民事訴訟法 第113条(公示送達による意思表示の到達)
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訴訟の当事者が相手方の所在を知ることができない場合において、相手方に対する公示送達がされた書類又は電磁的記録に、その相手方に対しその訴訟の目的である請求又は防御の方法に関する意思表示をする旨の記載又は記録があるときは、その意思表示は、第百十一条の規定による措置を開始した日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。この場合においては、民法第九十八条第三項ただし書の規定を準用する。
この条文の基本情報
公示送達による意思表示の到達とは何ですか?
定義公示送達による意思表示の到達とは、民事訴訟法第113条に定められた規定で、「訴訟の当事者が相手方の所在を知ることができない場合において、相手方に対する公示送達がされた書類又は電磁的記録に、その相手方に対しその訴訟の目的である請求又は防御…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第113条(公示送達による意思表示の到達)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第113条の条文原文は「訴訟の当事者が相手方の所在を知ることができない場合において、相手方に対する公示送達がされた書類又は電磁的記録に、その相手方に対しその訴訟の目的である請求又は防御…」で始まります。
- 民事訴訟法第113条は第四款に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第113条の前の条は民事訴訟法第112条です。
- 民事訴訟法第113条の次の条は民事訴訟法第114条です。
- 民事訴訟法第113条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第113条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第113条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/113
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法113条は、所在不明の相手に公示送達された書類へ意思表示を記載すると、掲示開始から二週間で到達したものとみなすと定める。表意者に所在不明の過失があれば擬制は生じない。
Q · 夜逃げして連絡のつかない相手に、契約解除の通知ってどうやって届けるの?
訴訟で公示送達すれば二週間で届いたとみなされます
民事訴訟法113条により、相手方の所在が不明な場合、訴状や準備書面に「本書面の送達をもって解除する」等の意思表示を記載し、公示送達に乗せると、第111条の掲示を始めた日から二週間の経過で相手方に到達したものとみなされます。相手が現実に掲示を見なくても法律上は届いたことになります。ただし、相手の所在を知らないことに表意者の過失があると、この到達擬制は生じません(民法98条3項ただし書の準用)。
解説
借りていた部屋から夜逃げした借主、貸した金を返さず連絡を絶った相手、離婚を切り出したい配偶者が行方をくらました。こうした相手に「契約を解除する」「貸金と相殺する」と伝えたくても、意思表示は相手に到達しなければ効力を生じない(民法97条の到達主義)。相手が消えた瞬間、あなたの権利行使は宙づりになる。ここで効いてくるのが民訴113条だ。訴訟の中で、訴状や準備書面に「本書面をもって賃貸借契約を解除する」と意思表示を書き込み、それを公示送達(裁判所の掲示場に貼り出す送達方法)に乗せると、掲示開始から二週間で相手に到達したものとみなされる。相手が一生その掲示を見なくても、法律上は届いたことになる。消えた相手を相手取る訴訟で、あなたは実体法上の権利行使と訴訟手続を一本にまとめられる。ただし、相手の所在を知らないことにあなたの過失があれば、この到達擬制は崩れる(民法98条3項ただし書の準用)。
法的な位置づけ
民事訴訟法113条は、訴訟における意思表示の擬制を定める規定であり、相手方の所在不明により公示送達がされた書類に請求または防御の方法に関する意思表示が記載されている場合、その意思表示が掲示開始日から二週間の経過時に相手方へ到達したものとみなす旨を規定する。意思表示の到達主義(民法97条)に対する手続法上の特則として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相手の所在調査を尽くして記録を残す 住民票・戸籍の附票を取得し、現地確認や勤務先照会を行い、その調査記録を保存する。これが後で民法98条3項ただし書の「過失なし」を立証する決め手になる
- 2.訴状・準備書面に意思表示を明記する 訴え提起時、訴状や準備書面に「本書面の送達をもって○○契約を解除する(または相殺する・取り消す)」と意思表示を明確に記載する
- 3.公示送達を申し立て所在不明を疎明する 裁判所に公示送達の申立てを行い、相手方の所在が不明であることを所在調査記録で疎明する。要件を満たすと裁判所が掲示を開始する
- 4.二週間経過で到達擬制を前提に請求を立てる 第111条の掲示開始日から二週間が経過すると意思表示の到達が擬制される。これを前提に明渡し請求・金銭請求などの本案主張を組み立てる
よくある質問 AI による整理
Q1公示送達で意思表示を届けるとはどういう意味ですか?
所在不明の相手に出す書類に解除や相殺の意思表示を書き、公示送達に乗せると、掲示開始から二週間で相手に届いたとみなす仕組みです(民訴113条)。
Q2公示送達された意思表示はいつ到達したことになりますか?
第111条の掲示を始めた日から二週間を経過した時です。相手が現実に掲示を見たかどうかは問いません。
Q3相手が行方不明だと契約解除はできないのですか?
できます。訴訟を起こし訴状に解除の意思表示を書いて公示送達すれば、二週間後に解除が成立します。内容証明が戻ってきても諦める必要はありません。
Q4公示送達の意思表示が無効になるのはどんな場合ですか?
表意者が相手の所在を知らないことに過失がある場合です。民法98条3項ただし書の準用により、到達擬制が覆る余地があります。
Q5知らないうちに自分への契約解除が成立することはありますか?
あります。住所変更を届けず連絡先を変えている間に、相手が訴訟で公示送達を使うと、本人が気づかなくても意思表示が到達したとみなされます。
Q6公示送達を使うのに相手の住所を知る必要はありますか?
知る必要はありません。むしろ所在不明であることが要件です。問われるのは住所ではなく、所在調査を尽くしたかどうかです。
Q7公示送達の前にどんな所在調査が必要ですか?
住民票・戸籍の附票の取得、現地確認、勤務先照会などです。この記録が後で過失なしの立証材料になります。
Q8公示送達による意思表示は取消権の行使にも使えますか?
使えます。訴え提起と同時に訴状へ取消しの意思表示を載せれば、行使期間内に到達擬制を間に合わせられます。逆算を誤ると権利が消滅します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手が行方不明だと、契約解除も諦めるしかないんでしょうか?
諦める必要はありません。訴訟を起こし、訴状に解除の意思表示を書いて公示送達に乗せれば、掲示開始から二週間で到達したものとみなされます(民訴113条、民法98条準用)。実務のポイント:内容証明が「あて所に尋ねあたりません」で戻ってきた時点で多くの人は手詰まりと感じますが、弁護士はそこで訴訟プラス公示送達のルートに切り替えます。相手の住所を知らなくても権利は行使できる、これを知っているかどうかで回収できるかが分かれます
Q2公示送達で「届いたことにする」なんて、相手が本当に知らなくても有効なんですか?
原則として有効です。相手が現実に掲示を見たかどうかは問いません。ただし、あなたが相手の所在を知らないことに過失があれば、到達の効力は生じません(民法98条3項ただし書の準用)。実務のポイント:ここで効いてくるのが事前の所在調査です。住民票・戸籍の附票を取り、現地を確認した記録を残しておけば、後で相手が現れて「調査が甘い」と争っても、過失なしを立証でき擬制が守られます。手を抜くと到達ごと崩れます
間違えやすい点 AI による整理
- 「相手が行方不明なら、訴訟を起こすしかなく、契約解除や相殺は諦めるしかない」と思われがちだが、113条を使えば訴訟の中で意思表示も同時に成立させられる。手続と実体法上の権利行使を別々に走らせる必要はない
- 公示送達という制度の名前は知っていても、それが「書類を届ける」だけでなく「契約解除や相殺といった実体法上の意思表示まで届いたことにできる」という射程の広さを知らない人が多い。送達と意思表示の到達は別物に見えて、113条がその間に橋を架けている
- 「相手の住所が分からないのだから、どうやって解除通知を出せばいいのか」という問いの立て方自体がずれている。113条の世界では、相手の住所を知る必要はない。問うべきは「訴訟を起こせる状況か」「公示送達の要件を満たすか」であって、相手の所在ではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律内容 | 民訴113条:公示送達書類中の意思表示の到達擬制 | 民訴110条:公示送達の要件・申立て 民訴111条:公示送達の掲示方法 |
| 対象 | 実体法上の意思表示(解除・相殺・取消し等) | 送達手続そのものの開始 送達手続の周知方法 |
| 効力発生時期 | 掲示開始日から二週間経過時に意思表示が到達擬制 | 要件充足時に公示送達を実施 掲示により周知(112条で送達の効力発生時期を規律) |
| 過失要件 | あり(民法98条3項ただし書を準用、所在不明に過失なきこと) | なし(手続要件のみ) なし(方法の定めのみ) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も表意者が過失なく相手方の所在を知り得ない場合に、民事訴訟法の公示送達規定により意思表示を通知できる構造を採り、日本と同じく過失要件を置く
韓国は民法113条で公示送達による意思表示を明文化。条文番号が日本と同じ113条である点は偶然だが、過失要件を伴う到達擬制という枠組みは類似する
ドイツは BGB 132条2項で öffentliche Zustellung による意思表示の到達を規律。日本の公示送達制度の母法であり、本条はその系譜上に位置する
米国は公示送達(service by publication)を適正手続の観点から限定的に許容。所在判明者への公示送達は違憲とされ、合理的な所在調査が要求される点で過失要件と発想が通じる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 賃借人が家賃を半年滞納したまま夜逃げした。普通なら解除通知が届かず明渡し請求の前提が立たないが、訴状に「本書面の送達をもって解除する」と書いて公示送達すれば、二週間後に解除が成立し、明渡しと未払賃料を一気に請求できる。届かない通知に立ち往生する必要はない
- もし、お金を貸した相手が携帯も解約して完全に消えたら、あなたの「相殺する」「契約を解除する」という権利は永遠に行使できないのか。113条はその出口になる。訴訟という公的手続に意思表示を埋め込めば、消えた相手にも法律上届けられる
- 取消権の行使期間まであと一ヶ月、だが相手は行方不明。訴え提起と同時に取消しの意思表示を訴状に載せ、公示送達に乗せれば、期間内に到達擬制が間に合う。逆算を誤れば権利そのものが消える
- ある日、自分の知らないうちに自分宛ての契約解除が「成立」していた。引っ越して住所変更を届けず連絡先を変えていた間に、相手が訴訟で公示送達を使っていた。あなたが知らない場所で、あなたの権利関係が動いていた
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず相手の所在を尽くして調査(住民票・戸籍の附票・現地確認・勤務先照会)し、その記録を残す。これが過失なしの証拠になる2. 訴え提起時、訴状や準備書面に「本書面の送達をもって○○契約を解除する(または相殺する)」と意思表示を明記する3. 公示送達の申立てを行い、要件である所在不明を疎明する4. 裁判所の掲示開始日から二週間経過で意思表示の到達擬制が成立、これを前提に明渡し・金銭請求を立てる
訴えられた側:1. 自分の知らないうちに公示送達で意思表示が成立していたと後で気づいたら、まず相手が所在調査を尽くしたかを争う2. 相手の所在を知らないことに過失があれば、民法98条3項ただし書の準用で到達擬制が覆る余地がある3. 公示送達の要件自体を欠く場合は手続の効力を争う4. 判決確定後でも、送達に重大な瑕疵があれば再審(民訴338条)を検討する余地がある
時効(請求できる期限):意思表示の到達擬制は、第111条の掲示を始めた日から二週間を経過した時に生じる(民訴113条)。なお行使しようとする実体法上の権利(取消権・解除権等)自体に固有の期間制限がある場合は、その期間内に到達擬制が成立するよう逆算して手続を進める必要がある
学説
通説:本条の到達擬制は、公示送達の要件充足に加え、民法98条3項ただし書の準用により表意者が相手方の所在を知らないことについて過失がないことを要するとされる。手続を通じた権利実現と、不在者の手続保障との均衡を過失要件で調整する点に本条の意義があると理解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正(平成8年法律第109号、平成10年施行)。旧法下の規律を整理し、公示送達された書類中の意思表示についての到達擬制を現行113条として定める。
- 2.令和4年(2022年) 改正:民事訴訟手続の IT 化に関する改正(令和4年法律第48号)。公示送達の方法が裁判所の設備による電子的な閲覧(ウェブサイト掲載)に対応するなど、本条が前提とする掲示制度が現代化された。
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