民事訴訟法 第110条(公示送達の要件)
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- 次に掲げる場合には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる。
- 一当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合(第百九条の二の規定により送達をすることができる場合を除く。)
- 二第百七条第一項の規定により送達をすることができない場合
- 三外国においてすべき書類の送達について、第百八条の規定によることができず、又はこれによっても送達をすることができないと認めるべき場合
- 四第百八条の規定により外国の管轄官庁に嘱託を発した後六月を経過してもその送達を証する書面の送付がない場合
- 2.前項の場合において、裁判所は、訴訟の遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てがないときであっても、裁判所書記官に公示送達をすべきことを命ずることができる。
- 3.同一の当事者に対する二回目以降の公示送達は、職権でする。ただし、第一項第四号に掲げる場合は、この限りでない。
この条文の基本情報
公示送達の要件とは何ですか?
定義公示送達の要件とは、民事訴訟法第110条に定められた規定で、「次に掲げる場合には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第110条(公示送達の要件)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第110条の条文原文は「次に掲げる場合には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる。」で始まります。
- 民事訴訟法第110条は第四款に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第110条の前の条は民事訴訟法第109条の4です。
- 民事訴訟法第110条の次の条は民事訴訟法第111条です。
- 民事訴訟法第110条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第110条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第110条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/110
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法110条は、相手の住所が知れない等の場合に裁判所書記官が公示送達を行えると定める。掲示から二週間で送達の効力が生じ、欠席のまま判決が下りうる。
Q · 相手が住所不明で訴状が届かないとき、裁判はどうやって進めるの?
公示送達で進められる。受け取らなくても送達扱いになる
民事訴訟法110条により、当事者の住所・居所その他送達場所が知れない場合や、付郵便送達(107条)ができない場合などに、裁判所書記官が申立てにより公示送達を行えます。裁判所の掲示場(令和の改正後は裁判所のウェブサイト)に掲示し、二週間(外国分は六週間)の経過で送達の効力が生じます(112条)。相手が実際に書類を見ていなくても法律上は送達済みとみなされ、欠席のまま判決が下りうる強力な手続です。
解説
昔の借金、別れた相手とのトラブル、貸したまま返ってこない金。あなたが引っ越して連絡先が変わった後、相手があなたを訴えようとしたらどうなるか。普通なら訴状はあなたの住所に届き、あなたは反論の機会を得る。だが住所が知れなければ訴訟は止まる。そこで使われるのが公示送達だ。裁判所書記官が「あなた宛の書類を預かっている」という掲示を裁判所の掲示場(令和の改正後は裁判所のウェブサイト)に出し、二週間が経てば、あなたが実際に見ていなくても法律上「送達された」とみなされる。つまりあなたは一度も訴状を読まないまま被告になり、法廷に現れず、欠席のまま敗訴判決を受けうる。判決が確定し、ある日突然あなたの預金や給料が差し押さえられて初めて、自分が訴えられていたことを知る。これが公示送達の怖さであり、同時に、行方をくらました相手を追う側にとっては唯一の武器でもある。
法的な位置づけ
公示送達とは、当事者の住所・居所その他送達をすべき場所が知れない等の場合に、裁判所書記官が申立てにより、送達すべき書類を一定方法で掲示し、所定期間の経過によって送達があったものとみなす送達方法をいう。現実の受領を前提とせず、送達の効力を擬制する点に特色がある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.見覚えのない裁判所通知が来たら放置しない 差押通知や判決確定の通知が届いたら、机に放り込まず、いつ・どの裁判所の・何の判決かをまず特定する。公示送達で気づかぬうちに敗訴している可能性を疑う
- 2.訴訟記録を謄写して送達方法を確認 判決を出した裁判所で訴訟記録の閲覧・謄写を請求し、訴状の送達が公示送達だったか、原告がどんな住所調査を行ったかを確認する。住所が知れたはずなのに公示送達されていれば再審事由になりうる
- 3.判決を知った日から一週間以内に追完上訴 公示送達による欠席敗訴に気づいたら、判決の存在を現実に知った時から一週間以内に、訴訟行為の追完(97条)として控訴を申し立てる。この窓を逃すと内容がどれだけ不当でも確定する
- 4.並行して差押えの執行停止を弁護士と検討 預金・給料の差押えが進む前に、執行停止の申立てを弁護士と検討する。スピードがすべてのため、まず弁護士に駆け込む
- 5.原告側は住所調査の疎明資料を厚く揃える 公示送達を申し立てる側は、住民票の除票・戸籍附票・現地調査報告書など『住所が知れない』ことの疎明資料を揃え、付郵便送達(107条)を先に検討した経過も記録する。後の再審リスクに備える
よくある質問 AI による整理
Q1公示送達とは何ですか?
住所不明の相手などに対し、裁判所が書類を掲示して所定期間の経過で送達したとみなす方法です。民事訴訟法110条が要件を定め、現実の受領を前提としません。
Q2公示送達はいつ効力が生じますか?
掲示を始めた日から二週間の経過で効力が生じます(112条)。外国での送達分は六週間、同一当事者への二回目以降は翌日に効力が生じます。
Q3公示送達はどんな場合に認められますか?
住所等が知れない場合、付郵便送達ができない場合、外国送達が不能の場合、外国官庁への嘱託後六月で証明書面が来ない場合です(110条1項各号)。
Q4公示送達は誰が申し立てますか?
原則として当事者の申立てにより裁判所書記官が行います。訴訟の遅滞を避ける必要があれば、裁判所が職権で命じることもできます(110条2項)。
Q5公示送達は職権でもできますか?
同一当事者への二回目以降の公示送達は職権で行われます。ただし外国官庁嘱託後六月経過の場合(1項4号)は除かれます(110条3項)。
Q6公示送達で訴えられたか確認する方法は?
差押通知等が届いたら、判決を出した裁判所で訴訟記録を謄写請求し、訴状の送達方法が公示送達だったかを確認します。スピードが重要です。
Q7公示送達と付郵便送達はどう違いますか?
付郵便送達(107条)は住所が判明しているのに受け取らない場合に発送時点で送達擬制する方法、公示送達は住所自体が知れない場合の最後の手段です。
Q8公示送達された判決は争えますか?
判決を現実に知った時から一週間以内なら追完上訴(97条)、相手が住所を知りながら偽った場合は再審(338条)で争える余地があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1引っ越して住所が変わったら、知らないうちに訴えられて負けることって本当にあるんですか?
本当にあります。相手が調査を尽くしてもあなたの住所が知れない場合、公示送達(110条)で訴訟が進み、あなたが欠席のまま敗訴判決を受けることがあります。掲示から二週間で送達の効力が生じます(112条)。実務のポイント:原告が本当はあなたの住所を知っていながら「不明」と偽って公示送達を取った場合、その判決は再審(338条)で覆せます。差押通知が来たら、まず相手が自分の住所を知り得たかを疑う、これが分岐点になる
Q2公示送達で負けた判決を、後から取り消す方法はありますか?
二つの道があります。判決を現実に知った時から一週間以内なら訴訟行為の追完(97条)で控訴でき、原告が住所を知りながら偽って公示送達を得たなら再審(338条)を申し立てられます。実務のポイント:追完の一週間は「判決の存在を現実に知った時」から起算され、差押えで初めて知ったならそこが起算点です。多くの人がこの一週間の存在を知らずに確定させてしまう。期間管理がすべてを決める
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分が訴状を受け取っていないなら裁判は無効だ」と思いがちだが、公示送達は受け取っていなくても法的に送達済みとみなす擬制である。受け取った記憶がないこと自体は、判決を覆す理由にならない
- 「住所を隠して逃げれば訴えられない」という前提そのものが誤っている。逃げて住所不明になることは、相手に公示送達という強力な手段を与え、あなたが反論できないまま欠席敗訴する道を開く。姿を消すことが最悪の選択になりうる
- あなたから見れば「届いていない書類」だが、法律から見れば「二週間前に届いた書類」だ。この時間のずれが、あなたの控訴期間を、あなたが事件の存在を知る前に静かに食い潰していく
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 前提となる状況 | 110条 公示送達:住所等が知れない等の場合の最後の手段 | 107条 付郵便送達:住所は判明するが受領しない場合 108条 外国における送達:送達先が外国にある場合 |
| 送達の擬制時点 | 掲示から二週間(外国分六週間)の経過で効力(112条) | 書類を発送した時に送達擬制 外国官庁への嘱託等を経て現実に送達 |
| 申立て/職権 | 申立てが原則、遅滞回避で職権命令も可、二回目以降は職権 | 書記官の判断で実施 嘱託手続による |
| 被告の救済手段 | 追完上訴(97条)・再審(338条) | 通常の控訴・上告 通常の控訴・上告 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も住所等が知れない場合に裁判所の許可で公示送達を行う。掲示と一定期間の経過で送達擬制する構造は日本と類似する。
韓国も住所不明等を要件に公示送達(공시송달)を認め、掲示から所定期間の経過で効力が生じる。詐害的公示送達の救済も論じられる点で日本と近い。
ドイツの öffentliche Zustellung は裁判所の掲示等により行い、所定期間の経過で送達擬制する。日本の公示送達の母法的位置にある。
米国では service by publication は『状況に照らし合理的に通知が届く方法』を要求する適正手続の枠で制限され、住所が判明する者への公示のみの通知は違憲とされうる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 貸した50万円を返さないまま、相手が夜逃げして住所不明になった。普通の送達では訴訟が一歩も進まないが、住所調査を尽くしても知れないと疎明できれば、公示送達で訴訟を進め、欠席判決を取って財産を差し押さえられる。逃げれば逃げ得、ではない
- ある日、見覚えのない裁判所から「確定判決に基づく差押」の通知が届いたら、どうなる? 過去に住所を移したあなたは、公示送達で気づかぬうちに敗訴していた可能性がある。判決を現実に知った時から一週間、追完上訴の窓が開いている。この一週間を逃せば、内容がどれだけ不当でも覆らない
- 配偶者が家を出て行方不明。離婚したくても相手に訴状が届かない。公示送達なら、相手が一度も現れなくても離婚判決まで進められる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 通知を受け取ったら、いつ・どの裁判所の・何の判決かを確認し、判決正本と訴訟記録を裁判所で謄写請求する2. 訴状の送達が公示送達だったかを記録で確認、住所が知れたはずなのに公示送達されていれば再審事由(民事訴訟法338条)になりうる3. 判決を現実に知った日から一週間以内に訴訟行為の追完(97条)で控訴を申し立てる4. 並行して差押えの執行停止を弁護士と検討。スピードがすべて、まず弁護士に駆け込む
訴えられた側:1. 相手の住所を調査し尽くす。住民票・戸籍附票の取得、現地調査、勤務先照会など、住所が知れない事実を疎明できる資料を集める2. 安易に公示送達へ飛ばず、まず付郵便送達(107条)が可能かを検討。順序を飛ばすと後で送達無効を突かれる3. 公示送達の申立書に調査経過を詳細に記載する4. 後の再審リスクに備え調査記録を保存し、住所を知り得たのに公示送達した、と疑われない証跡を残す
時効(請求できる期限):公示送達の効力は、掲示を始めた日(裁判所のウェブサイト掲示の場合は掲示した日)から二週間の経過で生じる(民事訴訟法112条1項)。外国においてすべき送達についての公示送達は六週間。同一当事者への二回目以降は翌日に効力が生じる。敗訴を知った側の追完上訴は、判決の存在を現実に知った時から一週間(民事訴訟法97条1項)。(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:公示送達は被告の現実の受領を前提としない送達擬制であり、裁判を受ける権利・適正手続(憲法32条・31条)との緊張をはらむ。そのため住所調査を尽くして『知れない』ことを要件とし、二週間の掲示期間と追完上訴・再審の救済を残すことで、被告の手続保障と訴訟の進行・権利実現の調和を図ると解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧民事訴訟法から条文番号が再編され、公示送達の要件が現行110条として整理された。書記官による申立てに基づく送達という枠組みが明文化された
- 令和4年(2022年)改正(IT 化、段階施行) 民事訴訟手続の IT 化に伴い、公示送達の方法が裁判所の掲示場への掲示に加え、裁判所のウェブサイトでの電子掲示へと移行する方向で改められた。なお本条(要件規定)自体の改正範囲と施行時期の詳細は要確認
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正により条文番号が再編され、公示送達の要件が現行110条として整理。書記官の申立てに基づく送達という枠組みが明文化された。
- 2.令和4年(2022年) 改正:民事訴訟手続の IT 化に伴い、公示送達の方法が裁判所の掲示場への掲示に加え、裁判所のウェブサイトでの電子掲示へと移行する方向で改正(段階施行)。なお要件規定たる本条自体の改正範囲・施行時期の詳細は要確認。
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