要点破産法 154 条は、破産管財人が別除権者に担保物件の提示を求め、これを評価できることを定める。別除権者は評価を拒めず、財団は受戻しや担保権消滅の検討材料を得る。
Q · 担保を持っている債権者は、破産管財人に担保物件の評価を拒めるの?
評価は拒めません。ただし評価だけで被担保債権は減りません
破産法 154 条により、破産管財人は別除権者に別除権の目的である財産の提示を求めることができ(1 項)、その財産を評価しようとするときは別除権者はこれを拒めません(2 項)。別除権の実行自体は破産手続の外で自由にできますが、提示と評価の受忍だけは義務づけられます。評価それ自体は被担保債権を減らしませんが、その評価額を足場に管財人が受戻し(78 条)や担保権消滅許可(186 条)へ進むと、担保物件が財団の判断で金銭化される局面が生じます。
取引先が破産した。だがあなたの会社はその工場に抵当権を設定している。「担保があるから別除権者として手続の外側で回収できる、管財人は口を出せない」、そう高をくくっていないか。破産法 154 条はその油断を正面から突く。破産管財人は、あなたに対して担保物件(別除権の目的である財産)の提示を求めることができ、しかも管財人がその財産を評価しようとするとき、あなたはこれを拒めない。なぜ管財人は評価にこだわるのか。担保物件の値が判明すれば、管財人は受戻し(財団が金を払って担保を取り戻す、78 条)や、担保権消滅許可(154 条の延長線上、186 条以下、裁判所の許可で担保を消して自由に売却する)という次の一手を検討できるからだ。あなたが「破産手続には触られない自分の資産」だと思っていた担保物件は、管財人の物差しが当てられた瞬間、財団の交渉カードに姿を変える。
破産法 154 条は、破産手続における別除権者の協力義務を定める規定である。破産管財人は別除権の目的である財産の提示を求めることができ、その財産を評価しようとするときは別除権者はこれを拒むことができない。別除権の実行の自由(65 条)は維持したまま、提示と評価の受忍のみを別除権者に課し、財団による担保物件の把握を可能にする。
AI 輔助整理,以條文原文為準
破産手続によらず、担保物から優先弁済を受けられる権利です(破産法 65 条)。抵当権・質権・譲渡担保などが該当し、破産手続の外で実行できます。
評価額が判明すれば、財団が金を払って担保を取り戻す受戻し(78 条)や、担保権消滅許可(186 条)による自由売却を検討できるためです。
裁判所の許可で担保権を消し、財団が財産を自由に売却できる制度です(破産法 186 条以下)。適正な評価が前提となります。
別除権者が配当を受けられるのは、担保で回収しきれない不足額の範囲に限られるという原則です(破産法 108 条)。
担保価値の範囲では別除権で回収できますが、不足額の部分は破産債権として届け出て配当を待つことになります(108 条・111 条)。
別除権の目的である財産と予定不足額を、債権届出期間内に届け出る必要があります(破産法 111 条)。届出を怠ると回収機会を失います。
財団が金銭を支払い、別除権の目的物を担保の負担から解放して取り戻す手続です(破産法 78 条 2 項の許可事項)。
譲渡担保は破産法 65 条の別除権に含まれると解されており、管財人の評価権も及びます。応じ方を誤ると不足額計算で不利になります。
154 条 2 項により、評価については拒めません。条文上、拒絶に対する直接の過料などの制裁は定められていませんが、非協力は実務上あなた自身に跳ね返ります。業界裏話ヒント:提示や評価を渋った別除権者は、後の担保権消滅許可(186 条)の価額決定や不足額の認定で、自分に有利な評価を主張する足場を自ら崩してしまう。素直に応じつつ自前の評価を用意するのが、結局いちばん回収額を守る動き方です
評価そのものは被担保債権を減らしません。効いてくるのはその先で、評価額を基に管財人が受戻し(78 条)や担保権消滅許可(186 条)を進め、財団が担保物件を金銭化する局面です。配当に与れるのは別除権で回収しきれない不足額の範囲だけです(108 条、不足額責任主義)。業界裏話ヒント:被担保債権額や担保価値を過大に主張しておけば不足額が増えて配当で有利、と考える別除権者は多いが、154 条の評価で実勢値を突き付けられると逆に信用を失う。最初から実勢に近い数字で通した方が、交渉全体では得をしやすい
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 154 条:別除権者への提示・評価受忍義務 | — |
| 権利の性質 | 別除権者に課される協力義務(提示・評価の受忍) | — |
| 配当との関係 | 評価は不足額算定の基礎資料となる | — |
| 別除権者が取りうる対抗 | 評価は拒めないが自前鑑定を並行取得できる | — |
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