民事訴訟法 第3条の5(管轄権の専属)
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- 会社法第七編第二章に規定する訴え(同章第四節及び第六節に規定するものを除く。)、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第六章第二節に規定する訴えその他これらの法令以外の日本の法令により設立された社団又は財団に関する訴えでこれらに準ずるものの管轄権は、日本の裁判所に専属する。
- 2.登記又は登録に関する訴えの管轄権は、登記又は登録をすべき地が日本国内にあるときは、日本の裁判所に専属する。
- 3.知的財産権(知的財産基本法(平成十四年法律第百二十二号)第二条第二項に規定する知的財産権をいう。)のうち設定の登録により発生するものの存否又は効力に関する訴えの管轄権は、その登録が日本においてされたものであるときは、日本の裁判所に専属する。
この条文の基本情報
管轄権の専属とは何ですか?
定義管轄権の専属とは、民事訴訟法第3条の5に定められた規定で、「会社法第七編第二章に規定する訴え(同章第四節及び第六節に規定するものを除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第3条の5(管轄権の専属)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第3条の5の条文原文は「会社法第七編第二章に規定する訴え(同章第四節及び第六節に規定するものを除く。」で始まります。
- 民事訴訟法第3条の5は第一節 日本の裁判所の管轄権に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第3条の5の前の条は民事訴訟法第3条の4です。
- 民事訴訟法第3条の5の次の条は民事訴訟法第3条の6です。
- 民事訴訟法第3条の5には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第3条の5 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第3条の5(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/3_5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法3条の5は、会社の組織・日本国内の登記登録・日本登録知財の効力に関する訴えを日本の裁判所の専属管轄とし、外国裁判所を選ぶ合意では覆せないと定める。
Q · 契約書で海外の裁判所を選んでおけば、会社の紛争も特許の有効性も海外で決着できるの?
会社・登記・日本登録知財の訴えは日本の裁判所の専属です
民事訴訟法3条の5により、日本法で設立された法人の組織に関する訴え(株主総会決議取消・会社設立無効など)、日本国内での登記・登録に関する訴え、日本で設定登録された特許など知的財産権の存否・効力に関する訴えは、日本の裁判所の専属管轄です。さらに3条の10により、これらの事件には合意管轄(3条の7)も応訴管轄も特別の事情による却下も適用されません。外国で得た判決もこの点については118条1号で日本では承認・執行されません。
解説
契約書に「紛争はシンガポール仲裁で解決する」と書いてあっても、その一行が完全に無力になる場面がある。日本で設立した会社の株主総会決議取消、日本でした登記の有効性、日本で登録された特許の有効性。この三つは、当事者がどこの国の裁判所を選ぼうと、民事訴訟法3条の5が「日本の裁判所だけが裁く」と決めている。専属管轄(他のどんな合意も上書きできない、唯一の裁判地)というやつだ。なぜ国家が管轄を独り占めするのか。会社の存立、不動産や知財の登記簿、これらは日本の公的制度そのものに直結し、外国の裁判所に効力を判断させると日本の登記簿や会社秩序に矛盾した結果が持ち込まれるからだ。あなたが外資と組んで会社を作るとき、グローバルな英文契約のフォーラム条項を信じ込んでいると、いざ経営権争いになった瞬間、東京地裁の管轄から逃げられない現実に直面する。
法的な位置づけ
民事訴訟法3条の5は国際裁判管轄における専属管轄を定める規定であり、日本の法令に基づき設立された社団・財団の組織に関する訴え、登記・登録をすべき地が日本国内にある訴え、日本で設定登録された知的財産権の存否・効力に関する訴えについて、管轄権を日本の裁判所のみに帰属させる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.訴えの性質を専属の三類型に当てはめる 争いが「会社など日本法人の組織に関する訴え」「日本国内の登記・登録に関する訴え」「日本登録の知財の存否・効力の訴え」のいずれかに当たるか確認する。当たれば、契約の管轄合意に関わらず日本の裁判所の専属
- 2.相手が外国で先に提訴しても専属違反を主張 相手が外国裁判所に同じ訴えを起こしても、3条の5の専属に当たる事件は外国に間接管轄がない。専属違反を主張し、将来その外国判決が日本で承認・執行されない(民訴118条1号)ことを早期に示す
- 3.日本の正しい裁判所に提訴する 会社の組織に関する訴えは本店所在地を管轄する地裁、登録特許の効力を争う審決取消訴訟は知財高裁系統など、事件類型ごとに国内の正しい裁判所を選んで提訴する
- 4.国際的二重起訴を並行監視する 外国でも手続が進む可能性があるため、外国の進行状況を並行して監視し、必要に応じて外国判決の承認・執行を争う準備をする
よくある質問 AI による整理
Q1国際裁判管轄の専属とは何ですか?
特定の国の裁判所だけに管轄権を認め、他国の裁判所での審理を一切排除するものです。民事訴訟法3条の5が会社組織・登記登録・日本登録知財の三領域を日本の専属と定めます。
Q2株主総会決議取消の訴えは海外で起こせますか?
起こせません。日本法で設立した会社の組織に関する訴えは民訴3条の5第1項で日本の裁判所の専属です。外国の裁判所には管轄権がなく、その判決も日本では承認されません。
Q3日本の特許の有効性はどこの裁判所で争いますか?
日本で設定登録された特許の存否・効力を争う訴えは、民訴3条の5第3項で日本の裁判所の専属です。ライセンス契約の管轄が外国でも、有効性の争点だけは日本に戻ります。
Q4外国判決が日本で執行できないのはどんな場合ですか?
日本の専属管轄に属する事件を外国裁判所が判断した場合、間接管轄を欠くものとして民訴118条1号により日本では承認・執行されません。
Q5民事訴訟法3条の5はいつから施行されましたか?
平成23年(2011年)改正で新設され、平成24年(2012年)に施行されました。それまで判例で運用されていた国際裁判管轄ルールを成文化したものです。
Q6会社設立無効の訴えの国際管轄はどこですか?
日本の法令により設立された会社の設立無効の訴えは、会社の組織に関する訴えとして民訴3条の5第1項で日本の裁判所の専属です。
Q7国際取引で合意管轄と専属管轄はどちらが強いですか?
専属管轄が優先します。民訴3条の10により、3条の5の専属が及ぶ事件には合意管轄(3条の7)も応訴管轄も適用されません。
Q8登記に関する訴えはどこの国で起こすのですか?
登記または登録をすべき地が日本国内にあるときは、登記に関する訴えは民訴3条の5第2項で日本の裁判所の専属です。当事者の住所地は関係ありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1契約書に「海外の裁判所で争う」と書いてサインしたのに、それが効かないことがあるんですか?
あります。会社の組織に関する訴え、日本での登記・登録に関する訴え、日本登録の特許など登録型知財の効力を争う訴えは、民事訴訟法3条の5で日本の裁判所の専属とされ、3条の10により合意管轄(3条の7)が適用されません。実務のポイント:英文契約のフォーラム条項は万能だと思われがちですが、この三領域だけは別格です。M&A や合弁の契約レビューで弁護士が真っ先に確認するのがここで、外国専属と書いてあっても日本の専属に当たる訴えは引き戻されます
Q2外国で特許無効の裁判を起こされて負けたら、日本でもその判決に従う必要がありますか?
原則ありません。日本で登録された特許の効力を争う訴えは日本の裁判所の専属(3条の5第3項)なので、外国でその点を判断した判決は、間接管轄を欠くものとして日本では承認・執行されません(民事訴訟法118条1号)。実務のポイント:だからこそ、相手が外国で特許無効を勝ち取っても、日本国内のあなたの特許権は揺らぎません。逆に言えば、日本の特許を本当に潰したい相手は日本で争うしかなく、戦場を日本に限定できることが権利者側の大きな盾になります
間違えやすい点 AI による整理
- 「契約書で管轄を合意したのだから、その国の裁判所で争えばいい」という前提そのものが、この三領域では崩れる。合意管轄(民事訴訟法3条の7)は専属管轄を上書きできない。あなたが立てた「どこの国を選ぼうか」という問いが、最初から無意味なのだ
- 「専属管轄は国内土地管轄の話で、国際的には合意が優先する」と思われがちだが逆。3条の5は国際裁判管轄レベルの専属であり、しかも3条の10により、専属が及ぶ事件には合意管轄も応訴管轄も特別事情による却下も一切適用されない
- 「日本の特許だから日本で守る」ことは知っていても、その射程の深刻さを知らない人が多い。ライセンス契約の管轄をいくら外国に設定しても、相手が特許の有効性そのものを攻撃してきたら、その争点だけは日本に引き戻される。契約設計で一番守りたかった知財が、一番コントロールできない場所で決着する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 管轄の性質 | 3条の5:日本の専属管轄(三領域に限定) | 3条の7:当事者の合意管轄 3条の2:被告住所地による一般管轄 |
| 合意で動かせるか | 動かせない(3条の10で合意管轄も応訴管轄も排除) | 合意そのものが管轄の根拠 合意管轄や特別の事情で修正可能 |
| 対象事件 | 会社組織・日本国内の登記登録・日本登録知財の効力 | 一定の法律関係に基づく訴え全般 被告が日本に住所等を有する訴え全般 |
| 外国判決の承認 | 専属違反なら118条1号で不承認 | 要件を満たせば承認の余地 要件を満たせば承認の余地 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は不動産に関する訴えを専属管轄とし、会社組織訴訟は本店所在地等に集中させる。国際的な専属管轄は渉外民事法律適用法と判例で補う。
韓国は2022年改正の国際私法で国際裁判管轄を体系化し、会社の設立無効・登記登録・登録知財の効力を専属管轄とする規定を整備した。日本と発想が近い。
EU 域内では会社の有効性・登記簿・登録知財の有効性を加盟国の専属管轄とする。日本の3条の5はこの欧州モデルに親和的。
米国は特許の有効性を連邦裁判所の専属とし、会社の内部関係は設立州法を適用する内部事項法理で処理する。統一的な専属管轄規定はない。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 外資ファンドと組んで日本に会社を作ったあなた。数年後に経営権を巡って対立したら、どこの国で決着がつくと思うか? 契約書に「ロンドン仲裁」と書いてあっても、株主総会決議取消や会社設立無効のような会社の組織に関する訴えは、民事訴訟法3条の5第1項で日本の裁判所の専属。ロンドンでいくら争っても、日本の会社の決議の効力は日本でしか確定しない
- あなたの会社が日本で取得した特許を、米国企業にライセンスしたとする。ライセンス契約の合意管轄はニューヨーク。ところが相手が「その特許はそもそも無効だ」と効力自体を攻撃してきた。特許の存否・効力を正面から争う訴えは、登録地が日本である以上、日本の裁判所の専属。ニューヨークの裁判所はこの争点を裁けない
- 海外在住のあなたが、日本にある不動産の登記名義を親族と争うことになった。登記に関する訴えは、登記すべき地が日本国内なら日本の裁判所の専属。住む場所がどこでも、戦場は日本に固定される
取るべき行動
被害を受けた側:1. 訴えの性質を見極める:会社の組織に関する訴え、日本での登記・登録に関する訴え、日本登録の特許等の存否・効力を争う訴えなら、3条の5で日本の裁判所の専属。2. 相手が外国で先に提訴しても慌てない、その外国判決は専属管轄違反で日本では承認されない(民事訴訟法118条1号)。3. 日本の正しい裁判所(会社訴訟は本店所在地の地裁、登録特許の効力は知財高裁系統)に提訴する。4. 国際的な二重起訴のリスクがあるので、外国での進行状況も並行監視する
訴えられた側:1. 外国で会社関係・登記・登録知財の訴えを起こされたら、まず3条の5の専属に該当するか確認、該当すれば外国裁判所には管轄がないと主張できる。2. 日本国内で訴えられた場合、国際裁判管轄は裁判所の職権調査事項なので、専属に当たらないなら管轄の不存在を早期に指摘。3. 逆に自分が日本の専属管轄を使える立場なら、外国判決が日本で執行できないことを交渉カードにする。4. 国際私法・渉外訴訟に強い弁護士を選ぶこと、通常の国内案件とは戦い方が違う
時効(請求できる期限):特定の消滅時効が定められた規定ではない。国際裁判管轄の有無は裁判所の職権調査事項であり、専属管轄違反は当事者が争わなくても裁判所が却下する(応訴管轄も成立しない)。ただし外国で先に提訴された場合の対応や、外国判決の承認・執行を争う局面では、各手続ごとの期限管理が必要
学説
通説:会社の組織・登記登録・登録型知財の効力は、登録国・設立国の公的制度や法人秩序に直結するため、国家が司法主権として専属管轄を独占する必要があるとされる。専属の範囲は限定列挙であり、それ以外の事件では合意管轄を広く認めて均衡を図ると解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成23年(2011年)改正、平成24年(2012年)施行 国際裁判管轄の規律を明文化する改正により新設された条文。それまで判例(マレーシア航空事件最判昭和56.10.16など)の蓄積で運用されていた国際裁判管轄ルールを成文化し、会社関係訴訟・登記登録・登録型知財の効力に関する訴えを日本の裁判所の専属管轄と定めた
改正の年表
- 1.平成23年(2011年) 新設:国際裁判管轄の規律を明文化する民事訴訟法改正により新設。判例で運用されていた国際裁判管轄ルールを成文化し、会社関係訴訟・登記登録・登録型知財の効力に関する訴えを日本の裁判所の専属管轄と定めた。
- 2.平成24年(2012年) 改正:新設規定が施行され、3条の5の専属管轄と3条の10の適用除外が実務に適用されるようになった。
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