要点商法 28 条は、代理商が本人の許可なく同種の取引をすることを禁じ、違反して競業取引で得た利益額を本人の損害額と推定する規定である。
Q · 契約している代理店が、無断で競合他社の商品を売っていたら賠償請求できる?
できる。相手の利益額がそのまま損害と推定される
商法 28 条 1 項により、代理商は本人の許可なく同種の取引(競業)をしてはなりません。違反して競業取引で得た利益額は、そのまま本人に生じた損害額と推定されます(同条 2 項)。本人は損害額を自ら立証する必要がなく、相手の利益額を示せば足りるため、立証の重荷は裏切った代理商側に移ります。ただし損害額の推定は競業取引(1 項 1 号)に限られ、競合会社の取締役就任(1 項 2 号)には及びません。
保険代理店が、契約先の保険会社に黙って競合他社の保険も売り始めた。メーカーの販売特約店が、許可なくライバル社の商品を並行して扱い出した。商法28条は、こうした代理商の裏切りを正面から禁じている。代理商は従業員ではなく独立した事業者だが、特定の商人のために継続的に取引を代理・媒介する以上、その商人の許可なく、自己や第三者のために同種の取引をすること、同業の会社の取締役等になること、が禁じられる。ここで効いてくるのが第2項だ。代理商が競業取引で得た利益額は、そのまま商人に生じた損害額と推定される。つまり本人は「いくら損したか」を立証しなくてよい。相手が稼いだ額を示せば、立証の重荷は裏切った代理商側に移る。信頼を金で裏切られたとき、あなたが最初に握るべきカードがこれだ。
商法 28 条は代理商の競業避止義務を定める規定である。代理商は本人である商人の許可なく、自己または第三者のために本人の営業の部類に属する取引をすること、および同種事業を行う会社の取締役・執行役・業務執行社員となることを禁じられる。違反して競業取引をした場合、代理商が得た利益額が本人の損害額と推定される。
特定の商人のために継続的に取引の代理・媒介をする独立した事業者です。従業員ではありませんが、本人の許可なく競業することは商法 28 条で禁じられています。
特定の本人のために働く者が、許可なく同種の取引や同業会社の役員就任をしてはならない義務です。代理商については商法 28 条が定めています。
規律内容はほぼ同一ですが、本人が個人商人なら商法 28 条、本人が会社なら会社法 17 条が適用されます。契約書がどちらを前提にするかで参照条文が変わります。
代理商側が「得た利益の一部は自己の営業努力によるもので本人の損害ではない」と反証すれば、推定は覆ります。反証材料を先に固めた側が有利になります。
商法 28 条の義務は代理商関係が存続する間だけで、契約終了と同時に消えます。終了後の制約は契約書の競業避止特約によるもので、条文とは別物です。
本人が事情を知りつつ長年黙認していた場合に認められる許可です。明示の合意がなくても競業が適法化される余地があり、本人側は黙認を続けると違反を問えなくなります。
支配人は雇用関係にある使用人で商法 23 条、代理商は独立事業者で商法 28 条が適用されます。立場は異なりますが、許可なき競業を禁じる構造は共通します。
特別な時効規定はなく、一般の消滅時効(民法 166 条、知った時から 5 年または行使可能時から 10 年)が適用されます。利益額の証拠は契約解除前に確保すべきです。
その保険会社の許可があれば合法、なければ競業避止義務違反です(商法28条1項1号)。複数社を扱う乗合代理店は、各社の許可があることが前提です。業界裏話ヒント:許可は契約書に明記されていなくても、本人が事情を知りつつ長年黙認すれば「黙示の許可」と認められうる。本人側は黙認を続けると後で違反を問えなくなるので、気付いた時点で書面で異議を出すかどうかが分かれ目です。
代理商が競業取引で得た利益額が、そのまま損害額と推定されます(商法28条2項)。本人は損害額を立証する必要がなく、相手の利益を示せば足ります。業界裏話ヒント:これは推定なので、代理商側が「利益の一部は自分の営業努力によるもので本人の損害ではない」と反証すれば覆せる。攻める側は利益額の資料を、守る側は反証材料を、どちらが先に固めるかで金額が大きく動きます。
できません。損害額の推定(商法28条2項)は競業取引(1項1号)違反にのみ適用され、競合会社の取締役就任(1項2号)違反には及びません。2号違反でも損害賠償には本人が実損の立証を要します。業界裏話ヒント:この違いを見落とし「取締役就任=利益額を請求」と誤る人が多い。2号違反は、地位そのものより、それを使った具体的な競業取引を1号で捉える方が回収しやすい。
原則として、商法28条の競業避止義務は代理商関係が続いている間だけで、契約が終わればこの条文上の縛りは消えます。業界裏話ヒント:ただし契約書に「契約終了後○年間は競業しない」という特約が入っていることが多い。その特約は商法28条とは別物で、期間・地域・範囲が広すぎると公序良俗(民法90条)で無効とされる余地がある。退任後の制約は、条文ではなく契約書の特約を先に確認すべきです。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 適用される本人 | 商法 28 条:本人が個人商人である代理商 | — |
| 義務者の立場 | 独立した事業者(代理商) | — |
| 損害額の推定 | 競業取引(1 号)違反で得た利益額を損害と推定(2 項) | — |
| 義務の存続期間 | 代理商関係が存続する間 | — |
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