民事訴訟法 第231条の3(書証の規定の準用等)
クイックジャンプ
- 第二百二十条から第二百二十八条まで(同条第四項を除く。)及び第二百三十条の規定は、前条第一項の証拠調べについて準用する。この場合において、第二百二十条、第二百二十一条第一項第三号、第二百二十二条、第二百二十三条第一項及び第四項から第六項まで並びに第二百二十六条中「文書の所持者」とあるのは「電磁的記録を利用する権限を有する者」と、第二百二十条第一号中「文書を自ら所持する」とあるのは「電磁的記録を利用する権限を自ら有する」と、同条第二号中「引渡し」とあるのは「提供」と、同条第四号ニ中「所持する文書」とあるのは「利用する権限を有する電磁的記録」と、同号ホ中「書類」とあるのは「電磁的記録」と、「文書」とあるのは「記録媒体に記録された電磁的記録」と、第二百二十一条(見出しを含む。)、第二百二十二条、第二百二十三条の見出し、同条第一項、第三項、第六項及び第七項、第二百二十四条の見出し及び同条第一項並びに第二百二十五条の見出し及び同条第一項中「文書提出命令」とあるのは「電磁的記録提出命令」と、第二百二十四条第一項及び第三項中「文書の記載」とあるのは「電磁的記録に記録された情報の内容」と、第二百二十六条中「第二百十九条」とあるのは「第二百三十一条の二第一項」と、同条ただし書中「文書の正本又は謄本の交付」とあるのは「電磁的記録に記録された情報の内容の全部を証明した書面の交付又は当該情報の内容の全部を証明した電磁的記録の提供」と、第二百二十七条中「文書」とあるのは「電磁的記録を記録した記録媒体」と、第二百二十八条第二項中「公文書」とあるのは「もの」と、同条第三項中「公文書」とあるのは「公務所又は公務員が作成すべき電磁的記録」と読み替えるものとする。
- 2.前項において準用する第二百二十三条第一項の命令に係る電磁的記録の提出及び前項において準用する第二百二十六条の嘱託に係る電磁的記録の送付は、最高裁判所規則で定めるところにより、当該電磁的記録を記録した記録媒体を提出し、若しくは送付し、又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法により行う。
この条文の基本情報
書証の規定の準用等とは何ですか?
定義書証の規定の準用等とは、民事訴訟法第231条の3に定められた規定で、「第二百二十条から第二百二十八条まで(同条第四項を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第231条の3(書証の規定の準用等)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第231条の3の条文原文は「第二百二十条から第二百二十八条まで(同条第四項を除く。」で始まります。
- 民事訴訟法第231条の3は第五節の二に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第231条の3の前の条は民事訴訟法第231条の2です。
- 民事訴訟法第231条の3の次の条は民事訴訟法第232条です。
- 民事訴訟法第231条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第231条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第231条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/231_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法231条の3は、文書提出命令の規定を電磁的記録に準用する。相手方のサーバーデータも電磁的記録提出命令の対象となり、不提出なら224条準用で不利益に認定されうる。
Q · 相手の会社のサーバーにあるデータやチャット履歴を、裁判所に出させることはできますか?
できます。民訴231条の3の電磁的記録提出命令が使えます
民事訴訟法231条の3は、文書提出命令に関する220条以下の規定を電磁的記録の証拠調べに準用します。「文書の所持者」は「電磁的記録を利用する権限を有する者」と読み替えられるため、相手方が管理するサーバーデータ、チャットログ、アクセス履歴も対象になります。相手が命令に従わない場合、224条の準用により「電磁的記録に記録された情報の内容」に関するあなたの主張が真実と認められうる点が最大の威力です。ただし申立てには対象の特定が必要で、「一切のデータ」では却下されます。
解説
紙の書類なら、相手が持っている契約書やメールのプリントアウトを裁判所に出させる「文書提出命令」という制度がある。では、相手のサーバーの中にしかない電子データ、クラウド上のログ、社内チャットの履歴はどうなるのか。231条の3が答えだ。この条文は、書証(文書の証拠調べ)に関する220条から228条、230条をまるごと電磁的記録の世界へ写し取る。「文書の所持者」は「電磁的記録を利用する権限を有する者」に、「文書提出命令」は「電磁的記録提出命令」に読み替えられる。つまりあなたは、相手方が自社サーバーに抱え込んでいるデータについて、裁判所に提出を命じてもらえる。しかも224条の読み替えにより、相手が命令に従わなければ、あなたが主張する「そのデータにはこう記録されていたはずだ」という内容が真実と認められうる。データを握っている側の沈黙が、そのまま相手の敗因になる構造がここにある。
法的な位置づけ
民事訴訟法231条の3は、電磁的記録の証拠調べに関する準用規定であり、書証における文書提出命令(220条から228条まで、230条)の枠組みを電磁的記録へ及ぼす。「文書の所持者」は「電磁的記録を利用する権限を有する者」、「文書提出命令」は「電磁的記録提出命令」と読み替えられ、提出方法は記録媒体の提出または電子情報処理組織の使用による。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相手方が保有する電磁的記録を洗い出して特定する システム名(メール、Slack、課題管理ツール、入退館ログ、電子カルテ等)、対象期間、作成者・部署の三点で書き出す。「一切のデータ」では特定不十分で却下されるため、固有名詞まで落とし込む
- 2.相手方へデータ保存を求める書面を送る 提訴前または提訴直後に、内容証明郵便で「本件に関する電磁的記録の保存を求める」と通知し、送付記録を残す。後に「消えました」と言われたときの不利益認定を後押しする材料になる
- 3.求釈明でシステム名・保存形式・保存期間を確認する 訴訟手続の中で相手方に釈明を求め、使用ツール名、データ形式、保存部署、保存期間を回答させる。相手自身の回答をそのまま申立書に引用すれば、特定不十分という反論を封じられる
- 4.電磁的記録提出命令を申し立てる 特定した対象、証明すべき事実、相手方が利用権限を有する根拠、提出義務の原因を記載して申し立てる。除外事由が争われる場合は223条準用のインカメラ審理を求めることも検討する
- 5.不提出なら224条準用の効果を主張する 相手方が命令に従わない場合、電磁的記録に記録された情報の内容に関する自らの主張を具体的に書面化し、224条準用による真実擬制を求める。第三者の不提出には225条準用の過料を申し立てる
よくある質問 AI による整理
Q1電磁的記録提出命令とは何ですか?
相手方が利用権限を持つ電子データの提出を裁判所が命じる制度です。民訴231条の3が文書提出命令の規定を準用し、サーバー内データやログも対象になります。
Q2電磁的記録提出命令の申立て方法は?
対象の電磁的記録を、システム名・期間・作成者などで特定して申し立てます。特定が不十分だと却下されるため、求釈明で相手の回答を引き出して引用するのが実務です。
Q3相手が電磁的記録を出さないとどうなりますか?
224条の準用により、その電磁的記録に記録された情報の内容に関する相手方の主張が真実と認められうるほか、第三者には225条準用の過料の制裁があります。
Q4Slack のログは証拠にできますか?
できます。相手方が利用権限を有する電磁的記録である以上、231条の3の準用により提出命令の対象です。ツール名と期間を特定して申し立てるのが要点です。
Q5クラウド上のデータも提出命令の対象になりますか?
自社サーバーになくても「電磁的記録を利用する権限を有する者」に当たれば名宛人になります。SaaS に預けているという理由だけでは免れにくいのが実務の理解です。
Q6自動削除でデータが消えていたら違法ですか?
平時の合理的な保存期間設定自体は違法ではありません。ただし紛争が具体化した後も削除を続ければ、224条準用による不利益な認定を招くおそれがあります。
Q7営業秘密を理由に提出を拒めますか?
220条4号の準用により、職業上の秘密や自己利用文書等の除外事由を主張できます。ただし当然に通るわけではなく、事案ごとの判断で争われます。
Q8電磁的記録はどうやって裁判所に提出しますか?
231条の3第2項により、最高裁判所規則の定めに従い、記録媒体を提出・送付するか、電子情報処理組織を使用する方法で行います。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手の会社のサーバーにあるチャット履歴って、本当に裁判所が出せと言ってくれるんですか?
電磁的記録提出命令の対象になる。231条の3が220条以下を準用し、「文書の所持者」を「電磁的記録を利用する権限を有する者」と読み替えるため、相手方が管理するデータも射程に入る。実務のポイント:実務で勝敗を分けるのは対象の特定である。「一切のチャット」ではまず通らない。相手の答弁書や陳述書に出てきたツール名・期間を切り取って引用すると、特定不十分という反論が使えなくなる。
Q2うちの会社、メールを1年で自動削除してるんですが、これって問題になりますか?
平時の合理的な保存期間設定それ自体が違法になるわけではない。ただし紛争が具体化した後も削除を続ければ、提出命令に応じられない結果として224条準用の不利益な認定を招きうる。実務のポイント:紛争の兆候が出た時点で当該案件に関するデータだけ削除を止める運用を、あらかじめ社内規程に書いておく。訴訟になってから慌てて止めるより、規程に沿って止めた記録がある方が、裁判所に対する説明力が段違いに強い。
間違えやすい点 AI による整理
- 「相手のサーバーの中身は取れない、だから証拠がない」と諦める人が多いが、問いの立て方が誤っている。取れるかどうかではなく、どう特定して申し立てるかが勝負。電磁的記録提出命令の申立ては対象の特定が要件であり、「〇〇に関する一切のデータ」では却下される。特定できる情報を先に集めるのが第一手である
- 提出命令を無視したら過料を払えば済む、と考えている企業担当者は事の深刻度を測り違えている。過料(民事訴訟法225条準用)は金銭の問題だが、224条の準用によって発生する「相手方の主張する記録内容を真実と認めうる」という効果は、事件そのものを失う結果につながる。制裁より認定効の方が桁違いに重い
- 提出義務には除外事由がある(220条4号の準用)。営業秘密、職業上の秘密、自己利用データなど。ただしここは実務上、解釈が分かれている領域であり、特に社内メールや稟議データが「専ら内部利用のためのもの」に当たるかは事案ごとの判断になる。除外を主張する側も、当然に通ると思ってはいけない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象 | 民訴231条の3:電磁的記録(サーバーデータ、ログ、チャット履歴) | 民訴220条:文書(紙の契約書、書面) 民訴231条の2:電磁的記録の証拠調べそのものの根拠 |
| 名宛人 | 電磁的記録を利用する権限を有する者 | 文書の所持者 電磁的記録を提出する当事者 |
| 不提出の効果 | 224条準用:情報の内容に関する主張を真実と認めうる | 224条:文書の記載に関する主張を真実と認めうる 規定なし(提出命令は本条の準用による) |
| 提出方法 | 記録媒体の提出・送付、または電子情報処理組織の使用(本条2項) | 文書の原本・写しの提出 最高裁判所規則の定めによる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は電磁紀錄を準文書として扱い、文書提出義務の規定を準用する構造。日本の231条の3と発想が近く、対象特定の要求も同様に実務上の関門となる
韓国も「その他の証拠」として電子的記録の証拠調べを規定し、文書提出義務の規定を準用する。不提出時の不利益認定の構造も類似
ドイツは英米型のディスカバリーを持たず、裁判所の裁量による文書提出命令(§ 142)が中心。電子文書は検証の対象として扱われ、当事者の一般的開示義務は日本より限定的
米国は当事者主導の e-Discovery が広範に認められ、証拠保全義務(litigation hold)違反には Rule 37(e) の制裁がある。日本の「命令を経て初めて開示」という構造とは出発点が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 残業代請求で会社と争っている。あなたの手元にあるのはタイムカードの写しだけだが、実際の出退勤は入退館ログとパソコンのログオン記録に残っている。どちらも会社のサーバーの中。231条の3が準用する電磁的記録提出命令で、その生データを法廷に引きずり出せる
- システム開発が頓挫し、発注者と受注者が「仕様変更の指示があったかどうか」で対立。決定的な証拠は相手方が使っている Slack と課題管理ツールの履歴に眠っている。相手は「そんなやり取りはない」と言うが、提出命令が出た後で「保存していません」と答えるのと、命令前にきちんと保全するのとでは、裁判官の心証がまるで違う
- あなたが被告側の会社担当者だとしたら? 提出命令が出たとき、対象データが自動削除ポリシーで既に消えていた。悪意はない。それでも224条の読み替え規定により、相手方の主張するデータ内容が真実と認定されうる。運用ルールとして組んだ自動削除が、法廷では最悪の形で跳ね返る
- 医療記録の開示を求めたい。電子カルテの改変履歴(監査ログ)まで押さえられるか。次回期日まであと3週間。申立ての対象を「電子カルテ」とだけ書くか「当該患者に係る電子カルテの記録及び当該記録の更新履歴」と特定するかで、命令が出るかどうかが分かれる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手方が保有していそうな電磁的記録を、システム名・期間・作成者で書き出して特定する2. 提訴前または早期に、相手方へ当該データの保存を求める書面を送り、送付記録を残す3. 訴訟では求釈明でシステムの名称・保存形式・保存期間を確認し、相手の回答を申立書に引用して特定する4. 電磁的記録提出命令を申し立て、相手が提出しない場合は224条準用による認定効を主張する
訴えられた側:1. 命令が出る前に、対象になりうるデータを直ちに保全し、自動削除設定を止める2. 提出義務の除外事由(220条4号の準用、職業上の秘密・自己利用文書等)に当たるかを検討し、根拠を示して争う3. 対象が広すぎる申立てには特定不十分を主張する4. 一部に秘匿すべき情報が混在する場合、範囲を絞った提出やマスキングでの対応を提案する
時効(請求できる期限):本条自体に特定の期間制限はない。ただし証拠調べの申出は訴訟の進行段階に応じて時機に後れた攻撃防御方法として却下されうる(民事訴訟法157条)。実務上の真の期限はデータの保存期間であり、削除された後では手続が意味を失う
学説
通説:本条は書証における文書提出命令の枠組みを電磁的記録へ全面的に及ぼす準用規定であり、提出義務の範囲・除外事由・不提出の効果は文書の場合と基本的に同一に解される。読み替えの中核は「所持」から「利用する権限」への転換にある。
実務的理解:電磁的記録は物理的占有になじまないため、クラウド事業者に預託されたデータであっても利用権限を有する当事者が名宛人となりうる。他方、対象の特定要件が実務上の最大の関門であり、包括的な申立ては認められない。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.令和4年(2022年) 新設:民事訴訟手続の IT 化に関する改正により、電磁的記録の証拠調べ(231条の2)とその準用規定(231条の3)が新設された。文書提出命令の枠組みが電磁的記録に及ぶことが明文化された。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める