不動産登記法 第104条の2(権利の変更の登記等の特則)
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- 信託の併合又は分割により不動産に関する権利が一の信託の信託財産に属する財産から他の信託の信託財産に属する財産となった場合における当該権利に係る当該一の信託についての信託の登記の抹消及び当該他の信託についての信託の登記の申請は、信託の併合又は分割による権利の変更の登記の申請と同時にしなければならない。信託の併合又は分割以外の事由により不動産に関する権利が一の信託の信託財産に属する財産から受託者を同一とする他の信託の信託財産に属する財産となった場合も、同様とする。
- 2.信託財産に属する不動産についてする次の表の上欄に掲げる場合における権利の変更の登記(第九十八条第三項の登記を除く。)については、同表の中欄に掲げる者を登記権利者とし、同表の下欄に掲げる者を登記義務者とする。この場合において、受益者(信託管理人がある場合にあっては、信託管理人。以下この項において同じ。)については、第二十二条本文の規定は、適用しない。
この条文の基本情報
権利の変更の登記等の特則とは何ですか?
定義権利の変更の登記等の特則とは、不動産登記法第104条の2に定められた規定で、「信託の併合又は分割により不動産に関する権利が一の信託の信託財産に属する財産から他の信託の信託財産に属する財産となった場合における当該権利に係る当該一の信託につい…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第104条の2(権利の変更の登記等の特則)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第104条の2の条文原文は「信託の併合又は分割により不動産に関する権利が一の信託の信託財産に属する財産から他の信託の信託財産に属する財産となった場合における当該権利に係る当該一の信託につい…」で始まります。
- 不動産登記法第104条の2は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第104条の2の前の条は不動産登記法第104条です。
- 不動産登記法第104条の2の次の条は不動産登記法第105条です。
- 不動産登記法第104条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第104条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第104条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/104_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法104条の2は、信託の併合・分割等による信託の登記の抹消と新たな信託の登記を、権利の変更の登記と同時に申請すべきものとし、当該変更の登記の当事者を受益者と定める。
Q · 家族信託の不動産を別の信託に移すとき、名義が変わらないのに登記は必要ですか?
必要です。所有権移転ではなく権利の変更の登記になります
不動産登記法104条の2により、信託の併合・分割等で不動産が別の信託の信託財産となった場合、受託者の名義が同じでも「権利の変更の登記」を申請します。このとき旧信託の信託の登記の抹消と新たな信託の信託の登記を、権利の変更の登記と同時に申請しなければならず、別々に出すと25条の却下事由になります。また2項により登記権利者・登記義務者は受益者とされ、受益者には22条本文(登記識別情報の提供)が適用されません。
解説
不動産の名義人は一文字も変わらないのに、登記を入れ直さなければならない。信託にだけ存在するこの奇妙な手続を仕切るのが本条である。あなたが受託者として父の土地を預かる家族信託を組んだとする。数年後、その土地をあなた自身の財産(固有財産)に戻す、あるいは別に組成した第二の信託へ移す。登記簿の「所有者 あなた」という記載は動かない。動くのは帰属の実質だけだ。だから所有権移転登記ではなく「権利の変更の登記」を使う。そして本条2項の核心は、当事者の指定にある。申請するのは名義人であるあなたではなく、受益者だ。受益者は登記名義人ではないから登記識別情報(旧・権利証)を持っていない。そこで22条本文の適用が外され、権利証なしで申請できる仕組みになっている。この一点を外したまま申請書を組むと、法務局の窓口で申請人適格を欠くとして戻される。
法的な位置づけ
不動産登記法104条の2は、受託者の名義を変えずに不動産の帰属のみが移る場合の登記手続を定める。1項は信託の併合・分割等に伴う信託の登記の抹消及び他の信託の信託の登記を権利の変更の登記と同時に申請すべきものとし、2項は当該登記の登記権利者・登記義務者を受益者とし、22条本文の適用を除外する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登記の種類と原因を先に確定する 所有権移転登記か権利の変更の登記かを最初に決める。受託者が同一のまま帰属だけが移るなら権利の変更の登記。原因が信託の併合・分割か、それ以外の事由かで1項の同時申請の射程が変わるため、信託契約書と変更契約書で原因事実を固定する
- 2.自己信託かどうかを判定する 自己信託(信託宣言)による権利の変更の登記は98条3項により受託者の単独申請となり、104条の2第2項の共同申請の枠から明文で除外される。ここを取り違えると申請人適格の誤りとして窓口で戻される
- 3.受益者の実在と意思能力を確認する 登記権利者・登記義務者となるのは名義人である受託者ではなく受益者。信託管理人がある場合は信託管理人。受益者の実印と印鑑証明書を早期に手配し、判断能力に不安があれば受益者代理人や成年後見人の要否を先に詰める
- 4.申請書見本で法務局に事前照会する 権利の変更の登記、旧信託の信託の登記の抹消、新信託の信託の登記の三本について、申請書見本と添付情報一覧を作成し、管轄法務局に事前照会をかける。信託目録の記載変更の要否もこの段階で確認する
- 5.連件で同時申請する 決済日に権利の変更の登記と信託の登記の抹消・新たな信託の登記を連件で一括提出する。別々に出せば25条の却下事由となり、登録免許税の還付手続にも時間がかかって融資実行日が崩れる
よくある質問 AI による整理
Q1信託の権利の変更の登記とは?
受託者の名義を変えずに、不動産が固有財産と信託財産の間、または信託 A と信託 B の間で帰属を変える場合に用いる登記です。所有権移転登記ではありません。
Q2信託の登記の抹消はいつ申請するの?
不動産登記法104条の2第1項により、権利の変更の登記の申請と同時に申請します。先に抹消だけ出すことはできず、連件で一括提出するのが実務です。
Q3信託の併合と分割の違いは?
併合は複数の信託の信託財産を一つの信託に集約すること、分割は一つの信託の信託財産の一部を別の信託へ移すことです。定義は信託法2条10項・11項にあります。
Q4信託の変更登記に権利証は必要?
受益者が登記義務者となる場合、22条本文が適用されないため登記識別情報(旧・権利証)の提供は不要です。受益者は登記名義人ではないためです。
Q5信託目録とは何ですか?
登記記録とは別に作成され、委託者・受託者・受益者や信託の目的、財産の管理方法などを記録する帳面です。甲区の名義に現れない信託の中身はここで公示されます。
Q6同時申請を忘れるとどうなる?
104条の2第1項に反する申請となり、25条の却下事由に該当します。補正で救える性質ではなく、権利の変更の登記自体が通らないため決済日が崩れます。
Q7受託者が交代したときの登記は?
受託者の変更は権利の移転の登記であり、本条の権利の変更の登記とは別扱いです。不動産登記法100条により新受託者の単独申請が認められる場面があります。
Q8信託財産だと登記しないとどうなる?
信託法14条により、不動産が信託財産に属することは登記しなければ第三者に対抗できません。登記が遅れた期間はそのまま対抗力の空白になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1家族信託で預かっている実家を、受託者である自分が買い取りたいんですが、どんな登記になりますか?
所有権移転登記ではなく、信託財産から固有財産への「権利の変更の登記」になる。本条2項により登記権利者はあなた(受託者)、登記義務者は受益者であり、信託の登記の抹消も同時に申請する(104条)。実務のポイント:信託契約に受託者が固有財産で取得できる旨の許容条項がないと、信託法31条の利益相反行為として、後日ほかの受益者から効力を争われる余地が残る。契約書の一行の有無が、数年後の登記の通りやすさを決める。
Q2自己信託で自分の不動産を信託財産にした場合も、受益者と一緒に申請するんですか?
しない。自己信託(信託宣言)による権利の変更の登記は98条3項により受託者が単独で申請でき、本条2項も括弧書きでこれを明文で除外している。実務のポイント:自己信託は公正証書その他の書面等によらなければ効力が生じず(信託法4条3項)、その書面が登記の添付情報になる。単独申請で手続が軽い分、債権者から詐害信託として取り消される争い(信託法11条)を正面から受けやすい類型でもある。
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば、名義人は最初から最後まで受託者ひとりで、誰も入れ替わっていない。だが法律から見れば、固有財産と各信託の信託財産は互いに別人格の財布として扱われる。この落差が、受託者を当事者だと思い込んで申請書を作った瞬間に牙を剥く。登記権利者・登記義務者になるのは受益者である
- 「所有権移転登記の登録免許税はいくらか」と考え始めた時点で、問いの立て方が誤っている。受託者が同一である限り移転は起きず、使うのは権利の変更の登記だ。登記の種類が違えば、課税標準も添付情報も、付記登記になるかどうかも全部変わる。税額の前に登記の種類を確定させる順番でなければ、見積り自体が無意味になる
- 1項の同時申請が必要なこと自体は知っている人が多いが、破ったときの実害を軽く見ている。同時申請を欠いた申請は補正で救える性質のものではなく、権利の変更の登記そのものが通らない。信託財産に属することは登記がなければ第三者に対抗できない(信託法14条)ため、やり直しの間だけ対抗力の空白が生まれる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 登記の種類 | 104条の2:権利の変更の登記(受託者は同一のまま帰属のみ移る) | 98条:信託の登記と権利の保存・設定・移転の登記の同時申請、3項は自己信託 60条・22条:共同申請と登記識別情報の提供という一般原則 |
| 申請の当事者 | 受益者(信託管理人があるときは信託管理人)を登記権利者・登記義務者とする | 98条3項の自己信託は受託者の単独申請 60条の原則では登記名義人である受託者が当事者となる |
| 登記識別情報 | 受益者には22条本文を適用せず、提供不要 | 自己信託は単独申請のため共同申請を前提とする提供義務の構造から外れる 22条本文は登記義務者に登記識別情報の提供を求めるのが原則 |
| 同時申請の要否 | 1項により信託の登記の抹消・新たな信託の登記と同時申請が必須、違反は25条の却下事由 | 98条1項も信託の登記と権利に関する登記の同時申請を要求 一般の権利変動登記には同時申請の要求はない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も信託財産である旨の登記を対抗要件とし、信託専用の登記章を設ける。日本の信託目録に相当する信託専簿の運用がある
韓国は2011年の信託法全面改正に合わせ、信託の併合・分割等に伴う信託登記の申請規定を不動産登記法に置いた。日本の本条と発想が近い
ドイツ法は英米型の信託制度を持たず、Treuhand は債権的構成にとどまるため、信託財産であることを不動産登記簿に公示する仕組み自体が存在しない
米国は信託目録に相当する公簿を持たず、trustee's deed を郡の Recorder に記録する運用。信託の内容は certification of trust で限定開示される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 決済日まであと5日、信託分割で土地を新信託へ移す案件を抱えている。もし旧信託の信託登記の抹消だけを先に出したらどうなる? 1項の同時申請違反として、権利の変更の登記もろとも25条の却下事由に該当する。登録免許税には還付の手当てがあるが(登録免許税法31条)、手続に時間がかかり、融資実行日は確実に崩れる
- あなたは信託を終わらせずに、預かった収益不動産だけを自分の固有財産に買い取りたい受託者だ。この場面の登記義務者はあなたではなく受益者になる。受益者に実印と印鑑証明書を用意させる説明を先にしなければ、話は一歩も進まない
- 信託銀行に勤める友人から、二つの信託を一つにまとめる案件で登記が通らないと相談される。原因はほぼ1項の同時申請だ。信託の併合による権利の変更の登記、旧信託の信託登記の抹消、新信託の信託登記、この三本を一括の連件で出さなければ受理されない
取るべき行動
被害を受けた側:あなたが受益者側なら、受託者から「登記に実印と印鑑証明書を」と言われた時点で、何の登記かを信託目録の写しで確認する。信託財産から固有財産へ戻す変更登記なら、自分の受益権が縮む取引に自ら判を押すことになる。信託契約上の同意要件と、信託法31条(受託者の利益相反行為の制限)の要件を満たしているか、対価が相当かを書面で確認し、押印は最後に回す。
訴えられた側:あなたが受託者や司法書士の側なら、着手時に三点を固定する。①原因が信託の併合・分割か、それ以外の事由か(1項の同時申請の射程が変わる)②自己信託か(98条3項により受託者の単独申請となり、本条2項の共同申請の枠から明文で外れる)③受益者が現に存在し意思能力があるか。そのうえで権利の変更の登記、旧信託の登記の抹消、新信託の登記を連件で提出する。申請書見本で事前照会をかけておけば、却下リスクはほぼ消える。
時効(請求できる期限):本条自体に申請期限の定めはない。ただし1項が要求するのは時間ではなく同一性であり、別々に出せば25条の却下事由になる。受託者は信託の変更の登記を遅滞なく申請する義務を負い(104条の関連規定として103条)、信託財産に属することは登記をしなければ第三者に対抗できない(信託法14条)。遅れた期間はそのまま対抗力の空白期間になる。
学説
実務通説:受託者が同一である限り権利の移転は生じないため、信託財産と固有財産の間、また信託相互間の帰属変更は権利の変更の登記で処理する。公示の簡明さを保ちつつ、申請の当事者だけを実質的利害関係人である受益者に読み替える二重構造として理解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)新設、平成19年(2007年)9月30日施行 信託法の全面改正(平成18年法律第108号)で信託の併合・分割および自己信託が創設されたことに伴い、整備法により新設された条文。受託者が同一のまま財産の帰属だけが移る場面を「権利の変更の登記」として整理し、同時申請義務と、受益者を登記権利者・登記義務者とする当事者の読み替えを明文化した
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)により、オンライン申請と登記識別情報を前提とする現行法体系が成立
- 2.平成18年(2006年) 新設:信託法の全面改正(平成18年法律第108号)で信託の併合・分割および自己信託が創設されたことに伴い、整備法により本条が新設。平成19年9月30日施行
- 不動産登記法 第98条信託の登記の同時申請と自己信託の単独申請
- 不動産登記法 第104条信託の登記の抹消の同時申請義務
- 不動産登記法 第22条登記識別情報の提供義務、本条で適用除外
- 不動産登記法 第60条共同申請の原則、当事者の読み替えの前提
- 不動産登記法 第25条同時申請を欠く申請の却下事由
- 信託法 第2条信託の併合・分割の定義(2条10項・11項)
- 信託法 第14条信託財産であることの対抗要件としての登記
- 信託法 第31条受託者の利益相反行為の制限
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