債務者が、再生手続開始の前後を問わず、特定の債権者に対する債務について、他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって債務者の義務に属せず又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをし、再生手続開始の決定が確定したときは、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
要点民事再生法 256 条は、他の債権者を害する目的で特定の債権者にだけ義務を超えた担保供与や弁済をする偏頗行為を、五年以下の拘禁刑または五百万円以下の罰金で処罰する。
Q · 倒産しそうなとき、世話になった取引先に先に借金を返したら罪になるの?
義務を超えた特別扱いなら偏頗行為罪になり得る
民事再生法 256 条により、他の債権者を害する目的で、特定の債権者にだけ「義務に属しない」または「方法・時期が義務に属しない」担保供与・弁済をすると、五年以下の拘禁刑または五百万円以下の罰金の対象になります。危険なのは期限前の繰り上げ返済、古い債務への新規担保設定、代物弁済です。期限どおりの通常弁済は原則対象外。処罰は再生手続開始の決定が確定したときに成立します。
会社がもう持たない。最後に、長年支えてくれた取引先と、個人的に金を貸してくれた友人にだけは、何とか先に返しておきたい。その「義理」が、五年以下の拘禁刑になりうる。民事再生法 256 条は、再生手続の前後を問わず、債務者が他の債権者を害する目的で、特定の債権者にだけ担保を差し入れたり債務を消したりする行為を犯罪とする。ただし条件がある。その行為が「債務者の義務に属しない」もの、または「その方法や時期が義務に属しない」ものであること。つまり、本来の期限どおり普通に弁済する分には問題にならない。危険なのは、まだ期限の来ていない借金を繰り上げて返す、古い借金に新しく担保を付ける、現金の代わりに在庫や不動産で代物弁済する、こうした「義務を超えた特別扱い」だ。あなたが善意と義理でやった一手が、倒産後に「偏頗行為」として刑事事件になる。しかも処罰されるのは、再生手続開始の決定が確定したときである。
民事再生法 256 条は偏頗行為罪を定める規定であり、債務者が再生手続開始の前後を問わず、他の債権者を害する目的で、特定の債権者に対し担保の供与または債務の消滅に関する行為をし、その行為が債務者の義務に属しない、もしくは方法・時期が義務に属しない場合を処罰対象とする。再生手続開始の決定の確定を客観的処罰条件とし、通常の期限内弁済は含まれない。
支払不能・倒産局面で、特定の債権者にだけ弁済や担保供与をして優遇することです。原資が限られる中で他の債権者の取り分を減らすため、否認や刑事罰の対象になり得ます。
長期 5 年の拘禁刑にあたる罪のため、公訴時効は 5 年です(刑訴 250 条 2 項)。本罪は再生手続開始決定の確定が処罰条件のため、起算は原則として犯罪完成時からとなります。
なり得ます。まだ期限の来ていない債務を繰り上げて返す行為は「時期が義務に属しない」典型で、害意が認められれば 256 条の対象です。期限どおりの弁済は原則セーフです。
古い無担保債務に新しく担保を付ける行為は「義務に属しない担保の供与」に当たり得ます。害する目的と開始決定の確定がそろえば偏頗行為罪になります。
現金の代わりに在庫や不動産で支払う代物弁済は、方法が義務に属しないとされやすく、偏頗行為に当たり得ます。特定債権者だけを優遇する形になる点が問題です。
詐欺再生罪(255 条)は財産の隠匿・不利益処分など「財産を減らす」型、偏頗行為罪(256 条)は特定債権者だけを「優遇する」型です。守る対象と手口が異なります。
民事再生法 127 条の 3 に基づき、偏頗弁済で流出した財産を再生手続の中で取り戻す制度です。256 条の刑事罰と対をなす民事上の巻き戻しです。
はい。破産手続では破産法 266 条が同種の偏頗行為を処罰します。民事再生を取り下げて破産に移行しても、偏頗行為の刑事リスクは消えません。
「先に払った」だけでは直ちに罪になりません。256 条が処罰するのは、債務者の義務に属しない行為、または方法や時期が義務に属しない行為です。期限どおりの通常弁済は原則セーフ、危ないのは期限前の繰り上げ返済、古い債務への新規担保設定、代物弁済です。業界裏話ヒント:弁護士が倒産案件で最初に時系列表を作るのは、どの支払いが「期限前」だったかを洗い出すためです。支払日が一日でも期限より早ければ偏頗行為を疑われる。日付の証拠こそが、社長を守るか沈めるかの分かれ目になる
256 条は「他の債権者を害する目的」を要件とするため、純粋に事業継続のための合理的な支払いであれば、目的の認定を争えます。ただし、原資が限られた倒産局面で特定の一人に厚く払えば、客観的には他の債権者の取り分を削っており、目的が推認されやすい。業界裏話ヒント:捜査側は「なぜその相手にだけ」を執拗に問います。親族・旧友・連帯保証がからむ相手への優先弁済は、それだけで加害目的を疑われる。逆に取引継続に不可欠な仕入先への通常弁済は、合理性を主張しやすい。誰に払ったかの属性が、目的認定を大きく左右する
なりません。むしろ逆で、本罪は再生手続開始決定の確定が処罰条件です。確定すれば、その前にした偏頗行為が遡って犯罪として完成します。申立てを取り下げても、すでにした特別弁済の事実は消えず、別途破産に移行すれば破産法 266 条の同種の罪が問題になります。業界裏話ヒント:倒産局面の支払いは「手続が始まる前に駆け込みで処理すれば逃げ切れる」と考える経営者が多いが、これは最も危ない誤解です。否認権は手続開始前の行為にこそ及び、刑事罰も確定で遡及する。手続前の駆け込みは、証拠を自分で作っているのと同じだ
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 手口の型 | 256 条 偏頗行為罪:特定の債権者だけを優遇(担保供与・債務消滅) | — |
| 法的性質 | 刑事罰(債務者個人を処罰) | — |
| 成立の鍵 | 義務を超えた行為+害する目的+開始決定の確定 | — |
| 効果 | 五年以下の拘禁刑または五百万円以下の罰金(併科可) | — |
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