民事訴訟法 第381条の2(法定審理期間訴訟手続の要件)
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- 当事者は、裁判所に対し、法定審理期間訴訟手続による審理及び裁判を求める旨の申出をすることができる。ただし、次に掲げる訴えに関しては、この限りでない。
- 一消費者契約に関する訴え
- 二個別労働関係民事紛争に関する訴え
- 2.当事者の双方が前項の申出をした場合には、裁判所は、事案の性質、訴訟追行による当事者の負担の程度その他の事情に鑑み、法定審理期間訴訟手続により審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を害し、又は適正な審理の実現を妨げると認めるときを除き、訴訟を法定審理期間訴訟手続により審理及び裁判をする旨の決定をしなければならない。当事者の一方が同項の申出をした場合において、相手方がその法定審理期間訴訟手続による審理及び裁判をすることに同意したときも、同様とする。
- 3.第一項の申出及び前項後段の同意は、書面でしなければならない。ただし、口頭弁論又は弁論準備手続の期日においては、口頭ですることを妨げない。
- 4.訴訟が法定審理期間訴訟手続に移行したときは、通常の手続のために既に指定した期日は、法定審理期間訴訟手続のために指定したものとみなす。
この条文の基本情報
法定審理期間訴訟手続の要件とは何ですか?
定義法定審理期間訴訟手続の要件とは、民事訴訟法第381条の2に定められた規定で、「当事者は、裁判所に対し、法定審理期間訴訟手続による審理及び裁判を求める旨の申出をすることができる。ただし、次に掲げる訴えに関しては、この限りでない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第381条の2(法定審理期間訴訟手続の要件)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第381条の2の条文原文は「当事者は、裁判所に対し、法定審理期間訴訟手続による審理及び裁判を求める旨の申出をすることができる。ただし、次に掲げる訴えに関しては、この限りでない。」で始まります。
- 民事訴訟法第381条の2は第七編に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第381条の2の前の条は民事訴訟法第381条です。
- 民事訴訟法第381条の2の次の条は民事訴訟法第381条の3です。
- 民事訴訟法第381条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第381条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第381条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/381_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法381条の2は、当事者の申出と相手方の同意により審理期間を法定する法定審理期間訴訟手続を定める。消費者契約と個別労働関係民事紛争の訴えは対象外である。
Q · 裁判を6か月で終わらせる手続があるって本当ですか?
本当。ただし双方の合意が要り、消費者・労働紛争は使えない
民事訴訟法381条の2が定める法定審理期間訴訟手続です。令和4年改正で新設され、令和6年3月1日から施行されました。当事者双方が申し出るか、一方の申出に相手方が同意すれば、裁判所は衡平を害するなどの事情がない限り、この手続による決定をしなければなりません。第1回期日は決定から2週間以内、審理終結は6か月以内、判決はその1か月以内です(381条の3)。ただし消費者契約に関する訴えと個別労働関係民事紛争に関する訴えは、1項ただし書により対象外です。
解説
民事訴訟に、期限を先に決めてから中身を審理する手続が加わった。令和4年(2022年)改正で新設され、令和6年(2024年)3月1日から動き出した法定審理期間訴訟手続である。双方が申し出るか、一方の申出に相手方が同意すれば、裁判所は衡平を害するなどの事情がない限り、この手続で審理する決定をしなければならない。決定が出れば第1回期日は2週間以内、審理終結は6か月以内、判決はその1か月以内(381条の3)。あなたが握っておくべき事実は二つある。第一に、この手続は消費者契約に関する訴えと個別労働関係民事紛争に関する訴えには使えない。立法者自身が、力の差がある関係で時計を早回しすると弱い側が潰れると認めたということだ。第二に、申出と同意は書面が原則だが、口頭弁論または弁論準備手続の期日であれば口頭で足りる。期日でうなずいた一言が、あなたの立証に使える時間を確定させる。
法的な位置づけ
民事訴訟法381条の2は、法定審理期間訴訟手続の申出と決定要件を定める規定である。当事者双方の申出または一方の申出に対する相手方の同意があるとき、裁判所は衡平と適正審理の観点から支障がない限り、当該手続による審理及び裁判の決定をしなければならない。消費者契約に関する訴えと個別労働関係民事紛争に関する訴えは対象から除外される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.除外事由に当たらないか入口で確認 訴えが消費者契約に関する訴え(1項1号)または個別労働関係民事紛争に関する訴え(1項2号)に当たらないかを最初に判定する。業務委託契約でも実質が労働者と評価されるなら2号で除外される余地がある
- 2.立証計画を5か月・6か月で逆算する 第1回期日から5か月以内に提出できる書証と、6か月以内に終えられる人証の本数を数える。文書提出命令や調査嘱託の往復が必要な資料があるなら、この枠に収まらないと判断して申出・同意を見送る
- 3.申出または同意を書面で行う 申出(1項)と同意(2項後段)は書面が原則である(3項)。口頭弁論または弁論準備手続の期日では口頭でも足りるが、条件交渉の経緯を残すため書面で行うのが有利。相手方から期日で同意を求められても、持ち帰る旨を述べてよい
- 4.決定後の期日と提出期限を管理する 決定が出ると第1回期日は2週間以内に指定され、既に指定済みの期日は本手続のための期日とみなされる(4項)。攻撃防御方法の提出期限と審理終結日を全社カレンダーで共有し、担当者不在でも期限が抜けない体制にする
- 5.間に合わないと判明したら移行を申述する 証拠収集が枠内で終わらないと判明した時点で、381条の5の通常手続への移行の申述を検討する。終結間際まで待つほど、それまでの審理をやり直すコストが大きくなる
- 6.判決送達後2週間の異議期間を最優先で管理する 判決書の送達を受けた日から2週間以内に異議を申し立てれば、同じ裁判所の通常手続で審理が続く(381条の6以下)。この期間は不変期間であり、原則として伸長も追完も効かない。送達日を受領記録から確定し、逆算した期限を明示する
よくある質問 AI による整理
Q1法定審理期間訴訟手続とは?
審理期間を先に法定してから中身を審理する民事訴訟の特別手続です。民訴381条の2が申出と決定要件を定め、令和6年3月1日から施行されています。
Q2法定審理期間訴訟手続 いつから?
令和4年(2022年)改正で新設され、令和6年(2024年)3月1日から施行されました。それ以前に係属した事件でも施行後の申出は可能です。
Q3法定審理期間訴訟手続は相手の同意なしでも使える?
使えません。双方の申出か、一方の申出に対する相手方の同意が必要です(381条の2第2項)。同意しなければ決定は出ず、通常手続のまま進みます。
Q4消費者契約の裁判でも法定審理期間訴訟手続は使える?
使えません。1項ただし書1号が消費者契約に関する訴えを明文で除外しています。当事者双方が望んでも入口で排除されます。
Q5同意は口頭でもいい?
原則は書面です(3項)。ただし口頭弁論または弁論準備手続の期日であれば口頭でも足ります。期日での一言が同意として記録される点に注意が必要です。
Q6裁判所は同意があれば必ず決定する?
しません。事案の性質、訴訟追行の負担その他の事情から当事者間の衡平を害し、または適正な審理を妨げると認めるときは決定しません(2項)。
Q7法定審理期間訴訟手続に金額の上限はある?
ありません。少額訴訟(368条)と異なり請求額の上限も事件類型の限定もなく、高額な請負代金紛争でも当事者が望めば利用できます。
Q8決定後に通常の裁判に戻せる?
戻せます。381条の5の通常手続への移行の申述という出口があります。証拠調べが間に合わないと気づいた段階で早く動くほど負担は小さくなります。
この条文についての質問 AI による整理
Q16か月で判決が出るなら、早くて助かるのでは?
速さの代金は立証機会である。攻撃防御方法の提出は第1回期日から5か月、証拠調べは6か月で締め切られる(381条の3)。相手や第三者が持つ資料を文書提出命令で引き出す往復は、この枠に収まらないことが多い。実務のポイント:弁護士がこの手続への同意を判断する基準は事件の難易度ではなく、証拠が誰の手元にあるかである。契約書もメールも自社に揃っているなら乗る、相手の内部資料が勝負を決めるなら断る
Q2フリーランスの報酬未払いでも、この手続は使えるんですか?
業務委託の形であれば消費者契約でも個別労働関係民事紛争でもないので使える。ただし実質が労働者と評価される働き方なら、個別労働関係民事紛争として1項2号の除外に落ちる余地がある。実務のポイント:除外に当たると主張することは、自分は労働者だと主張することと表裏一体である。入口の議論で、本案の労働者性という切り札を先に開示してしまう構造になっている
間違えやすい点 AI による整理
- 「早い手続なのだから簡単な事件用だろう」という前提そのものが誤っている。少額訴訟(368条)と違い、この手続には請求額の上限も事件類型の限定もない。数億円の請負代金紛争でも当事者が望めば乗せられる。問うべきは事件が簡単かではなく、6か月という枠に自分の立証計画が収まるかである
- 「判決に控訴できない」ことは知られ始めているが、その深刻さの中身は誤解されている。実際には判決書の送達を受けた日から2週間以内に異議を申し立てれば、同じ裁判所の通常手続で審理が続き、その後の判決には控訴できる(381条の6以下)。本当の危険は控訴不可そのものではなく、この2週間が不変期間で、原則として伸長も追完も効かないことにある。書面が届いた日を数え間違えた瞬間、判決は確定する
- あなたから見れば「双方が納得して選んだ合理的な手続」だが、裁判所から見れば2項の審査対象である。事案の性質、訴訟追行の負担、その他の事情に照らして当事者間の衡平を害するか、適正な審理を妨げると認めれば、裁判所は同意があっても決定しない。合意は入場券ではなく、申請書にすぎない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 利用の入口 | 民訴381条の2:双方の申出、または一方の申出+相手方の同意 | 民訴368条(少額訴訟):原告が訴え提起時に選択、被告は通常移行を申述可 民訴147条の3(審理の計画):裁判所が当事者と協議して計画を定める |
| 対象事件の限定 | 請求額の上限なし。ただし消費者契約・個別労働関係民事紛争の訴えは除外 | 訴額60万円以下の金銭支払請求に限定 事件類型の限定なし。審理が複雑な事件で活用 |
| 審理期間の枠 | 第1回期日は決定から2週間以内、審理終結6か月以内、判決1か月以内(381条の3) | 原則として1回の期日で審理を終え即日判決 法定の上限期間はなく、計画に応じて可変 |
| 判決への不服申立て | 控訴不可。送達日から2週間の不変期間内に異議、その後通常手続で審理(381条の6以下) | 控訴不可(377条)。異議申立てにより同一裁判所の通常手続へ 通常手続の判決であり控訴可能 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は争点整理手続と失権効で審理を集中させる方式を採り、期間そのものを法定して当事者の合意で発動する制度は持たない。小額訴訟程序は訴額基準で自動適用される点で本条と入口が異なる
韓国は集中審理主義と弁論準備手続で迅速化を図るが、当事者の同意を要件に審理期間を法定する類型は設けていない
ドイツは早期第一回期日と集中審理原則により裁判所主導で審理を凝縮する。当事者の合意で期間を確定する枠組みではなく、裁判所の訴訟指揮が中心となる点が本条と対照的
米国はスケジューリング・オーダーで期限を裁判所が設定し、一部の地区裁判所は Rocket Docket と呼ばれる短期進行で知られる。ただしディスカバリ制度により証拠収集の枠は本条より厚い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先から「法定審理期間訴訟手続でお願いしたい」という書面が届いたら、最初に何を確認する? 確認すべきは請求額でも勝ち目でもなく、自社の証拠が5か月で出し切れるかである。決定が出た瞬間、第1回期日は2週間以内に指定され、そこから攻撃防御方法の提出期限のカウントが走り出す。相手が先に申し出てきたということは、相手の証拠はもう揃っている可能性が高い
- 被告として、原告側から同意を求められた。断れば決定は出ず、この手続は成立しない。同意書に押印する前の一日が、この事件で最も価値のある一日になる
- システム開発の頓挫をめぐって発注者と受注者が争い、双方とも早期決着を望んでこの手続に乗った。だが要件定義のやり取りは数千通のメールに散らばり、整理だけで4か月が溶ける。5か月の提出期限を目前に、主張の柱を一本落とす決断を迫られる。速さを選んだのは自分たちだという事実が、その決断を余計に重くする
取るべき行動
被害を受けた側:早期解決を求めて自ら申し出る側の一手。1. 申出前に立証計画を逆算する。第1回期日から5か月以内に提出できる書証と、6か月以内に終わる人証の本数を数える2. 文書提出命令や調査嘱託が必要な資料があるなら、その往復は枠に収まらないと考え、申出自体を見送る3. 申出は書面で行う(3項)。期日での口頭申出も可能だが、条件交渉の記録を残す意味で書面が有利4. 相手方が消費者または労働者側なら、そもそも1項ただし書で除外される可能性を先に検討する
訴えられた側:相手方から同意を求められた側の防御。1. 即答しない。同意は書面が原則であり、期日で口頭で求められても持ち帰ると述べてよい2. 勝負を決める資料が相手や第三者の手元にあるなら、原則として断る。断れば手続は成立しない3. 同意する場合は、争点の限定や資料の任意開示を条件に交渉する4. 決定後でも通常手続への移行の申述という出口を確保しておく(381条の5) 5. 判決が出たら、送達日から2週間の異議期間を最優先で管理する
時効(請求できる期限):本条自体に時効はないが、手続内の期間が実質的な時間圧になる。決定日から2週間以内に第1回期日、その期日から5か月以内に攻撃防御方法の提出、6か月以内に審理終結、終結日から1か月以内に判決言渡し(381条の3)。判決に不服なら判決書の送達を受けた日から2週間以内に異議(381条の6以下、不変期間)。訴える権利そのものの時効は民法166条(債権は知った時から5年または権利行使可能時から10年)で別途進行する
学説
立法趣旨に沿う理解(通説的整理):本条は審理期間の予測可能性を高め、司法アクセスを実質的に拡大する制度であり、当事者の自己決定を入口要件としつつ、2項の裁判所審査と1項ただし書の類型的除外により手続保障を担保する三段構えの設計と理解される。
慎重論:同意が形式的なものにとどまり、交渉力の格差が事業者間にも存在する以上、除外類型を消費者と個別労働紛争に限定するだけでは足りないとの指摘がある。2項の裁判所審査を実質的に運用すべきという主張につながる。
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)改正、令和6年(2024年)3月1日施行 民事訴訟法等の一部を改正する法律により新設。当事者の申出と相手方の同意を要件に、審理期間を法定する特別手続を創設し、消費者契約に関する訴えと個別労働関係民事紛争に関する訴えを対象から除外した
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 新設:民事訴訟法の全部改正。現行法典が成立し、少額訴訟(368条以下)など当事者選択型の特別手続が整備された。本条の制度設計の前提となる枠組みが形成された
- 2.令和4年(2022年) 新設:民事訴訟法等の一部を改正する法律により第381条の2を新設。当事者の申出と相手方の同意を要件に審理期間を法定する特別手続を創設し、消費者契約に関する訴えと個別労働関係民事紛争に関する訴えを対象から除外した
- 3.令和6年(2024年) 改正:令和6年3月1日、本条を含む法定審理期間訴訟手続の規定が施行され、実務での運用が開始された
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