民事訴訟法 第98条(職権送達の原則等)
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- 送達は、特別の定めがある場合を除き、職権でする。
- 2.送達に関する事務は、裁判所書記官が取り扱う。
この条文の基本情報
職権送達の原則等とは何ですか?
定義職権送達の原則等とは、民事訴訟法第98条に定められた規定で、「送達は、特別の定めがある場合を除き、職権でする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第98条(職権送達の原則等)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第98条の条文原文は「送達は、特別の定めがある場合を除き、職権でする。」で始まります。
- 民事訴訟法第98条は第一款に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第98条の前の条は民事訴訟法第97条です。
- 民事訴訟法第98条の次の条は民事訴訟法第99条です。
- 民事訴訟法第98条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第98条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第98条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/98
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法98条は、送達を特別の定めがある場合を除き裁判所の職権で行うと定める。送達事務は裁判所書記官が取り扱い、当事者が自ら相手に届ける必要はない。
Q · 裁判を起こすとき、訴状は自分で相手に送らないといけないの?
いいえ、送達は裁判所が職権で行います
民事訴訟法98条により、送達は特別の定めがある場合を除き裁判所の職権で行われ、その事務は裁判所書記官が取り扱います。当事者がするのは裁判所に訴状を提出するところまでで、相手に届けるのは書記官の仕事です。相手が所在不明でも、付郵便送達(107条)や公示送達(110条)により、現実に書類が届かなくても送達は完了したものとして扱われ、欠席のまま判決が確定する危険があります。
解説
裁判所から一通の封筒が届く。中身は訴状。多くの人は「自分で相手に書類を送りつけないと裁判は始まらない」と思っているが、日本の民事裁判は逆だ。民事訴訟法98条は、送達は職権でする、つまり裁判所が自分の責任で当事者に書類を届けると定める。その実務を担うのは裁判所書記官だ。一見すると地味な手続規定だが、ここに恐ろしい裏面がある。あなたが引っ越して所在不明になっても、相手は「居所が分からない」と裁判所に申し立て、公示送達(裁判所の掲示板に貼るだけの送達)を使える。そうなれば、訴状があなたの手元に一度も届かなくても、送達は法的に完了したことになり、あなた不在のまま判決が確定し、ある日突然、給与や預金が差し押さえられる。送達は、あなたを裁判の土俵に上げるか、土俵の外に置き去りにするかを決める入口なのだ。
法的な位置づけ
民事訴訟法98条は職権送達主義を定める規定であり、送達は特別の定めがある場合を除き裁判所の職権で行われ、その事務は裁判所書記官が取り扱う旨を規定する。当事者の申立てを要さず、裁判所が自らの責任で訴訟書類を名宛人に交付する手続的枠組みを構成する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相手の現住所を住民票・戸籍附票で特定 訴えを起こす前に、相手の住民票の写しや戸籍の附票を取得し、現在の住所を確定する。弁護士・司法書士に依頼すれば職務上請求で取得できる
- 2.確定した住所へ通常の送達を試みる 裁判所に訴状を提出し、特定した住所への通常送達を申し立てる。送達は職権で行われるため、原告は正確な送達場所を裁判所に伝えれば足りる
- 3.あて所不明なら就業場所送達・付郵便送達を申し立て 住所への送達が「あて所に尋ねあたらず」で戻った場合、就業場所への送達や、書留発送時に送達擬制が生じる付郵便送達(107条)を裁判所に申し立てる
- 4.所在が全く不明なら公示送達を申し立て 住所も就業場所も判明しないときは、現地調査報告書や近隣聞き取りを添えて公示送達(110条)を申し立てる。掲示から2週間で効力が生じ、相手欠席なら擬制自白で判決を得られる
よくある質問 AI による整理
Q1職権送達とは何ですか?
裁判所が当事者の申立てを待たず、自らの責任で訴訟書類を当事者に届ける制度です。民事訴訟法98条が根拠で、原告がやるのは裁判所への訴状提出までです。
Q2送達は誰が行いますか?
送達に関する事務は裁判所書記官が取り扱います(民訴98条2項)。実際の交付は郵便職員や執行官が担うこともありますが、手続の責任は裁判所にあります。
Q3送達と送付の違いは何ですか?
送達は法律で定められた方式に従い、書類が名宛人に届いたことを証明する正式な手続です。単なる郵送(送付)と異なり、到達の効力が法的に確定します。
Q4送達が必要な書類にはどんなものがありますか?
訴状、判決書、支払督促、呼出状など、当事者の手続上の権利に関わる重要書類は送達が必要です。準備書面などは送付で足りる場合があります。
Q5付郵便送達とはどういう送達ですか?
送達場所は分かるが受領を拒否・居留守される場合に、書留郵便で発送した時点で送達完了とみなす方法です(民訴107条)。受領拒否は逃げ道になりません。
Q6補充送達は誰に渡せば有効ですか?
名宛人不在でも、その住居の同居者や使用人など相当のわきまえのある者に交付すれば送達は有効です(民訴106条)。本人が受け取らなくても効力が生じます。
Q7送達場所はどこになりますか?
原則は名宛人の住所・居所・営業所・事務所です(民訴103条)。就業場所への送達が認められる場合もあり、当事者は送達場所を届け出ることができます。
Q8公示送達はどんなときに使えますか?
名宛人の住所も就業場所も不明で通常の送達ができないとき、裁判所書記官が書類を保管し掲示する方法です(民訴110条)。掲示から2週間で効力が生じます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1引っ越して訴状が届かなければ、裁判は起こせないんですよね?
起こせます。所在不明の相手には公示送達(110条)があり、裁判所の掲示場に一定期間掲示することで送達したものとみなされます。掲示から2週間で効力が生じ、あなたが欠席すれば相手の主張がそのまま通ります。実務のポイント:逃げても勝ち逃げにはなりません。むしろ反論の機会を失う分だけ不利です。引っ越したら必ず郵便の転送届を出し、心当たりのあるトラブルは放置せず早めに対応するのが、知らぬ間の敗訴を防ぐ唯一の方法です
Q2知らないうちに判決が出て、いきなり給料を差し押さえられました。もう手遅れですか?
諦めるのは早いです。公示送達など、あなたが現実に書類を受け取れない事情があった場合、自分の責めに帰せない理由で期間を守れなかったとして、上訴の追完(97条)や再審を申し立てられる余地があります。実務のポイント:追完には差押えや判決を知ってから1週間など厳格な期限があります。一日でも早く、送達記録(どこに、どう送達されたか)を裁判所で確認し、弁護士に相談することが、ひっくり返せるかどうかの分かれ目です
間違えやすい点 AI による整理
- 相手を訴えるには自分で訴状を送りつけなければならないと思っている人が多いが、日本の民事訴訟では裁判所が職権で送達する(98条)。当事者がやるのは裁判所に訴状を提出するところまでで、相手に届けるのは書記官の仕事だ。送達の主導権は最初からあなたの手を離れている
- あなたから見れば「訴状を受け取っていないのだから、この裁判は無効だ」と感じる。だが法律から見れば、公示送達など適法な手続で送達された以上、あなたが現実に受け取らなかったこと自体があなたの不利益として処理される。この「受け取った」と「受け取っていない」の落差が、知らぬ間の敗訴を生む
- 「引っ越せば訴状は届かないから逃げ切れる」と考える人がいる。届かないのは事実だが、それは安全ではなく危険だ。届かなければ付郵便送達や公示送達に切り替わり、あなたは反論の機会すら得られないまま負ける。届かないことは、勝ち逃げではなく一方的な敗北への近道である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 送達の方法 | 98条:職権送達の原則(裁判所が職権で実施) | 107条:付郵便送達(書留発送で擬制) 110条:公示送達(掲示で擬制) |
| 適用前提 | 原則すべての送達に適用、書記官が担当 | 送達場所は判明、受領拒否・居留守 住所も就業場所も不明 |
| 送達完了の時点 | 名宛人または受領権者への現実の交付時 | 書留郵便を発送した時点 掲示から2週間経過時 |
| 名宛人への現実の到達 | 原則として現実に到達 | 到達しないことがある ほぼ到達しない(擬制) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も「送達は、別段の定めがある場合を除き、裁判所書記官が職権で行う」と規定し、日本とほぼ同一の職権送達主義を採用する
韓国も送達は法院が職権で行うと定め、公示送達制度も類似する。日本法を継受した構造が色濃く残る
ドイツは職権送達(Zustellung von Amts wegen)を原則とし、日本の職権送達主義はこのドイツ法を範としたもの
米国は当事者送達主義で、原告側が被告に訴状送達を行う点が日本と根本的に異なる。送達の主導権の所在が対照的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが半年前に引っ越して転居届を出していなかったら? 元の住所に届いた訴状は「あて所に尋ねあたらず」で戻り、相手は公示送達を申し立てる。掲示から2週間で送達は完了し、あなたが事態を知るのは、銀行口座が凍結された通知が来たときかもしれない。残された猶予はゼロ、判決はすでに確定している
- あなたが貸した金を返さない相手が、電話にも出ず居留守を使う。普通の送達は届かない。だが付郵便送達(107条)を使えば、書留を発送した時点で送達完了とみなせる。逃げる相手を、書記官の手続一つで土俵に引きずり出せる。受領拒否は、もはや有効な逃げ道ではない
- 賃貸物件の連帯保証人になっていたあなたに、ある日裁判所から封筒が届く。主債務者は行方不明、送達が届いたのは保証人のあなただけ。気付けば、あなた一人が被告席に立たされている
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず相手の住民票・戸籍附票を取り、現住所を特定して通常の送達を試みる2. あて所不明で戻ったら、就業場所への送達や、付郵便送達(107条)を裁判所に申し立てる3. どうしても所在が分からなければ、調査報告書(現地調査・近隣聞き取り)を添えて公示送達(110条)を申し立てる4. 公示送達は掲示から2週間で効力が生じ、相手が欠席なら擬制自白で勝訴判決を得られる。逃げる相手ほど、送達の手段を一段ずつ上げる戦略が要る
訴えられた側:1. 裁判所からの封筒は絶対に放置しない。開封し、第1回期日と答弁書の提出期限を確認する2. 期日前に答弁書を出し、認否と反論を記載。無視すると擬制自白(159条3項)で全面敗訴になる3. もし知らぬ間に判決が確定し差押えが来たら、自分の責めによらず期間を守れなかったとして上訴の追完(97条)や再審を検討4. 引っ越し時は転居届と郵便転送を出し、届出住所を放置しない
時効(請求できる期限):送達そのものに時効はない。だが送達を受けた後の応答期限が命取りになる。訴状送達からおおむね1か月後の第1回口頭弁論期日までに答弁書を提出すること。判決書の送達を受けた日から控訴は2週間以内(民事訴訟法285条)、この期間を過ぎると判決が確定する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:民訴98条は職権送達主義を採用し、送達の責任を裁判所に帰属させる。当事者の所在不明により現実の交付が不可能な場合でも、付郵便送達・公示送達によって送達を擬制し、逃げ得を防ぐ。被告が不利益を負う危険は上訴の追完や再審で事後調整される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正により現行98条が成立。職権送達の原則と、送達事務を裁判所書記官が取り扱う旨を明文化
- 2.令和4年(2022年) 改正:民事訴訟手続の IT 化に伴う改正。電磁的記録の送達など、送達制度全体のデジタル対応が整備された
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