民事訴訟法 第329条(受命裁判官等の裁判に対する不服申立て)
クイックジャンプ
- 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、受訴裁判所に異議の申立てをすることができる。ただし、その裁判が受訴裁判所の裁判であるとした場合に抗告をすることができるものであるときに限る。
- 2.抗告は、前項の申立てについての裁判に対してすることができる。
- 3.最高裁判所又は高等裁判所が受訴裁判所である場合における第一項の規定の適用については、同項ただし書中「受訴裁判所」とあるのは、「地方裁判所」とする。
この条文の基本情報
受命裁判官等の裁判に対する不服申立てとは何ですか?
定義受命裁判官等の裁判に対する不服申立てとは、民事訴訟法第329条に定められた規定で、「受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、受訴裁判所に異議の申立てをすることができる。ただし、その裁判が受訴裁判所の裁判であるとした場合に抗告を…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第329条(受命裁判官等の裁判に対する不服申立て)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第329条の条文原文は「受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、受訴裁判所に異議の申立てをすることができる。ただし、その裁判が受訴裁判所の裁判であるとした場合に抗告を…」で始まります。
- 民事訴訟法第329条は第三章 抗告に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第329条の前の条は民事訴訟法第328条です。
- 民事訴訟法第329条の次の条は民事訴訟法第330条です。
- 民事訴訟法第329条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第329条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第329条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/329
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法329条は、受命裁判官・受託裁判官の裁判に不服がある当事者がまず受訴裁判所へ異議を申し立てられると定める。抗告できるのは異議の裁判に対してである。
Q · 受命裁判官の判断に不服。すぐ上の裁判所へ抗告していいの?
いいえ。まず手元の受訴裁判所へ異議を申し立てます
民事訴訟法329条により、受命裁判官・受託裁判官の裁判に不服がある当事者は、いきなり上級審へ抗告するのではなく、まず事件本体を審理する受訴裁判所へ異議を申し立てます。ただし、その裁判が受訴裁判所のものであれば抗告できる種類のものに限られます(328条)。異議についての裁判になお不服があれば、そこで初めて抗告ができます(同条2項)。最高裁・高裁が受訴裁判所のときは「地方裁判所」と読み替えて抗告適格を判定します(同条3項)。
解説
裁判は必ず法廷で三人の裁判官が揃って下す、そう思っているなら半分は誤りだ。民事裁判では、証拠調べや和解の試みを、合議体の中の一人(受命裁判官)や、遠隔地の別の裁判所の裁判官(受託裁判官)に任せることがある。その任された裁判官が、たとえば証人に過料を科す、文書の提出を命じる、といった判断を下したとき、あなたはそれにどう逆らえばいいのか。329条がその道を示す。いきなり上級審へ抗告するのではない。まず本体の事件を握っている受訴裁判所へ異議を申し立てる。ただし条件がある。その判断が、もし受訴裁判所自身が下したものなら抗告できる種類のものに限られる。異議への裁判になお不服なら、そこで初めて抗告ができる。一段階多い、この回り道を知らないと、出す相手と順番を間違えて、不服そのものが門前払いされる。
法的な位置づけ
民事訴訟法329条は、受命裁判官および受託裁判官の裁判に対する不服申立ての方法を定める規定である。当事者はまず受訴裁判所へ異議を申し立て、その裁判が受訴裁判所のものなら抗告し得る種類である場合に限り異議が許される。異議についての裁判に対して抗告ができる、二段構えの不服申立て構造を規律する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.まず抗告適格を確認する 受命・受託裁判官の裁判が、受訴裁判所が下したと仮定したときに抗告できる種類か確認する(329条1項ただし書、328条)。抗告の対象にならない訴訟指揮等であれば、そもそも異議も通らない
- 2.告知の日時を記録する 受命・受託裁判官が口頭で不利な判断を告げた瞬間、その日時をメモする。対象が即時抗告の裁判なら、背後で一週間の不変期間(332条)が走り始めている
- 3.受訴裁判所へ異議を申し立てる 上級審へ直接抗告せず、事件本体を審理する受訴裁判所宛てに異議申立書を提出する。最高裁・高裁係属中は地方裁判所基準で適格を判定する(329条3項)
- 4.異議の裁判に不服なら抗告する 受訴裁判所の異議についての裁判になお不服があるときは、そこで初めて抗告する(329条2項)。即時抗告であれば一週間の不変期間内に行う
よくある質問 AI による整理
Q1受託裁判官とは何ですか?
遠隔地などの事情で、別の裁判所に証拠調べ等を嘱託された、その裁判所の裁判官です。合議体内の一人が任される受命裁判官と区別されます(185条等)。
Q2異議の申立てに期限はありますか?
一般的な明文の期間はありませんが、対象が即時抗告の裁判のときは告知から一週間の不変期間に服します(332条)。速やかな申立てが安全です。
Q3受命裁判官の訴訟指揮にも異議を出せますか?
出せません。異議が通るのは、受訴裁判所が下したとすれば抗告できる種類の裁判に限られます(329条1項ただし書)。多くの訴訟指揮は対象外です。
Q4最高裁が審理中でも異議は出せますか?
出せます。3項により「受訴裁判所」を「地方裁判所」と読み替えて抗告適格を判定するため、上級審に係属中でも異議の道は閉じません。
Q5異議の申立てはどこの裁判所にしますか?
事件本体を審理する受訴裁判所です。受命・受託裁判官の上級裁判所ではありません。宛先を間違えると不服が却下されます。
Q6異議が認められたらどうなりますか?
受訴裁判所が受命・受託裁判官の裁判の当否を判断し直します。本体の裁判所が改めて判断する点が、いきなりの抗告と異なります。
Q7文書提出命令に異議を出せますか?
受命裁判官が命じた文書提出命令に対して、命じられた相手方は受訴裁判所へ異議を申し立て、命令の当否を判断し直させることができます。
Q8異議についての裁判に不服な場合は?
そこで初めて抗告ができます(329条2項)。受命・受託裁判官の裁判への抗告ではなく、異議の裁判に対する抗告である点に注意します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1受命裁判官って、普通の裁判官と何が違うんですか?
受命裁判官は、合議体(複数の裁判官)で審理する事件で、証拠調べや和解など特定の作業を任された合議体内の一人の裁判官です。受託裁判官は、遠隔地などの事情で別の裁判所に作業を嘱託された、その裁判所の裁判官です(195条、185条)。彼らの単独判断に不服があるとき、329条はまず受訴裁判所への異議という独自の道を用意しています。実務のポイント: 出張尋問や現地での証拠調べでは、その場の裁判官が単独で過料や証言拒絶の当否を判断します。本体の合議体に判断し直させたいなら、宛先は上級審ではなく受訴裁判所だと知っているかどうかで、不服が生きるか死ぬかが変わる
Q2異議を出さずに、いきなり抗告したらどうなりますか?
受命・受託裁判官の裁判に対していきなり上級審へ抗告しても、原則として不適法として却下されます。329条が定める順序は、まず受訴裁判所への異議、その異議裁判に対して初めて抗告(同条2項)です。実務のポイント: この「一段階多い」構造を見落として直接抗告し、争う時間を空費する例は実務でも珍しくない。対象が即時抗告の裁判なら一週間の不変期間が背後で走っているので、宛先を間違えた数日が、そのまま争う権利の喪失につながる
間違えやすい点 AI による整理
- 「裁判官の判断に不服なら、すぐ上の裁判所へ抗告する」と問いを立てがちだが、受命・受託裁判官の裁判に限っては、その問いの立て方自体が違う。彼らへの不服は、まず受訴裁判所への異議という横方向の道を通る。いきなり上へ飛ぼうとすると、入口で弾かれる
- 受命裁判官の判断にも異議が出せると知っている人でも、その異議に「対象が抗告できる裁判に限る」という関門があることまでは見落としがちだ。抗告の対象にならない裁判(訴訟指揮の多く)には、そもそも異議も通らない。出せる不服と出せない不服の線引きが先にある
- 「最高裁や高裁が事件を握っているときは、その上に抗告できる相手がいないから異議も無意味」と思われがちだが、3項がまさにそのために用意されている。受訴裁判所を地方裁判所と読み替えて抗告適格を判定するので、上級審に係属中でも異議の道は閉じない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 不服申立ての宛先 | 329条:受訴裁判所への異議 | 328条:抗告(上級裁判所) 332条:即時抗告(一週間の不変期間) |
| 対象となる裁判 | 受命・受託裁判官の裁判(抗告適格があるものに限る) | 受訴裁判所等の決定・命令 法が即時抗告を認めた裁判 |
| 時的制限 | 明文なし(対象が即時抗告なら332条を準用的に意識) | 通常抗告は期間の定めなし 告知から一週間の不変期間 |
| 次の段階 | 異議の裁判に対して抗告(2項) | 抗告裁判所の決定に再抗告(330条) 期間徒過で確定 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も受命法官・受託法官の裁定に対し、まず受訴法院へ異議を申し立てる構造を採り、日本329条と発想を共有する
ドイツは beauftragter Richter(受命裁判官)・ersuchter Richter(受託裁判官)の決定に対する Erinnerung(異議)を裁判所本体に対して認める。宛先を本体裁判所とする点で日本と類似
米国は magistrate judge の裁定に対し、district judge への異議(objection)を認める。一人の裁判官の判断を本体の裁判官が再検討する構造が機能的に対応する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 遠方で行われた証人尋問で、受託裁判官があなたの証人に対し、正当な理由なく証言を拒んだとして過料を科した。これに不服があるとき、どこへ訴える? 答えは上級審ではなく、まず事件本体を審理する受訴裁判所への異議だ(192条の過料は抗告の対象、よって329条の異議も通る)
- 知財訴訟で、受命裁判官が相手方に文書提出命令を出した。命じられた相手方はその一行で営業秘密の開示を迫られる。相手方は受訴裁判所へ異議を申し立て、命令の当否を本体の裁判所に判断し直させることができる
- 受命裁判官の判断に納得がいかない。あと数日で次の期日が来る。異議を出すなら、その裁判の告知を受けた直後に動くこと。対象が即時抗告の裁判なら、背後で一週間の不変期間が走っている
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず、その裁判が、受訴裁判所が下したと仮定して抗告できる種類か確認する(329条1項ただし書、328条)。抗告対象でなければ異議も通らない2. 通るなら、事件本体を審理する受訴裁判所宛てに異議を申し立てる。上級審へ直接抗告しない3. 対象が即時抗告の裁判なら、告知から一週間の不変期間(332条)を意識し、直ちに書面を出す4. 異議への裁判になお不服なら、そこで抗告する(329条2項)。最高裁・高裁係属中は地方裁判所基準で適格を判定する(同条3項)
訴えられた側:1. 相手に有利な異議が出る前に、対象裁判が抗告適格を持つか自分でも分析しておく2. 相手の異議に対しては、受訴裁判所で対象裁判の正当性を主張し、必要なら原命令を維持させる3. 相手が異議の期間を徒過していれば、裁判の確定を主張して争いを打ち切る4. 受訴裁判所の異議裁判に不服なら、自らも抗告できることを忘れない(329条2項)
時効(請求できる期限):異議申立てに一般的な明文の期間はないが、対象裁判が即時抗告の対象であるときは、その裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間に服する(民事訴訟法332条)。起算点は告知時。通常抗告に相当する場合は期間の定めはないが、速やかに申し立てるべき(最新の運用をご確認ください)
学説
通説:329条の異議は、受命・受託裁判官の単独判断を本体の受訴裁判所に差し戻して再検討させる制度であり、抗告適格を関門とすることで、争える裁判とそうでない裁判(多くの訴訟指揮)を区別し、手続の濫用的停滞を防ぐと解されている
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧民事訴訟法から現行法への全部改正に伴い、受命・受託裁判官の裁判に対する異議と抗告の規律を現行329条として整理。最高裁・高裁が受訴裁判所の場合の読替規定(3項)を含む現在の形が成立した
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正に伴い、受命・受託裁判官の裁判に対する異議と抗告の規律を現行329条として整理。最高裁・高裁が受訴裁判所の場合に「受訴裁判所」を「地方裁判所」と読み替える3項を含む現在の形が成立した
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める