事項証明書の取得を伴うクロージング条件を設計するときは、この送付のタイムラグを見込んで期限を設定する。当日中に両社の証明書が揃う前提で契約書を書くと、自分で自分の首を絞める
Q3却下されたら、株式交換そのものがなかったことになりますか?
ならない。株式交換の効力は契約で定めた効力発生日に生じ(会社法769条)、登記は第三者への公示・対抗の問題にとどまる。却下は登記手続上の問題であり、組織再編の実体的効力を覆すものではない。実務のポイント:この区別を社内で共有していないと、却下の一報で「M&A が白紙になった」というパニックが走る。効力と登記は別レイヤーだという一文を、クロージング資料の冒頭に置いておくとよい
間違えやすい点 AI による整理
- 「申請が別々なのだから、審査も別々」と考えるのが自然だが、本条は正反対を定めている。親会社所在地の登記所が二つの申請を一括審査し、一括却下する。申請の物理的な提出先が分かれていても、判断は一体である
- 却下されるリスクは知っていても、その深刻度を見誤っている人が多い。却下は「もう一度出せばよい」で済まない。登録免許税は還付手続が必要になり、再申請には書面の日付整合の取り直しが伴う。効力発生日と登記日の乖離が長引けば、融資実行・株主名簿・許認可の承継まで連鎖して遅れる
- 「子会社側の書類は子会社の担当者に任せておけばよい」という分業の前提そのものが、この条文の下では成り立たない。子会社側の一枚の不備が親会社側の登記を道連れにする以上、親会社の法務担当が両方の書類を最終確認する体制でなければ、リスクは管理できない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる組織再編 | 商業登記法92条:株式交換・株式移転 | 商業登記法87条:合併 商業登記法90条:会社分割 |
| 一括却下の判断主体 | 株式交換完全親会社・株式移転設立完全親会社の本店所在地を管轄する登記所 | 存続会社・新設会社側の本店所在地を管轄する登記所 承継会社・新設会社側の本店所在地を管轄する登記所 |
| 却下事由の判断基準 | 商業登記法24条各号(三類型に共通) | 商業登記法24条各号(三類型に共通) 商業登記法24条各号(三類型に共通) |
| 登記後の職権処理 | 登記の日を申請書に記載し、完全子会社の本店所在地の登記所へ遅滞なく送付(2項) | 同型の通知・送付の仕組みあり 同型の通知・送付の仕組みあり |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も株式転換(股份轉換)制度を持ち、登記は主管機関への申請による。日本のような親会社側登記所を経由した一括却下という構造は採らず、登記の一体処理は実務運用に委ねられる面が大きい
韓国は日本商法を継受しており、株式の包括的交換・移転の制度設計は日本に極めて近い。登記手続も商業登記法に規定があり、日本法との比較が最も参照価値が高い
ドイツには株式交換に完全対応する制度はなく、編入(Eingliederung)や組織変更法(UmwG)で近似の効果を実現する。登記は Handelsregister に対して行われ、複数登記所間の調整は登記所間の職権通知で処理される
米国は share exchange を明文で認め、articles of share exchange を州務長官に提出することで効力が生じる。登記所を経由した一括却下という発想はなく、提出書面の受理・拒否は州単位で完結する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 株式交換の効力発生日を月初に設定し、親会社の変更登記は司法書士が完璧に仕上げた。ところが子会社側の申請書で登録免許税の収入印紙が一枚不足していた。24条各号に該当する以上、登記官は親会社分も一緒に却下する。効力発生日はすでに到来しているのに、登記簿はまだ動いていない状態が続く
- もし却下されたら、株式交換そのものが無効になるのか? ならない。株式交換の効力は契約で定めた効力発生日に発生し(会社法769条)、登記は対抗要件・公示の問題にとどまる。ただし登記されない期間、子会社の株主名簿の書換えや金融機関への提出資料でつまずく
- 登記官の立場に立ってみる。親会社分の申請は完璧、子会社分に不備がある。担当者から「親会社分だけ先に通してほしい」と頼まれても、本条は「共に却下しなければならない」と義務として書いている。裁量の余地はない
- M&A のクロージング当日、金融機関から融資実行の条件として登記事項証明書の提出を求められている。残り3営業日。子会社側登記所からの返送と証明書取得のリードタイムを逆算すると、補正の余地はほぼない
- 子会社の本店が遠方の県にあり、親会社は東京。申請は同時にできても、子会社側登記所が実際に登記を入れるのは、東京の登記所から登記の日の通知が届いた後になる。手元の登記簿謄本が二社で同時に更新されると思い込んでいると、スケジュールが崩れる
取るべき行動
被害を受けた側:却下通知を受けたら、まず却下理由が24条のどの号かを特定する。添付書面の不備や課税標準の誤りなど治癒可能なものであれば、書面を整え直して再申請する。登録免許税は却下により還付対象となるため、還付手続を並行で進める。効力発生日はすでに到来している前提で、取引先・金融機関には「効力は発生済み、登記手続を再申請中」と説明を統一する。株式交換自体の効力は登記に左右されない(会社法769条)ことを、社内の説明資料に明記しておく
訴えられた側:申請側として不備を指摘されたら、却下前の補正指示に最優先で対応する。登記官は直ちに却下するとは限らず、補正の機会を与える運用が一般的である。子会社側の書類に起因する不備であっても、親会社側の登記が道連れになる以上、社内の責任分界にこだわらず両社の書類を一元管理して差し替える。再申請時は効力発生日を証する書面(株主総会議事録、株式交換契約書)の整合性を最初に確認する
時効(請求できる期限):株式交換・株式移転による登記は効力発生日から2週間以内に申請しなければならない(会社法915条1項、925条)。この期間を徒過すると代表者に100万円以下の過料が科されうる(会社法976条1号)。却下されて再申請する場合も、この2週間の起算点は効力発生日のままである点に注意(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条1項の一括却下は、株式交換・株式移転が親子会社間で実体的に一体の効果を生む以上、片方のみが登記簿に反映されれば資本関係について矛盾した公示が生じることを入口で遮断する趣旨と解される。2項の職権送付はその裏返しで、申請人が二か所の登記所を往復する負担を軽減する
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和38年(1963年) 新設:商法から商業登記に関する規定を分離し、商業登記法として制定(法律第125号)
- 2.平成11年(1999年) 新設:商法改正により株式交換・株式移転制度が創設され、これに対応する登記手続規定が商業登記法に置かれた
- 3.平成17年(2005年) 改正:会社法の制定に伴う整備により、条文の配置および文言が現行の形に整理された(最新の改正状況は e-Gov で確認のこと)
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