民事訴訟法 第363条(異議後の判決における訴訟費用)
クイックジャンプ
- 異議を却下し、又は手形訴訟においてした訴訟費用の負担の裁判を認可する場合には、裁判所は、異議の申立てがあった後の訴訟費用の負担について裁判をしなければならない。
- 2.第二百五十八条第四項の規定は、手形訴訟の判決に対し適法な異議の申立てがあった場合について準用する。
この条文の基本情報
異議後の判決における訴訟費用とは何ですか?
定義異議後の判決における訴訟費用とは、民事訴訟法第363条に定められた規定で、「異議を却下し、又は手形訴訟においてした訴訟費用の負担の裁判を認可する場合には、裁判所は、異議の申立てがあった後の訴訟費用の負担について裁判をしなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第363条(異議後の判決における訴訟費用)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第363条の条文原文は「異議を却下し、又は手形訴訟においてした訴訟費用の負担の裁判を認可する場合には、裁判所は、異議の申立てがあった後の訴訟費用の負担について裁判をしなければならない。」で始まります。
- 民事訴訟法第363条は第五編 手形訴訟及び小切手訴訟に関する特則に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第363条の前の条は民事訴訟法第362条です。
- 民事訴訟法第363条の次の条は民事訴訟法第364条です。
- 民事訴訟法第363条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第363条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第363条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/363
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法363条は、手形訴訟で異議が却下され又は費用負担の裁判が認可される場合、裁判所が異議申立て後の訴訟費用の負担を改めて裁判すべきことを定める。
Q · 手形訴訟で勝った後に相手が異議を出して、結局相手が負けたら、異議後にかかった費用は誰が払うの?
異議後にかかった訴訟費用まで、負けた側が負担します
民事訴訟法363条1項により、異議が却下され、又は手形訴訟でした訴訟費用負担の裁判が認可される場合、裁判所は異議申立て後に生じた訴訟費用の負担について改めて裁判しなければなりません。つまり、軽い気持ちで異議を出して結局負けた側は、異議後に積み上がった費用まで背負います。2項は258条4項を準用し、費用裁判の失効と総費用の再裁判を整理します。手形を持つ側にとっては、時間稼ぎの異議にもコストの代償を負わせる安全装置です。
解説
取引先から受け取った約束手形が不渡りになった。あなたは泣き寝入りするか、それとも手形訴訟という近道を使うか。手形訴訟は書証だけで戦う特別な早期手続で、通常訴訟が一年かかるところを二か月前後で仮執行宣言付きの判決まで持っていける。負けた相手は異議(357条)を出して通常訴訟に引き戻せるが、ここで363条が効いてくる。異議が却下されるか、手形訴訟で下された費用負担の裁判が認可される場合、裁判所は異議申立て後にかかった訴訟費用の負担まで改めて裁判しなければならない。つまり、軽い気持ちで異議を出して結局負けた側は、異議後に積み上がった費用まで背負う。逆に手形を持つ側にとって、この条文は「異議で時間稼ぎをする相手にも、最後はコストの代償を負わせる」という安全装置だ。手形訴訟を知らない経営者は、この近道とその仕上げの両方を取り逃している。
法的な位置づけ
民事訴訟法363条は、手形訴訟における異議後の訴訟費用の負担を定める規定である。異議が却下され、又は手形訴訟でした訴訟費用負担の裁判が認可される場合、裁判所は異議申立て後に生じた訴訟費用の負担について改めて裁判する。2項は第258条4項を準用し、費用裁判の失効と総費用の再裁判を整理する清算規定として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.手形・原因取引の書面を揃える 手元の約束手形・小切手と、原因取引の書面(契約書、請求書、納品書)を揃える。手形訴訟は書証だけで戦うため(民訴352条)、紙の証拠が勝敗を決める
- 2.手形訴訟を提起し仮執行宣言付き判決を狙う 手形訴訟を提起し、仮執行宣言付き判決を狙う。通常訴訟より圧倒的に早く、二か月前後で債務名義に到達できる
- 3.判決後、異議を待たず強制執行へ着手 判決が出たら相手の異議を待たず強制執行へ着手する。異議は仮執行を止めないため、相手が通常訴訟の準備をしている間に回収を済ませられる
- 4.異議が来たら363条1項を交渉カードに使う 相手が異議を出してきたら、363条1項を示し「このまま通常訴訟で負ければ異議後の費用まであなた持ちになる」と伝え、勝ち目の薄い相手を和解へ誘導する
よくある質問 AI による整理
Q1手形訴訟とは何ですか?
約束手形や小切手の不渡りなどで、書証だけを証拠として早期に債務名義を取る特別な訴訟手続です(民訴350条以下)。通常訴訟が一年かかるところ二か月前後で仮執行宣言付き判決まで到達できます。
Q2手形訴訟の異議申立ての期限はいつまでですか?
手形判決の判決書送達を受けた日から二週間の不変期間です(民訴357条)。これを過ぎると手形判決が確定し、363条の異議後手続には入れません。
Q3異議後の訴訟費用は誰が負担しますか?
異議が却下されるか手形訴訟の費用負担裁判が認可される場合、裁判所が異議申立て後の費用負担を改めて裁判します(363条1項)。争って負けた側が異議後の費用も背負います。
Q4手形訴訟と通常訴訟は何が違いますか?
手形訴訟は証拠が書証に限定され(民訴352条)、その分早く判決が出ます。異議が出れば同じ裁判所で通常訴訟に移行し、証拠制限が外れます(361条)。
Q5異議を出すと仮執行宣言は止まりますか?
止まりません。手形訴訟で得た仮執行宣言付き判決は異議では効力を失わず、強制執行を進められます。止めたい場合は担保を立てた執行停止の申立てが別途必要です。
Q6手形訴訟はどのくらいで判決が出ますか?
事案によりますが、書証中心で審理が簡素なため二か月前後で仮執行宣言付き判決に至る例が多いとされます。通常訴訟より大幅に早く債務名義を取れます。
Q7電子記録債権(でんさい)でも早期回収はできますか?
紙の手形は減っていますが、電子記録債権にも類似の早期回収ルートがあり、手形訴訟は支払督促や少額訴訟と同じ早期に債務名義を取る系譜の手続です。
Q8異議を出すか迷ったときの判断基準は何ですか?
書面外の有力な反論材料(原因関係の無効、相殺、支払済みの証拠)があるかが鍵です。なければ異議は363条1項により費用を増やすだけに終わりがちです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1手形訴訟で勝った後に相手が異議を出したら、また一から裁判やり直しですか?
やり直しではありません。異議後は同じ裁判所で通常訴訟の審理に移りますが(361条)、手形訴訟で得た仮執行宣言は生きたままで執行は止まりません。最終的に異議が却下されるか手形判決が認可されれば、363条1項により異議後の費用まで相手負担になります。実務のポイント:実務では異議を出された瞬間に多くの債権者が動揺して執行を止めてしまうが、止める必要はない。仮執行のまま回収を進め「争うほど費用が増える」と伝えると、勝ち目のない相手は急に和解へ傾く
Q2もう紙の手形なんて使っていません。この条文は時代遅れでは?
紙の約束手形は減っていますが、今も中小企業間や建設・繊維の取引では現役で、不渡り時の回収手段として手形訴訟は機能しています(350条以下)。電子記録債権(でんさい)にも類似の早期回収ルートがあります。実務のポイント:手形訴訟が使われない最大の理由は「時代遅れ」ではなく「弁護士も普段使わないので提案されない」こと。書証だけで二か月という速さは、未回収債権を抱える側にとって今も強力。手形を持っているなら、まずこの選択肢があるか確認する価値がある
間違えやすい点 AI による整理
- 手形訴訟は知っていても、異議を出されたら全部やり直しと思い込んでいる人が多い。実際は異議は通常訴訟への移行にすぎず(361条)、手形訴訟で得た仮執行宣言は異議では止まらない。異議=振り出しに戻る、ではない。深刻さの中身を取り違えている
- 「異議を出せばタダで争える」と考えて異議を申し立てる債務者が少なくない。だが問いの立て方そのものがずれている。問うべきは「争えるか」ではなく「争って負けたとき、異議後の費用まで上乗せされる覚悟があるか」だ。363条1項はその上乗せを明文で命じている
- 債務者から見れば異議は「正当な反論の機会」だが、裁判所から見れば「手形訴訟の結論を覆せるだけの書面外の証拠があるか」の一点に絞られる。この落差を理解せず異議だけ出すと、費用だけ増えて結論は変わらない、という結末を招く
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 363条:異議後の訴訟費用の負担を改めて裁判(費用清算) | 357条:手形判決への異議申立て(二週間の不変期間) 362条:異議後の判決(手形判決の認可または取消し) |
| 発動する場面 | 異議却下、又は費用負担裁判の認可時 | 手形判決の送達後、争う意思があるとき 異議後の通常審理が終局するとき |
| 主な効果 | 異議後に生じた費用を負担者へ割り付ける | 不変期間を徒過すると手形判決が確定 手形判決を認可または取り消す |
他国ではどう定めているか 2 か国
専用の手形訴訟はないが、督促程序の異議で通常訴訟へ移行する点で近接。費用は訴訟費用の一般規定で処理される
日本の手形訴訟の母法。異議(Widerspruch)後の通常手続 Nachverfahren と、その費用処理の構造が機能的に対応する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが手形訴訟で負けて異議を出すか迷っているとしたら? 異議の申立ては判決書送達から二週間(357条)の不変期間。この二週間を逃せば手形判決は確定し、迷う余地すら消える。そして異議を出して結局負ければ、363条1項で異議後の費用まで上乗せされる
- あなたが手形を振り出した側で、資金繰りが詰まって支払えなかった。相手が手形訴訟を起こし、仮執行宣言付きで口座を押さえにきた。異議を出しても執行は止まらず、争って負ければ異議後の費用も背負う。ここで戦うか、頭を下げて分割和解を持ちかけるかの判断を、二週間で下さなければならない
- 下請け代金を手形でもらったが、不渡りになった。通常訴訟で一年待つ必要はない。手形訴訟なら二か月で仮執行付きの債務名義が取れる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 手元の約束手形・小切手と、原因取引の書面(契約書、請求書、納品書)を揃える。手形訴訟は書証だけで戦うので(352条)、紙の証拠が命2. 手形訴訟を提起し、仮執行宣言付き判決を狙う。通常訴訟より圧倒的に早い3. 判決が出たら相手の異議を待たず強制執行へ着手、異議は執行を止めない4. 相手が異議を出してきたら、363条1項を示し「負ければ異議後の費用も上乗せ」と伝えて和解を促す(最新の改正状況をご確認ください)
訴えられた側:1. 手形訴訟の判決書送達から二週間以内が異議の期限(357条)、まずこの起算点を死守2. 異議を出すか判断する前に、書面外の有力な反論材料(原因関係の無効、相殺、支払済みの証拠)があるか冷静に検証。なければ異議は費用を増やすだけ3. 争う価値があるなら異議を出し通常訴訟へ移行、ないなら分割和解を交渉4. 仮執行は異議では止まらないので、止めたいなら担保を立てた執行停止の申立てを別途検討
時効(請求できる期限):異議の申立ては手形訴訟の判決書送達を受けた日から二週間の不変期間(民事訴訟法357条)。これを過ぎると手形判決が確定し、363条の異議後手続には入れない。費用負担の裁判そのものに固有の時効はないが、確定判決に基づく強制執行は確定の時から10年(民法169条)
学説
通説:363条1項は、異議の却下又は手形訴訟でした費用負担裁判の認可という場面で、異議申立て後に生じた訴訟費用の負担を改めて裁判すべきものとし、2項で258条4項を準用して費用裁判の失効と総費用の再裁判を整理する清算規定と解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧民事訴訟法の手形訴訟規定を現行第363条として再編。異議後の訴訟費用の負担と、第258条第4項(費用負担裁判の失効・総費用の再裁判)の準用を整理した
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正により旧法の手形訴訟規定を現行363条として再編し、異議後の訴訟費用の負担と第258条第4項の準用を明文で整理した
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める