民事訴訟法 第364条(事件の差戻し)
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控訴裁判所は、異議を不適法として却下した第一審判決を取り消す場合には、事件を第一審裁判所に差し戻さなければならない。ただし、事件につき更に弁論をする必要がないときは、この限りでない。
この条文の基本情報
事件の差戻しとは何ですか?
定義事件の差戻しとは、民事訴訟法第364条に定められた規定で、「控訴裁判所は、異議を不適法として却下した第一審判決を取り消す場合には、事件を第一審裁判所に差し戻さなければならない。ただし、事件につき更に弁論をする必要がないと…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第364条(事件の差戻し)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第364条の条文原文は「控訴裁判所は、異議を不適法として却下した第一審判決を取り消す場合には、事件を第一審裁判所に差し戻さなければならない。ただし、事件につき更に弁論をする必要がないと…」で始まります。
- 民事訴訟法第364条は第五編 手形訴訟及び小切手訴訟に関する特則に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第364条の前の条は民事訴訟法第363条です。
- 民事訴訟法第364条の次の条は民事訴訟法第365条です。
- 民事訴訟法第364条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第364条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第364条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/364
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法364条は、控訴審が異議を不適法として却下した第一審判決を取り消す場合、原則として事件を第一審裁判所に差し戻すと定める。
Q · 手形訴訟で異議が却下されて控訴したら、二審ですぐ決着するの?
原則は一審に差し戻され、やり直しになります
民事訴訟法364条により、控訴審が「異議を不適法として却下した第一審判決」を取り消す場合、原則として事件を第一審裁判所に差し戻さなければなりません。これは、まだ実体審理を受けていない当事者の審級の利益を守るためです。したがって控訴審で却下が覆っても、その場で勝てるのではなく、通常訴訟として一審から審理がやり直されます。ただし、更に弁論をする必要がないほど争点が出尽くしている場合は、控訴審が自ら判決を下します。
解説
手形訴訟は、手形金の取立てを早く終わらせるための特別な裁判だ。証拠が手形と一部の書面に限られ、通常訴訟より格段に速い。だが速さには代償がある。負けた側は「異議」を申し立てて通常の裁判へ移行できる。問題は、その異議を一審裁判所が「不適法」として門前払い(却下、入口で要件を満たさないとして中身を審理せず退ける判断)したときだ。あなたがその却下を不服として控訴し、控訴裁判所が「却下は誤りだった」と判断したら、控訴裁判所は自分で判決を書くのではなく、原則として事件を一審に差し戻さなければならない。これがあなたの「審級の利益」、つまり一審・二審と段階を踏んで審理を受ける権利を守る仕組みだ。ただし、もう弁論の必要がないほど争点が出尽くしている場合は、控訴裁判所がそのまま判断を下す。
法的な位置づけ
民事訴訟法364条は、手形訴訟における異議の却下判決が控訴審で取り消された場合の措置を定める規定である。控訴裁判所は、異議を不適法として却下した第一審判決を取り消すときは、原則として事件を第一審裁判所に差し戻さなければならない。ただし、更に弁論をする必要がない場合には、控訴審が自ら判決をすることができる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.却下判決の送達日と控訴期限を確認する 異議を不適法として却下した判決の送達日を確認し、その翌日から2週間の控訴期限を最優先でカレンダーに記入する。期限を逃せば却下が確定し、差戻しによるやり直しの道も同時に閉ざされる
- 2.却下理由が手続的か実体的かを見極める 却下の理由が異議申立期間の徒過など手続的なものか、実体に踏み込んだものかを特定する。手続的な却下は控訴審で覆る余地が大きく、覆れば差戻しで実体審理に持ち込める
- 3.差戻しを求める控訴状を作成・提起する 控訴状で「却下は違法であり、かつ実体審理すべき争点が残っている」と構成し、事件の一審差戻しを求める。相手の自判(二審決着)狙いに対抗する主張を明確にする
- 4.差戻し後の一審で通常訴訟の立証を準備する 差戻しが認められたら、通常訴訟として手形に限られない証拠を整え、一審で実体的な反論を準備する。原因関係や抗弁の主張立証を組み立て直す
よくある質問 AI による整理
Q1差戻しとは何ですか?
上級審が原判決を取り消し、事件を下級審に戻して改めて審理させる措置です。民事訴訟法364条では、控訴審が異議の却下判決を取り消す場合、原則として一審に差し戻します。
Q2手形訴訟の異議とは何ですか?
手形訴訟の判決に不服がある当事者が、通常訴訟へ移行させるための申立てです(民訴357条)。異議が適法なら同じ裁判所で通常手続による審理が続行されます。
Q3控訴の期限はいつまでですか?
判決書の送達を受けた日の翌日から2週間の不変期間内です(民訴285条)。この期間を過ぎると却下判決が確定し、差戻しによるやり直しの道も閉ざされます。
Q4差戻しと自判の違いは何ですか?
差戻しは事件を一審に戻して審理させ、自判は控訴審が自ら判決を下すことです。364条は原則差戻し、更に弁論の必要がないときは例外的に自判を認めます。
Q5異議の却下と棄却はどう違いますか?
却下は手続要件を欠くため中身を審理せず退ける入口の判断、棄却は実体審理の結果として申立てを認めない判断です。364条が前提とするのは却下です。
Q6手形訴訟はなぜ通常訴訟より早いのですか?
証拠が手形などの書証に限られ、反訴や複雑な争点審理が制限されるためです。迅速に債務名義を得られる反面、敗訴側は異議で通常訴訟へ移行できます。
Q7小切手訴訟にも差戻しは適用されますか?
適用されます。民訴367条が手形訴訟の規定を小切手訴訟に準用しており、364条の差戻しルールも小切手訴訟に及びます。
Q8差し戻されると解決までどれくらい延びますか?
一審の実体審理がやり直しになるため、確定までさらに半年から1年延びることもあります。その間の利息や資金繰りの負担も考慮が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1手形訴訟で異議が却下されたら、もう負けが確定なんですか?
確定ではありません。却下は実体審理に入る前の入口の判断にすぎず、控訴審がその却下を取り消せば、本条により事件は一審に差し戻され、通常訴訟として審理がやり直されます(民事訴訟法364条、307条)。実務のポイント:弁護士は却下判決を受けると、まず却下理由が手続的なものか実体的なものかを見極めます。手続的な却下なら控訴で覆る余地が大きく、覆れば差戻しで実体審理に持ち込める。諦める前に却下理由の性質を確認するのが分かれ目です
Q2控訴審が却下を取り消したのに、なぜ一審に戻されるんですか?二審で決めてくれた方が早いのに。
あなたが一審で実体審理を受ける「審級の利益」を守るためです。一審が入口で門前払いした以上、実体の中身はまだ誰も審理していません。いきなり二審で決めると、あなたは一審での審理機会を失います(民事訴訟法364条本文)。実務のポイント:ただし本条のただし書で「更に弁論の必要がないとき」は二審がそのまま判断します。争点が出尽くしているか否かで差戻しか自判かが決まるので、早期決着を望むなら「弁論の必要なし」、慎重な審理を望むなら「争点が残る」と、立場に応じて主張を組み立てます
間違えやすい点 AI による整理
- 「控訴審で却下が覆れば、その場で勝てる」と思いがちだが、本条の原則は逆。控訴審はあなたに有利な判決を自分で書くのではなく、事件を一審に差し戻す。勝負はまだ一審でやり直しになる
- 差戻しという制度は知っていても、その重みを見落としている人が多い。差戻しは「時間が一審までまるごと巻き戻る」ことを意味する。判決確定までさらに半年から一年延びることもあり、その間の利息や資金繰りの負担はあなたが背負う
- 「異議が却下されたら、もう実体的な主張はできない」という前提で諦める人がいるが、その問い自体が誤っている。却下は実体審理に入る前の入口の判断にすぎない。入口の判断が控訴審で覆れば、実体審理は一審で改めて開かれる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 差戻しの根拠 | 民訴364条:手形訴訟で異議の却下判決を取り消す場合の必要的差戻し | 民訴307条:訴え却下の判決を取り消す場合の必要的差戻し(通常訴訟) 民訴308条:その他の場合の任意的差戻し(裁量) |
| 差戻しの性質 | 原則必要的(更に弁論の必要がなければ自判) | 必要的(同趣旨の例外あり) 任意的(控訴審の裁量) |
| 適用場面 | 手形訴訟・小切手訴訟(367条準用)の異議却下 | 通常訴訟の訴え却下 一審の手続に重大な瑕疵がある等の場合 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も第二審が一審判決を廢棄する一定の場合に事件を第一審へ差し戻す。審級制度を保障する趣旨は日本と共通する
韓国は一審が訴えを却下し控訴審がこれを取り消す場合、原則として必要的環送(差戻し)とする点で日本と近い構造をもつ
ドイツも一定の場合に控訴審が事件を一審へ差し戻せるが、原則は控訴審の自判であり、差戻しは例外と位置づけられる点が日本と異なる
米国の上訴審は判決を破棄し事件を下級審へ remand する一般的権限をもつが、remand か自判かは上訴審の広い裁量に委ねられる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが下請けで受け取った約束手形が不渡りになり、手形訴訟で取立てに勝った。すると相手が異議を申し立て、しかし一審がその異議を不適法として却下したらどうなる? 相手が控訴して却下が覆れば、事件は一審に差し戻され、あなたは通常訴訟をもう一度一審から戦うことになる
- あなたは手形訴訟で敗訴し、異議を申し立てたが、申立期間の数え方を誤って一審に「不適法」と却下された。諦めるのは早い。控訴審がその却下を取り消せば、事件は一審に戻り、あなたは通常訴訟で実体的な反論をやり直せる。却下イコール終了ではない
- 却下判決の送達を受けた。控訴できるのは送達の翌日から2週間だけ。この期限を逃せば却下は確定し、差戻しによるやり直しの道も同時に閉じる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 却下判決の送達日を確認し、控訴期限(2週間)をカレンダーに最優先で記入2. 却下理由が「異議の不適法」のどの点にあるか特定し、補正できたか、一審の判断に誤りがないか検討3. 控訴状で「却下は違法、かつ実体審理すべき争点が残る」と主張し、差戻しを求める4. 差戻し後は通常訴訟として一審で実体的な反論を準備し、手形に限られない証拠を揃える
訴えられた側:1. 一審の却下判決が手続的に正しいか再点検し、異議が本当に不適法だったかを固める2. 控訴審では「却下は適法」を主張しつつ、仮に取り消される場合に備え「更に弁論の必要なし」として自判を求める予備的主張も用意3. 自判が認められれば一審差戻しを回避でき、紛争を二審で早期決着できる4. 差戻しが避けられない場合は、戻った一審での実体審理に向けた立証準備に切り替える
時効(請求できる期限):控訴は、判決書の送達を受けた日から2週間の不変期間内に提起しなければならない(民事訴訟法285条)。この期間を過ぎると却下判決が確定し、差戻しによるやり直しの道も閉ざされる。起算点は送達日の翌日
学説
通説:民訴364条本文の差戻しは、控訴審が異議の却下判決を取り消した場合に当事者の審級の利益を保障する必要的差戻しと解される。ただし書の「更に弁論をする必要がないとき」は、争点が既に出尽くし実体判断が可能な場合の例外と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 現行民事訴訟法への全部改正に伴い手形訴訟の異議後手続が再編され、現行364条に整理されたと解されるが、その後の改正有無を含め人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正に伴い手形訴訟の異議後手続が再編され、異議の却下判決取消し後の差戻しが現行364条に整理されたと解される(その後の改正有無は要人的検証)。
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