民事訴訟法 第108条(外国における送達)
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外国においてすべき書類の送達は、裁判長がその国の管轄官庁又はその国に駐在する日本の大使、公使若しくは領事に嘱託してする。
この条文の基本情報
外国における送達とは何ですか?
定義外国における送達とは、民事訴訟法第108条に定められた規定で、「外国においてすべき書類の送達は、裁判長がその国の管轄官庁又はその国に駐在する日本の大使、公使若しくは領事に嘱託してする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第108条(外国における送達)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第108条の条文原文は「外国においてすべき書類の送達は、裁判長がその国の管轄官庁又はその国に駐在する日本の大使、公使若しくは領事に嘱託してする。」で始まります。
- 民事訴訟法第108条は第二款に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第108条の前の条は民事訴訟法第107条です。
- 民事訴訟法第108条の次の条は民事訴訟法第109条です。
- 民事訴訟法第108条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第108条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第108条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/108
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法108条は、外国でする送達は裁判長が相手国の管轄官庁または駐在日本領事に嘱託して行うと定める。当事者の直接郵送は有効な送達と認められない。
Q · 海外に逃げた相手に、訴状を直接国際郵便で送れば裁判は始められますか?
始められません。国家ルートでの嘱託送達が必要です
民事訴訟法108条により、外国でする送達は裁判長が相手国の管轄官庁、またはその国に駐在する日本の大使・公使・領事に嘱託して行います。原告が個人で相手の海外住所へ国際郵便を送っても、原則として有効な「送達」とは認められません。正規ルートを経ない手続は後に送達無効とされ、得た判決が外国で執行できなくなる恐れがあります。相手国がハーグ送達条約の加盟国なら中央当局経由で送達でき、送達が見込めない場合は公示送達(110条)への切り替えを検討します。
解説
取引相手が代金を踏み倒したまま本国へ帰った。国際結婚の相手が母国に戻って音信不通になり、離婚調停もできない。海外の通販業者に騙された。こうしたとき、多くの人は「相手の海外の住所に訴状を国際郵便で送ればいい」と考える。それが大きな落とし穴だ。民事訴訟法108条は、外国でする送達は裁判長がその国の管轄官庁、またはその国に駐在する日本の大使・公使・領事に嘱託してすると定める。つまり、原告個人が勝手に書類を送りつけても法的な「送達」にはならない。正規ルートを通さずに進めた手続は、後で送達無効とされ、せっかく取った判決が外国で執行できなくなる。逆にこの条文を知っていれば、相手が国外に逃げても「裁判ができない」と諦める必要はない。送達条約の枠組みを使い、国家ルートで正面から書類を届ける道があると分かる。海外にいる相手に法の手を伸ばす、その唯一の正規の管が、この一条だ。
法的な位置づけ
民事訴訟法108条は外国における送達の方法を定める規定であり、外国でなすべき送達は裁判長が相手国の管轄官庁、またはその国に駐在する日本の大使・公使・領事に嘱託して行う旨を規定する。国家の裁判権行使である送達を外国主権との関係で正規化する手続規範として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.被告の現住所と所在国を特定する 送達は宛先住所が確定しないと始まらない。被告の正確な現住所・滞在国を調査し、住所不明なら現地調査や所在調査を先行させる
- 2.相手国が送達条約の対象かを確認する 相手国がハーグ送達条約の加盟国か、二国間の司法共助取り決めの対象かを確認する。対象なら中央当局・領事ルートで送達でき、非対象国なら早期に公示送達への切り替えを視野に入れる
- 3.裁判所に外国送達を上申し嘱託ルートに乗せる 訴え提起後、裁判所に外国送達を上申する。裁判長が相手国の管轄官庁または駐在日本領事に嘱託する。要求される翻訳文を添付し、当事者が自分で国際郵便を送らないこと
- 4.送達中の時効を手当てする 送達完了まで数か月から年単位かかるため、その間に請求権が時効消滅しないよう、訴え提起による時効の完成猶予(民法147条以下)を確保し、進行を管理する
- 5.送達不能なら公示送達へ切り替える 外国送達が見込めない・不能と判断できれば、110条の公示送達を申し立てる。外国送達についての公示送達は掲示開始から六週間の経過で効力が生じる(112条)
よくある質問 AI による整理
Q1外国送達とは何ですか?
外国にいる当事者へ訴状等を届ける手続です。民事訴訟法108条により、裁判長が相手国の官庁または駐在日本領事に嘱託して行い、当事者の直接郵送は原則無効です。
Q2ハーグ送達条約の加盟国はどこですか?
米国・中国・韓国・英国・ドイツなど主要国が加盟しています。加盟国相手なら中央当局経由で送達でき、非加盟国だと送達ルートが細く期間も長くなります。
Q3海外にいる相手を日本で訴えられますか?
訴えること自体は可能です。問題は『訴えられるか』でなく『どう書類を届けるか』で、108条の嘱託送達ルートを通せば被告が国外でも審理・判決が可能です。
Q4外国送達はどのくらい時間がかかりますか?
国によって数か月から一年以上かかります。送達完了まで本案審理が進まないため、時効の手当てや公示送達への切り替え判断が実務上重要です。
Q5送達条約の非加盟国にはどう送達しますか?
二国間の司法共助取り決めや外交ルートに依りますが、協力が得られない国では送達が事実上困難です。その場合は公示送達(110条)への切り替えを検討します。
Q6外国送達ができないときはどうなりますか?
送達が見込めないと判断されれば公示送達(110条)を申し立てます。外国送達についての公示送達は掲示開始から六週間の経過で効力が生じます(112条)。
Q7領事送達とは何ですか?
相手国に駐在する日本の大使・公使・領事に裁判長が嘱託して行う送達です。108条が定める正規ルートの一つで、相手国の管轄官庁を通す方式と並びます。
Q8外国送達に翻訳文は必要ですか?
送達条約や相手国の要求により、訴状等に相手国公用語の翻訳文添付が求められることが多いです。翻訳不備は送達拒否や遅延の原因になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1海外にいる相手の住所が分かっているのに、なぜ直接郵送じゃダメなんですか?
送達は国家の裁判権の行使であり、外国の領域内で日本が勝手に公的手続を行うことは主権の問題になるからです。だから108条は相手国の官庁か現地の日本領事に嘱託する形を取ります。実務のポイント:相手国がハーグ送達条約の加盟国かどうかで手続も期間も全く違います。米国・中国・韓国など主要国は加盟していますが、未加盟国相手だと送達ルート自体が細く、実務家はこの段階で訴訟の見通しを立て直します
Q2送達に一年もかかると言われました。その間、時効は大丈夫ですか?
訴えを提起した時点で時効の完成猶予の効果が生じうるため(民法147条の裁判上の請求等)、送達完了を待つ間に時効が完成してしまうリスクは原則として回避できます。ただし手続の進め方によるので個別確認が必要です。実務のポイント:送達がいつまでも完了しない国を相手にする場合、漫然と待つと審理が止まったままになります。経験のある弁護士は早い段階で『この国は送達が見込めない』と判断し、公示送達(110条)への切り替えを裁判所に求めて、手続を前に進めます
間違えやすい点 AI による整理
- 「相手の海外住所に内容証明や国際書留で訴状を送れば送達は完了する」と思われているが、外国における送達は裁判長の嘱託による国家ルート(108条)が原則で、当事者が直接郵送したものは原則として有効な送達と認められない。この一点を見落とすと、手続全体がやり直しになる
- 「外国送達は時間がかかる、くらいは知っている」という人も、その遅さが訴訟全体の生死を左右する深刻さまでは理解していないことが多い。国によっては送達完了まで半年から一年以上かかり、その間は本案の審理が進まない。だからこそ送達が見込めない場合に備えた公示送達(110条)への切り替え判断が、実務では決定的になる
- 「外国にいる相手は日本では訴えられない」と諦める人が多いが、立てた前提が誤っている。問題は『訴えられるか』ではなく『どうやって書類を届けるか』だ。送達の管さえ通せば、被告が地球の裏側にいても日本の裁判所で審理し、判決を得ること自体は可能だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用場面 | 108条:外国でする送達(被告が国外にいる) | 107条:書留郵便等に付する送達(国内で就業場所等が不明) 110条:公示送達(住所等が知れない・外国送達不能) |
| 実行主体 | 裁判長が相手国官庁または駐在日本領事に嘱託 | 裁判所書記官が書留郵便で発送 裁判所書記官が掲示し裁判所が公告 |
| 効力発生時点 | 相手国の手続に従い現実に交付された時(送達報告書で確認・109条) | 発送した時に送達があったものとみなす 外国送達は掲示開始から六週間の経過で効力発生(112条但書) |
| 所要期間 | 数か月〜一年以上(相手国の協力状況に左右) | 発送により即時 六週間(外国の場合) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も外国でする送達は相手国の管轄機関または駐在の中華民国大使・公使・領事に嘱託する方式を採り、日本108条とほぼ同型
韓国も外国でする送達は裁判長が相手国の管轄官庁または駐在韓国大使等に嘱託する方式で、日本と類似の構造
ドイツはEUの送達規則やハーグ送達条約を前提に、外国送達の方式を規律。EU域内では中央当局を介さない簡素化が進む
米国は連邦民訴規則4条(f)で外国における個人への送達方法を定め、ハーグ送達条約加盟国へは中央当局経由を原則とする
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが日本で仕事を発注した個人事業主が、報酬の前払いだけ受け取って母国へ帰国し連絡を絶った。日本で損害賠償訴訟を起こしたいが、被告は外国にいる。訴状は被告に届かなければ裁判が始まらない。ここで108条の嘱託送達ルートを使えるかどうかで、訴訟が動くか塩漬けになるかが決まる
- 国際結婚した配偶者が子どもを連れて母国に帰り、離婚と養育費の話し合いを拒否している。家庭裁判所に調停・訴訟を申し立てても、相手国への送達が必要になる。送達条約の加盟国かどうか、その国の手続にどれだけ時間がかかるかで、解決までの年単位の差が出る
- もし、海外の EC 業者から欠陥品を買わされ、相手が日本に拠点を持たなかったら、どこでどう訴えるのか。送達のハードルが高すぎて泣き寝入りする人が多いが、相手国がハーグ送達条約の加盟国なら、国家ルートで書類を届けて日本で訴訟を進める余地がある
- あなたが海外在住の日本人で、ある日、日本の裁判所からあなたに宛てた訴状が現地の日本領事館経由、またはその国の役所経由で届いた。残された応訴期間は限られている。これは108条のルートで正規に送達されたもので、無視すれば欠席判決が下る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 被告の正確な現住所と所在国を特定する。送達は住所が確定しないと始まらない2. その国がハーグ送達条約や二国間司法共助の対象かを確認、対象なら裁判所に外国送達を上申し108条の嘱託ルートに乗せる3. 送達には数か月から年単位かかると見込み、時効中断・更新の手当て(民法147条以下の裁判上の請求等)を並行して確保4. 送達が困難・不能と見込まれる場合は早めに公示送達(110条)への切り替えを裁判所と協議する。自分で国際郵便を送って済ませようとしないこと
訴えられた側:1. 外国にいるあなたに日本の裁判所からの書類が現地官庁や日本領事経由で届いたら、それは正規の送達である可能性が高い。無視は欠席判決を招く2. 応訴か否か、管轄の有無を含めて速やかに日本の弁護士に相談する3. 送達手続に瑕疵があれば(嘱託ルートを経ていない直接郵送など)、送達の効力を争う余地がある4. 公示送達で進められていた場合でも、知らなかったことに正当な理由があれば救済(再審等)を検討できる
時効(請求できる期限):本条自体に時効はない。ただし外国送達は完了まで数か月から年単位を要するため、その間に請求権が時効消滅しないよう注意が必要(一般消滅時効は民法166条、債権は権利行使できると知った時から5年または権利行使できる時から10年)。外国送達についての公示送達は、掲示開始から六週間の経過で効力を生じる(民事訴訟法112条但書、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:外国における送達は裁判権という国家作用であり、外国領域内での直接送達は当該国の主権を侵すため許されない。108条の嘱託方式はこの主権配慮に基づくもので、当事者の直接郵送は原則として有効な送達と認められないと解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧民事訴訟法の外国送達規定を引き継ぎ、現行108条として整理。裁判長が相手国の管轄官庁または駐在日本大使・公使・領事に嘱託する方式を明文化した
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正。旧法の外国送達規定を引き継ぎ、裁判長が相手国の管轄官庁または駐在日本大使・公使・領事に嘱託する方式を現行108条として整理した
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