要点半導体集積回路の回路配置に関する法律 16 条は専用利用権を定め、専用利用権者は設定範囲内で登録回路配置を業として独占的に利用できる。移転や質権設定には回路配置利用権者の承諾を要する。
Q · 「独占で使わせる」と契約しただけで、相手は本当に独占的に回路を使えるの?
契約だけでは弱い。専用利用権を設定登録して初めて物権的独占になる
半導体集積回路の回路配置に関する法律 16 条により、回路配置利用権者は専用利用権を設定できます。専用利用権者は設定行為で定めた範囲内で業として登録回路配置を利用する権利を専有し、その範囲では権利者本人すら利用から排除されます。ただし専用利用権の移転は事業とともにする場合・権利者の承諾・相続等の一般承継に限られ(3 項)、質権の設定や通常利用権の許諾にも回路配置利用権者の承諾が必要です(4 項)。単なる契約上の独占とは異なり、登録によって第三者を排除できる強い権利です。
半導体スタートアップを経営するあなたが、自社開発の回路配置を大手メーカーにライセンスする。契約書には「独占的に使わせる」と書いた。ここで多くの経営者が見落とす落とし穴がある。日本法には「専用利用権」という制度があり、これを設定して登録すると、その範囲内では設定を受けた側だけが業として回路を利用でき、持ち主であるあなた自身でさえ利用から締め出される。普通の独占ライセンス契約(当事者間の約束にすぎない債権的な独占)とは次元が違う、物権に近い強い権利だ。さらにこの権利を渡された側は、あなたの承諾なしに他社へ転売することも、質権(借金の担保)に入れることも、又貸し(通常利用権の許諾)することも原則できない。第16条はあなたの設計図に対する「支配権の一部を、誰に、どこまで、どんな条件で切り出すか」を決める設計図そのものだ。
専用利用権とは、半導体集積回路の回路配置に関する法律 16 条に基づき、回路配置利用権者が設定行為で定めた範囲について設定する物権的な利用権をいう。専用利用権者は当該範囲内で業として登録回路配置を利用する権利を専有し、設定者である回路配置利用権者であってもその範囲では利用できない。
AI 輔助整理,以條文原文為準
専用利用権は設定範囲内で利用を独占し権利者本人すら排除する物権的な権利です。通常利用権は他者と並んで利用できる債権的な権利で、独占性も登録による物権的効力もありません。
設定登録を受けた半導体の回路配置を業として独占的に利用できる権利です。専用利用権は、この回路配置利用権者が範囲を切り出して設定するものです。
経済産業省所管の設定登録制度(実務上は指定登録機関)に申請します。最初に業として利用した日から 2 年以内に申請する必要があります。
母体である回路配置利用権の範囲内でのみ存続します。回路配置利用権は設定登録の日から 10 年で消滅するため、それを超えては存続しません。
設定登録の日から 10 年です。更新はなく、期間が満了すると誰でも自由に利用できる状態になります。
できます。専用利用権者は設定範囲について物権的な排他権を持つため、侵害の差止や損害賠償を自ら請求できます。
半導体チップの回路パターン(レイアウト)の模倣を防ぐため、設定登録した回路配置に独占的な利用権を与える 1985 年制定の知的財産法です。
経済産業省所管の設定登録制度によります。実務上は指定登録機関への申請で行い、登録によって移転等の効力が公示されます。
決定的に違います。契約書の「独占」は当事者間の約束(債権)で、相手が破れば損害賠償は取れても、第三者の利用そのものを直接止める力はありません。専用利用権は設定登録によって生じる物権に近い権利で、その範囲では利用権者だけが業として利用でき、第三者の侵害を直接排除できます(第16条2項)。業界裏話ヒント:大手はあえて契約で「独占」とだけ書き、専用利用権の登録までは詰めないことがある。登録がなければ、いざという時に供給先を切り替える自由を握り続けられるからだ。受ける側は「登録までするか」を必ず確認すべき
可能ですが、回路配置利用権者(元の権利者)の承諾が必須です(第16条4項)。承諾のない質権設定は効力を否定されます。質権の扱いには第14条の規定が準用されます(第16条5項)。業界裏話ヒント:金融機関がIP担保融資をためらう理由の一つがこの承諾要件だ。承諾書を事前に取り付けておくと融資交渉が一気に進む。逆に元の権利者は、この承諾権を交渉カードとして握っていることを忘れないこと
原則として「回路配置の利用の事業とともに」移転する場合は承諾不要ですが、事業と切り離して権利だけを移すには権利者の承諾が必要です(第16条3項)。買収のやり方で扱いが変わります。業界裏話ヒント:株式譲渡で会社ごと買えば専用利用権者は変わらないので承諾問題は起きにくいが、事業譲渡で権利だけを抜き取ると承諾で詰まることがある。M&Aのスキーム選択が、そのまま権利の生死に直結する
専用利用権は設定登録があってはじめて物権に近い効力を持ちます。登録しなければ、その範囲で第三者を排除する力は生じず、当事者間の契約上の独占にとどまります。業界裏話ヒント:「独占ライセンス契約は結んだが登録はしていない」という案件は実務に非常に多い。この状態では、相手が約束を破ったとき損害賠償しか残らず、第三者が同じ回路を使っても直接は止められない。登録の一手間を惜しんだ代償は、紛争時に最大化する(登録制度の詳細は現行法をご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 権利の性質 | 専用利用権:設定範囲内の物権的独占(16 条) | — |
| 排他性 | 設定範囲では利用権者が専有し権利者本人も排除(2 項) | — |
| 移転の自由 | 事業とともに・承諾・一般承継に限る(3 項) | — |
| 登録の意義 | 設定登録が効力に関わる | — |
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