民事訴訟法 第132条の9(証拠収集の処分に係る裁判に関する費用の負担)
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第百三十二条の四第一項の処分の申立てについての裁判に関する費用は、申立人の負担とする。
この条文の基本情報
証拠収集の処分に係る裁判に関する費用の負担とは何ですか?
定義証拠収集の処分に係る裁判に関する費用の負担とは、民事訴訟法第132条の9に定められた規定で、「第百三十二条の四第一項の処分の申立てについての裁判に関する費用は、申立人の負担とする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第132条の9(証拠収集の処分に係る裁判に関する費用の負担)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第132条の9の条文原文は「第百三十二条の四第一項の処分の申立てについての裁判に関する費用は、申立人の負担とする。」で始まります。
- 民事訴訟法第132条の9は第一編 総則に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第132条の9の前の条は民事訴訟法第132条の8です。
- 民事訴訟法第132条の9の次の条は民事訴訟法第132条の10です。
- 民事訴訟法第132条の9には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第132条の9 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第132条の9(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/132_9
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法132条の9は、提訴前の証拠収集処分の申立て費用を申立人の負担と定める。敗訴者負担の原則(61条)の例外で、本訴で勝訴しても回収できない。
Q · 訴える前に裁判所へ証拠集めを頼んだら、その費用は誰が払うの?
申立人が負担し、勝訴しても戻りません
民事訴訟法132条の9により、提訴前の証拠収集処分(132条の4第1項)の申立てについての裁判費用は、申立人の負担となります。通常の訴訟費用は敗訴者負担が原則(61条)ですが、提訴前の証拠収集はその例外です。つまり、後に本訴を起こして勝訴しても、この申立てにかかった裁判費用は自腹のまま戻ってきません。証拠の価値とコストを天秤にかけて使うかどうかを判断する、前払い型の制度です。
解説
訴訟になってから証拠を集めようとして、肝心の書類を相手に隠された、廃棄された。それを防ぐために、日本の民事訴訟法には「訴える前に裁判所を動かして証拠を集める」制度がある。相手に予告通知を出したうえで、裁判所に文書の送付嘱託や調査嘱託を申し立てられる(132条の4第1項)。問題は、その費用を誰が払うかだ。132条の9は明快に答える。申立人、つまりあなたが払う。通常の訴訟費用は敗訴者負担が原則(61条)だが、この提訴前の証拠収集は、その後の訴訟であなたが勝っても、申立てにかかった裁判費用は自腹のままだ。つまり「先に金を出して武器を買う」前払いの仕組み。使うかどうかは、集まる証拠の価値とコストを天秤にかけて決める。
法的な位置づけ
民事訴訟法132条の9は、提訴前の証拠収集処分(同法132条の4第1項)の申立てに関する裁判費用の負担者を定める規定であり、当該費用を申立人の負担とする。訴訟費用敗訴者負担の原則(同法61条)に対する特則として位置づけられ、勝敗にかかわらず申立人が当該費用を負担する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相手方へ提訴予告通知を出す 提訴前の証拠収集処分を使う前提として、相手方に提訴予告通知を出す(132条の2)。通知の内容と到達日が、後の4か月の不変期間の起算点になるため、記録を残す
- 2.確保したい証拠を一点に絞る 文書送付嘱託・調査嘱託・専門家意見など手段ごとに費用が変わる。費用は申立人負担・回収不能のため、訴訟の勝敗を分ける決定的な証拠に絞って申し立てる
- 3.費用対効果を試算する 132条の9により費用は前払い・回収不能と理解したうえで、その証拠が訴訟の勝敗をどれだけ左右するか、回収見込み額と申立て費用を比較して採算を試算する
- 4.弁護士と詰めて期間内に申し立てる 管轄裁判所(132条の5)を確認し、予告通知から4か月の不変期間内に申し立てる。見込みが薄ければ提訴後の通常の証拠調べに切り替える
よくある質問 AI による整理
Q1提訴前証拠収集とは何ですか?
訴えを起こす前に、予告通知を前提として裁判所に文書送付嘱託や調査嘱託などを申し立て、証拠を確保する制度です(民訴132条の4第1項)。
Q2提訴前証拠収集の費用は誰が払いますか?
民事訴訟法132条の9により、申立人が負担します。通常の訴訟費用と違い敗訴者負担の対象外で、勝訴しても回収できません。
Q3提訴前証拠収集はいつまでに申し立てればいいですか?
予告通知がされた日から4か月の不変期間内です(132条の4第2項)。期間を過ぎると提訴前の収集はできず、提訴後の証拠調べに頼ります。
Q4提訴前証拠収集の費用は後で取り返せますか?
原則として取り返せません。132条の9が申立人負担を明記し、敗訴者負担の原則(61条)から切り分けられているためです。
Q5提訴前証拠収集の前提として必要な手続は?
相手方への提訴予告通知(132条の2)が前提です。予告通知を経ずに証拠収集処分を申し立てることはできません。
Q6提訴前証拠収集ではどんな手段が使えますか?
文書送付嘱託、官公署等への調査嘱託、専門家への意見陳述の嘱託、執行官による現況調査などが用意されています(132条の4第1項各号)。
Q7提訴前証拠収集の処分に不服があるときは?
証拠収集処分の申立てを却下する裁判などには、不服申立てが制限される場面があります(132条の8)。手続前に範囲を確認すべきです。
Q8提訴前証拠収集はどこの裁判所に申し立てますか?
管轄は132条の5が定めます。予告通知の相手方の住所地等を管轄する地方裁判所などに申し立てることになります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1裁判を起こす前に、裁判所が証拠集めを手伝ってくれるって本当ですか?
本当だ。相手に予告通知をしたうえで、文書送付嘱託や調査嘱託などを裁判所に申し立てられる(132条の4第1項)。ただし132条の9で、その申立てにかかる裁判費用は申立人負担と定められている。実務のポイント:この提訴前証拠収集はほとんど使われていない制度で、知っている弁護士も限られる。証拠が相手の手元にあって訴訟前に散逸しそうなケースでは強力な一手だが、費用前払い・回収不能という設計が利用のハードルになっている
Q2勝訴したら、提訴前に払った証拠集めの費用も相手に請求できますか?
原則できない。通常の訴訟費用は敗訴者負担(61条)だが、132条の9は提訴前の証拠収集処分の申立て費用を申立人負担と切り分けている。勝っても、この部分は戻ってこない。実務のポイント:だからこそ実務では、提訴前収集を使うのは「この証拠がなければ訴訟自体が成り立たない」という決定的な場面に限られる。費用を訴訟後に取り返せる通常の証拠調べと、前払いの提訴前収集の使い分けが弁護士の腕の見せどころになる
間違えやすい点 AI による整理
- 「裁判で勝てば証拠集めの費用も相手から取り返せる」と考えて提訴前証拠収集に踏み切る人がいる。だが、その問いの立て方そのものが間違っている。通常の訴訟費用は敗訴者負担(61条)だが、132条の9は提訴前の証拠収集費用を申立人負担と明確に切り分けた。勝敗と無関係に、あなたが払う
- 提訴前に証拠を集められること自体は知っていても、その費用負担の重さを軽視している人が多い。文書送付嘱託、調査嘱託、専門家の意見聴取まで使えば、申立て段階の費用は無視できない額になりうる。前払いで、回収不能。この一点が制度を使うかどうかの分かれ目になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 費用の負担者 | 132条の9:申立人が負担(回収不能) | 61条:原則として敗訴者が負担 132条の4:提訴前証拠収集処分そのものの根拠 |
| 適用場面 | 提訴前の証拠収集処分の申立て | 訴え提起後の訴訟費用全般 予告通知後の証拠の収集手続 |
| 回収可能性 | 本訴で勝訴しても回収できない | 勝訴者は相手方から回収できる —(費用の帰属は132条の9で決まる) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も起訴前の証拠保全を認める。費用負担の扱いは保全費用に関する規律で処理され、申立人が予納する点で機能的に近い
韓国も提訴前の証拠保全制度を持ち、申立人が手続費用を予納する構造で、機能的に対応する
ドイツの独立的証拠手続は訴え提起前の証拠保全を広く認め、費用は最終的に本訴の費用に組み込まれうる点で日本と扱いが異なる
米国は提訴前の証言保全を限定的に認めるが、ディスカバリー全体が当事者負担を前提とする点で費用構造が日本と大きく異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先が倒産しそうで、未払い代金の証拠書類が散逸する前に押さえたい。提訴前の証拠収集で文書送付嘱託を申し立てる。だがその費用はあなた持ち。残された時間と、回収見込み額を天秤にかけることになる
- もし相手が証拠を握りつぶす前に、裁判所の力で確保できるとしたら? 132条の4の処分はそのための制度。ただし132条の9により、申立て費用は前払いであなたが負担する。勝訴しても戻ってこない
- あなたの会社に、見知らぬ相手の代理人から提訴予告通知が届いた。次に裁判所から文書送付の嘱託が来るかもしれない。相手はすでに費用を払って動き出している。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 訴える前に相手へ提訴予告通知を出す(132条の2)、これが証拠収集処分の前提2. 確保したい証拠を一点に絞る、文書送付嘱託・調査嘱託・専門家意見など手段ごとに費用が変わる3. 132条の9により費用は前払い・回収不能と理解したうえで、その証拠が訴訟の勝敗をどれだけ左右するか試算4. 弁護士と費用対効果を詰めてから申立て、見込みが薄ければ訴え提起後の通常の証拠調べに切り替える
訴えられた側:1. 提訴予告通知が届いたら、相手が本気で訴訟準備に入った合図と受け止める2. 裁判所から文書送付嘱託が来たら、対象文書の範囲と正当な拒否事由(営業秘密等)を確認3. 応じる前に自社に有利・不利な証拠を整理、開示範囲を弁護士と精査4. 相手が費用を自腹で先行投資している以上、和解の窓口を早めに探るのも選択肢
時効(請求できる期限):提訴前の証拠収集の処分は、予告通知がされた日から4か月の不変期間内に申し立てなければならない(132条の4第2項、最新の改正状況をご確認ください)。この期間を過ぎると提訴前の収集はできず、訴え提起後の通常の証拠調べに頼ることになる
学説
通説:132条の9が申立て費用を申立人負担とするのは、訴え提起前に相手方・第三者に証拠開示を求められる強力な制度の濫用(いわゆる証拠あさり)を抑え、本当に必要な当事者の利用に限るための経済的ブレーキと理解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)改正 提訴前における証拠収集の処分等の制度(132条の2から132条の9)の一環として新設。本条は証拠収集処分の申立てに関する裁判費用を申立人負担とする規律を定めた
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:提訴前における証拠収集の処分等の制度(132条の2から132条の9)の一環として新設。本条は証拠収集処分の申立てに関する裁判費用を申立人負担とする規律を定めた
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