民事訴訟法 第357条(異議の申立て)
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手形訴訟の終局判決に対しては、訴えを却下した判決を除き、電子判決書又は第二百五十四条第二項の規定により当事者及び法定代理人、主文、請求並びに理由の要旨が記録された電子調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に、その判決をした裁判所に異議を申し立てることができる。ただし、その期間前に申し立てた異議の効力を妨げない。
この条文の基本情報
異議の申立てとは何ですか?
定義異議の申立てとは、民事訴訟法第357条に定められた規定で、「手形訴訟の終局判決に対しては、訴えを却下した判決を除き、電子判決書又は第二百五十四条第二項の規定により当事者及び法定代理人、主文、請求並びに理由の要旨が記録され…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第357条(異議の申立て)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第357条の条文原文は「手形訴訟の終局判決に対しては、訴えを却下した判決を除き、電子判決書又は第二百五十四条第二項の規定により当事者及び法定代理人、主文、請求並びに理由の要旨が記録され…」で始まります。
- 民事訴訟法第357条は第五編 手形訴訟及び小切手訴訟に関する特則に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第357条の前の条は民事訴訟法第356条です。
- 民事訴訟法第357条の次の条は民事訴訟法第358条です。
- 民事訴訟法第357条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第357条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第357条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/357
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法357条は、手形訴訟の判決に対し送達日から二週間以内に同じ裁判所へ異議を申し立てられると定める。手形訴訟判決に控訴はできず、異議だけが通常訴訟へ戻す手段である。
Q · 手形訴訟で負けた判決が届いたら、控訴すればいいの?
控訴ではなく、二週間以内に異議を申し立てる
民事訴訟法357条により、手形訴訟の終局判決には控訴ができません(356条)。取るべき手段は異議で、判決書または254条2項の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に、その判決をした裁判所へ申し立てます。異議を出せば事件は証拠制限のない通常訴訟へ戻り、人証や原因関係の抗弁も主張できます。ただし異議だけでは仮執行は止まらないため、強制執行停止の申立てと担保提供を同時に行う必要があります。二週間を過ぎると判決が確定します。
解説
封筒を開けると「判決」の二文字。あなたは取引先に振り出した約束手形を資金繰りで決済できず、相手が「手形訴訟」という特急レーンであなたを訴えていた。手形訴訟では被告のあなたは原則として書証(文書)でしか反論できず、言い分を尽くせないまま負けることが多い。しかもこの判決には仮執行宣言が付き、相手はすぐ口座や売掛金を差し押さえられる。ここで多くの人が致命的な勘違いをする。「控訴しよう」と。だが手形訴訟の判決に控訴はできない(356条)。あなたに残された唯一の反撃手段が、この357条の「異議」だ。判決書または調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に、その判決をした同じ裁判所へ異議を申し立てる。異議を出せば事件は通常訴訟へ引き戻され、証拠制限が外れて人証も原因関係の抗弁も持ち込める。二週間を一日でも過ぎれば、反論しきれなかった判決がそのまま確定する。封筒の中の二文字より、送達された日付の方が、あなたの運命を握っている。
法的な位置づけ
民事訴訟法357条は手形訴訟の異議を定める規定であり、手形訴訟の終局判決を受けた当事者が、訴え却下判決を除き、判決書または254条2項の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に、判決をした裁判所へ異議を申し立てる権利を規定する。異議により事件は証拠制限のない通常訴訟へ移行する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.送達日を確認し二週間の期限を逆算する 届いた判決書(または254条2項の調書)の受領日を確認し、そこから二週間の不変期間を逆算する。不変期間は延長できないため、最初に期限を確定させることが最優先
- 2.判決をした裁判所へ異議を申し立てる 抗弁の中身が固まっていなくても、まず判決をした同じ裁判所へ異議申立書を提出する。控訴状ではない(356条で控訴は不可)。期間内に異議という旗を立てれば通常訴訟に戻れる
- 3.強制執行停止を同時に申し立てる 異議と同時に強制執行停止を申し立て、担保を提供して仮執行を止める。これを怠ると、本戦で争う間に口座や売掛金を抑えられ、勝っても回収不能になる
- 4.通常訴訟へ向けて人証・原因関係の抗弁を準備する 異議後は証拠制限が外れるため、手形訴訟で出せなかった人証や原因関係の抗弁(支払済み、相殺、原契約の不履行等)を整理し、立証計画を組み直す
よくある質問 AI による整理
Q1手形訴訟とは何ですか?
約束手形・小切手の金銭支払請求について、証拠を原則書証に限り(民訴352条)一回的審理で迅速に債務名義を得られる特別な訴訟手続です。債権者に有利な特急レーンです。
Q2手形訴訟の異議申立ての期限はいつまでですか?
判決書または254条2項の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内です(民訴357条)。不変期間なので延長はできず、過ぎると判決が確定します。
Q3手形訴訟の判決に控訴はできますか?
できません。訴えを却下した判決を除き、控訴は禁止されています(民訴356条)。不服があるときは控訴ではなく357条の異議を申し立てます。
Q4手形訴訟の異議申立書はどう書きますか?
理由が固まっていなくても、まず二週間以内に判決をした裁判所へ異議申立書を提出することが重要です。具体的な抗弁は異議後の通常訴訟で書面追加できます。
Q5手形訴訟の仮執行を止めるにはどうすればいいですか?
異議の申立てだけでは止まりません。別途、強制執行停止の申立てと担保提供が必要です。異議と執行停止は必ずセットで行うのが実務です。
Q6手形訴訟と異議後の通常訴訟は何が違いますか?
手形訴訟は証拠が原則書証に限られますが(352条)、異議後の通常訴訟ではこの制限が外れ、人証も原因関係の抗弁も主張できます。審理の質が別物です。
Q7異議の不変期間を過ぎたらどうなりますか?
判決がそのまま確定し、確定した債務名義になります。ただし自己の責めに帰せない事由で徒過した場合は、追完(民訴97条)が認められる余地があります。
Q8でんさい(電子記録債権)も手形訴訟の対象ですか?
対象外です。手形訴訟は紙の手形・小切手が前提で、でんさいは別の権利です。紙の手形を扱う取引に限りこの特急訴訟の被告になり得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1判決が届いたんですけど、控訴すればいいんですよね?
それが最大の落とし穴です。手形訴訟の判決に控訴はできません(356条本文)。あなたが取るべき手段は控訴ではなく、本条357条の異議で、送達日から二週間以内に同じ裁判所へ申し立てます。実務のポイント:控訴状を出すと不適法として却下されますが、その手続でもたついている間に二週間の不変期間が過ぎ、異議の道まで消える。最初の一手の名前を間違えるだけで、勝てた事件が確定してしまう
Q2異議を出せば、相手の差し押さえは止まるんですか?
止まりません。手形訴訟判決には仮執行宣言が付いており、異議の申立てだけでは執行は続行します。止めるには強制執行停止の申立てと担保提供が別途必要です。実務のポイント:弁護士は異議申立書と強制執行停止申立てを必ず同時に出します。異議だけ出して安心していると、本戦で争っている最中に口座や売掛金を抜かれ、勝訴しても回収できないという最悪の結果になる。異議と執行停止はワンセットだと覚える
Q3異議を出して、また負けたらどうなるんですか?
異議後の通常訴訟で改めて終局判決が出され、手形訴訟判決を認可するか取り消します(363条)。この異議後の判決には通常どおり控訴ができます。実務のポイント:つまり手形訴訟で負けても、異議で本戦に戻り、そこで負けてもさらに控訴という二段構えが残っている。だからこそ最初の二週間で異議さえ立てておけば、その後の不服申立ての道が丸ごと開く。逆に二週間を逃すと、この階段すべてが一気に消える
間違えやすい点 AI による整理
- 「判決が来たのだから控訴すればいい」と当然のように考える人が多いが、その問いの立て方自体が誤っている。手形訴訟の判決に控訴はできない(356条)。控訴状を出しても不適法として却下され、争っているうちに二週間の不変期間が過ぎ、異議の道まで閉ざされる。最初の一手が控訴か異議かで勝負は決まる
- 「異議さえ出せば差し押さえは止まる」と思い込んでいるが、これは深刻度を見誤っている。異議の申立てだけでは仮執行は止まらない。止めるには別途、強制執行停止の申立てと担保提供が必要(民事執行法・民訴403条系)。異議を出して安心している間に、口座も売掛金も抑えられる
- あなたから見れば異議は「同じ裁判をもう一度やるだけ」に映る。だが法律から見れば、手形訴訟と異議後の通常訴訟は審理の質が別物だ。手形訴訟の証拠制限(352条、書証中心)が異議後には外れ、人証も原因関係の抗弁も投入できる。この落差を知らずに「どうせ結果は同じ」と異議を諦めると、本来勝てた戦いを捨てることになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手段の性質 | 357条:異議(同じ裁判所へ、通常訴訟へ戻す) | 356条:控訴(手形訴訟判決には不可) 362条:異議後の通常手続による審理・裁判 |
| 期間・申立先 | 送達日から二週間の不変期間、判決をした裁判所 | 控訴期間二週間だが手形訴訟判決には適用なし 異議が適法なら自動的に移行(別途申立て不要) |
| 証拠制限 | 異議後は352条の証拠制限が外れる | —(控訴審に進めない) 人証・原因関係の抗弁を全面的に主張可 |
| その後の不服手段 | 異議後の終局判決(363条)に通常の控訴が可能 | 却下された判決には例外的に控訴可(356条但書) 認可・取消の判決を経て控訴へ |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には手形訴訟そのものはないが、迅速に債務名義を与える督促程序に対し債務者が異議で通常訴訟へ戻す構造は機能的に類似する。
韓国も督促手続の支払命令に異議を出すと通常訴訟へ移行する。被告の防御機会を後続手続で回復させる点で日本の異議と同種。
日本の手形訴訟・異議の母法。証書・手形訴訟で迅速に判決を出し、後続手続(Nachverfahren)で本格審理に戻す二段構造がそのまま継受されている。
米国(NY 州)は金銭支払証書について略式判決を求める手続を置く。被告は答弁・反証で本格的争訟へ持ち込めるが、判例法上の扱いは州ごとに分かれる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 下請けの建設会社を営むあなたが、元請けに渡した約束手形が決済できず手形訴訟で敗訴。判決書が届いた。控訴状を書こうとした手が止まる。手形訴訟に控訴の道はない。残り時間は送達日から二週間、異議を出せるのは今この瞬間だけだ
- もし、あなたが受け取った手形を別の業者に裏書譲渡していて、その手形が不渡りになったらどうなる? あなたは遡求義務を負う被告として手形訴訟に引きずり込まれ、負ければ仮執行で資産を抑えられる。異議の二週間が、原因関係を主張できる唯一の窓になる
- 債権者の立場で手形訴訟に勝ち、仮執行宣言付き判決を得た。相手が異議を申し立ててきた。判決は確定せず、同じ裁判所で通常訴訟がやり直しになる。あなたは書証だけでなく、相手の人的抗弁にも耐える立証を組み直さなければならない
- 判決書を受け取ったが、出張続きで机に積んだまま十日が過ぎた。異議の不変期間はあと四日。理由が固まっていなくても、まず異議申立書を出さなければ、二週間後にこの判決はあなたへの確定した債務名義に変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 送達された判決書(または254条2項の調書)の受領日を確認し、そこから二週間の不変期間を逆算する2. 抗弁の中身が固まっていなくても、まず判決をした裁判所へ異議申立書を提出する(控訴状ではない、356条で控訴は不可) 3. 同時に強制執行停止を申し立て、担保提供で仮執行を止める4. 異議後の通常訴訟に向け、手形訴訟で出せなかった人証や原因関係の抗弁(支払済み、相殺、原契約の不履行等)を準備する
訴えられた側:1. 相手が異議を出すと手形訴訟判決は確定せず、同じ裁判所で通常訴訟へ移行する(362条)と理解する2. 仮執行宣言で既に着手した執行は、相手の執行停止申立てが認められない限り維持できる3. 通常訴訟では証拠制限が外れるため、原因関係や人的抗弁に耐えられるよう主張立証を再構築する4. 異議が不変期間徒過などで不適法なら、異議却下を求める(361条)
時効(請求できる期限):判決書または第254条第2項の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間(本条)。不変期間のため期間の伸長はできない。ただし、自己の責めに帰すことのできない事由で徒過した場合は訴訟行為の追完が可能(民事訴訟法97条)。なお訴えを却下した判決には異議できず、これに対しては控訴による(356条但書)
学説
通説:手形訴訟の証拠制限(352条)は迅速な債務名義付与のための便宜であり、被告の防御権を恒久的に奪うものではない。357条の異議は、削られた防御権を通常訴訟で全面的に回復させる調整弁と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧民事訴訟法の手形訴訟・異議の規定を整理し、現行の第357条として配置。判決書または第254条第2項の調書の送達を起算点とする二週間の不変期間を明文化。なお、その後の改正履歴(調書方式や手続の電子化に関する改正の波及を含む)を完全には確認できていないため、total_revisions は人的検証を要する
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正。旧法の手形訴訟・異議の規定を整理し、現行第357条として配置。判決書または254条2項の調書の送達を起算点とする二週間の不変期間を明文化。
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