民事再生法 第172条(議決権の行使の方法等)
クイックジャンプ
- 議決権者は、代理人をもってその議決権を行使することができる。
- 2.議決権者は、その有する議決権を統一しないで行使することができる。この場合においては、第百六十九条第二項前段に規定する期限までに、裁判所に対してその旨を書面で通知しなければならない。
- 3.前項の規定は、第一項に規定する代理人が委任を受けた議決権(自己の議決権を有するときは、当該議決権を含む。)を統一しないで行使する場合について準用する。
この条文の基本情報
議決権の行使の方法等とは何ですか?
定義議決権の行使の方法等とは、民事再生法第172条に定められた規定で、「議決権者は、代理人をもってその議決権を行使することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第172条(議決権の行使の方法等)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第172条の条文原文は「議決権者は、代理人をもってその議決権を行使することができる。」で始まります。
- 民事再生法第172条は第三節 再生計画案の決議に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第172条の前の条は民事再生法第171条です。
- 民事再生法第172条の次の条は民事再生法第172条の2です。
- 民事再生法第172条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第172条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第172条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/172
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法172条は、議決権者が代理人により議決権を行使でき、また議決権を統一せず不統一行使できると定める。不統一行使には169条2項の期限内の書面通知が必要となる。
Q · 民事再生の債権者集会って、行けなかったり意見が割れたら、一票をどう投じればいいの?
代理人に委任でき、票を割って投じることもできます
民事再生法172条により、議決権者は代理人によって議決権を行使できます(1項)。代理人は弁護士に限られません。また、保有する議決権を統一しないで一部賛成・一部反対と投じる不統一行使も認められます(2項)。ただし不統一行使には、169条2項前段の期限までに裁判所へ書面で通知することが要件です。この通知を怠ると分割行使はできず、議決権は一括でしか投じられません。代理人が委任された議決権を割る場合も同じ扱いです(3項)。
解説
取引先が民事再生を申し立てた。あなたは債権者として売掛金を抱え、再生計画案に賛成か反対かを問われる立場になった。ここで多くの人が二つ誤解する。一つ目、遠方の裁判所まで行けないから議決権を諦める。違う。委任状を渡せば、弁護士でなくても他人があなたの一票を投じられる(172条1項)。二つ目、複数の部門や複数の受益者のために債権を束ねて持っていても、全部同じ方向に投票しなければならない。これも違う。議決権を割って、一部賛成、一部反対と投じる不統一行使ができる(172条2項)。ただし不統一行使には条件がある。169条2項の期限(裁判所が定める議決権行使の期限)までに、裁判所へ書面で通知しなければならない。この一通を忘れると、せっかくの分割の自由が消え、保有する議決権を一括でしか投じられなくなる。代理人が委任を受けた議決権を割る場合も、同じ扱いになる(172条3項)。
法的な位置づけ
民事再生法172条は、再生手続における議決権の行使方法を定める規定である。議決権者は代理人による行使が認められ、また保有する議決権を統一せず一部賛成・一部反対と投じる不統一行使ができる。不統一行使は169条2項前段の期限までに書面で裁判所へ通知することを要件とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.議決権行使の方法と期限を確認する 裁判所が定めた議決権行使の方法(期日出席か書面等投票か)と、169条2項前段の期限を最初に確認する。通知書に記載された方法・期限を見落とすと、後の選択肢が全て消える
- 2.自分の議決権額の確定を確認する 自分の再生債権の議決権額が裁判所で確定しているかを確認し、実際に行使できる票数を把握する。額が未確定なら行使可能範囲が変わるため早めに手続を進める
- 3.出席できないなら代理人に委任する 集会に出られない場合は、代理人に委任状を渡して議決権行使を託す。代理人は弁護士に限られない。様式・提出期限は裁判所の運用に従う
- 4.賛否が割れるなら不統一行使を期限内に書面通知する 複数の受益者・部門のために債権を持ち賛否が割れる見込みなら、169条2項前段の期限までに不統一行使を裁判所へ書面で通知する。代理人が委任議決権を割る場合も同じ
よくある質問 AI による整理
Q1議決権の不統一行使とは何ですか?
1人の議決権者が保有する議決権を分割し、一部を賛成、一部を反対に投じることです。民事再生法172条2項が根拠で、背後に独立した複数の利害がある場合に用いられます。
Q2民事再生の議決権の委任状はどう書けばいいですか?
委任者・代理人・委任する議決権の範囲を明記します。様式や提出期限は裁判所や事案ごとに運用が異なるため、通知書の連絡先か裁判所書記官に早めに確認するのが確実です。
Q3民事再生の議決権行使はいつまでにすればいいですか?
裁判所が定めた期日出席または書面等投票の期限までです。不統一行使を選ぶ場合は、169条2項前段の期限までに別途書面通知が必要になります。
Q4不統一行使の通知を忘れるとどうなりますか?
分割して投じる自由が失われ、保有する議決権を一括でしか行使できなくなります。期限を一日過ぎただけでも認められないため、逆算したスケジュール管理が不可欠です。
Q5社債を持っている会社が民事再生になったら誰が議決権を行使しますか?
社債管理者が議決権をまとめて行使することがあります。管理者内で意見が割れた場合、172条2項の不統一行使が背後の利害を反映する受け皿になります。
Q6再生計画案が可決される条件は何ですか?
議決権者の頭数の過半数、かつ議決権総額の2分の1以上の同意が必要です(172条の3)。代理行使や不統一行使の結果もこの判定に反映されます。
Q7議決権額はいつ確定するのですか?
裁判所での認否・確定手続を経て確定します。行使できる票数を把握するため、自分の再生債権の議決権額が確定しているかを併せて確認する必要があります。
Q8議決権の代理人は弁護士でなければなりませんか?
弁護士に限られません。信頼できる他人や、利害の一致する別の債権者に委任することもできます。ただし委任状等の様式は裁判所の運用に従う必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1債権者集会に行けないんですが、議決権は捨てるしかないですか?
捨てる必要はありません。代理人に委任すれば、あなたの代わりに議決権を行使してもらえます(172条1項)。代理人は弁護士でなくてもよく、信頼できる人や利害の一致する他の債権者でも構いません。実務のポイント:委任状の様式や提出期限は裁判所や事案ごとに運用が異なるため、通知書に記載された連絡先か裁判所書記官に早めに確認するのが確実です。出席できないことと議決権を失うことは別物だと知っているかどうかで、行動が変わる
Q2一社で複数の人の債権をまとめて持っている場合、全部同じ投票にしないとダメですか?
いいえ、議決権を割って一部賛成・一部反対と投じる不統一行使ができます(172条2項)。ただし169条2項の期限までに、その旨を裁判所へ書面で通知することが条件です。代理人が委任された議決権を割る場合も同じ扱いです(172条3項)。実務のポイント:社債管理者や信託受託者は、背後の受益者の意見を集約する時間を期限から逆算します。通知期限を一日でも過ぎると不統一行使は認められず、保有議決権を一括でしか投じられなくなるため、内部の意思決定スケジュールこそが実務上の生命線になる
間違えやすい点 AI による整理
- 債権者集会に出席できなければ議決権は無駄になると思い込んでいる人が多いが、代理人に委任すれば一票は生きる(172条1項)。しかも委任先は弁護士に限られない。信頼できる他人や、利害の一致する別の債権者に託すこともできる
- 不統一行使ができること自体は知っていても、その期限の重さを知らない人が多い。169条2項の書面通知の期限を一日過ぎただけで、分割の自由は完全に失われ、保有議決権を一括でしか投じられなくなる。制度の存在を知っているだけでは足りず、逆算したスケジュール管理ができて初めて意味を持つ
- 「不統一行使は大口の金融機関だけの話」という前提そのものがずれている。投資信託の運用者、社債管理者、共同保証から生じた求償権者など、一人で複数の独立した利害を背負う立場なら、規模を問わず当事者になりうる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 172条:議決権の行使方法(代理・不統一行使) | 169条:決議方法の決定と行使期限 172条の3:再生計画案の可決要件 |
| 場面 | 個々の議決権者が「どう投じるか」 | 裁判所が「どの方法で決議するか」を定める前提 投じられた結果が「可決か否決か」を判定する出口 |
| 期限との関係 | 不統一行使は169条2項前段の期限までに書面通知 | 議決権行使の期限そのものを裁判所が定める根拠 行使結果を集計し可決ラインを判定 |
| 怠った場合 | 通知漏れで不統一行使不可・一括行使のみ | 期限徒過で議決権行使の機会を失う 可決要件未達なら不認可・手続廃止へ(174条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は民事再生に完全対応する制度はなく、会社の重整手続における関係人会議で表決権を行使する。代理・分割行使の扱いは手続規定と実務運用による
韓国は倒産法を統合した債務者回生法で、関係人集会における議決権行使を規律する。代理行使や意思の反映に関する発想は日本と類似
ドイツは倒産法(InsO)の債権者集会で議決権を行使し、代理も一般に認められる。議決権額は債権額を基準とする点が共通する
米国はチャプター11の計画案受諾の議決を金額・頭数の要件で判定し、代理はブレイク規則(Bankruptcy Rules)による。DIP 型再建の発想は民事再生法の母型の一つ
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 信託銀行として、複数の受益者の再生債権を束ねて持っている。受益者の間で計画案への賛否が割れた。不統一行使すれば、内部で割れた意思を一票の中に正確に反映できる。だが169条2項の書面通知期限まであと数日、社内の意見集約が間に合うか。期限を一日過ぎれば、割れた意思はすべて一括行使に潰される
- もし債権者集会の当日に出張が重なって出られなかったら、あなたの議決権は無駄になるのか。ならない。委任状を渡せば、弁護士でなくても代理人があなたの一票を投じられる(172条1項)。出席できないことと、議決権を失うことは別の話だ
- 再生債務者の側として、計画案を可決にこぎつけたい。大口債権者の一社が議決権を割って一部を反対に回すと、172条の3の「議決権総額の2分の1以上の同意」という壁を越えられなくなる。誰がいつ不統一行使を通知してきたかを期限直後に把握することが、可決ラインの読みを左右する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 議決権者(債権者)として、まず裁判所が定めた議決権行使の方法(期日出席か書面投票か)と169条2項の期限を確認する2. 集会に出られないなら、代理人に委任状を渡して議決権行使を託す(弁護士に限らない) 3. 複数の受益者・部門のために債権を持ち、賛否が割れる見込みなら、169条2項の期限までに不統一行使を裁判所へ書面で通知する(172条2項) 4. 自分の議決権の額が裁判所で確定しているかも併せて確認し、行使可能な票数を把握する
訴えられた側:1. 再生債務者(計画案提出側)として、主要債権者ごとの賛否の見込みを早期にマッピングする2. 大口債権者が不統一行使を通知してくると、賛否が割れて172条の3の可決ラインの読みが変わるため、通知期限直後に裁判所経由で状況を把握する3. 代理人による行使も含め、誰が実際に票を投じるのかを整理し、可決に必要な同意の積み上げを計画する4. 反対が固い債権者には、計画案修正や事前の協議で賛成への転換余地を探る
時効(請求できる期限):不統一行使の通知は、169条2項前段に規定する期限(裁判所が議決権行使につき定める期限)までに、書面で行わなければならない(172条2項)。この期限を過ぎると不統一行使はできず、一括行使のみとなる。代理人による議決権行使は集会の期日または書面投票の期限までに委任状等で行う(最新の運用は係属裁判所にご確認ください)
学説
通説:172条の不統一行使は、株主総会における議決権の不統一行使(会社法313条)と同じく、背後に独立した複数の利害を負う者に一括の賛否を強いないという発想に立つ。手続の安定のため、169条2項前段の期限内の書面通知を要件とする点に特徴がある。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法の制定(平成11年法律第225号)に伴い新設。旧和議法に代わる再建型手続として、議決権の代理行使・不統一行使を明文で定めた。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める