民事訴訟法 第223条(文書提出命令等)
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- 裁判所は、文書提出命令の申立てを理由があると認めるときは、決定で、文書の所持者に対し、その提出を命ずる。この場合において、文書に取り調べる必要がないと認める部分又は提出の義務があると認めることができない部分があるときは、その部分を除いて、提出を命ずることができる。
- 2.裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない。
- 3.裁判所は、公務員の職務上の秘密に関する文書について第二百二十条第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立てがあった場合には、その申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当するかどうかについて、当該監督官庁(衆議院又は参議院の議員の職務上の秘密に関する文書についてはその院、内閣総理大臣その他の国務大臣の職務上の秘密に関する文書については内閣。以下この条において同じ。)の意見を聴かなければならない。この場合において、当該監督官庁は、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べるときは、その理由を示さなければならない。
- 4.前項の場合において、当該監督官庁が当該文書の提出により次に掲げるおそれがあることを理由として当該文書が第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べたときは、裁判所は、その意見について相当の理由があると認めるに足りない場合に限り、文書の所持者に対し、その提出を命ずることができる。
- 一国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ
- 二犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ
- 5.第三項前段の場合において、当該監督官庁は、当該文書の所持者以外の第三者の技術又は職業の秘密に関する事項に係る記載がされている文書について意見を述べようとするときは、第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べようとするときを除き、あらかじめ、当該第三者の意見を聴くものとする。
- 6.裁判所は、文書提出命令の申立てに係る文書が第二百二十条第四号イからニまでに掲げる文書のいずれかに該当するかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、文書の所持者にその提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された文書の開示を求めることができない。
- 7.文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。
この条文の基本情報
文書提出命令等とは何ですか?
定義文書提出命令等とは、民事訴訟法第223条に定められた規定で、「裁判所は、文書提出命令の申立てを理由があると認めるときは、決定で、文書の所持者に対し、その提出を命ずる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第223条(文書提出命令等)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第223条の条文原文は「裁判所は、文書提出命令の申立てを理由があると認めるときは、決定で、文書の所持者に対し、その提出を命ずる。」で始まります。
- 民事訴訟法第223条は第五節 書証に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第223条の前の条は民事訴訟法第222条です。
- 民事訴訟法第223条の次の条は民事訴訟法第224条です。
- 民事訴訟法第223条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第223条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第223条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/223
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法223条は、裁判所が申立てを理由ありと認めるとき、決定で文書の所持者に提出を命じると定める。所持者が従わなければ224条で主張が真実と擬制されうる。
Q · 会社が証拠を握っていて出してくれない。裁判で出させることはできる?
民訴223条の文書提出命令で、裁判所に提出を命じさせられます
民事訴訟法223条により、裁判所は文書提出命令の申立てを理由ありと認めると、決定で所持者に提出を命じます。第三者に命じる前には審尋が必要です(2項)。所持者が「社内秘の自己利用文書だ」と争えば、裁判官だけが中身を見るインカメラ手続(6項)で提出義務の有無を判定します。当事者が命令に従わず文書を隠せば、224条であなたの主張が真実と擬制されうるため、隠すこと自体が不利になります。
解説
残業代の未払いで会社を訴えたが、あなたの手元にタイムカードのコピーはない。証拠はすべて会社のサーバーの中だ。多くの人はここで「相手が証拠を握っているなら勝てない」と諦める。だが民訴223条は、その諦めを覆す装置である。裁判所は、文書提出命令の申立てに理由があると認めれば、決定で相手や第三者に文書の提出を命じる。相手が「これは社内限りの資料だから出さない」と抵抗しても、裁判官だけが中身を検分する手続(インカメラ手続、6項)で提出義務の有無を判定する。あなたですら中身を見られないが、裁判官は見る。そして相手が命令に従わず文書を隠せば、224条であなたの主張が真実と認められうる。証拠を持っている側が、隠したことで逆に不利になる。証拠の非対称が、ここでひっくり返る。
法的な位置づけ
民事訴訟法223条は文書提出命令を定める規定であり、裁判所が申立てを理由ありと認めるとき、決定で文書の所持者に提出を命じることができる旨を規律する。第三者への命令前の審尋(2項)、公務秘密文書についての監督官庁の意見聴取(3項以下)、裁判官のみが文書を検分するインカメラ手続(6項)を手続的保障として組み込む。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.提出させる文書を具体的に特定する 「相手が持つ資料一切」では却下されやすい。「○年○月の入退館ログ」「手術記録の全頁」など、文書の表示と趣旨を絞り込んで特定する。存在を間接的に示す別証拠(メールでの言及等)も先に固める
- 2.文書提出命令の申立書を提出する 文書の表示・趣旨・所持者・証明すべき事実・提出義務の原因(220条のどの号か)を記載した申立書を裁判所に提出する(民訴221条)。第三者所持なら審尋の手続(223条2項)も見込む
- 3.相手が秘密文書と争えばインカメラ手続を求める 相手が自己利用文書・公務秘密等を主張したら、裁判官のみが文書を検分するインカメラ手続(223条6項)を求め、例外に当たらないことを具体的に主張する。中身は見られないため、何が書かれているはずかを事前に主張しておく
- 4.命令違反なら真実擬制・過料を主張する 命令が出ても当事者が従わなければ224条の真実擬制を主張する。第三者が従わなければ225条の過料申立てを検討する。証拠隠滅の恐れがあれば申立てと同時に証拠保全(234条)を打つ
よくある質問 AI による整理
Q1文書提出命令とは何ですか?
裁判所が文書の所持者に対し、決定で文書の提出を命じる制度です。民事訴訟法223条が根拠で、相手や第三者が握る証拠を訴訟に出させる手続です。
Q2文書提出命令の申立てはどう書きますか?
文書の表示・趣旨・所持者・証明すべき事実・提出義務の原因を記載して申し立てます(民訴221条)。文書はできる限り具体的に特定するのが重要です。
Q3インカメラ手続とは何ですか?
裁判官だけが文書を見て提出義務の有無を判断する手続です(223条6項)。何人もその文書の開示を求められず、申立人も中身は見られません。
Q4文書提出命令に従わないとどうなりますか?
当事者が従わなければ文書の記載が真実と擬制されうり(224条)、第三者が従わなければ20万円以下の過料です(225条)。
Q5文書提出命令の即時抗告はいつまでにできますか?
決定の告知を受けた日から1週間の不変期間内です(民訴332条)。期間を過ぎると決定が確定し、争えなくなります。
Q6文書提出命令と文書送付の嘱託の違いは?
提出命令は強制力があり不提出に制裁が伴いますが、送付嘱託(226条)は任意提出を促す穏当な手続で制裁はありません。
Q7自己利用文書とは何ですか?
外部開示を予定せず、開示で個人の自由な意思形成が害される内部文書です(220条4号ニ)。提出義務の例外ですが範囲は限定的です。
Q8公務員の職務上の秘密に関する文書も提出させられますか?
提出義務の対象になりえますが、監督官庁の意見聴取が必要です(3項)。国の安全等を害する相当の理由があれば命令できません(4項)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手が「そんな文書は存在しない」と言い張ったら、どうなりますか?
存在を疑うに足る事情があれば、裁判所はインカメラ手続(223条6項)で確認を求めたり、不存在の主張の信用性を心証で評価します。明らかに存在するはずの文書を『ない』と強弁し、後で出てくれば、相手の信用は地に落ちます。実務のポイント:実務では、文書の存在を間接的に示す別の証拠(メールでの言及、別文書での引用)を先に固めてから申し立てる。『ある前提』を崩せない状況を作れば、不存在の主張は通らない
Q2会社が「これは社内限りの自己利用文書だから出せない」と拒否してきました。覆せますか?
覆せる余地は十分あります。自己利用文書(220条4号ニ)の例外は、外部開示を予定せず、開示で個人の自由な意思形成が害される文書に限られます。人事評価でも、開示を前提とする性質なら例外に当たりません。実務のポイント:最高裁は自己利用文書の範囲を事案ごとに絞り込んでいる。『社内資料』というラベルだけでは免れない。インカメラで裁判官が中身を見れば、ラベルと実態のズレが露呈する
Q3取引先や病院など第三者が文書を持っている場合も、命令できますか?
できます。ただし第三者に提出を命じる前は、その第三者を審尋しなければなりません(223条2項)。第三者が従わなければ20万円以下の過料です(225条)。実務のポイント:第三者は当事者と違い真実擬制(224条)の制裁が及ばないため、過料だけでは出し渋ることもある。その場合、文書送付の嘱託(226条)というより穏当な手続を併用して任意提出を促すのが実務の知恵
間違えやすい点 AI による整理
- 「相手が証拠を握っているなら、こちらは手も足も出ない」と思われがちだが、逆だ。民訴223条と224条は、証拠を握る側が提出を拒むと、その文書の内容について相手方の主張を真実と認めうる仕組み。持っているのに出さないことが、決定的な不利になる
- 文書提出命令という制度の存在は知っていても、従わなかった場合の制裁の重さを多くの人は知らない。第三者が従わなければ20万円以下の過料(225条)、当事者が従わなければ主張の真実擬制(224条)。単なるお願いではなく、無視すれば訴訟の勝敗を左右する強制力がある
- 「インカメラ手続なら、自分も文書の中身を確認できる」と考える人がいるが、その問いの立て方が間違っている。6項は明文で『何人も、その提示された文書の開示を求めることができない』と定める。中身を見るのは裁判官だけで、あなたは見られない。だからこそ、申立ての段階で『その文書に何が書かれているはずか』を具体的に主張しておくことが勝負を分ける
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 223条:裁判所が提出を命じる手続そのもの | 220条:提出義務の範囲と例外類型 224条:不提出の効果(真実擬制) |
| 対象 | 当事者・第三者いずれの所持文書も対象 | 提出義務を負う文書か否かの判定基準 命令を受けた当事者が従わない場合 |
| 効果・制裁 | 提出命令の決定、従わせる強制力の入口 | 4号で一般義務化、自己利用文書等は例外 文書の記載に関する主張を真実と擬制しうる |
| 不服申立て | 決定に即時抗告できる(7項、332条で1週間) | —(実体要件の規定) —(効果の規定、終局判決で争う) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も当事者の文書提出義務と申立てによる提出命令を定める。提出拒否時に裁判所が相手方主張を真実と認めうる点で日本224条と類似する構造
韓国も文書提出義務を規定し、不提出時の不利益取扱いを定める。日本法の影響を受けた構造が残る
ドイツは裁判所の職権による文書提出命令(§142)を認める。日本の一般義務化はドイツ法の議論を参照して導入された
米国はディスカバリー制度の一環として当事者間の広範な文書開示を認める。裁判所命令を待たず当事者主導で進む点が日本と大きく異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 過労死した家族の労災・損害賠償訴訟。会社は「該当する記録はない」と言い張るが、入退館ログ、PC のログイン履歴、上司への報告メールは確実に存在する。223条で提出を命じさせれば、会社が握る決定的証拠が表に出る。隠せば224条で「長時間労働があった」というあなたの主張が真実として扱われうる
- あなたが会社の法務担当で、元従業員から文書提出命令の申立てを受けた。社内の人事評価資料は『自己利用文書』(220条4号ニ)として拒めるか。だが裁判所のインカメラ手続で中身を見られ、外部開示を予定する性質と判断されれば、拒否は通らない
- カルテの開示を受けたが、肝心の手術記録だけが抜けている。病院は「これで全部」と言う。223条の申立てで、残りを出させる
- もし、相手が文書提出命令を恐れて証拠を破棄しようとしていたら? 命令が出る前に証拠隠滅されれば立証は崩れる。申立てと同時に証拠保全(234条)を打つかどうか、判断の猶予は数日しかない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 必要な文書を具体的に特定する。『相手の持つ資料』では弱く、『○年度の勤怠記録』『手術記録の全頁』まで絞る2. 文書の表示・趣旨・所持者・証明すべき事実・提出義務の原因(220条のどの号か)を書いた申立書を提出する(221条) 3. 相手が拒めばインカメラ手続を求め、自己利用文書などの例外に当たらないと主張する4. 命令が出ても相手が従わなければ224条の真実擬制を主張し、第三者なら225条の過料申立ても検討する
訴えられた側:1. 申し立てられた文書が220条4号の例外(自己利用文書、公務秘密、自己負罪等)に当たらないか精査する2. 該当するなら、その理由を具体的に主張し、インカメラ手続での判断を求める3. 提出義務の範囲が広すぎる場合、『取り調べる必要がない部分』の除外(1項後段)を主張する4. 提出命令の決定に不服なら即時抗告(7項)を申し立てる。期限を逃すと確定する。安易に廃棄・隠滅すれば224条で致命傷になる
時効(請求できる期限):提出命令の決定に対する即時抗告は、決定の告知を受けた日から1週間の不変期間内(民訴332条)。この期間を過ぎると決定が確定し、争えなくなる。証拠保全と組み合わせる場合は、相手が文書を処分する前という時間的制約が別途かかる
学説
通説:文書提出義務は平成8年改正で一般義務化され(220条4号)、自己利用文書・公務秘密・自己負罪等の例外に当たらない限り提出義務を負う。例外該当性はインカメラ手続を通じて個別具体的に判断するのが実務・通説の立場
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 文書提出義務を一般義務化し(220条4号)、提出命令の手続を整備。所持者の秘密を保護するため、裁判官のみが文書を検分するインカメラ手続(6項)を新設した
- 平成13年(2001年)改正 公務員の職務上の秘密に関する文書を提出義務の対象に取り込み、監督官庁の意見聴取手続(3項から5項)と国の安全等を理由とする例外を整備した
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正。文書提出義務を一般義務化し、提出命令手続を整備。所持者の秘密を保護するため裁判官のみが文書を検分するインカメラ手続(6項)を新設
- 2.平成13年(2001年) 改正:公務員の職務上の秘密に関する文書を提出義務の対象に取り込み、監督官庁の意見聴取手続(3項〜5項)と国の安全等を理由とする例外(4項)を整備
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