民事訴訟法 第3条の2(被告の住所等による管轄権)
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- 裁判所は、人に対する訴えについて、その住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合にはその居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には訴えの提起前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。
- 2.裁判所は、大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人に対する訴えについて、前項の規定にかかわらず、管轄権を有する。
- 3.裁判所は、法人その他の社団又は財団に対する訴えについて、その主たる事務所又は営業所が日本国内にあるとき、事務所若しくは営業所がない場合又はその所在地が知れない場合には代表者その他の主たる業務担当者の住所が日本国内にあるときは、管轄権を有する。
この条文の基本情報
被告の住所等による管轄権とは何ですか?
定義被告の住所等による管轄権とは、民事訴訟法第3条の2に定められた規定で、「裁判所は、人に対する訴えについて、その住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合にはその居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第3条の2(被告の住所等による管轄権)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第3条の2の条文原文は「裁判所は、人に対する訴えについて、その住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合にはその居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知…」で始まります。
- 民事訴訟法第3条の2は第一節 日本の裁判所の管轄権に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第3条の2の前の条は民事訴訟法第3条です。
- 民事訴訟法第3条の2の次の条は民事訴訟法第3条の3です。
- 民事訴訟法第3条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第3条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第3条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/3_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法3条の2は、被告の住所が日本国内にあるとき、または法人の主たる事務所・営業所が日本国内にあるときに、日本の裁判所が国際裁判管轄を有すると定める一般管轄の規定である。
Q · 海外の会社や海外に住む相手を、日本の裁判所で訴えることはできるの?
相手の住所や事務所が日本国内にあれば訴えられます
民事訴訟法3条の2により、被告である個人の住所が日本国内にあるとき、または被告である法人の主たる事務所・営業所が日本国内にあるときは、日本の裁判所が国際裁判管轄を持ちます。原告が日本人かどうかではなく、被告がどこに「いる」かが基準です。相手が日本に足場を持たない場合は、3条の3(契約債務の履行地)や3条の4(消費者契約)など特別管轄の余地を検討します。管轄が認められても、3条の9の特別の事情により訴えが却下されることもあります。
解説
海外通販サイトで買った高額家電が初期不良だった、外国に住む元配偶者から養育費を取り戻したい、契約相手の海外企業が突然連絡を絶った。こうした渉外トラブルでは、損害の中身を論じる前に必ず立ちはだかる壁がある。「そもそも日本の裁判所で訴えられるのか」という国際裁判管轄の問題だ。民訴3条の2は、その入口を決める基本ルールである。原則はシンプルで、被告の住所が日本国内にあれば日本で訴えられる。相手が法人なら、その主たる事務所か営業所が日本にあるかどうかで決まる。逆に言えば、相手が完全に海外の存在で日本に足場を持たないなら、この条文だけでは日本の裁判所は動かない。あなたが「泣き寝入りか、それとも日本で戦えるか」の分岐点は、まず相手がどこに「いる」かで切り分けられる。住所、事務所、営業所、その所在こそが最初の戦場の境界線を引く。
法的な位置づけ
民事訴訟法3条の2は、財産関係事件の国際裁判管轄のうち一般管轄を定める規定である。自然人については被告の住所(次いで居所等)が日本国内にあるとき、法人その他の社団・財団については主たる事務所または営業所が日本国内にあるときに、日本の裁判所が管轄権を有する。平成23年改正により従来の判例法理を明文化したものである。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相手の住所・事務所・営業所の所在を調べる 被告が個人なら住所、法人なら主たる事務所・営業所が日本国内にあるかを確認する。登記事項証明書、ウェブサイトの会社概要、契約書の記載、名刺などが手がかりになる
- 2.一般管轄が成立するか、特別管轄を検討するか切り分ける 住所・事務所が日本にあれば3条の2で日本の管轄を主張する。なければ3条の3(契約債務の履行地)、3条の4(消費者契約・労働関係)など特別管轄の受け皿を検討する
- 3.相手が海外へ移る前に提訴のタイミングを判断する 管轄判断の基準時は原則として訴え提起時。被告が日本から海外へ転居しそうな気配があれば、住所が日本にあるうちに早めに訴えを提起する
- 4.勝訴後の執行可能性を最初に試算する 管轄の有無と回収可能性は別問題。相手の財産が日本国内にあれば日本の判決で差押えできるが、財産が海外のみだと外国での承認・執行が必要になる。提訴前に回収の絵を描く
よくある質問 AI による整理
Q1国際裁判管轄とは何ですか?
ある渉外事件について、どの国の裁判所が審理する権限を持つかという問題です。民訴3条の2以下が財産関係事件の基準を定め、被告の所在を原則とします。
Q2民事訴訟法3条の2はいつから施行されましたか?
平成23年(2011年)の改正で新設され、平成24年(2012年)4月1日に施行されました。それまで判例で形成されてきたルールを明文化したものです。
Q3被告が外国に引っ越したら日本で訴えられませんか?
管轄は原則として訴え提起時を基準に判断されます。被告の住所が日本にあるうちに提訴すれば日本の管轄が成立し得るため、転居前の早めの提訴が重要です。
Q4国際裁判管轄と国内の管轄の違いは何ですか?
国際裁判管轄は「どの国の裁判所か」、国内管轄は「日本のどの裁判所か」を決めます。3条の2は前者、4条以下は後者を扱います。
Q5外国人を日本の裁判所で訴えられますか?
国籍ではなく所在が基準です。外国人でも住所が日本国内にあれば、3条の2により日本の裁判所で訴えられます。
Q6国際裁判管轄は裁判所が自分で調べてくれますか?
国際裁判管轄は職権調査事項です。ただし被告が争わずに本案弁論をすると応訴管轄(3条の8)が生じ、後から管轄欠如を主張できなくなります。
Q7マレーシア航空事件とは何ですか?
最判昭和56年10月16日の先例で、国内の土地管轄規定を国際裁判管轄に類推適用する考え方を示しました。3条の2以下はこの判例法理を明文化したものです。
Q8管轄が認められても訴えが却下されることはありますか?
あります。3条の9により、日本で審理することが当事者間の公平や適正・迅速な審理に反する特別の事情があると判断されれば、訴えは却下されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1海外の通販サイトで買った商品が壊れていました。相手は外国の会社ですが、日本の裁判所で訴えられますか?
相手が日本に住所も事務所も持たない純然たる外国企業なら、3条の2だけでは日本の管轄は生まれません。ただし消費者として事業者を訴える場合、3条の4第1項で「契約時または提訴時にあなたの住所が日本にあれば日本で訴えられる」という消費者保護の特則があります。実務のポイント:多くの人が「外国企業は日本で訴えられない」と思い込みますが、消費者契約には住所地で戦える別ルートが用意されている。まず自分が消費者の立場かどうかを確認するのが分かれ道
Q2相手の会社の本社は海外ですが、日本にも支店があります。日本で訴えられますか?
訴えられます。3条の2第3項は、主たる事務所・営業所が日本にあれば管轄を認め、加えて3条の3第4号は日本にある事務所・営業所の業務に関する訴えなら、その業務に関連する限り日本の管轄を認めます。実務のポイント:日本の小さな支店一つでも管轄の足場になりますが、本社が海外で証拠も証人も国外という場合、3条の9の『特別の事情』で却下されるリスクが残る。支店の存在だけで安心せず、審理の重心が日本にあるかも見ておく
Q3日本で訴えて勝っても、相手が外国にいると本当に取り立てられるんですか?
管轄の有無と執行できるかは別問題です。日本の判決を外国で執行するには、その国が日本の判決を承認・執行してくれる制度を持っているかに左右されます。実務のポイント:実務では『日本に相手の財産があるか』を提訴前に確認するのが鉄則。日本国内に預金や不動産があれば日本の判決でそのまま差押えできるが、財産が全部海外だと、勝訴判決が紙切れになることもある。管轄を取りに行く前に回収の絵を描く
間違えやすい点 AI による整理
- 「日本人が原告なら日本で裁判できる」と思いがちだが、3条の2が見るのは原告ではなく被告がどこにいるかだ。あなたが日本人でも、被告が日本に住所も事務所も持たなければ、この条文では日本の管轄は生まれない
- 国際裁判管轄が認められれば一安心、と考えるのは早い。管轄が認められても、3条の9で「日本で裁判をするのが当事者間の公平や適正・迅速な審理に反する特別の事情がある」と判断されれば、訴えそのものが却下される。管轄の有無と、実際に審理してもらえるかは別の関門だ
- 「契約書に『東京地裁が管轄』と書いてあるから日本で戦える」と安心している人がいるが、それは国内の管轄合意(11条)の話。国境をまたぐ場合は国際裁判管轄の合意(3条の7)という別の条文の要件を満たす必要があり、書きぶり次第では効力が認められない。問いの立て方が国内基準のままだと足をすくわれる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 管轄の根拠 | 3条の2:被告の住所・主たる事務所等が日本国内(一般管轄) | 3条の3:契約債務の履行地・不法行為地等(特別管轄) 3条の4:消費者の住所・労務提供地(弱者保護の特別管轄) |
| 適用前提 | 被告が日本に住所・事務所・営業所を持つ | 被告が日本に足場を持たなくても、事案の連結点が日本にある 原告が消費者・労働者で、契約時または提訴時に住所等が日本にある |
| 保護の重心 | 被告の応訴の公平・予測可能性 | 紛争と日本との客観的関連性 情報・交渉力の弱い消費者・労働者の司法アクセス |
| 覆せる手段・安全弁 | 3条の9の特別の事情による却下 | 3条の9の特別の事情による却下 消費者・労働者には特別の事情却下の適用が制限される |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は国際裁判管轄の明文規定を持たず、国内の普通審判籍(被告住所地)規定を類推適用して判断する点で、改正前の日本の判例法理に近い
韓国は2022年改正国際私法で国際裁判管轄を詳細に明文化。被告の常居所を一般管轄の基礎とし、日本の3条の2と発想が共通する
ドイツは EU 域内ではブリュッセル Ia 規則4条(被告住所地)が優先し、域外では ZPO の一般裁判籍規定が補充的に機能する
米国の国際裁判管轄は対人管轄の問題として扱われ、被告と法廷地州との minimum contacts と公正・正義の観念により判断される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 海外移住した元取引先が代金を踏み倒した。相手の住所はもう日本にない。もし日本の裁判所で訴えられないとしたら、あなたは現地の弁護士を雇い、現地語で訴訟をする覚悟がいる。まず相手が日本に事務所や営業所を残していないか、ここが分岐点になる
- あなたが海外で事業を展開する日本企業で、現地の取引先から日本の裁判所に訴えられた。被告であるあなたの本店が日本にある以上、3条の2第3項で日本の管轄は成立する。「海外の取引だから日本で訴えられるはずがない」という反論は通らない
- 外国に住む親族が亡くなり、日本在住のあなたが債務の請求を受けた。被告であるあなたの住所が日本にあれば、相手は日本で訴えられる。住んでいる場所が、そのまま戦場になる
- もし、契約相手の外国法人が日本国内に営業所を一つだけ構えていたら? その一つの営業所の存在が、あなたが日本語で、日本の裁判所で戦う足場を生む。相手が「海外で争おう」と迫ってきても、3条の2第3項を盾にできる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手の住所・本店・日本国内の事務所や営業所の有無を調べる。登記事項証明書、ウェブサイトの会社概要、契約書の記載が手がかり2. 日本に住所・事務所があれば3条の2で日本の管轄を主張、なければ3条の3(契約債務の履行地)や3条の4(消費者契約)など特別管轄の余地を検討3. 相手が日本から海外へ移りそうなら、住所が日本にあるうちに早めに提訴4. 勝訴後の執行可能性(相手の財産が日本にあるか)も最初に試算する
訴えられた側:1. 訴状が届いたら、まず日本の裁判所に国際裁判管轄があるかを確認、住所・事務所が日本になければ管轄を争える2. 本案について弁論する前に管轄違いを主張すること、応訴管轄(3条の8)が成立すると後から争えなくなる3. 管轄が一応認められても、3条の9の「特別の事情」による却下を申し立てる余地がある4. 海外で並行する訴訟があれば、どちらの法廷で戦うのが有利かを戦略的に判断
時効(請求できる期限):国際裁判管轄は裁判所の職権調査事項だが、被告が管轄を争わずに本案について弁論・申述すると応訴管轄(3条の8)が生じ、以後は管轄欠如を主張できなくなる。訴状を受け取ったら、本案に触れる前に管轄の抗弁を出すのが鉄則。管轄判断の基準時は原則として訴え提起時
学説
通説:民訴3条の2は被告の所在を基礎とする一般管轄を定める原則規定であり、3条の3以下の特別管轄および3条の9の特別の事情による却下と組み合わせて、原告の司法アクセスと被告の応訴の公平を二段構えで調整するものと理解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成23年(2011年)新設、平成24年(2012年)4月1日施行 従来は判例(最判昭和56.10.16マレーシア航空事件など)で形成されてきた財産関係事件の国際裁判管轄を、平成23年法律第36号により3条の2から3条の12として明文化。本条は被告の住所・事務所等を基礎とする一般管轄を定めた中核規定として新設された
改正の年表
- 1.平成23年(2011年) 新設:平成23年法律第36号により、従来判例(最判昭和56.10.16マレーシア航空事件等)で形成されてきた財産関係事件の国際裁判管轄を、3条の2から3条の12として明文化。本条は被告の住所・事務所等を基礎とする一般管轄の中核規定として新設された(平成24年4月1日施行)。
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