民事訴訟法 第365条(訴え提起前の和解の手続から手形訴訟への移行)
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第二百七十五条第二項後段の規定により提起があったものとみなされる訴えについては、手形訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、同項前段の申立ての際にしなければならない。
この条文の基本情報
訴え提起前の和解の手続から手形訴訟への移行とは何ですか?
定義訴え提起前の和解の手続から手形訴訟への移行とは、民事訴訟法第365条に定められた規定で、「第二百七十五条第二項後段の規定により提起があったものとみなされる訴えについては、手形訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、同項前段の申立ての際にしなければな…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第365条(訴え提起前の和解の手続から手形訴訟への移行)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第365条の条文原文は「第二百七十五条第二項後段の規定により提起があったものとみなされる訴えについては、手形訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、同項前段の申立ての際にしなければな…」で始まります。
- 民事訴訟法第365条は第五編 手形訴訟及び小切手訴訟に関する特則に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第365条の前の条は民事訴訟法第364条です。
- 民事訴訟法第365条の次の条は民事訴訟法第366条です。
- 民事訴訟法第365条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第365条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第365条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/365
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法365条は、即決和解の不調で訴訟へ移行する際、手形訴訟を求める申述を訴訟移行の申立てと同時にすべきと定める。後出しは認められない。
Q · 即決和解がまとまらず裁判に移るとき、手形訴訟で速く取り立てるにはいつ申し出ればいい?
訴訟移行の申立てと同時に申述しないと手形訴訟は選べません
民事訴訟法365条により、訴え提起前の和解(即決和解)が不調で訴訟へ移行する場合、手形訴訟を求める申述は、民訴275条2項前段の訴訟移行の申立てと『同時』にしなければなりません。通常の手形訴訟なら訴状に申述を書けば足りますが(民訴350条2項)、移行型には訴状が存在しないため、その瞬間の一言がすべてを決めます。言いそびれると、書証中心で数回の期日で済むはずの事件が、証人尋問つきの通常訴訟になります。
解説
取引先が約束手形を振り出したが期日に決済されない。いきなり訴えるより穏便に、と簡易裁判所の「訴え提起前の和解」(即決和解)を申し立てた。ところが相手が和解の席に出てきたのに話がまとまらない。ここで両当事者が「もう裁判にしてくれ」と申し立てると、和解の申立て時にさかのぼって訴えが提起されたとみなされる(275条2項後段)。問題はその先だ。手形債権は、相手の言い分を原則として書証だけで切り崩せる「手形訴訟」という高速ルートが使える。通常訴訟なら証人尋問で半年一年かかる争いが、数回の期日で勝訴判決と仮執行宣言まで届く。だが365条は釘を刺す。この高速ルートに乗りたいなら、和解から訴訟へ移る「その申立ての瞬間」に手形訴訟でやる旨を申述しなければならない。通常の事件なら訴状に書けば足りるが、この移行型には訴状が存在しない。だからタイミングがすべてを決める。その一言を言いそびれた瞬間、あなたは自ら高速ルートの入口を閉じ、通常訴訟という長い下道に降りることになる。
法的な位置づけ
民事訴訟法365条は、訴え提起前の和解の不調により民訴275条2項後段で訴えの提起が擬制される場合における、手形訴訟への審理方式選択の時的限界を定める規定である。手形訴訟を求める申述は、同項前段の訴訟移行の申立ての際にしなければならず、訴状による申述(民訴350条2項)の代替として、申立てと同時の申述を要件化している。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.即決和解の申立て段階で手形訴訟への移行を想定して準備 和解が不調になる可能性を見越し、手形原本・裏書の連続・呈示の事実を示す書証を事前に揃える。手形訴訟は書証が命なので、和解の席に臨む前に証拠を完成させておく
- 2.訴訟移行の申立てと『同時』に手形訴訟の申述を書面で提出 和解期日で不調が見えたら、相手も出頭しているうちに民訴275条2項前段の訴訟移行の申立てを行い、その同じ場で『手形訴訟による審理及び裁判を求める旨』を必ず申述する。期日を分けてからでは遅い。両者をまとめた書面をその場で出すのが安全
- 3.移行後は仮執行宣言付き判決を狙い早期回収へ 手形訴訟に乗れば数回の期日で勝訴判決と仮執行宣言まで届く。判決確定を待たず、仮執行宣言を使って差押え等の回収に動く。これが手形訴訟の最大の実益
- 4.申述を出しそびれた場合は通常訴訟で書証中心に立証 同時申述を逃すと手形訴訟は選べず通常訴訟になる。慌てず手形債権の立証を書証中心で組み立て直す。手形の文言証券性ゆえ、書面での立証自体は通常訴訟でも有効
よくある質問 AI による整理
Q1手形訴訟とは何ですか?
手形金の支払請求に限り、証拠を原則書証とし反訴を禁じて迅速に審理する特別手続です。当事者の申述があって初めて起動し、仮執行宣言付き判決まで短期間で届きます。
Q2即決和解とは何ですか?
訴え提起前の和解(民訴275条)の通称で、紛争当事者が簡易裁判所で和解を成立させる手続です。不調の場合、両当事者の申立てで訴訟へ移行できます。
Q3手形訴訟のメリットは何ですか?
通常訴訟なら半年〜1年かかる審理を数回の期日で終え、仮執行宣言で判決確定を待たず回収に動ける点です。書証だけで相手の言い分を切り崩せます。
Q4手形訴訟で証人尋問はできますか?
原則できません。証拠は書証に限られ、文書の真否や手形の呈示に関する事項を除いて尋問が制限されます(民訴352条)。だからこそ高速です。
Q5手形訴訟の判決に仮執行宣言は付きますか?
原則として職権で仮執行宣言が付されます。判決が確定する前でも執行でき、債権者が早期に回収へ動ける点に手形訴訟の最大の実益があります。
Q6訴え提起前の和解はどこに申し立てますか?
相手方の普通裁判籍を管轄する簡易裁判所に申し立てます(民訴275条1項)。和解が成立すれば確定判決と同一の効力を持ちます。
Q7手形が不渡りになったら時効は何年ですか?
約束手形振出人に対する手形金請求権は満期の日から3年で時効消滅します(手形法70条1項)。和解申立て時に訴え提起が擬制され完成猶予を判断します。
Q8小切手訴訟も同じルールですか?
ほぼ同じです。民訴367条が手形訴訟の規定を小切手訴訟に準用しており、即決和解からの移行型における同時申述の要件も同様に及びます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1即決和解が決裂したら、その場で『じゃあ手形訴訟で』って言えばいいだけですか?
ほぼその通りだが、言うタイミングが命です。275条2項前段で両当事者が訴訟移行を申し立てる、まさにその申立ての際に手形訴訟の申述をしなければならない(365条)。通常なら訴状に記載する申述(350条2項)を、移行型では口頭の申立てと同時に行う必要がある。実務のポイント:実務では和解不調が見えた段階で訴訟移行と手形訴訟申述をまとめた書面をその場で提出する運用が安全とされる。期日が変わってからでは申述が遅れたと扱われかねないので、和解期日に臨む時点で書面を懐に入れておくのがプロのやり方
Q2手形訴訟で負けたら、もう打つ手はないんですか?
いいえ。手形訴訟は迅速審理ゆえに証拠が原則書証に限られ反訴もできませんが、判決に不服なら2週間以内に異議を申し立てることで、同じ裁判所の通常訴訟へ移行して争い直せます(357条)。手形訴訟の判決は仮の決着で、確定的な敗訴ではありません。実務のポイント:債権者にとっての真の狙いは勝訴の確定ではなく、仮執行宣言で判決確定を待たずに先に回収に動ける点にあります。だから債務者側は異議を出すだけで安心せず、執行停止の手当てまでセットで考えないと、争っている間に財産を押さえられる
間違えやすい点 AI による整理
- 手形訴訟は速いと知っている人は多い。だがその入口が即決和解からの移行では「申立てと同時」という一点に縮んでいることまで知っている人はほとんどいない。速さを知っていても、入口の狭さを知らなければ、目の前で扉が閉まったことにすら気付けない
- 「手形なんだから当然スピード審理になる」と思い込むのは危険だ。手形訴訟は申述があって初めて始まる任意の手続であって、自動では起動しない。即決和解から流れ込んだ事件は、何も言わなければ普通の通常訴訟として淡々と進む。黙っていれば速くなる、ではなく、言わなければ遅いままだ
- 「手形訴訟で勝てば終わり」と考えるのも早計だ。あなたから見れば勝訴判決は終着点だが、法から見れば相手には異議申立てで通常訴訟へ引き戻す権利が残っている(353条以下)。仮執行で先に回収できる点に本当の価値があり、最終決着とは別物。この落差を理解せず油断すると、回収を急がず時機を逃す
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 365条:即決和解の不調による移行型での手形訴訟申述の時期 | 350条:通常の手形訴訟の要件・訴状での申述 357条:手形訴訟判決への異議申立て |
| 申述のタイミング | 訴訟移行の申立てと『同時』(後出し不可) | 訴状に記載(提訴時) 判決送達後2週間以内に異議 |
| 効果 | 高速ルートの入口、逃すと通常訴訟へ | 手形訴訟の起動 通常訴訟への引き戻し |
| 前提条文 | 275条2項後段のみなし提起 | 351・352条の反訴禁止・証拠制限 手形訴訟の終局判決の存在 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は手形(本票)の迅速回収を非訟手続の本票准許強制執行裁定で実現する。日本の手形訴訟のような特別訴訟ではなく非訟ルートを用いる点が構造的に異なる。
中国は手形等の金銭債権を督促程序の支払令で迅速回収する。異議で通常訴訟へ移る構造は日本の手形訴訟+異議に機能的に類似する。
ドイツの Wechselprozess は日本の手形訴訟の母法。証拠を証書に限り迅速判決を与える点が共通し、日本はこれを継受した。
米国に手形専用の特別訴訟はなく、流通証券(negotiable instrument)に基づく請求はサマリージャッジメントで迅速処理される。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 下請けに出した代金を約束手形で受け取ったが不渡り。穏便にと即決和解を申し立てたら、相手は出頭したものの「もう少し待ってくれ」で平行線。ここで両者が訴訟移行を申し立てるが、あなたは手形訴訟を希望する旨をその場で言い忘れた。気付いたのは次の期日。もう手遅れで、書証だけで勝てたはずの事件が証人尋問つきの通常訴訟になる
- もし、和解期日に相手の代理人が「裁判にしましょう」と先に切り出してきたら、どうする? その一手に乗って双方申立てになった瞬間が、手形訴訟を選べる最後のタイミングだ。前段の申立てと同時でなければ申述は効力を持たない。考える時間は、その期日のその場しかない
- あなたが手形債務者の側。即決和解で粘っているうちに相手が訴訟移行を申し立て、同時に手形訴訟の申述もしてきた。手形訴訟では反訴ができず、証拠も原則書面に限られ、あなたの「実は裏に事情がある」という主張は通りにくい。だが判決後2週間以内に異議を申し立てれば、同じ裁判所の通常訴訟へ引き戻せる。その出口を知っているかどうかで、防御の組み立てが変わる
- 経理担当のあなたが、社内マニュアルに従い不渡り手形をまず即決和解に回した。和解不調で訴訟移行する段になって初めて、ここで手形訴訟の申述をしないと高速ルートを失うと気付く。マニュアルにその一行がなかったために、会社は通常訴訟の時間とコストを丸ごと負う
取るべき行動
被害を受けた側:手形債権者の側。1. 即決和解を申し立てる段階で、不調時に手形訴訟へ移行する可能性を想定し、手形原本・裏書の連続・呈示の事実を示す書証を事前に揃えておく2. 和解期日で不調が見えたら、相手も出頭しているうちに『訴訟移行の申立て』を行い、その同じ場で『手形訴訟による審理及び裁判を求める旨』を必ず申述する。期日を分けてからでは遅い3. 移行後は仮執行宣言付き判決を狙い、確定を待たず回収に動く4. 申述を出しそびれたら通常訴訟になるが、手形債権の立証自体は書証中心で進められる、慌てず証拠を整理する
訴えられた側:手形債務者の側。1. 即決和解の席で相手が訴訟移行と手形訴訟申述を出してきたら、手形訴訟は反訴禁止・証拠が原則書証限定(350条以下)と理解し、その制約下で何を主張できるか即座に見極める2. 原因関係の抗弁(人的抗弁)など書証で示しにくい争点があるなら、手形訴訟の判決後2週間以内に異議を申し立て、通常訴訟へ引き戻す(357条、異議期間の徒過は致命的) 3. 仮執行宣言が付くと判決確定前でも執行される、執行停止の申立て要否を弁護士と詰める4. 手形そのものの成立・署名を争えるなら早期に主張、争点を明確化する
時効(請求できる期限):手続上の期限:手形訴訟を求める申述は、275条2項前段の訴訟移行の申立てと『同時』にしなければならず、後出しは認められない。これが本条の核心的タイムリミット。実体上の期限:約束手形振出人に対する手形上の請求権は満期の日から3年で時効消滅する(手形法70条1項、最新の改正状況をご確認ください)。和解申立て時に訴え提起とみなされるため、時効の完成猶予はその時点を基準に判断する
学説
通説:本条は手形訴訟の選択を可能にする申述の時的限界を定めるもので、即決和解からの移行型には訴状という申述の器がないため、訴訟移行の申立てと同時の申述を要件化したと解される。後出しの申述は効力を持たない。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正により現行法が成立。訴え提起前の和解からの訴訟移行(275条)と手形訴訟(350条以下)の整序の中で、移行型における手形訴訟申述の時期を本条で明文化した。
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