民事訴訟法 第231条の2(電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出)
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- 電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出は、当該電磁的記録を提出し、又は当該電磁的記録を利用する権限を有する者にその提出を命ずることを申し立ててしなければならない。
- 2.前項の規定による電磁的記録の提出は、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的記録を記録した記録媒体を提出する方法又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法により行う。
この条文の基本情報
電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出とは何ですか?
定義電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出とは、民事訴訟法第231条の2に定められた規定で、「電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出は、当該電磁的記録を提出し、又は当該電磁的記録を利用する権限を有する者にその提出を命ずることを申し立ててしな…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第231条の2(電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第231条の2の条文原文は「電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出は、当該電磁的記録を提出し、又は当該電磁的記録を利用する権限を有する者にその提出を命ずることを申し立ててしな…」で始まります。
- 民事訴訟法第231条の2は第五節の二に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第231条の2の前の条は民事訴訟法第231条です。
- 民事訴訟法第231条の2の次の条は民事訴訟法第231条の3です。
- 民事訴訟法第231条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第231条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第231条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/231_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法231条の2は、電磁的記録の証拠調べの申出は当該記録の提出または利用権限者への提出命令の申立てによると定め、提出は記録媒体か電子情報処理組織による。
Q · 相手の会社のサーバにあるデータを、裁判で出させることはできますか?
対象を特定できれば提出命令の申立てが可能です
民事訴訟法231条の2第1項は、電磁的記録の証拠調べの申出について、当該電磁的記録を提出するか、その電磁的記録を利用する権限を有する者に提出を命ずることを申し立てる方法によると定めます。したがって、データが相手方や第三者のサーバにあっても提出命令の申立てができます。ただし「当該電磁的記録」として対象を特定する必要があり、範囲を絞れない探索的な請求は認められません。提出は記録媒体または電子情報処理組織を使用する方法で行います(同条2項)。
解説
会社のパソコンに残っていた Excel の原本、取引先とやり取りした Slack のログ、監視カメラのサーバに保存された動画データ。こうしたものを裁判所に見せたいとき、あなたは今まで「印刷して紙で出す」と思っていたのではないか。2022年(令和4年)の民事訴訟法改正で新設された231条の2は、そこに別の道を作った。電磁的記録そのものを、記録媒体(USB、DVD 等)で提出するか、裁判所の電子情報処理組織(mints/TreeeS 等の電子提出システム)を使ってオンラインで送る。この二つが正式ルートになる。さらに重要なのは第1項の後半だ。データを持っているのが相手方や第三者であっても、「その電磁的記録を利用する権限を有する者」に対して提出を命じるよう裁判所に申し立てられる。つまり、相手のサーバの中にあるあなたに不利でない証拠を、あなたの側から引きずり出す申立てができる。紙の文書提出命令(220条以下)と同じ構造が、データの世界に持ち込まれたということだ。
法的な位置づけ
民事訴訟法231条の2は、電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出の方式を定める規定である。申出は、当該電磁的記録の提出、または当該電磁的記録を利用する権限を有する者に対する提出命令の申立てによって行い、提出方法は記録媒体の提出または最高裁判所規則で定める電子情報処理組織の使用による。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.求める電磁的記録を特定する システム名・データ種別・対象期間・関係者の四点で対象を書き切る。「勤怠管理システムの打刻生ログ、2024年4月から2025年3月、申立人分」のレベルまで絞る。特定できない請求は内容の当否以前に却下される
- 2.任意開示を書面で求め、拒否の記録を残す 提出命令の前に、内容証明郵便などで当該電磁的記録の開示と保全を求める。拒否または無回答の事実が、提出命令の必要性を基礎づける材料になる
- 3.存在を推認させる間接事実を集める その記録が存在することを示すメール文面、システムの仕様書、社内規程の保存期間、業務フロー図を添付資料として準備する。存在の推認ができないと特定が空振りになる
- 4.証拠調べの申出と提出命令の申立てを行う 民訴231条の2第1項に基づき、当該電磁的記録を利用する権限を有する者を名宛人として提出命令の申立てをする。提出方法は記録媒体か電子情報処理組織のいずれかを想定して記載する
- 5.消滅リスクが高いデータは証拠保全を並行させる 監視カメラ映像やチャットログのように上書き・自動削除される記録は、提出命令の判断を待つ間に消える。民訴234条の証拠保全を同時並行で検討する
よくある質問 AI による整理
Q1電磁的記録の証拠調べとは何ですか?
USB やサーバ上のデータなど、電磁的記録に記録された情報の内容そのものを証拠として調べる手続です。民事訴訟法231条の2が申出の方式を定めます。
Q2電磁的記録の提出命令はどうやって申し立てますか?
当該電磁的記録を特定し、それを利用する権限を有する者に提出を命じるよう裁判所に申し立てます(民訴231条の2第1項後段)。特定が不十分だと却下されます。
Q3データはプリントアウトして提出すればよいですか?
印刷物は書証として提出できますが、231条の2は電磁的記録そのものの証拠調べを定めます。作成日時や更新履歴などのメタ情報は印刷物では再現できません。
Q4電磁的記録はどのように裁判所へ提出しますか?
最高裁判所規則の定めにより、電磁的記録を記録した記録媒体を提出する方法か、規則で定める電子情報処理組織を使用する方法によります(同条2項)。
Q5第三者が持っているデータも対象になりますか?
なります。条文は「当該電磁的記録を利用する権限を有する者」と定めており、相手方に限られません。元勤務先やサービス提供者も名宛人になり得ます。
Q6サーバの中身を全部出させることはできますか?
できません。「当該電磁的記録」として対象の特定が必要で、範囲を限定しない包括的請求は探索的証拠収集として認められにくいのが実務です。
Q7民事訴訟法231条の2はいつ新設されましたか?
令和4年(2022年)の民事裁判手続の IT 化に伴う民事訴訟法改正で新設された規定とされます。施行時期は改正法の段階的施行に従います。
Q8データが消される前に打てる手はありますか?
証拠保全(民訴234条)の申立てが選択肢です。監視カメラ映像やログは保存期間が短く、提出命令の判断を待つ間に上書きされる例が少なくありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1スクショを大量に印刷して出せばダメなんですか?
書証として出すこと自体は可能だが、相手が改ざんを争った瞬間に弱くなる。231条の2は電磁的記録そのものを記録媒体または電子提出システムで出す道を用意した。実務のポイント:実務では、スクショは提出しつつ「原本たる電磁的記録は相手方が保有」と主張し、提出命令の申立てに繋げる二段構えが取られる。印刷物は入口であって終着点ではない
Q2相手が「そんなデータはもうありません」と言ってきたら?
存在しないことの証明を相手に求め、保存期間の規程やシステム仕様を出させる。訴訟を予期した後に故意に削除された場合、裁判所は申立て側の主張を真実と認めることができる(民訴224条の構造)。実務のポイント:削除の有無はサーバのアクセスログや監査ログに痕跡が残ることが多い。本体データが消えていても、削除操作の記録は別テーブルに残っている、という指摘は交渉の場で相当効く
Q3個人の LINE やメールまで裁判所に出させられるんですか?
対象が特定され、必要性が認められれば理論上ありうるが、プライバシーや職業上の秘密は提出義務の除外事由になりうる(民訴220条4号の趣旨が電磁的記録にも及ぶ)。実務のポイント:全期間のトーク履歴ではなく、争点に直結する日付と相手を限定して求めるほうが認容率は上がる。広く求めるほど却下される、これは経験則としてほぼ例外がない
間違えやすい点 AI による整理
- 「データはプリントアウトして出せばいい」で済むと思われているが、それは書証(民訴219条)の世界の話であって、231条の2が扱うのは電磁的記録そのものの証拠調べだ。印刷物は改ざんの有無・作成日時・削除履歴といったメタ情報を全部落とす。相手が「その紙は加工されたものだ」と争ったとき、生データを出せる側と出せない側で、立証の重さが逆転する
- 提出命令があれば相手のデータを何でも取れる、と誤解されやすい。実際は「当該電磁的記録」として対象を特定しなければならず、「サーバの中身を全部」という米国のディスカバリー型の請求は日本では通らない。何がどこに保存されているかを申立て側がある程度知っていることが前提になる。この特定の壁が、実務上の最大の障害である
- あなたから見れば「証拠が相手の手元にあるのは不公平」だが、法律から見れば「特定できない請求は探索的証拠収集であり、相手の営業秘密とプライバシーを不当に侵す」となる。この落差を埋める作業こそが申立書の中身であり、そこを埋められないまま申し立てた側は、内容の当否以前に却下される
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象 | 民訴231条の2:電磁的記録に記録された情報の内容 | 民訴219条:文書(書証) 民訴231条:図面・写真・録音テープ等の準文書 |
| 申出の方法 | 当該電磁的記録の提出、または利用権限者への提出命令の申立て | 文書の提出、または文書提出命令の申立て 文書に準じて書証の規定を準用 |
| 提出の形式 | 記録媒体の提出、または最高裁判所規則で定める電子情報処理組織の使用 | 原本・正本・認証謄本の提出が原則 物件そのものの提出 |
| 不提出時の効果 | 民訴224条の構造による不利益(真実擬制)が問題となる | 民訴224条により記載に関する主張を真実と認め得る 書証の規定を準用して処理 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は電磁的記録を準文書として書証の規定を準用する構成をとり、日本の改正前の枠組みに近い。提出命令は文書提出命令の規定によって処理される
韓国も録音テープ・電子文書等について書証の規定を準用する構成。電子訴訟システムの運用が早期から進んだ点で、提出の実務面は日本の IT 化の参照対象となる
ドイツは電子文書を検証(Augenschein)の対象として位置づけ、裁判所は § 142により当事者・第三者に対し文書等の提出を職権で命じ得る。職権的性格が強い点が日本の申立て主導の構造と異なる
米国は電子的に保存された情報(ESI)について広範なディスカバリーを認め、保存義務(litigation hold)と spoliation 制裁が制度化されている。対象特定を厳格に求める日本法とは設計思想が大きく異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 未払い残業代を請求したいが、勤怠データは会社の勤怠管理システムの中にしかない。手元にあるのは自分で撮った打刻画面のスクショだけ。231条の2第1項後段を使い、システムの生ログという電磁的記録の提出を会社に命じるよう申し立てる。加工済みの Excel 表ではなく、ログそのものを指定するのが勝負どころ
- 取引先とのトラブルで、決め手は2年前の Slack のダイレクトメッセージ。あなたは退職済みでワークスペースから追い出されている。データを「利用する権限を有する者」は元勤務先。相手方ではない第三者に対しても提出を求められるのがこの条文の射程だ
- システム開発の請負紛争で発注者から訴えられた側。「仕様どおりに作った」ことを示すのは、GitHub のコミット履歴とやり取りのログ。紙に印刷すると数千枚になるが、記録媒体で提出すれば一枚のディスクで済む。しかもタイムスタンプという紙では出せない情報が生きたまま裁判所に届く
- もし、削除された LINE のトーク履歴が相手のスマホにだけ残っているとしたら? 提出命令の申立てが認められても、相手がその前に端末を初期化すれば復元は絶望的。訴訟提起の準備段階から、証拠保全(民訴234条)と組み合わせて動くかどうかで結果が変わる
- 監視カメラの映像が事故の唯一の客観証拠。だが多くの店舗のシステムは30日で自動上書きされる。残された時間は数週間。提出命令を待っていては消える。まず任意の保存依頼を書面で送り、並行して証拠保全を申し立てる、この二段構えを今夜から始めるしかない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 求めたい電磁的記録を具体的に特定する。システム名・データ種別・期間の三点セットで書けるまで詰める2. まず任意開示を書面で求め、拒否の記録を残す。この拒否が提出命令の必要性を基礎づける3. 申立書には、その記録の存在を推認させる間接事実(メール文面、システムの仕様書、業務フロー)を添える4. 消滅リスクが高いデータは提出命令と並行して証拠保全(民訴234条)を検討、待っている間に上書きされるのが最大の敗因
訴えられた側:1. 提出命令の申立てを受けたら、まず対象の特定が十分かを争う。範囲が不明確・過大なら、その一点で却下を狙える2. 営業秘密・個人情報が含まれる場合は、その部分の除外またはインカメラ手続(民訴223条6項の趣旨)を求める3. 存在しないなら、なぜ存在しないか(保存期間、システム更改)を客観資料で説明する。単なる否認は不利な心証を招く4. 訴訟を予期した後の削除は絶対に避ける。真実擬制のリスクが最も高い行動である
時効(請求できる期限):本条自体に固有の期間制限はない。ただし証拠調べの申出は口頭弁論の集中審理の要請から「適切な時期」に行う必要があり、時機に後れた攻撃防御方法として却下されうる(民訴157条)。実質的な時間圧はデータ側にあり、社内メールの保存期間は数か月から数年、監視カメラ映像は1か月前後で上書きされる運用が一般的である
学説
特定性要求説(実務通説):電磁的記録の提出命令においても、文書提出命令と同様に対象の特定が必要であり、米国型のディスカバリーのような包括的開示請求は日本法の枠組みでは想定されていないとする理解。申立人が記録の所在と種別をある程度把握していることが前提となる
除外事由準用説:民訴220条4号が定める職業の秘密・営業秘密等の除外事由の趣旨は、電磁的記録の提出義務にも及ぶとする理解。営業秘密や個人情報を含む記録については、部分的除外やインカメラ手続(民訴223条6項の趣旨)による調整が検討される
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)民事訴訟法改正 民事裁判手続の IT 化に伴い新設された条文とされるが、施行日および条文番号の最終確定状況について人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正。電磁的記録は独立の規定を持たず、準文書に関する規定(民訴231条)による処理が想定されていた
- 2.令和4年(2022年) 新設:民事裁判手続の IT 化に伴う改正により本条が新設されたとされる。電磁的記録の証拠調べの申出方式と、記録媒体・電子情報処理組織による提出方法が明文化された(施行時期・条文番号の最終確定状況は要検証)
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