民事訴訟法 第14条(職権証拠調べ)
クイックジャンプ
裁判所は、管轄に関する事項について、職権で証拠調べをすることができる。
この条文の基本情報
職権証拠調べとは何ですか?
定義職権証拠調べとは、民事訴訟法第14条に定められた規定で、「裁判所は、管轄に関する事項について、職権で証拠調べをすることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第14条(職権証拠調べ)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第14条の条文原文は「裁判所は、管轄に関する事項について、職権で証拠調べをすることができる。」で始まります。
- 民事訴訟法第14条は第二節 管轄に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第14条の前の条は民事訴訟法第13条です。
- 民事訴訟法第14条の次の条は民事訴訟法第15条です。
- 民事訴訟法第14条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第14条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第14条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/14
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法14条は、裁判所が管轄に関する事項について職権で証拠調べをできると定める。管轄は職権調査事項であり、当事者の主張がなくても裁判所が自ら調査する。
Q · 管轄が間違っている気がするとき、証拠を自分で全部そろえないと争えないの?
管轄は職権調査事項で、裁判所が自ら証拠を調べます
民事訴訟法14条により、裁判所は管轄に関する事項について職権で証拠調べができます。管轄は弁論主義の例外をなす職権調査事項であり、当事者が完璧な立証をしなくても、裁判所が自ら資料を集めて管轄の有無を確認します。専属管轄に反する場合は、当事者の合意があっても職権で見抜かれ、本来の裁判所へ移送されます(民訴16条)。攻める側も守る側も、管轄の土俵だけは通常の立証感覚と異なる点に注意が必要です。
解説
民事訴訟には大原則がある。当事者が出さない事実や証拠を、裁判所は勝手に拾わない。これを弁論主義という。ところが管轄、つまりどの裁判所が事件を裁く権限を持つかという問題だけは、この原則の外にある。民訴14条は、裁判所が管轄に関する事項について職権で、つまり当事者の申立てがなくても、自ら証拠調べをできると定める。意味は重い。あなたと相手が口裏を合わせて都合のいい裁判所に持ち込もうとしても、それが専属管轄に反していれば、裁判所は自分で資料を集めて見抜く。逆に、あなたが管轄違いを主張したいとき、本来の立証責任の重さを全部背負わなくてよい。裁判所が職権で調べてくれる余地があるからだ。攻めるときも守るときも、管轄の土俵だけはルールが違うと知っているかどうかで、最初の一手が変わる。
法的な位置づけ
民事訴訟法14条は、管轄に関する事項についての職権証拠調べを定める規定であり、裁判所が当事者の申立てを待たず職権で証拠を収集できる旨を規定する。管轄は弁論主義の例外をなす職権調査事項であり、本条はその調査において裁判所に証拠収集の権限を与える特則として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.訴状の管轄裁判所欄を確認する 訴状を受け取ったら、まず管轄裁判所の欄を確認し、専属管轄違反か任意管轄かを見極める。なぜ自分の住む街ではなく相手所在地の地裁なのか、違和感の正体を特定する
- 2.第一回期日前に管轄違いの抗弁を準備する 争うなら第一回口頭弁論期日で本案について弁論する前に管轄違いの抗弁を提出する。本案に応訴した後は応訴管轄が成立し、職権調査の扉ごと閉じる(民訴12条)
- 3.職権での証拠調べを求める一言を添える 立証は完璧でなくてよい。「管轄事項につき職権での証拠調べを求める」と申し立て、裁判所の職権発動を促す。立証の重荷を裁判所と分け合える(民訴14条)
- 4.移送の判断を待ち本来の裁判所で戦う 管轄違いが認められれば移送され(民訴16条)、本来の裁判所で本案を争える。期日を一度逃すと任意管轄の瑕疵は治癒されるため、タイミングを死守する
よくある質問 AI による整理
Q1職権証拠調べとは何ですか?
当事者の申立てを待たず、裁判所が自ら証拠を収集する手続です。民事訴訟法14条により、管轄に関する事項については職権での証拠調べが認められています。
Q2管轄は職権調査事項ですか?
はい。管轄の有無は訴訟要件として裁判所が職権で調査すべき事項であり、当事者が触れなくても裁判所が自ら確認し、必要なら職権で証拠調べまで行います(民訴14条)。
Q3弁論主義の例外とは何ですか?
通常の民事訴訟は当事者が出した主張・証拠で勝負しますが、管轄など一定の事項は裁判所が自ら調べます。14条はその例外地帯を支える規定です。
Q4専属管轄違反は職権で調べられますか?
はい。両当事者が便利な裁判所で進めようとしても、専属管轄に反すれば裁判所が職権で証拠調べをして見抜き、本来の裁判所へ移送します(民訴16条)。
Q5管轄違いはいつまでに主張すべきですか?
第一回口頭弁論期日で本案について弁論する前に申し立てます(民訴12条)。これを過ぎると応訴管轄が成立し、任意管轄の瑕疵は治癒されます。
Q6国際裁判管轄も職権で調べますか?
はい。日本の裁判所は自国に国際裁判管轄があるかを職権で調査します(民訴3条の11)。当事者が立証しきれなくても裁判所が自ら掘ります。
Q7家事事件の職権探知と何が違いますか?
家事事件は事件全体が職権探知の世界です(人訴20条)。通常訴訟は管轄だけが例外で、14条はその職権主義が顔を出す入口にすぎません。
Q8管轄が職権で調べられると当事者に有利ですか?
争う側には有利です。完璧な立証をしなくても「職権での証拠調べを求める」と申し立てれば、立証の重荷を裁判所と分け合えます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1管轄が間違ってる気がするんですが、証拠って自分で全部集めないとダメですか?
いいえ。管轄は職権調査事項で、裁判所は当事者の申立てがなくても職権で証拠調べができます(14条)。本案の事実のように立証責任を全部背負う必要はなく、裁判所が自ら確認する余地があります。実務のポイント:実務では「管轄について職権での証拠調べを求める」と一言申し立てておくと裁判所が動きやすい。黙って完璧な証拠集めに走るより、職権発動を促す方が早い
Q2両当事者が納得してるなら、多少管轄が違っても進めてもらえますよね?
任意管轄なら応訴管轄(12条)で固まりますが、専属管轄に反する場合は別です。裁判所が職権で調べ、管轄違いと判断すれば本来の裁判所へ移送します(16条)。当事者の合意では動かせません。実務のポイント:契約書に「東京地裁を専属管轄」と書いてあっても、それが法定専属管轄を覆すわけではない。合意管轄と法定専属管轄は別物で、後者は職権調査で必ず洗われる
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分が言わなければ、裁判所は管轄のことを気にしない」と思いがちだが逆である。管轄は職権調査事項で、当事者が触れなくても裁判所が自ら確認し、必要なら職権で証拠調べまでする(14条)。黙っていれば通る、は通用しない領域がある
- 管轄違いは「指摘すれば直る」程度に軽く見られがちだが、専属管轄違反は判決後の上訴理由にもなりうる深刻な瑕疵である。職権調査の対象であることの重さを、多くの人が過小評価している
- 「証拠は自分で全部そろえないと管轄を争えない」と思い込んで諦める人がいるが、問いの立て方そのものが間違っている。管轄事項は職権証拠調べの対象だから、あなたが完璧な立証をできなくても、裁判所が補って調べる余地がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 14条:管轄事項の職権証拠調べ(弁論主義の例外) | 12条:応訴管轄(抗弁の時期的限界) 16条:管轄違いによる移送(職権調査の帰結) |
| 発動の主体 | 裁判所が職権で証拠調べを行う | 被告の応訴という当事者の行動で管轄が固まる 裁判所が職権または申立てで移送を決定 |
| 基準時点 | 調査の権限を定める(時点は15条) | 第一回口頭弁論での本案弁論の前後 管轄違いと判断された時点で発動 |
| 当事者への影響 | 立証責任を全部背負わなくてよい | 抗弁を出さないと管轄違いを争えなくなる 本来の裁判所で改めて審理される |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾でも管轄は訴訟要件として職権調査の対象とされ、裁判所が自ら調査・移送する点で日本と同様の構造を持つ
韓国でも管轄は職権調査事項とされ、当事者の主張がなくても法院が職権で調査する点で日本に近い
ドイツでも裁判所は訴訟要件としての管轄を職権で審査する。職権調査主義の母法的位置づけにある
米国連邦裁判所は事物管轄(subject-matter jurisdiction)の欠缺をいつでも sua sponte で審査・却下する。合意では治癒できない点が日本の専属管轄に通じる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- なぜ自分の住む街ではなく、相手の本社がある遠くの地裁から訴状が届いたのか。第一回口頭弁論まであと三週間。本案の反論を書く前に、まず管轄を争うかどうかを決めないと、応訴管轄が成立して土俵を選び直せなくなる
- あなたが消費者として遠隔地の裁判所に訴えられた。管轄合意が一方的に不利でも、立証を全部自分で背負うと思い込む必要はない。管轄は職権調査事項であり、裁判所が自ら調べる余地がある
- 不動産をめぐる訴訟で、専属管轄の定めを無視して両当事者が便利な裁判所で進めようとした。だが裁判所は職権で証拠調べをし、管轄違いを見抜いて事件を本来の裁判所へ移送した。当事者の合意では動かせない領域があると、その場で思い知らされる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 訴状の管轄裁判所欄を確認し、専属管轄違反か任意管轄かを見極める2. 争うなら第一回口頭弁論期日で本案について弁論する前に管轄違いの抗弁を提出(12条) 3. 立証は完璧でなくてよい、「管轄事項につき職権での証拠調べを求める」と申し立てて裁判所の職権発動を促す(14条) 4. 移送(16条)が認められれば本来の裁判所で戦える。期日を一度逃すと応訴管轄が成立する
訴えられた側:1. 自分が原告で管轄を争われたら、選んだ裁判所に管轄がある根拠資料(契約書、義務履行地、不法行為地の疎明)を早期に提出2. 管轄は職権調査事項なので、裁判所が職権で調べる前に有利な資料を出しておくと認定が固まりやすい3. 合意管轄でも法定専属管轄は覆せない落とし穴に注意4. 移送リスクがあるなら、訴え提起前に管轄を精査する
時効(請求できる期限):管轄の有無は訴え提起の時を標準として定まる(15条)。管轄違いを争うなら、第一回口頭弁論期日で本案について弁論する前に申し立てること(12条、応訴管轄)。これを過ぎると任意管轄の瑕疵は治癒される
学説
通説:管轄は職権調査事項であり、裁判所は当事者の主張・立証に拘束されず職権で証拠調べができる(民訴14条)。弁論主義は事実認定一般を支配するが、訴訟要件たる管轄については職権調査主義が妥当するとされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 民事訴訟法の全部改正(平成8年法律第109号、平成10年施行)により、管轄に関する職権証拠調べの規定が現行の条文構成・条番号(14条)として整理された
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正(平成8年法律第109号、平成10年施行)により、管轄に関する職権証拠調べの規定が現行の条文構成・条番号(14条)として整理された。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める