不動産登記法 第152条(登記識別情報の安全確保)
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- 登記官は、その取り扱う登記識別情報の漏えい、滅失又はき損の防止その他の登記識別情報の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。
- 2.登記官その他の不動産登記の事務に従事する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所に勤務する法務事務官又はその職にあった者は、その事務に関して知り得た登記識別情報の作成又は管理に関する秘密を漏らしてはならない。
この条文の基本情報
登記識別情報の安全確保とは何ですか?
定義登記識別情報の安全確保とは、不動産登記法第152条に定められた規定で、「登記官は、その取り扱う登記識別情報の漏えい、滅失又はき損の防止その他の登記識別情報の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第152条(登記識別情報の安全確保)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第152条の条文原文は「登記官は、その取り扱う登記識別情報の漏えい、滅失又はき損の防止その他の登記識別情報の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。」で始まります。
- 不動産登記法第152条は第七章 雑則に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第152条の前の条は不動産登記法第151条です。
- 不動産登記法第152条の次の条は不動産登記法第153条です。
- 不動産登記法第152条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第152条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第152条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/152
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法152条は、登記官に登記識別情報の漏えい防止など安全管理措置を義務づけ、登記官や法務事務官、退職した元職員にも、事務上知り得た秘密の守秘義務を課す規定である。
Q · 登記識別情報って、結局だれが守ってくれるんですか?
国が守るのは法務局内の情報だけ。手元の紙は自分で守る
不動産登記法152条1項は、登記官に対して登記識別情報の漏えい・滅失・き損を防ぐ必要かつ適切な安全管理措置を義務づけています。2項は、登記官のほか法務局・地方法務局・支局・出張所に勤務する法務事務官、さらに退職した元職員に対しても、事務に関して知り得た登記識別情報の作成・管理に関する秘密の守秘義務を課しています。ただし本条が守るのは法務局内で保管・管理される情報であり、所有者へ通知された後の通知書の保管は本条の射程外です。手元の12桁を守るのは所有者自身の管理責任になります。
解説
登記識別情報。かつての「権利証」に代わって、不動産登記の本人確認を支える12桁の英数字である。これを他人に知られると、あなたの土地建物が知らないうちに他人名義へ移されるリスクが生まれる。本条1項は、その情報を扱う登記官に「漏えい・滅失・き損を防ぐ必要かつ適切な措置」を義務づけ、2項は登記官だけでなく法務局・地方法務局・支局・出張所に勤務する法務事務官、さらに退職した元職員にまで、作成・管理に関する秘密の守秘義務を課す。ここであなたが知っておくべきは、義務の名宛人が「役所という組織」ではなく「そこで働く個人、しかも辞めた後の個人」まで及んでいる点だ。つまり万一情報が漏れたとき、責任追及の相手は法務局だけではない。そして本条の存在は逆に、あなた自身が登記識別情報通知書をどう保管しているかを問い返してくる。国家がここまでの体制で守っている情報を、あなたは机の引き出しに入れっぱなしにしていないか。
法的な位置づけ
不動産登記法152条は、登記識別情報の安全管理に関する規定である。1項は登記官に漏えい・滅失・き損の防止その他の安全管理のため必要かつ適切な措置を講ずる義務を課し、2項は登記官および法務局等に勤務する法務事務官、ならびに退職した元職員に対し、事務に関して知り得た登記識別情報の作成または管理に関する秘密の守秘義務を課す。
手順
- 1.通知書の現物と目隠しシールの状態を確認 登記識別情報通知書を実際に手に取り、目隠しシールが無傷か、剥がされた跡がないかを確認する。記憶で「あるはず」と判断せず、対象不動産ごとに現物の所在と封の状態を一覧化する
- 2.漏えいの疑いがあればその日のうちに失効の申出 シールが剥がれている、番号入りのコピーを渡した記憶がある場合は、管轄法務局へ不動産登記規則65条の失効の申出を提出する。手数料は不要で、以後その識別情報では登記申請ができなくなる
- 3.不正登記防止申出で3か月の監視をかける なりすまし登記のおそれが続く間は、不正登記防止申出を行う。申出から3か月間、当該不動産に登記申請があったときに通知を受けられる。危険が継続するなら期間満了前に更新する
- 4.登記事項証明書で身に覚えのない登記がないか点検 所有権移転、抵当権設定など、心当たりのない登記が入っていないかを確認する。オンライン(登記情報提供サービス)でも閲覧でき、疑いが生じた時点と数か月後の二回チェックすると変化を捉えやすい
- 5.既に不正登記があれば司法書士ではなく弁護士へ 不実の移転登記が入っていた場合は、抹消登記請求と刑事告訴(刑法157条 公正証書原本不実記載等)を並行で検討する。職員の関与が疑われるなら国家賠償法1条に基づく請求も視野に入れる
- 6.売却予定なら契約前に有効性確認を先行させる 売買契約を結ぶ前に、司法書士へ有効証明請求(不動産登記規則68条)を依頼する。決済当日に失効や不一致が判明すると日程が崩れ違約の話になるが、契約前なら代替手続と費用を織り込める
よくある質問 AI による整理
Q1登記識別情報とは何ですか?
不動産登記の申請人本人であることを確認するために通知される12桁の英数字です。かつての権利証(登記済証)に代わる本人確認手段で、紙そのものではなく文字列自体が鍵になります。
Q2登記識別情報の失効の申出はどこにするの?
対象不動産を管轄する法務局・地方法務局(またはその支局・出張所)に、不動産登記規則65条の失効の申出をします。手数料は不要で、受理後はその識別情報では登記できなくなります。
Q3登記識別情報が有効かどうか調べられますか?
有効証明請求(不動産登記規則68条)で確認できます。売買の決済当日ではなく契約前に司法書士へ依頼しておくと、失効や不一致が判明した場合でも日程を組み直せます。
Q4不正登記防止申出とは何ですか?
なりすまし登記のおそれがあるとき法務局に申し出る運用上の制度です。申出から3か月間、その不動産に登記申請があった際に通知を受けられます。期間経過後は更新が必要です。
Q5登記識別情報を漏らした職員に罰則はありますか?
本条2項自体には罰則規定がありません。実際の制裁は国家公務員法100条の守秘義務違反(罰則は同法109条)や懲戒処分として現れます。条文に罰則がない=軽い、という読み方は実務を誤ります。
Q6権利証と登記識別情報は違うものですか?
違います。権利証は紙そのものが本人確認手段でしたが、登記識別情報は12桁の文字列が本体です。紙を失っても文字列が知られていなければ被害はなく、逆に紙があっても番号を見られていれば危険です。
Q7登記識別情報は司法書士や不動産会社に渡していいですか?
登記手続に必要な範囲では提供します。ただし番号が写ったコピーは鍵の複製と同じです。渡す相手が守秘義務を負う資格者か、いつどの範囲で渡したかを記録できるかを確認してください。
Q8登記識別情報を失効させると不動産は売れなくなりますか?
売れなくなりません。失効しても所有権には一切影響せず、以後の登記は事前通知(不動産登記法23条)や資格者代理人の本人確認情報で進められます。失効は損失ではなくリスクの遮断です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1登記識別情報って、なくしたら再発行してもらえないんですか?
再発行は制度上ありません。12桁の情報は一度きりの通知で、紛失時は事前通知(不動産登記法23条)か資格者代理人による本人確認情報の提供で代替します。実務のポイント:後者は司法書士の責任が重くなるため報酬が数万円上乗せされるのが通例で、事務所によって差が大きい。売却が決まってから慌てるより、事前に複数の事務所へ「識別情報なしの場合の見積り」を聞いておくと交渉材料になる。
Q2法務局の人が情報を漏らしたら、その人を直接訴えられるんですか?
民事では国家賠償法1条により、まず国が賠償責任を負う仕組みです。職員個人への請求は原則として認められず、国が賠償した後、故意または重過失がある職員へ求償します(同条2項)。実務のポイント:本条2項には罰則が付いていないため、実際の制裁は国家公務員法100条違反(罰則は同法109条)や懲戒処分として現れる。条文だけ読んで「罰則がない=軽い」と判断すると実務を読み違える。
Q3通知書の目隠しシールを剥がしちゃったんですが、まずいですか?
剥がした事実だけで直ちに危険とは言えませんが、第三者が見た可能性があるなら失効の申出(不動産登記規則65条)を検討すべきです。失効させても所有権には一切影響せず、次回の登記は事前通知等で進められます。実務のポイント:司法書士の実務では、相続や施設入居で複数人が書類に触れた物件は、シールの状態にかかわらず失効させておく判断も珍しくない。「使えなくする」ことは損失ではなく、リスクの遮断である。
間違えやすい点 AI による整理
- 登記識別情報は昔の権利証と同じで、持っていないと不動産を売れないと思われている。実際は逆で、権利証が「紙そのもの」だったのに対し、識別情報は「12桁の文字列」であり、紙を失っても文字列を知られていなければ被害はなく、紙を持っていても文字列を見られていれば危険。守るべき対象が物体から情報に変わったという構造転換を、多くの所有者が理解していない。
- 漏えいのリスクは知られているが、その深刻度が過小評価されている。識別情報の漏えいは即座に所有権喪失にはつながらず、印鑑証明書や本人確認も必要になる。しかし相続手続きや施設入居で家族が書類一式をまとめて保管している状況では、その一式が揃ってしまう。単独では鍵にならないものが、束になった瞬間に鍵になる。
- 「登記官が守ってくれるなら自分は何もしなくていい」という問いの立て方自体が誤っている。本条が守るのは法務局の内部で保管・管理される情報であり、あなたの手元に通知された後の紙は本条の射程外である。国の安全管理義務は玄関の錠前の話であって、あなたが鍵をどこに置くかまでは面倒を見ない。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 152条:法務局側の安全管理措置と職員・元職員の守秘義務 | 21条:登記完了時に申請人へ登記識別情報を通知する手続 23条:識別情報を提供できない場合の事前通知等の代替手続 |
| 名宛人 | 登記官、法務事務官、およびその職にあった者(退職後も継続) | 登記官(通知する側)と申請人(受け取る側) 登記官と登記義務者(本人確認を受ける側) |
| 所有者にとっての意味 | 法務局内の情報は守られるが、手元の通知書は射程外 | 12桁の鍵が発生する起点。受領後の保管責任が始まる 鍵を失っても登記は進められるが、追加の時間と費用が発生 |
| 違反・不履行の帰結 | 本条に罰則なし。国家公務員法100条違反・懲戒・国家賠償法1条で顕在化 | 通知漏れは手続上の瑕疵として是正対象 期間内に返答がなければ申請は却下される |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は所有權狀という物理的な権利証方式を維持しており、日本のような12桁情報は存在しない。したがって「紙を失う=手続が重くなる」構造で、情報漏えい型のリスクは相対的に小さい。
韓国も権利証を廃し등기필정보(登記畢情報)へ移行しており、日本と最も構造が近い。職員の守秘義務は국가공무원법 제60조という一般法で処理される点が日本と共通する。
ドイツは電子登記簿を採用しつつ、権利証に相当する個人保有の鍵情報を作らず、閲覧に正当な利益(berechtigtes Interesse)を要求することでリスクを制御する。守秘義務違反は StGB § 353b で刑事的に担保される。
米国は登記簿が公開記録であることを前提に、権原保険(title insurance)で最終的な損失を吸収する。国家が鍵情報を守る日本型とは、リスク配分の設計思想そのものが異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 相続した実家を売却することになり、司法書士から「登記識別情報通知書はお持ちですか」と聞かれた。探すと目隠しシールが剥がされている。誰かが見た可能性がある。この瞬間、あなたが取るべき行動は「失効の申出」(不動産登記規則65条)であり、放置ではない。
- 登記識別情報を紛失した。どうなる? 再発行は一切されない。代わりに事前通知(不動産登記法23条)や資格者代理人による本人確認情報の提供で登記を進めるが、後者は司法書士に数万円の追加費用が発生する。「なくしても大丈夫」ではなく「なくすと毎回コストが乗る」が正確。
- 不動産会社の担当者に「手続きが早いので通知書のコピーを送ってください」と言われた。番号部分が写ったコピーは、それ自体が鍵の複製である。渡した相手が退職して名簿ごと持ち出したら、あなたに通知は来ない。
- 決済当日の朝、司法書士から「識別情報が有効かオンラインで確認します」と連絡が来た。あと数時間で残代金の授受。ここで失効や不一致が判明すれば決済は延期、買主の住宅ローン実行日もずれ、違約の話にまで発展しうる。
- 法務局の元職員が、在職中に扱った物件の情報を退職後に第三者へ漏らした。2項が「その職にあった者」を明記しているのは、まさにこの穴を塞ぐためである。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 登記識別情報が漏えいした疑いがあれば、その日のうちに管轄法務局へ失効の申出(不動産登記規則65条)。手数料は不要で、以後その情報では登記できなくなる。2. 併せて「不正登記防止申出」(同規則35条以下の運用)を行うと、申出から3か月間、当該不動産に登記申請があった際に通知を受けられる。3. 登記事項証明書を取得し、身に覚えのない登記がないか確認。4. 既に不正な移転登記がされていれば、司法書士ではなく弁護士へ。抹消登記請求と刑事告訴(刑法157条 公正証書原本不実記載等)を並行で検討する。
訴えられた側:1. 法務局職員・元職員として守秘義務違反を問われた場合、本条2項自体には罰則規定がなく、直接の制裁は国家公務員法上の守秘義務違反(同法100条、罰則は109条)や懲戒処分として現れる点をまず整理する。2. 「その事務に関して知り得た」情報かどうかが争点になるため、情報の入手経路を時系列で特定する。3. 民事では国家賠償法1条により国が第一次的に賠償責任を負い、職員個人への求償は故意または重過失がある場合に限られる(同条2項)。4. 職務上知り得た秘密かどうかの評価は分かれうるため、早期に弁護士へ相談する。
時効(請求できる期限):本条自体に特定の期間制限はない。漏えいによる損害賠償請求は、国家賠償法1条に基づく場合も民法の時効規定が準用され、損害および加害者を知った時から3年(人の生命または身体を害する場合は5年)、行為時から20年(民法724条、724条の2)。不正登記防止申出の効力は申出から3か月なので、危険が続く間は更新が必要。
学説
通説(実質秘説):本条2項の「秘密」も、国家公務員法100条と同様に実質秘、すなわち非公知かつ実質的に保護に値する情報に限られると解される。登記識別情報そのものだけでなく、作成アルゴリズムや管理体制に関する情報も対象になりうる。
通説(本条の射程):1項の安全管理義務は法務局側の組織的・技術的措置を対象とし、通知後に登記名義人が保管する登記識別情報通知書の管理は本条の射程外と解されている。したがって所有者側の漏えいは失効の申出等の自衛手段で対処するほかない。
通説(罰則の不在):本条2項には独自の罰則が置かれていない。制裁は国家公務員法100条違反(罰則は同法109条)や懲戒処分、および国家賠償法1条に基づく国の賠償責任と職員への求償を通じて実現される構造である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:不動産登記法の全部改正により制定。オンライン申請への対応として権利証(登記済証)を登記識別情報へ置き換えるにあたり、情報化に伴う漏えいリスクを制度の入口である法務局側で封じる規定として本条が新設された。
- 不動産登記法 第21条登記識別情報の通知、本条が守る情報の発生根拠
- 不動産登記法 第22条登記識別情報の提供義務、漏えい時の危険の具体化
- 不動産登記法 第23条識別情報を提供できない場合の事前通知手続
- 不動産登記法 第2条登記識別情報および登記官の定義規定
- 不動産登記法 第151条同章に置かれた登記事務の取扱いに関する規律
- 国家公務員法 第100条一般職公務員の守秘義務、本条2項の一般法
- 国家賠償法 第1条漏えい時の国の賠償責任と職員への求償
- 個人情報の保護に関する法律 第66条行政機関等の安全管理措置義務との重畳
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