民事訴訟法 第219条(書証の申出)
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書証の申出は、文書を提出し、又は文書の所持者にその提出を命ずることを申し立ててしなければならない。
この条文の基本情報
書証の申出とは何ですか?
定義書証の申出とは、民事訴訟法第219条に定められた規定で、「書証の申出は、文書を提出し、又は文書の所持者にその提出を命ずることを申し立ててしなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第219条(書証の申出)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第219条の条文原文は「書証の申出は、文書を提出し、又は文書の所持者にその提出を命ずることを申し立ててしなければならない。」で始まります。
- 民事訴訟法第219条は第五節 書証に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第219条の前の条は民事訴訟法第218条です。
- 民事訴訟法第219条の次の条は民事訴訟法第220条です。
- 民事訴訟法第219条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第219条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第219条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/219
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法219条は、書証の申出を、自ら文書を提出する方法と、所持者に提出を命ずるよう申し立てる方法(文書提出命令)の二つに限定して定める。
Q · 相手の会社が握っている残業記録、こっちの裁判で証拠として使えるの?
使えます。文書提出命令で出させられます
民事訴訟法219条は、書証の申出を二つの方法で行えると定めます。一つは自分の手元にある文書を提出すること、もう一つは文書を所持する相手方や第三者に提出を命ずるよう裁判所に申し立てること(文書提出命令)です。会社が握る勤怠記録のように、自分の手元になくても、文書を特定して提出命令を申し立てれば法廷に出させられます。相手が正当な理由なく従わなければ、その文書の記載に関する主張を真実と認めることができます(224条)。
解説
裁判の勝敗を分けるのは、しばしば「決定的な文書を持っている側」だ。そして多くの人は、不利な契約書も社内メールも勤怠記録も、相手の金庫の中にあって手が届かないと思い込んでいる。219条はその思い込みを壊す。書証、つまり文書を証拠として出す方法は二つあると定める。一つは自分の手元にある文書を提出すること。もう一つが本命で、文書を持っている相手や第三者に「出せ」と裁判所に命じさせるよう申し立てること(文書提出命令の申立て)だ。たった一文の条文だが、ここに「相手が隠している証拠を法廷に引きずり出す」という強力な仕組みの入口がある。あなたがこの二つ目のルートを知っているかどうかで、証拠が相手側に偏った事件の戦い方は根本から変わる。
法的な位置づけ
民事訴訟法219条は書証の申出方法を定める規定であり、文書を証拠として用いる場合に、当事者が自ら文書を提出するか、又は文書を所持する者に対しその提出を命ずるよう裁判所に申し立てなければならないとする。後者は文書提出命令(220条以下)の入口を構成する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.必要な文書が誰の手元にあるか特定する 立証に必要な文書をリスト化し、それぞれが自分・相手方・第三者のいずれの手元にあるかを切り分ける。手元にないこと自体は諦める理由にならない
- 2.自分が持つ文書は原本を準備して提出する 自己の手元にある文書は、成立の真正を立証できるよう原本を準備し、書証として提出する(219条前段)。写しの場合は原本の存在と一致を説明できるようにする
- 3.相手・第三者の文書は特定して提出命令を申し立てる 相手方や第三者が持つ文書は、表示・趣旨・所持者・証明すべき事実を特定し(221条)、文書提出命令を申し立てる。第三者所持なら文書送付嘱託(226条)も併用する。相手が処分する前に早期に動く
- 4.命令に従わない場合は224条の効果を主張する 提出命令が出たのに所持者が正当な理由なく従わない場合、その文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めるよう求める(224条)。事実上の立証責任転換を狙う
よくある質問 AI による整理
Q1書証とは何ですか?
文書に記載された意味内容を証拠資料とする証拠調べを書証といいます。契約書・メール・帳簿などが対象で、文書の成立の真正が要件になります(民事訴訟法219条以下)。
Q2文書提出命令はどうやって申し立てますか?
対象文書を特定し(民訴221条)、証明すべき事実や提出義務の原因を明らかにして裁判所に申し立てます。一般義務化(220条4号)により原則あらゆる文書が対象です。
Q3文書送付嘱託とは何ですか?
裁判所が文書の所持者に任意の送付を依頼する手続です(民訴226条)。提出命令と違い強制力はありませんが、官公庁や銀行から記録を取り寄せる際に多用されます。
Q4自己利用文書とは何ですか?
専ら内部利用のために作成され、外部開示を予定しない文書をいい、文書提出義務の除外事由になります(民訴220条4号ニ)。社内稟議書などが争点になります。
Q5インカメラ手続とは何ですか?
裁判官だけが対象文書を実際に見て、提出義務の有無や除外事由該当性を判断する非公開手続です(民訴223条6項)。相手の「出せない」主張の当否を検証できます。
Q6書証の申出はいつまでにすべきですか?
明文の期間制限はありませんが、適時提出主義(民訴156条)の下、適切な時期に行う必要があり、時機に後れると却下されます(157条)。提出命令は早期申立てが死活的です。
Q7文書提出命令の申立てに文書の特定は必要ですか?
必要です(民訴221条)。文書の表示・趣旨・所持者・証明すべき事実などを明らかにします。特定が困難な場合は文書特定のための手続(222条)を利用できます。
Q8残業代請求で会社の勤怠記録を出させるには?
タイムカードや PC ログを特定し、文書提出命令を申し立てます。会社が正当な理由なく従わなければ、勤務時間に関する主張を真実と認められる効果(224条)が働きます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手が「そんな文書はない」と言い張ったら、提出命令なんて無意味じゃないですか?
無意味ではありません。文書提出命令(民事訴訟法223条)を受けた当事者が正当な理由なく従わないと、裁判所はその文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができます(同224条)。実務のポイント:実務では「存在しない」という言い逃れに備え、文書の存在を推認させる別の証拠(やり取りのメール、文書目録、引用箇所など)を先に固めておく。存在さえ立証できれば、出さないこと自体が相手への不利益として跳ね返る
Q2文書提出命令って、どんな文書でも出させられるんですか?
原則として、ほぼあらゆる文書が対象です(民事訴訟法220条4号、平成13年改正で一般義務化)。ただし自己利用文書、公務秘密、職業の秘密に関わる文書などは除外されます(同号イからホ)。実務のポイント:相手はよく「これは自己利用文書だから出せない」と争ってきます。しかし裁判所は文書を実際に見て判断するインカメラ手続(同223条6項)を使えるので、除外事由の主張が本当か裁判官の目で確かめさせる申立てができる(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「相手が握っている証拠はこちらでは使えない」と思い込んでいるが、文書提出命令(220条以下)を使えば、相手や第三者が持つ不利な文書を法廷に出させられる。証拠が相手の手元にあること自体は、諦める理由にはならない
- 文書提出命令の存在は知っていても、その射程の広さを知らない人が多い。平成13年(2001年)改正で、自己利用文書などの除外事由に当たらない限り、原則としてあらゆる文書が提出義務の対象になった(一般義務化、220条4号)。社内稟議書、議事録、メールまで対象になりうる
- 「証拠は弁論の最後に出せばいい」と考えがちだが、問いの立て方が違う。書証の申出はタイミングが命で、相手方文書の提出命令は審理の早い段階で申し立てないと、相手に文書を処分・隠匿する時間を与えてしまう。いつ出すかが、そもそも出せるかどうかを決める
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律内容 | 219条:書証の申出方法(提出 or 提出命令の申立て) | 220条:文書提出義務の範囲(一般義務化と除外事由) 226条:文書送付の嘱託(任意送付の依頼) |
| 強制力 | 申出の入口(強制力は後続条文が定める) | 提出義務を基礎づけ、不履行で224条の不利益 強制力なし、所持者の任意協力に依存 |
| 主な利用場面 | 自己・他者所持を問わず書証を出す全場面 | 相手が「出せない」と争うときの義務判断 官公庁・銀行から記録を取り寄せるとき |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も書証の聲明と文書提出義務を定め、当事者・第三者の文書提出義務(342・346条)を規律する。提出拒否時の不利益効果(345条)も日本の224条に類似する
韓国も書証申請の方式と文書提出義務を定める。文書提出命令不従時の効果(제349조・제350조)が日本の224条に対応する
ドイツは Urkundenbeweis として書証を規律し、相手方・第三者の文書提出義務(§§ 421–429)を定める。日本民訴の母法であり制度設計が近い
米国はディスカバリ制度の下、Rule 34で文書提出を、Rule 45でサピーナによる第三者提出を広く認める。提出範囲は日本より格段に広い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 残業代を請求したいが、タイムカードもPCログも会社が全部握っていて、自分の手元には何もない。どうやって証明する? 219条の二つ目のルート、文書提出命令で、会社が持つ勤怠記録の提出を裁判所に命じさせられる。手ぶらは、戦えない理由にならない
- あなたの会社が文書提出命令の申立てを受けた。社内メールを出せという。あと一週間で対応を決めねばならない。安易に「該当する文書はない」と答えると、後で出てきたとき信用を失い、224条の不利益を一身に負う
- 交通事故で相手の保険会社が事故状況の調査報告書を握っている。提出命令や文書送付嘱託でそれを引き出せる。相手が隠したい情報ほど、こちらが取りに行く価値がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず「必要な文書を誰が持っているか」を特定する。自分が持つなら原本を準備して提出2. 相手や第三者が持つなら、文書を特定したうえで(221条)文書提出命令を申し立てる。第三者には文書送付嘱託(226条)も使える3. 申立ては早期に。相手が処分する前に動くことが死活的4. 相手が正当な理由なく従わなければ、224条の効果(記載に関する主張を真実と認める)を主張し、事実上の立証責任の転換を狙う
訴えられた側:1. 提出命令の申立てを受けたら、その文書が本当に提出義務の対象か検討する。自己利用文書、職業の秘密、公務秘密などの除外事由(220条4号イからホ)に当たれば主張2. 安易に「存在しない」と答えない。後から出れば信用を失い224条の不利益を負う3. 一部に秘密が含まれるだけなら、一部開示やインカメラ手続(223条6項)での判断を求める4. 命令に不服なら即時抗告(223条7項)を検討
時効(請求できる期限):書証の申出自体に消滅時効のような期間制限はないが、証拠の申出は適時提出主義(民事訴訟法156条)の下、訴訟の進行に応じた適切な時期にしなければならない。時機に後れた攻撃防御方法は却下されうる(同157条)。相手方への文書提出命令は、事実上、相手が文書を処分する前の早期申立てが決定的
学説
通説:219条の書証の申出は、自己提出と提出命令の申立ての二類型からなる。背後の文書提出義務は平成13年改正で一般義務化され、除外事由(220条4号イ〜ニ)に当たらない限り原則すべての文書が対象になると解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正。旧法の書証規定を再編し、現行219条として書証の申出方法(提出・提出命令の申立て)を明文化した。
- 2.平成13年(2001年) 改正:文書提出義務を一般義務化(220条4号)。限定列挙から、除外事由に当たらない限りあらゆる文書が提出義務の対象となる仕組みへ転換した。
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