要点回路配置法 25 条は、侵害者が侵害行為で得た利益の額を権利者の損害額と推定し、実施料相当額を最低限の損害として請求できると定める損害額推定規定である。
Q · 回路配置をコピーされたとき、損害額はどうやって決まるの?
侵害者が得た利益額がそのまま損害額と推定されます
回路配置法 25 条は、損害額の立証を助ける三つの仕組みを置きます。1 項は、侵害者が侵害行為で受けた利益の額を、そのまま権利者の損害額と推定します。自分の売上減少をゼロから立証する必要がありません。2 項は、立証が苦しければ「通常受けるべき実施料相当額」を最低限の損害として請求でき、3 項はそれを超える実損害の請求も認めます。ただし侵害者に故意も重過失もなかった場合、裁判所は実施料相当額を超える超過部分に限り、賠償額を減らす方向で斟酌できます。
あなたの会社が何百時間もかけて設計した半導体チップの回路配置を、競合がそっくり真似て安く売り出した。怒りはある。だが裁判で勝つ最大の壁は「で、あなたはいくら損したのか」を数字で証明することだ。売上が落ちた原因が相手のコピーなのか景気なのか、これを立証するのは悪夢に近い。回路配置法 25 条は、その悪夢からあなたを救う三本の梯子をかける。第一に、相手が侵害で得た利益の額を、そのままあなたの損害額と推定してよい(1 項)。あなたは相手の儲けを調べればよく、自分の損失をゼロから積み上げる必要がない。第二に、立証が苦しければ「通常受けるべき実施料相当額」を最低ラインの損害として請求できる(2 項)。第三に、その実施料を超える損害も請求できる(3 項)。ただし相手に故意も重過失もなかった場合、裁判所は超過分の賠償額を減らす方向で斟酌できる。どの梯子を選ぶかで、回収額も立証の手間も大きく変わる。
半導体集積回路の回路配置に関する法律 25 条は、回路配置利用権または専用利用権の侵害に係る損害賠償について、損害額の推定および算定方法を定める規定である。侵害者の利益額を損害額と推定する 1 項、実施料相当額を損害額として請求できる 2 項、その超過分の請求と善意無重過失者への減額斟酌を定める 3 項から構成される。
AI 輔助整理,以條文原文為準
半導体集積回路の回路配置(レイアウト)を独占的に利用できる知的財産権です。設定登録により発生し、無断で模倣・利用する行為を侵害として差止め・損害賠償の対象にできます。
経済産業省所管のもと、指定登録機関である一般財団法人ソフトウェア情報センター(SOFTIC)が設定登録を行います。登録により回路配置利用権が発生し、25 条の損害額推定の前提になります。
侵害者に故意または過失があり、侵害行為によって利益を受けているときに 1 項が使えます。権利者は侵害者の利益額を立証すれば、それを自己の損害額として主張できます。
構造はほぼ同じ損害額推定規定で、回路配置法 25 条は特許法 102 条と同趣旨です。対象が特許発明か回路配置かが違うだけで、利益額推定・実施料相当額の発想は共通します。
設定登録の日から 10 年で消滅します。期間満了後は権利が消えるため、25 条の損害賠償も保護期間内の侵害行為についてのみ主張できます。
解析・研究の目的なら適法です。しかし解析で得た回路配置を自社製品に転用した瞬間に侵害へ転じ、25 条の損害額推定が適用される対象になります。
覆せます。1 項は推定規定にすぎず、侵害者は「自己の利益は回路配置の模倣ではなく営業努力や別要因による」と反証して、推定の全部または一部を覆滅できます。
できます。損害賠償(25 条)とは別に、24 条の差止請求権により侵害の停止・予防を求められます。両者は併用が可能で、実務では同時に行使されます。
提訴後に文書提出命令や、本法・民事訴訟法上の証拠開示手続で相手の販売帳簿・原価資料の開示を求めるのが基本です。25 条 1 項は相手の利益額を損害額と推定するため、利益額の立証資料はむしろ相手側に偏在します。業界裏話ヒント:知財訴訟では「損害論」を本案と分けて後段で審理する運用があり、侵害が認められた段階で相手は帳簿開示を迫られる。だからこそ侵害さえ固めれば、利益額の調査は相手の協力なしでも裁判所経由で引き出せる構造になっている
業界標準のライセンス料率に侵害品の売上を掛けるのが基本ですが、相場が確立していない回路配置では個別算定になります。あくまで最低保証ラインで、3 項によりこれを超える実損害は別途請求できます。業界裏話ヒント:実施料相当額は『侵害者と知りつつ交渉したら払うべき額』として、自発的ライセンスの相場より高めに算定される傾向がある。侵害のやり得を許さない趣旨で、特許法 102 条 3 項と同じ発想。低めに見積もって諦めるのは早計
故意・過失があれば賠償責任は生じますが、25 条 3 項により、実施料相当額を超える高額部分については、故意も重過失もなかった場合に裁判所が減額を斟酌できます。業界裏話ヒント:ここで効くのが社内のデューデリ記録。製造前に他社の登録回路配置を調査した形跡があれば『重過失なし』の主張が通りやすい。逆に何も調べていないと重過失と評価され、減額の梯子を自ら外すことになる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 立証の対象 | 25 条 1 項:侵害者が侵害で得た利益の額 | — |
| 損害額の性質 | 利益額を損害額と推定(反証で覆滅可) | — |
| 減額斟酌の可否 | 推定の覆滅により減額されうる | — |
| 適する場面 | 相手の利益率が高く利益額を押さえられる場合 | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。