民事訴訟法 第320条(調査の範囲)
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上告裁判所は、上告の理由に基づき、不服の申立てがあった限度においてのみ調査をする。
この条文の基本情報
調査の範囲とは何ですか?
定義調査の範囲とは、民事訴訟法第320条に定められた規定で、「上告裁判所は、上告の理由に基づき、不服の申立てがあった限度においてのみ調査をする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第320条(調査の範囲)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第320条の条文原文は「上告裁判所は、上告の理由に基づき、不服の申立てがあった限度においてのみ調査をする。」で始まります。
- 民事訴訟法第320条は第二章 上告に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第320条の前の条は民事訴訟法第319条です。
- 民事訴訟法第320条の次の条は民事訴訟法第321条です。
- 民事訴訟法第320条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第320条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第320条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/320
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法320条は、上告裁判所が上告の理由に基づき、不服の申立てがあった限度においてのみ調査をすると定める。上告人が上告理由書で挙げた論点だけが審理の対象となる。
Q · 最高裁に上告すれば、事件をぜんぶ最初から見直してくれるの?
いいえ。理由書に書いた論点と不服範囲だけが審理対象です
民事訴訟法320条により、上告裁判所は上告の理由に基づき、不服の申立てがあった限度においてのみ調査をします。事件全体の再審理ではありません。上告理由書に書かなかった論点は、どれだけ正しくても審理の対象になりません。さらに上告審は法律審であり、原判決が適法に確定した事実に拘束されます(321条)ので、事実認定のやり直しも原則できません。例外は職権調査事項(322条)に限られます。
解説
地裁で負け、高裁でも負けた。最後の望みとして最高裁に上告する。多くの人がここで決定的に誤解する。最高裁が事件全体をもう一度見直してくれる、と。違う。民事訴訟法320条はこう定める。上告裁判所は、あなたが上告理由として主張した点について、しかも不服を申し立てた範囲においてのみ調査する。つまり、あなたが上告理由書に書かなかった論点は、どれだけ正しくても、最高裁の机の上には乗らない。さらに上告審は法律審であり、事実認定のやり直しはしない(321条)。証拠の評価が間違っていると感じても、それは原則として上告の土俵に上がらない。あなたの戦場は、原判決の憲法違反・法令違反という極めて狭い入口に限定される。この入口の幅を決めるのは裁判所ではなく、あなた自身が書く上告理由書の一字一句だ。
法的な位置づけ
民事訴訟法320条は上告審の調査範囲を定める規定であり、上告裁判所は上告の理由に基づき、不服の申立てがあった限度においてのみ調査をすると規定する。上告審を当事者が設定した不服の枠に拘束することで、処分権主義と法律審としての審理効率を担保する一方、職権調査事項(322条)を例外として残す二段構えの構造をとる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.二つの提出期限を真っ先に確定する 上告は高裁判決の送達から2週間以内に提起し(民訴313条)、上告理由書は上告提起通知書の送達から50日以内に提出する(民訴規則194条)。どちらか一方を落とすと320条以前の問題として中身を読まれずに却下されるため、最初に締切をカレンダーに固定する
- 2.不満を法令違反・憲法違反の形に翻訳する 証拠評価への不満は、そのままでは事実問題として審理対象外になる。経験則違反・採証法則違反・理由不備(312条)といった法律問題の形に組み替え、上告の土俵に乗る論点に変換する
- 3.絶対的上告理由と職権調査事項を優先的に探す 絶対的上告理由(312条2項、理由不備等の重大な手続違背)と職権調査事項(322条、当事者適格・専属管轄等)に該当する争点を最優先で洗い出す。これらは審理に乗りやすく、320条の限定をすり抜けられる数少ない入口になる
- 4.論点を絞って上告理由書を設計する 五つの論点を薄く広げるより、一つの論点を深く書くほうが審理に届く。最も効果の出る論点を冒頭に据え、不服の範囲を明確に特定して書ききる。書き漏らした論点は後から追加できない
よくある質問 AI による整理
Q1上告審の調査範囲とは何ですか?
上告裁判所が事件を審理できる範囲のことで、民訴320条により上告理由書で挙げた論点と不服の申立ての限度に限られます。書かなかった論点は審理されません。
Q2不服の申立てがあった限度とはどういう意味ですか?
上告人が原判決のどの部分にどこまで不服かを示した範囲を指します。その枠を超えた部分は、たとえ違法でも最高裁の調査対象になりません(民訴320条)。
Q3上告理由書の書き方のポイントは?
不満を事実問題ではなく憲法違反・法令違反に翻訳し、論点を絞って深く書くことです。提起通知の送達から50日以内に書ききる必要があります(規則194条)。
Q4上告と上告受理の申立ての違いは何ですか?
上告は憲法違反・絶対的上告理由が対象(312条)、上告受理申立ては判例違反や重要な法令解釈を理由に最高裁に拾ってもらう手続(318条)です。入口が異なります。
Q5職権調査事項とは何ですか?
当事者が主張しなくても裁判所が職権で調べる事項で、当事者適格や専属管轄など公益に関わるものです。320条の限定の例外として322条が定めます。
Q6上告はいつまでに提起すればよいですか?
高裁判決の送達を受けた日から2週間の不変期間内です(民訴313条・285条準用)。起算点は判決言渡日ではなく送達日である点に注意が必要です。
Q7法律審とは何ですか?
事実認定のやり直しをせず、原判決の法令解釈・適用の当否のみを審査する審級です。上告審は法律審で、原判決の確定した事実に拘束されます(民訴321条)。
Q8上告が口頭弁論なしで棄却されるのはなぜですか?
上告理由が憲法違反・絶対的上告理由(312条)にあたらない場合、最高裁は口頭弁論を開かず判決で棄却できます(319条)。中身を見られずに終わることがあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1上告すれば、最高裁は必ず審理してくれるんですか?
いいえ。上告理由が憲法違反または絶対的上告理由(312条)にあたらなければ、最高裁は口頭弁論を開かず判決で棄却できます(319条)。法令解釈の重要な争点は別途「上告受理の申立て」(318条)で拾ってもらう必要があります。実務のポイント:実務では、多くの上告が中身の審理に入る前に319条で落ちている。だから弁護士は、上告そのものより、どの入口(上告か上告受理申立か)で勝負するかの選択に最も神経を使う。ここを間違えると土俵にすら上がれない
Q2上告理由書に書き忘れた論点を、あとから追加できますか?
原則できません。上告理由は提出期間(提起通知から50日、民訴規則194条)内に書ききる必要があり、期間経過後の追加主張は320条の「上告の理由に基づき」の枠外として調査の対象になりません。実務のポイント:例外は職権調査事項(322条)に乗る争点だけ。当事者適格や専属管轄のような公益的事項は、書き忘れても最高裁が職権で見る。だから期限間際に気付いた論点でも、これに当てはめられないか最後まで諦めない価値がある
Q3高裁の事実認定が明らかに間違っているのに、最高裁はなぜ直してくれないんですか?
上告審は法律審であり、原判決が適法に確定した事実に拘束されます(321条)。事実認定そのものの当否は、原則として上告の対象外です。実務のポイント:ただし「経験則違反」や「採証法則違反」という形にすれば、事実問題を法律問題に翻訳して土俵に乗せられる場合がある。生の不満を『事実が違う』とぶつけても落ちるだけ。『その認定は経験則に反する法令違反だ』と組み替えられるかどうかが、勝負の分かれ目になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「最高裁まで行けば事件をゼロから見直してくれる」と思い込んでいるが、320条は逆を定める。最高裁が見るのは、あなたが上告理由として明示し、不服を申し立てた範囲だけ。書き漏らした論点は、正しくても審理の対象にすらならない
- 上告審が法律審だと知識として知っている人でも、321条の「原判決が適法に確定した事実に拘束される」という縛りの深刻さは見落としがちだ。これは、下級審が証拠評価を誤ったと感じても、その事実認定自体は最高裁では原則ひっくり返せないことを意味する。法律審という言葉の本当の重さは、ここで効いてくる
- 「とりあえず上告して時間を稼ごう」と考える人がいるが、その問いの立て方自体が間違っている。上告理由が憲法違反・絶対的上告理由(312条)にあたらなければ、口頭弁論を経ずに棄却される(319条)。時間稼ぎどころか、最後の一審を中身を見られないまま失うだけだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 320条:上告審の調査範囲(不服の限度で調査) | 312条:上告の理由(調査の前提となる主張の枠) 322条:職権調査事項(320条の限定の例外) |
| 当事者の関与 | 上告人の不服申立て範囲が審理を画する | 上告人が上告理由を明示する必要 当事者の主張がなくても職権で調査 |
| 事実認定との関係 | 理由書の論点に限定(法律問題中心) | 憲法違反・絶対的上告理由が中心 公益的事項(適格・専属管轄等)が中心 |
| 落ちる場合の帰結 | 枠外論点は審理されず棄却の危険 | 理由にあたらなければ319条で棄却 枠外でも最高裁が職権で救済しうる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も第三審を上訴の声明の範囲内・上訴理由に依る調査に限定し、職権調査事項を例外とする点で日本320条・322条と構造が共通する。
韓国も上告審の審理を不服申立ての限度・上告理由に拘束する。法律審としての性格と職権調査事項の例外も日本と類似。
ドイツの上告(Revision)審も申立てと理由に拘束されるが、法令適用の当否は職権で審査する点に独自性がある。日本320条の母法的位置にある。
米国連邦最高裁は petition に記載された questions presented のみを審理し、提示されなかった論点は原則扱わない。issue preservation / waiver 法理と相まって調査範囲を限定する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし高裁判決の送達を受けてから、上告提起の2週間と、上告理由書を出すための期間(上告提起通知書の送達から50日、民訴規則194条)が同時に迫っていたら? この二つの期限のどちらか一つでも落とすと、320条以前の問題として、あなたの主張は中身を読まれずに却下される。残り時間で「何を書くか」より先に「いつまでに何を出すか」を確定させないと間に合わない
- 相手が上告してきて、あなたは被上告人になった。相手の上告理由書を手にしたとき、そこに書かれていない論点は最高裁が職権調査事項を除いて見ない、という320条の構造を知っていれば、答弁書で力を入れるべき場所が一点に絞れる。相手が触れていない弱点を、わざわざこちらから蒸し返す必要はない
- 本人訴訟で高裁まで戦い抜き、判決理由のどこがおかしいかは肌で分かっている。だが上告理由書に「事実認定が不当だ」とだけ書いて出した。最高裁はそれを上告理由にあたらないとして、口頭弁論を開かず棄却した(319条)。土俵を間違えた一通の書面で、三審制の最後の一審が消えた
- 知的財産の侵害訴訟で高裁の解釈に納得がいかない。あなたが争いたいのは特許請求の範囲の解釈という法律問題で、これはまさに上告審の土俵に乗る。だが上告理由書で争点を一つに絞り損ね、五つの論点を薄く広げて書くと、最高裁の調査もその薄さに引きずられる。窓は狭く深く開けるほど届く
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず期限を死守する。上告は判決送達から2週間以内に提起、上告理由書は上告提起通知書の送達から50日以内(民訴規則194条)。この二段階のどちらを落としても中身は読まれない2. 争点を「事実」ではなく「法令違反・憲法違反」に翻訳し直す。証拠評価の不満は、経験則違反・理由不備(312条)といった法律問題の形に組み替える3. 絶対的上告理由(312条2項)と職権調査事項(322条)に乗る争点を最優先で探す4. 論点を絞る。五つ薄く書くより、一つ深く書いた方が窓は届く
訴えられた側:1. あなたが被上告人なら、相手の上告理由書を入手し、書かれている論点の範囲を確定する。320条により、そこに書かれていない争点は職権調査事項を除き審理されない2. 答弁書では、相手が挙げた論点が上告理由にあたらない(単なる事実誤認の主張にすぎない)ことを正面から突く。これが通れば口頭弁論を経ず棄却される(319条) 3. 相手が触れていないこちらの弱点を、自分から蒸し返さない4. 職権調査事項で覆る危険がないかだけ、念のため確認する
時効(請求できる期限):上告の提起は判決の送達を受けた日から2週間の不変期間内(民訴313条・285条準用)。上告理由書の提出は、上告提起通知書の送達を受けた日から50日以内(民訴規則194条)。いずれも起算点は「送達日」であり、判決言渡日ではない点に注意(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:320条の調査範囲の限定は処分権主義の上訴審における現れであり、当事者が不服を申し立てない部分には最高裁も踏み込まない。ただし公益に関わる職権調査事項(322条)は例外として、当事者の主張がなくても審理対象となると解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧民事訴訟法の上告審に関する規定を整理し、現行320条として上告裁判所の調査範囲(上告の理由に基づき、不服の申立てがあった限度においてのみ調査する)を明文化した。平成10年(1998年)施行
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正により、旧法の上告審に関する規定を整理し、現行320条として上告裁判所の調査範囲(上告の理由に基づき、不服の申立てがあった限度においてのみ調査する)を明文化した。平成10年(1998年)施行。
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